俺ラディッツは弟を絶対に守り抜く   作:ドゥナシオン

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鳥が飛んだ時・・・・・

悟空が己の生死を賭けたリミット外し十倍と元気玉のエネルギーを混ぜた渾身のかめはめ波は、第四形態で六十%まで力を上げたフリーザに確かに届いた。

 

フリーザはこの時点で一億程の戦闘力に達するほどの力を有していた。

 

そのフリーザに肩で息をさせる程のダメージを負わせたという事は、悟空の戦闘力もまた一億近くかわずかに上回ったが故に届いた攻撃であったのだろうが・・・

 

「ふ・・・ふっふっふっふっふ!!あぁ・・・・本当に・・・・邪魔な存在だお前は!!!」

 

海中に叩き落した悟空に、フリーザの生の憎悪が注がれる

 

互いの力が拮抗していたからか或いは悟空の方がわずかに上回っていたせいで、フリーザは今生において半死半生の目に遭い、死を意識させられた事が、今まで降り積もっていた一切の憎しみが悟空に転じた瞬間でもあった!!

 

ラディッツの不在は、十八年間フリーザの心をかき乱し続けていた

 

声が聞こえない

姿が見えない

自分の尻尾が何もつかめずにただ揺れるだけ

 

其れ等の全てが薄ら寒くて仕方がなかった・・・

 

子供達五人がいても誰もラディッツの代わりになる筈も無く、そのラディッツの愛情を一身に受けていた憎いあの赤ん坊が!自分を殺そうとまでしたのだ!!!

 

「消えろ!!!消え失せろ邪魔者が!!!!」

「手前!!!!」

「悟空に手を出すな!!!!」

 

その行為をバーダックとジュニアが看過するはずも無く、バーダックはスピリッツキャノンを、ジュニアは爆裂閃光弾をクリリンの光輪の形に気弾を整形して撃ちこんだが

 

「邪魔をするのならば・・・・もう容赦はしませんよ・・・」

「がぁ!!!」

「い・・・ぎゃあああ!!!」

 

九十%まで上げたフリーザの肉体速度に二人は反応できず、フリーザは容赦なくバーダックの鳩尾に膝蹴りをぶち込みながら、空いている両手でジュニアの両腕を無造作に千切り海中に捨てながら、崖の端に堕ちたバーダックの横にジュニアも蹴り落とし、追撃してジュニアの頭部に右足を乗せてミシミシと言わせた。

 

「親父ですか・・・・お前が?あの子の子供のつもりなのですか?」

「う・・・つ・・・・つもりなんかじゃねぇ・・・俺は・・・・親父の・・為に生まれてきたんだよ・・・」

 

へ、ざまあみろと、苦痛に喘ぎながらもジュニアは地べたからでも悪びれる事無く、真っ直ぐに己を踏みつけている男の顔をひたりと見つめてニヤリと笑った。

 

今流れている俺の血の色が紫で、親父の血の色が赤くとも俺は親父にジュニアと名をつけられた正真正銘の息子なのだと、誇りをもって臆することなく堂々と笑っていい放ち、その言葉に、フリーザの最後まで残っていた情が吹き飛んだ

 

フリーザ様~

 

在りし日に、幾度も自分の名前を甘く呼んで来たあの子の声音で、この男もあの憎たらしい弟同様にラディッツの日向の気配溢れる声で呼ばれたと?

 

フリーザの瞳孔が完全に開いた

 

理性も何もかもが吹き飛び、悟空に注がれた生の憎悪がジュニアにも向いてしまった

 

十八年間見つけられなかった焦燥感が、嫉妬・羨望・独占欲・怒り・憎しみに昇華されていく

 

人が・・・おおよそ抱く負の感情全てが、フリーザの心に覆い尽くし、ラディッツの為に、ラディッツの心も体も逃がさない為だけに生かす筈の者達の事が憎くて憎くて堪らなくなる・・・だがその前に、この緑の男を殺す前に・・・

 

 

「あ・・・フリーザ様!!!止めてください!!!お願いですから!!!!」

 

海中に落ちて姿を現さない悟空を海ごとその存在を蒸発させんとばかりに、エネルギー弾を上空から再び撃ち始めたフリーザに、ラディッツは体に力が入らない檻の中から出せる声で精一杯叫んで願い、リーキュ達にもフリーザ様を止めて欲しいと願おうとした。

 

弟の大技がフリーザに決まった時、ラディッツは頭の中が真っ白になった

 

フリーザ様が死んでしまう?

 

自分は・・・・戦う事を決意しながらもフリーザ様が死んでしまうなんて思いもしなくて・・・・ただ・・・どうにか地球から撤退してほしくて・・・甘い夢を、子供でも思いもしない戯言以下の最低な思いで・・・その結果が・・・

 

だが、ラディッツの思いなぞ他所に、フリーザは生きていてターレスも父も息子もそして今また弟が殺されようとしている!!!

 

それを止めなければならないと、リーキュ達にここから出してくれと言おうとしたが、声が出なかった

 

リーキュ達もまた、フリーザが隠していた狂気にも近い負の感情に当てられ唖然としていた。

 

敵に情け容赦のないフリーザを知っていても、理性を無くしたフリーザの暴力的なまでの力の前に戦慄し、絶句しており、スーナの瞳に薄っすらと恐怖による涙が零れかけている・・・

 

同じ若手サイヤ人の戦士であっても、リーキュ達以上の地獄をくぐってきたキューカンバが見ていれば、お前達はフリーザ様の何を見ていたんだと呆れて詰るかも知れない。

 

優しい檻の中で飼われていたのはラディッツだけではなかったのだ

 

リーキュ達もまた、フリーザに可愛がられ愛しまれて飼われそして守られてきた

 

そんな彼等にとって、今のフリーザの姿に声も出ず、ラディッツが何かを言っても届かない心境であったのだ・・・

 

そんな三人に、かける言葉が見つからないラディッツの全身の悪寒が奔った・・・嫌な予感がする・・・

 

その予感の先に目を向ければ

 

「バカスカと気弾を海に撃つんじゃねえよ!!!」

「お前が大人しく出てきて私に引き裂かれて死ねばいいだろう!!!」

 

弱仙豆で体力の半分を回復させた悟空が、フリーザのように気弾を撃ちながら道着の上半身は無くなりズボンまでボロボロになった悟空が海中から姿を現し、乱打戦にもつれ込ませていた。

 

フリーザが生まれたての、カカロットという名のサイヤ人の小僧が死ぬほど嫌いなように、悟空も会う前からフリーザを嫌っていた

 

あの兄が、父や母、幼馴染達の話の時には見せない甘やかな表情を見せるのはいつもきまってフリーザという男の事であった。

 

自分はフリーザ様の軍に拾われて文官になれたから今がある

 

あの方は、少なくとも自分達にはとてもお優しい方だったんだと・・・今日の侵略対策の為に駆けずり回り疲れ切っていた兄が、寝落ちる寸前にポツリと言った言葉

 

それは、兄ちゃんをこんなに苦しめる奴が許せないという自分への酷い答えだった・・・自分と愛する者達の平和を平然と、理不尽に脅かす相手を愛していると言ったも同然の言葉に、悟空は愛しい兄ではなく兄にこんな感情を抱かせ続けているフリーザが許せなかった!

 

十八年!もう兄も三十になっているのに、子供の様に甘えた表情を名前一つで浮かばせる、未だに見た事も無い相手に嫉妬したのだ!!

 

自分の兄ちゃんなのに・・・・捕られそうで、そして実際に獲りに来た憎い奴!!

 

そんな悟空の心情に呼応するかの如くフリーザの憎しみに更に怒りの火がくべられ

 

「・・・・死んでしまえ・・・」

 

最後の十%を引き上げ、圧倒的な力を拳に込めて悟空の顔面を殴り飛ばした

 

 

あ・・・・い・・・けね・・・意識が・・・

 

 

フリーザの拳が悟空の脳まで揺らし、隙だらけになりそして

 

「さようなら・・・ラディッツの弟だったサイヤ人の小僧・・・」

 

名も呼ぶのすら厭うたフリーザが、デスビームでとどめを刺そうとした時

 

白くも所々赤い血で染まった一羽の鳥が悟空とフリーザの間に飛び込み

 

トス

 

柔らかい音と

 

「カカ・・・・ロット・・・」

 

呻き声が、戦っていた二人の男達の耳朶をうった

 

「・・・にぃ・・・ちゃん?」

 

朦朧としていた悟空の意識は、目の前の光景に覚醒した・・・・なんだこれは?

 

「はは・・・ぶ・・じか・・・よか・・・た・・・」

 

力無く落ちそうになる兄を、悟空は訳も分からないながらも両腕で抱き留め包めば・・兄の背中から血が流れだしている・・・

 

カカロット!!!

 

フリーザが悟空に最後のとどめを刺そうとした時、ラディッツは最後の力を振り絞り、自分の身が裂けるのも構わずに無理やり檻から出たのだ。

 

其の時に感じた激痛は、弟の無事な姿を見て消え果てた・・・

 

間に合って良かったと、カカロットを守れた事が嬉しいという思いだけが、意識が薄れいくラディッツの胸を満たし尽くして・・・・

 

この地球に望まずに堕とされた時、ラディッツは誓った

 

俺ラディッツは絶対に弟を守り抜く

 

それは相手が誰であろうとも、どのような事であっても、その代償がたとえ自分の生命であってもだ

 

その誓が果たせて嬉しい・・・

 

そんな自分の様子を見てカカロットはポカンとしているが、生きている・・・・

 

あぁ・・・弱くても・・・俺はカカロットを・・・・守ってやることが出来たんだろうか?

 

少しずつ、背後に感じるフリーザの気がしぼんでいくのを感じる・・・フリーザ様も限界だ・・・じきに親父も目が覚めるだろうしジュニアも腕をはやして弱仙豆ではなくとっておきの仙豆を食べさえすれば・・・そうなれば、フリーザ様も敗北を喫してリーキュ達が逃がすだろう・・・

 

だがそれよりも・・・

 

「お前が・・・無事で・・・・よ・・・か・・・・・」

「兄ちゃん?・・・・兄ちゃん??!!!兄ちゃん!!!兄ちゃん!!!やだよ兄ちゃん!!!!目を開けてくれよ兄ちゃん!!!!!!!」

 

この後も、自分がいなくてもカカロット達が生き延びれる・・・・そんな算段を付けてほっとして気が緩んだせいか、弟の顔を優しく撫でていたラディッツの手がするりと落ち、目を閉じてしまった兄に、悟空は兄を搔き抱き泣き叫ぶ

 

「おらを置いて逝かねえでくれよ兄ちゃぁぁぁぁん!!!!!!」

 

弱々しくなっていく兄の微笑みが消え果て、眼を閉ざしてしまった兄に嫌だと言う悲痛な叫びは、地球の大気を振わせ海を波立て大地に亀裂を奔らせ兄の幼馴染達の意識を正気つかせる事出来ても、堕ちていくラディッツの意識を浮上させる事は叶わず、悟空の瞳から血涙が滴った時、天が裂けた

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