-北銀河の界王星-
「はわわわわわ!!!?なんじゃあれは!!??惑星ポンジャよりあ奴等強くなっておるぞ!!!」
北の銀河を見守るという大事な役目を戴いている北の界王は、フリーザとバーダック達の激突に、王の名を冠されている界王とても慄かせる。
単純にフリーザの強さにだけではない・・・そのフリーザ相手にここまで保っている地球勢も込みで北の界王は終始冷や汗が止まらない・・・
神々以外を除いた下界の中でも飛び切りの、それこそ化け物クラスになっているフリーザを相手取っている相手達もまた化け物じゃろう・・・・
「北の・・・お前の管轄の北の銀河ってところは化け物を育てる土壌でもあるのかよ!!??」
あいつ等もフリーザ同様にバグっているだろうと叫んだ西の界王はきっと悪くない・・だって、同じように北の界王と視覚を共有して地球での攻防戦を見ている南と東の界王達も、ラディッツが捕まってからの悟空達の戦いに度肝を抜かれたからだ
・・・・・・・・・・・・・・・
「このくそ野郎が!!!俺のクソガキに纏わりつく疫病神野郎が!!!!」
「天兄ちゃんとヤムチャ死んでたらぶっ殺すぞ!その前に兄ちゃん返せよ馬鹿野郎!!!!」
「親父に付きまとうんじゃねえよストーカー野郎が!!!」
「ラディ坊ちゃんを放せよ!!-あいつ-に合わす顔がねえだろうがよ!!!」
ラディッツの父バーダックと、ラディッツの弟悟空と、ラディッツの息子ジュニアと、ラディッツを守る積りであったターレスが瞬時にキレ散らかした・・・もうそれは見事な程にプッツンと・・・
更にその上天津飯とヤムチャを瞬殺された事で、二人が大好きを掲げている悟空は怒りの二乗にもなって、四人がかりでフリーザに肉弾戦を十分近くも挑んで、フリーザを心の底から辟易させた。
四人の内、バーダックなどはラディッツの弟にとっては赤の他人だろうと言ってもいい程の初対面なのに、バーダックを入れてのカルテッドな戦い方に齟齬をきたす事無く、フリーザがエネルギーを一%ずつ上げようとする邪魔をされ、本来の力を使えずに削られていくという憎らしい事態に陥っている。
フリーザが本気で戦ったのはポンジャのあの時以降一度もなく、そもそもがこの第四形態自体も扱え切っているとは言い難い。
第二形態の時のエネルギーも持て余し気味で、第四形態のこの時は一%ずつ上げていかねばエネルギーに振り回されて使えない武器で怪我をする間抜けな子供の如くにもなりかねない。
その事を知っている筈も無い四人が、自分に纏わりついて不愉快な事この上ない!!
「鬱陶しいですよ羽虫共が!!!!」
バギャン!!!!
だが突破口がない訳でもなく、四人の界王達をも圧倒していた猛攻に終わりが来た
猛攻を繰り出す四人の内で、比較的弱い所を即ちターレスにエルボーを食らわせターレスを吹き飛ばすと同時に自身も包囲網を抜け出し、一度上空へと上がった。
勿論下を睥睨しながら、ついて来たらどうなるか分かっているだろうという冷たい視線を切らせる事無く、状況を一度整理する為に上がった。
視界の左側は陸地でラディッツが-無事-にスーナとリーキュとマトマの作った檻に入っており、その傍らにスーナを足止めしていたチビが横たわっている・・・あれもラディッツの大切な者だとスーナが判定して自分がこれから出す力から守れる範囲に入れたのだろう・・・・先程吹き飛ばした虫二匹も、ラディッツの側にけりとばしたからもんだいはないだろうが・・・問題は・・・ラディッツの弟がどうにも許せない事だ・・・生まれた瞬間から嫌っていると言っても過言ではない、ラディッツが唯一自分よりも優先させた者
十八年の間、この地球でラディッツの愛を一身に受けたラディッツの弟
そう考えるだけでも・・・・・殺したくなる!!
「俺のガキを見んじゃねえって後何度言わす気だボケが!!!」
「・・・・・貴方本当にあの子の父親なんですか?」
「・・・・・・ころす・・・・」
その憎い弟を見ているだけで突っ込んできたバーダックに対し、フリーザが口の悪さを指摘したらバーダックの殺意マシマシになった
当然だろう
かつてトーマ達すらが、ラディッツはお前に欠片も似てない百%ギネ要素だろうとさんざん言われた時すら腹が立ったっていうのに!!くそ野郎から言われて許せるか!!
殺意が増せば増す程、怒りが増す程にバーダックの動きは洗練されていく傍らで
「・・・・そろそろこちらも運動をしてやりますか・・・」
もてるエネルギーを左拳に込めたバーダックの拳は空を切った
左腕一本でも、最終形態のフリーザとここまで戦えたバーダックは正直化け物クラスと言っても過言ではない。
死角になる右側を反対に開けて隙を作って警戒させ、フリーザが左側に来るように誘導し二弾蹴りをフリーザの側頭部にぶちかました時はさしものフリーザも数瞬だけ意識が堕ち、ジュニアというナメック星人だという男から体内にエネルギーの振動を送られた時は激痛に怒りで真っ赤になりそうになったのを堪えたほどであった。
冷静さを欠けば負けに繋がる
それは、かつてポンジャで対峙したヘラー一族のボージャックという男から癪だが素直に分からせられた事・・・受けた屈辱と共に忘れられない事が・・・こんなところで役に立つとは思わないと一人心地ながら、フリーザは一つ息を吸って冷静さを取り戻しそして今に至り
「今度は左腕もいただがないといけませんかバーダックさん?」
空を切ったのが信じられないという顔をしたバーダックの背後に周り、左耳にひそりと言葉を吹き込みながら、フリーザはバーダックの左肩にそっと手を置き、フリーザの声と感触にバーダックはゾッとした!!!
まだ何をされている訳でもないのに、心臓を掴まれたように心の底から冷え切るような殺意とも悪意とも分からない気配に、死神に鎌を突きつけられた気がしているバーダックを、フリーザは見るともなしに見ながらラディッツに聞かせないような小声で話しかける。
「降るか、腕を無くすか選ばせてあげましょうか?」
ひっそりと、ジュニアの耳をしても聞き取れないほどの幽やかな声・・・決してラディッツに聞こえない程の声で
ラディッツに決して聞かせてはいけない事がいくつかある
一つは惑星ベジータと大半のサイヤ人達の終焉理由
一つは自分の愛する特戦隊達がバーダックのチームを殺した事
そして最大なのは、バーダックの腕を再起不能にしたのが自分だという事
宇宙の科学の粋を集めたフリーザ軍には、欠損した肉体は肉体側に酷い傷が無ければ己の細胞で欠損した部位を培養させて義手や義足の様に付ける事は可能である。
無理なのは引きちぎられた際に周りの組織が壊死しすぎて新しく培養したものと適合不可能となる事と、神経周りを毒などで駄目にする事
バーダックには自分がトンミに命じて後者をさせもう二度と右腕が復活する事は無い
それをラディッツが知れば、さしものラディッツの心が自分から離れるのはフリーザの望む事ではない
しかし、一度目でも許しがたいのに二度目の反逆に罰を降そうとしても文句は無いだろう
寧ろ降伏勧告を出しているのだから褒められてもいいくらいの筈だが
邪魔が入った
「父ちゃんどいてくれ!!!」
「は・・・どっちもお断りだクソ野郎が!!!!」
フリーザの気配に心が凍てつきかけたバーダックは、何をする積りかは分からないが聞こえてきた力強い息子の声に励まされて背後のフリーザに
バギン!!!!
ヘッドバットを決めてそのまま落下した。
飛んで逃げるよりも速く、追い縋ろうとしたフリーザに
「リミット外し十倍!!!ジュニア!!!!!!」
「構わず続けろ悟空!!!爆裂閃光弾・竜巻!!!!」
ジュニアは爆裂閃光弾をフリーザの周りに配置し全ての気弾を操り竜巻と同じ動きをさせて範囲を狭めながら、フリーザに当たらるか防がれながら消えていった気弾を外側から補充をさて途切れさせる事無くフリーザを気弾の竜巻の中から出すまいとした
相手の目論見がどこにあるかは分からないが、先程のラディッツの忌々しい弟の技名が聞こえた時、厄介だと感じたフリーザがエネルギー波で吹き飛ばそうとしたが一歩遅かった!!
ジュニアに策を持ち掛けた悟空は、リミット外しを生死ギリギリの十倍まで外した
リミットを外せば己の気の総量の三倍上がる事は、ターレスのスカウターで計測済みである。
つまり自分が今何百万もあれば!十倍で外せば!
そして悟空は瞳を閉じて全集中で請い願った
頼むよ地球!!兄ちゃんの時の様に!今この時にオラにも力を貸してくれ!!
元気玉も地球との繋がりもいまだに未完成で、本当の球体の様に整形して撃てるのは、十回に一度くらいの低確率だか!今は元気玉として撃つのではない!
元気玉のエネルギーをかめはめ波に上乗せしたいのだ!!
あれを完全に仕留める為に!
兄ちゃんが泣いたとしても悔いは無い!!
そんな悟空の心に応える様に、周囲から熱い気が少しずつ自分の構えた両腕に集まってきたのを感じた悟空は、カッと閉じていた瞳を開いた!!
ありがとよ地球!!礼は兄ちゃんとオメェを守る事で返すかんな!!!
「か!!!め!!!!は!!!!!め!!!!!!破!!!!!!!!」
「な!!!!デス!!!・・・・あぁぁ!!!!!」
赤黒くも青白さも含んでいる複雑な気で構築されたかめはめ波が、ジュニアの爆裂閃光弾・竜巻諸共にフリーザを呑み込んだ。
フリーザも異様なエネルギー波に対抗しようとしたが間に合わずに呑み込まれたのを見届けた悟空は、警戒を怠らないまでも肩で息をした。
もう自分の一切合切を使い果たした・・・・咄嗟に父ちゃんと叫んだ初めて見る父の危機に、その前から兄を捕らえられて煮えたぎっていた自分の全てをぶつけるように・・・
フリーザさえいなくなれば、兄の幼馴染という者達はジュニアだけで制圧できよう
算段しながらも、気配を探るのを怠らなかった事が幸いしたのか・・・・・
デスボール
巨大な気の膨れを感じて咄嗟に弱仙豆をポケットから取り出して飲み下し、瞬時に回復した気の総量全てを両腕に回して上空に向かって突き出した時・・・全身が押しつぶされる激痛と共に海に落とされた・・・・
堕とされながら見た光景は・・・・左目が潰れ口から血を流しボロボロになりながらも生きているフリーザの姿に、悟空は噛み砕かんばかりにギリりと歯を食いしばる・・・・あの野郎を、殺せなかっただなんて・・・