俺ラディッツは弟を絶対に守り抜く   作:ドゥナシオン

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エピローグ:様々な者達の敗北と思惑と

「見て!!惑星ベジータが!!!」

「・・・・・今まで何とも思ってなかったけど・・・・無くなるって嫌だな。」

「俺!もっと強くなる!!強くなって!!!-隕石-なんてぶっ壊せる男になるんだ!!」

 

赤々と燃える膨大なエネルギーを持った球体が、惑星ベジータに近づきそして食い込み・・・凄まじいエネルギーをまき散らしながら壊れていく様を、子供達と-ギネーは、安全な船内から見続けている。

 

本当は、隕石に見せかける為に星から離れた距離で、フリーザが放ったエネルギー弾である事を知っているギネは、心の中で呻き声を上げる

 

皆・・・騙されて・・・・

 

「おやどうしましたかギネ?」

「ッ!・・・ザーボン・・・・様・・」

「ふふ、-ラディッツ-の母君が、我々を前にしてそこまで畏まらなくともいいですよ。あの子は私達フリーザ軍の-大切な-文官なのですから。」

 

窓ガラスに指を食いこませ叫びそうになるのを堪えている自分に背後から音もなく近づき話しかけてきたザーボンに、視線で不用意な事を言えばどうなるか分かっているかと恫喝され、体も心も竦み上がる。

 

自分達はもう・・・戦えない・・・勝てない・・・

 

 

惑星ベジータの西側で、バーダック達が命を賭してフリーザ達に戦いを挑み散り果てたその反対側の東側には、ラディッツ世代を筆頭としたサイヤ人の子供達数十名はフリーザ軍の大型母艦に-避難-していた。

 

ラディッツを見送った数時間後、突如としてザーボンや日頃から子供達と顔を合わせる事の多いフリーザ軍の戦闘指導教官達に呼び出された子供達は何事かと思い戸惑いながらザーボンたちの言葉を待った。

 

「今から数十分前に、この惑星ベジータに飛来する巨大な隕石を発見した。」

 

子供達は腕試しと戦力テストを兼ねた隕石破壊の任につくのだと、力が振るえると喜んだマトマ達はザーボンの次の言葉に唖然とした。

 

「隕石はこの惑星の半分と同質量を持っており、破壊は困難。」

 

今王宮に通達をして直ぐに、危機回避するためにベジータ王が-全ての大人のサイヤ人-を纏め上げ、時間稼ぎにも似た迎撃に上がったと・・・

 

「・・・非番の大人達も全員ですか?」

「そうだ、この数十分で誰か大人のサイヤ人を見たか?」

「ないです・・・そしたら私達も後続でいくのでしょうか?」

 

実際は、子供達に気が付かれないようにひっそりと大人のサイヤ人達を殺しただけの酷い嘘をスーナは信じて自分達も上がるのかという問いに、ザーボンは心の中で薄っすらと笑いながら表面では痛ましげな表情を作り出す。

 

「お前達は万が一を考え母艦に避難するようにとのフリーザ様のお言葉だ。

惑星ベジータにいる-全ての子供達-。

保育カプセルや保育器に入っている子供達は全て避難済みだ。」

 

速やかに身一つで落ち延びる事を子供達は命じられ、慌ただしく子供達は命令に従いそのまま身一つでザーボン達についていく。

 

故郷の星が無くなるかもしれない

 

実感の湧かない、それでも心が何かの底に落ちていくような不安に子供達は駆られる。

 

訓練で古いサイヤ人どもの暴力で死にかけようとも食らいつき、初めて子供の自分達だけで外任務に行かされた時も感じなかった強烈な不安に、子供達は自分達の拠り所となる者の名を口にする。

 

ラディッツがいれば・・・

 

別にラディッツがいたとしても隕石をぶっ壊せるわけではない。

なんならば自分達よりも弱く、心優しいラディッツがいたらきっと自分達以上に取り乱す姿しか思い浮かばない。

 

「弟生まれた記念に木を植えたんだ!この木と同じくらいにカカロットもぐんぐんと背が伸びて強い子になるといいな。」

「あのツンツンとした山脈親父の頭みたいだからバーダック山ってつけるか!」

「この巨大な湖の前で愚痴叫んでたら、ナナバ様と出会えてフリーザ様の文官になれたんだ・・・良い事ある湖って名前つけようかな?」

 

山だの湖だのに名前を付けて、どっから仕入れてきたか分らないが、弟・カカロットの成長を願って木の苗を他星から取り寄せて植えるらしくないサイヤ人のラディッツは、いつでも自分達の心を温かくしてくれる。

 

「ザーボン様!ラディッツとカカロットは・・・」

 

母艦に着き乗り込んだ先でリーキュがザーボンに、子供代表として一番気がかりな事を聞いた。

親たちが今どうなっているかを全く気にもせずに。

 

 

俺の親・・・これで五回目だぜ?

俺んところ二回だ

・・・・あいつ等今の内に殺っておく?

やめよう・・・・なんかの拍子でラディッツの耳に入ったら、一番悲しむのはあいつだ

 

ラディッツ世代の親の大半は、古いサイヤ人どもでしかも幾度もラディッツの命をつけ狙い、その度に自分達がラディッツの傍らにいる事で牽制し阻止してきたが、子供達からすれば忍耐の限界であった。

 

自分達の事なぞ顧みなかった者共が、自分達がエリートコースに乗った途端に自分達の手柄だと我が物顔をしてきたが今度は此方が無視し、益々ラディッツの所に入り浸ったのが原因か、それとも-ナッパ-を代表とした奴等と同じ考えかは知らないが、とち狂ってラディッツを手に掛けようとした・・・・死ねばいい

 

任務の何処かで野垂れ人でも一向に構わんであり、隕石に押しつぶされれば清々する。

 

そんな奴等よりもラディッツと弟のカカロットだ。

もしも向かった場所が隕石の軌道上であったれば、一番に駆け付けるつもりでいるリーキュの質問に、ザーボンは優しく答える。

 

「安心しろ、ラディッツと弟が向かった先は幸いな事に隕石とは反対方向だ。

しかしこうとなっては、交渉役は別の者に向かわせポッドを回収しに行く。」

 

元々その予定だがと、心の中で付け加えるザーボンの裏を知らない子供達は、ラディッツに無事に会えるとほっとして、先に乗っていた下の子供達の面倒を見始める。

 

まだ外任務に行った事の無い小さな子供達は、リーキュ達以上に不安そうで泣きそうになるのを宥めている間に母艦は宇宙に飛び立ち、暫くして一人の女性サイヤ人がザーボンに伴われ、保育カプセルと保育機も共にいた子供達は歓声を上げて女サイヤ人を大歓迎した。

 

「ギネさん!!良かった無事だったんですね!!!」

「バーダックおじちゃんは隕石の方なの?!!」

「あのねあのね!!ラディッツとカカロットは!隕石とは反対の星に行ったんだって!落ち着いたらすぐに迎えに行くってザーボン様が教えてくれたの!!!」

 

不安な中、自分達の大好きな大人の一人が来てくれた事に子供達はすぐさま駆け寄り強張っていた頬を緩ませ口々にギネに話しかける。

 

自分達が不安な中ギネが無事な事を喜び、バーダックに身を案じてラディッツ達の事を嬉しそうに話す子供達に、ギネは堪え切れずに先頭にいるスーナを抱きしめ泣き叫んだ。

 

「ごめんね!!守ってあげられなくて!!ごめんなさい・・・ごめんなさい・・」

「ギネ・・・さん?」

 

何から守ってあげられなかったかを言えないギネは、それでも謝る事がやめられない。

 

ギニューの手刀は相当手加減をされてうたれたギネはすぐさまザーボンの目の前で目を覚ました。

 

起きて直ぐに見たザーボンのの薄っすらとした笑みに、ギネは頭に血が上り飛び掛かりそうになったが手足は拘束され身動きできない中淡々と事態を告げられる。

 

仲間のトーマ達がギニュー特戦隊の手によって処された事を、バーダックもフリーザ自ら相手をして重傷と化し、最早ギネ達の望みは全て潰えた事、そしてバーダックとギネに与えられた役割を

 

ラディッツとラディッツ世代の枷になる事だけが、二人に残された生きる道であり、もしも枷になる事から逃れようとして自死すればカカロットを、真実をラディッツとラディッツ世代に話せばラディッツを含めた全ての子供達を諸共に・・・悪魔の様な人同士の関係を悪辣な意図を絡ませた謀略に、バーダックもギネも負けたのだ。

 

全ての絵図を書いたフリーザに・・・・

 

子供達に会わせてやると言われ、茫然自失したギネは黙ってザーボンの後をフラフラとした足取りで付いていく気配に、ザーボンは可愛いものだと嗤う。

牙を折られたサルも、こうなれば見れた者だと

 

「覗いてみろ。」

 

連れてこられた部屋に入る前に、中央につけられたのぞき窓をザーボンから見る様に言われたギネは、ふらりと顔を上げて言われるがままに覗いた先に見たものは

 

「あ・・・・あぁ・・」

 

ラディッツの友達の子等が、精一杯背伸びをして下の子供達の面倒を見ようとしている。

慣れない手つきで抱き上げ、保育カプセルに異常がないかをチェックし・・・・まるで・・・

 

「ラディッツのような子供達だ。」

「!!」

「ラディッツ世代と名付けた奴は言い得て妙なものだ。

らしくないサイヤ人を増やしたラディッツは逸材だ。」

「ラディッツが・・・」

「そうとも、文官としてもさることながら」

 

こうしてサイヤ人を我々が調教しやすいようにらしくないサイヤ人に子供達を育てたのだから

 

優しいラディッツの心を、平然と踏み躙るザーボンの言葉にギネの心もまた踏みにじられそして、自分達が全てにおいて敗北した事を思い知らされ手折られる。

 

ラディッツもカカロットも、そしてこの場にいる子供達もこれからフリーザの好き放題にされる未来から、子供達を守れなかったと・・・・

 

 

「泣かないでギネさん!星が無くなっても皆いるんだよ!!」

「バーダックさんならきっと無事だよ!!」

「きっとフリーザ様達が俺達の事助けてくれる!そうでしょうザーボン様!!」

「あぁ、安心するがいい。フリーザ様が新しい星をきっと見つけてくれる。それまでは当分船内で・・・・」

 

そんな遣り取りを、保育カプセルのチャックをしながら眺めているゲンインは、スカウターから聞こえて来る-怒声-に耳を傾ける。

 

そろそろ行った方がいいかと腰を上げ、そっと音もなくザーボンにすら気が付かれる事なく室内を後した。

 

厄介な事になった・・・

 

▲▲▲

 

サイヤ人って本当によく食べるんですよね、算出した食料値ぴったりで用意すると不味い事になりそうですのでそれ以上を持たせます

 

サイヤ人はしぶとい、算出した戦闘力に応対する倍の兵士を用意する様に

 

戦闘は嫌いですが、最期まで遺体を自分で確認しない限り終わりじゃないって・・マトマ達に教えて上げる事は出来ます・・・・せめてみんなが無事に帰ってこられるように・・・

 

全ての殲滅リストに入っているサイヤ人は、遺骸は残さずに。

心臓を止めたと思っても、首を斬り落としたくらいでようやくだと心得なさい

 

慢心こそが自分と組織の敵ですね

 

 

「・・・・大した小僧だ-アレ-は・・・」

 

 

サイヤ人絶滅計画を最初から見続けてきたクウラは、己の力に慢心しているが為に詰めの甘いところがある弟の今回の一連の作戦を見て、この場にいないラディッツを称賛する。

 

何事においても十全以上の余裕をもって事にあたり、自分と同じく敵の死骸をその目で確かめなければ安心できない事を仲間に伝授し、慢心が己にとっての最大の毒であることを口にしたというサイヤ人の小僧を手元に置いて見続けていた弟は、小僧・ラディッツの言葉を全て計画に落とし込んだとか。

 

 

サイヤ人の王を殺した時は首を光線で消し飛ばす程の徹底ぶりであり、バーダック達を最初に消しに行ったときは評価以上の兵士を送り込んだが食い破られても慌てずに、用意しておいた上級戦士達と虎の子の特戦隊を惜しげもなく投入し、そして

 

「あいつがあそこまでの謀略を身に着けるとはな・・・・」

 

消え尽くした惑星ベジータの南側から一部始終をモニターでフリーザとバーダックの遣り取りを機甲戦隊と見ていたバーダックは一人心地る。

 

一人の子ザルを掌中に留める為に、フリーザは人の心の機微を逆手に取った謀略を計画しそして成功させた。

 

おそらくラディッツがいなければ、フリーザは慢心を捨て去ることはなくどこかで取りこぼした小石に手痛い目に遭っていただろうが、甘さの無くなった今のフリーザに隙は無い。

 

悪の帝王フリーザは、たった一人のサイヤ人の小僧によって磨かれ完成したとクウラは見ている。

 

「弟君の成長、喜ばしい事ではありませんかクウラ様。」

「ふん・・・・・弟の面倒を見なくて済む、それだけの話だ・・・時折子ザルを貸し出せるかどうかサウザー、お前がフリーザと交渉しろ。」

「は!ラディッツからまた新しいカレーレシピが届きましたので、計画の一つの成就を祝ってお作りしましょうか?」

「・・・・カレーレシピ・・・もう十二回も送られてこなかったか?」

「フリーザ様!あいつの頭の中はサウザーと同じできっとカレーだけを考える場所があるんですよ。」

「そうそう、甘味一択の特戦隊よりも、機甲戦隊になってクウラ様にカレー作ってた方が似合いまさぁ。」

 

サウザーとクウラの遣り取りに口を挟むドーレとネイズは嬉しそうにラディッツの話題で盛り上がる。

 

一年前に会ってから、ラディッツは前世で思い出したカレーレシピを折り目正しい手紙と共にサウザーに送り、サウザーも他の星で知ったレシピを送る、カレー仲間を果たしている・・・・いいのかそれで?

 

そしてラディッツの美味しいカレーをクウラが顔には出さずとも黙々と食べる姿に、クウラ様が喜ばれていると三人の男どもは微笑ましげに見ている・・・・何してんだか

 

文官としても優秀、料理のできるラディッツをこっちに何としても引き込みたいクウラと機甲戦隊の耳に、フリーザの周辺を監視させている虫ロボットから-朗報-が飛び込んできた。

 

それは、フリーザとフリーザ軍にとっては悪夢であった

 

▲▲▲

 

「ラディッツ様と弟を乗せた宇宙ポッド!未だにロストしたままです!!通信送るも返信なく!スリープから目を覚まさせる外部操作も起動した様子無し!!!」

「何故・・・何故ですか!!!」

「・・・フリーザ様・・・」

「あの子を射出してからまだ三時間しかたっていないのです!!なのに何故射出した航路にあの子のポッドが見つけられないのです!!」

 

ベジータ王を殺しバーダックとギネを手中に収めたフリーザは、さてあの子を回収しましょうと、ラディッツを乗せたポッドがいるであろう宙域の自軍の船に、回収に向かわせたが周囲百キロを探させても見つけることが出来なかった。

 

「一体誰が・・・・あのサルどもにポッドを操作するなぞという芸当が出来るはずがない・・・・何故・・・故障して流された可能性は!!??」

「流された事を想定し十万キロ以上を今出せる艦隊を網の目状に展開して探させています。」

「探しなさい!!何としてもあの子を・・・・・」

 

爪を嚙み苛立つフリーザに、司令室にいる誰も慄く事なく必死にラディッツの行方を探し続ける。

 

「こちら本部司令室!残骸なども無いのだな!!」

「捜索先を、隣の銀河系まで・・・そうだ!東西南北に延びる全ての銀河まで伸ばせるだけ足を延ばせ!!」

 

誰もが必死にラディッツを案じ探す。

弟はどうでもいい、しかし何としてもラディッツを・・・

 

シュン

 

怒号や殺気まで飛び交う司令室に、入室許可も得ずに一人のサイヤ人の少年が入って来た事に気が付いたフリーザは、険しい目を入って来たサイヤ人に向ける。

 

「何の用ですかゲンイン、私は貴方にノックなしでも入ってよいというあの子に与えた許可を貴方に与えた覚えはありませんよ?」

 

たとえ重要会議であっても緊急であればノック無用という最重要人物が受け取る権限を得ているのはフリーザ軍においてはたったの二人。

 

文官長のナナバと、彼の跡継ぎと認定されたラディッツのみであり、他者がすればたとえ特戦隊であろうとも厳罰が科せられる事を、ゲンインもとても承知だが本当に緊急であったために入室許可を得る事すらが時間が惜しかったのだ。

 

「罰は後程必ず受けます。その時はこの首喜んで差し出します。

しかし-ラディッツの行方不明-について重要な手掛かりを得たので時間が惜しかったのです。」

「ほぅ・・・・・スカウターを改造して司令室をハッキングしていましたか?」

 

 

文官として渡した最新スカウターをしているゲンインを見て、ラディッツ行方不明の報の出所にあたりをつけたフリーザの言葉に、ご明察とゲンインは慇懃に頭を下げる。

 

「文官としてほしい情報をリアルタイムで手に入れればラディッツも喜ぶと思いまして。

通信兵の皆様の通信装置にハッキングできるように改造しておいたくらいです。」

 

情報の出所をラディッツに言わなければいい事ですのでと、あくびれずに後程取り外しますとさらりと言うゲンインにフリーザは興味をひかれ、全ての事を不問に付す代わりに見つけたラディッツに関する情報を話すように促し、ゲンインは答える代わりに大型コンソールに近づき操作し、中央モニターに宇宙ポットの記録を出した。

 

「これが-他の飛ばし子-達に入れられた宇宙ポットの燃料記録です。

これはこの近くの惑星に到着して安全に着地出来る燃料です。

惑星ベジータと王と古いサイヤ人どもを消したのですから迎えに行ける距離ですね。」

「・・・・お前は・・・」

 

ゲンインがさらりと一連のフリーザの計画を何気なく口にするのを、フリーザは気色ばむが、普段から通信兵の通信を傍受しているという事は計画を知っているのは当然であり・・・

 

「俺も、俺達も古いサイヤ人どもが死んで清々してます。

死んだ奴等の事はどうでもいいのです。

問題は、ラディッツとカカロットの宇宙ポットの燃料を入れた記録です。」

「これは!!!」

「そんな!!ラディッツ様の指定された航路の何十倍の距離の・・・・」

 

映し出された記録の数値は、銀河を十以上またいで移動する超長距離の燃料が淹れらえた記録であった。

 

こんな燃料を、間違えて入れましたという愚か者はフリーザ軍にいる筈は無く、つまるところこれが意味するところは

 

「ネズミがいます。古いサイヤ人どもにはこのようなことは出来はしません。

あいつ等に出来たのは精々ラディッツを直接殺そうとしただけです・・・・俺はラディッツを遠くに追いやったネズミを見つけて嬲り者にしてラディッツをどこにやったか吐かせ、あいつの無事を確かめた後消し炭にするまで絶対に許せません。」

 

ゲンインの戦士として育ち始めた戦士の体躯から立ち昇る赤黒気は、ゲンインの怒りを表している。

 

自分の親であろうが死んでしまえと願っていたゲンインは、フリーザ達同様にラディッツを窮地に陥れたネズミを決して許しはしない。

 

その決意に、フリーザの荒れ狂った心は落ち着きを取り戻す。

何者かの策謀であるのならば、闇雲に探さずに超長距離の飛ばし子の航路を探させればいいと算段が付いたからだ。

 

取り決められた以外の航路を入力されれば、すぐさま統括部に異常報告が上がる。

それが無いという事は超長距離の航路を使った事にほかならず、直ぐに指示を飛ばして超長距離航路のファイルを開ければ

 

ビィー!!ビィー!!!!

 

異常警報が鳴り全てのモニターが赤黒く明滅した。

 

「ウィルスを検出!!母艦のマザーコンピューター本体にハッキングを・・・不味い!!航路データが!!」

 

カシャ・・・・カシャカシャカシャ・・・・

 

超長距離航路データを開けた瞬間、マザーコンピューターにまでウイルスが流し込まれデータは瞬間消されそして

 

ご愁傷様

 

小憎らしい言葉が、たった一言だけ移されたモニターは

 

 

ガシャン!!!!!

 

「・・・・・殺してやる・・・・必ず・・・・」

 

静かに怒り狂ったゲンインの手によって破壊された。

 

「・・・・ラディッツ補佐官ゲンインに命じます。以降私の直轄で働き、フリーザ軍の仕事と並行して必ずあの子を探し出しなさい。」

「・・・御意に・・・・それに並行してネズミを必ず見つけ出します。

意見具申を、超長距離であっても通信は必ず送れるはずです。

惑星ベジータの滅亡と、俺達と父バーダックと母ギネを保護した事を送れば万が一戻ってくるかもしれません。」

「そうですね、通信を直ぐに超長距離の宇宙ポッドの全てに送りなさい。そしてラディッツの船の特徴も伝え、見かけたら即座に報せる様に厳命を。

破れば誰であろうとも厳罰を伝えるのです。

ギニューさん達も、分ってますね。」

「は・・・・必ずやラディッツを・・・」

「よろしい。ゲンイン、貴方は以降は-全ての仕事-を把握し、ラディッツの代わりに統括しなさい。」

「畏まりました。ラディッツは表の道だけを歩くのですね。」

「その通りです。励みなさい、ラディッツ程ではなくとも期待しますよゲンイン。」

「はは。」

「しかし・・・ネズミはある程度は許しますがとどめは私がする事を肝に銘じなさい。」

「・・・畏まりました。」

 

決して許さない

 

ラディッツを思い、フリーザを始めとした軍部は怒りに沸き、故に誰もゲンイン自身すらも気が付かなかった。

 

モニターを破壊した時の原因の赤黒く放出された気の中に-一筋の黄金-が混じっていた事を

 

そして、ラディッツが放出された事を喜んだ者がいた事を

 

▲▲▲

 

「サウザー・・」

「はは!すぐさまラディッツの船の行方を探させ、フリーザ様の通信設備全てを随時ハッキングできる様に細工をさせます。」

 

 

フリーザの手元から引き離されたサイヤ人の小僧

 

「こうとなれば、早く見つけたもの勝ちだな弟よ。」

 

仮にフリーザの手下が見つけたとしても、直ぐに横取りできる体制構築も瞬時にサウザーに取り掛からせる。

 

何名か買収できるものを見つければ訳はない。

大所帯故に、そういう隙のある者がいる、勝算は十分あると、クウラはほくそ笑む。

 

退屈させない小僧だ、ラディッツとは・・・・しかし、ネズミを入れるとはフリーザに甘さが残っていたか

 

それとも

 

「相手の方が上手だったか・・・・」

 

栄光ある一族の手を噛んだ落とし前は、誰であろうとも炙り出して殺してやる

 

 

▲▲▲

 

そしてラディッツの身を案じる赤子を漸く抜けたような小童が、白衣を着た初老の男と共に惑星ベジータから少し離れた場所に辿り着く。

 

「ブロリーよ助かったぞ。すまん・・・お前の戦闘力が嬉しくはしゃいだ儂のせいでお前まで疎まれて・・・」

「・・・・・」

 

惑星ベジータが爆発した時、ブロリーの凄まじい気の力で助けられたパラガスは、まだ満足に話せないブロリーに謝る。

高すぎる戦闘力故に、王からも軍からも危険視され古いサイヤ人ども諸共に消される運命に抗ったブロリーは、父が悪いとは思っていない。

 

家族と仲間を大切にする男になれよ

 

生まれて直ぐに出会った男の人の言葉は、ブロリーの荒ぶるはずであった心に一つの種を植えこんだ

 

理性という名の種を

 

隣にいたカカロットという奴は五月蠅くて、殺したくなったがお陰でラディッツという男に引き合わせられた

 

父の謝罪を他所に、ブロリーは周りを見る。

 

所々にくず鉄の何かが散らばる惑星は、月と星だけは美しい・・・・ラディッツと見たい・・・

 

歌う男は自分の名を名乗ってくれたので覚えた・・・・きっとあの人も無事なはずだ・・・いつかきっと会ってそして・・・

 

「ブロリー・・・お前・・・」

 

自分を殺そうとした奴等を殺してあの人だけと暮らすのだと幼心に思い定めたブロリーの髪は、金色に染まる

 

横で五月蠅い奴も、父として自分を想ってくれるのであればいてもいいと・・・・教育プログラムで知能が早熟なブロリーは未来を夢見て

鮮やかに嗤うのであった。

 

▲▲▲

 

 

エイジ740

 

ある日の夜、地球に二つの丸い物体が誰にも知られず東西の地域に落ちた

 

それは後に、地球を幾度も破滅させる者達を引き寄せる災厄であったのかもしれない・・

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