俺ラディッツは弟を絶対に守り抜く   作:ドゥナシオン

152 / 233
身も心も精神も

宇宙を見守り続けてきた四界王達は、地球で繰り広げられる攻防という名の食らい合いに言葉も出なかった・・・強いや凄いなどという言葉が陳腐に聞こえる程に凄惨な殺し合い

 

互いに何かを言い合って罵り合う事もせず、憎しみの言葉をぶつけ合う事も無く、そのエネルギーすらを相手を殺す事に使うのだとばかりに、どんなに殴られようとエネルギー弾が肉体を傷つけようとも互いの存在を瞳から逃さんとばかりに、爛々とした光を宿して見続ける

 

弱った場所はないか

ダメージを負わせやすい場所はないか

 

相手の弱みを探り、弱った振りをして誘い合い、離れたのは一瞬で直ぐに距離を縮める

 

全ては相手を殺す為・・・・

 

 

あぁ・・・・やめろ・・・・やめてくれ!!!!

 

「フリーザ様!!!カカロット!!!!!」

 

フリーザと悟空のあまりの凄惨な食らい合いに、リーキュ達はおろか数多の戦場を渡り歩いてきたバーダックも唖然とする中、ラディッツは泣きながら声を上げる。

 

こんな事に何の意味がある・・・・きっとあの二人の実力では決着がつかずに最悪は相打ち・・・・それだけは!!

 

戻るつもりであったのに・・・・フリーザ様のお側に・・・何故それを信じてくだされなかった!!

 

俺は貴方の傍らにありたいと思い続け・・・今だって貴方とカカロットが傷ついていく事に悲鳴を上げているのに・・・

 

 

悲鳴を上げる心を抱えたボロボロの体でラディッツが叫ぶのを、遠く離れた地で見続けている北の界王は痛ましげに見つめる

 

まっとうであり愛を知るサイヤ人・・・・その優しさを独占したいフリーザと守りたい弟・・・滑稽でありそれ故に悲惨な悲劇・・・・もうラディッツに止められる段階ではない・・・どちらかが、或いは双方が死なねば止められないところまで来てしまっている・・・・

 

「もう・・・・お主に出来る事は無いんじゃよ・・・・・」

 

ただ一方的に見続けてきた相手に、北の界王は言葉をかける

 

念話でラディッツに話さずとも、それでも言葉をかけてやらずにはおれない程に、愛する二人の戦いに心を砕いているラディッツが哀れであった・・・

 

お主にはもう出来る事は何も無いのだと・・・

 

それは北の界王だけではなく、西・東・南の界王達も同様であり、そしてラディッツの周囲の者達も何時しか止めようという思いは無くなり、二人の決着を見届ける覚悟を決めた。

 

どちらが勝ってどちらかが死ぬ、或いは双方死ぬ事になってもきちんと見届けるべく

 

だが

 

嫌だ・・・・俺は・・・俺は・・・・俺には止められないのか?

 

俺が弱いから・・・・駄目なのか?

 

声すらもう聞いてくれない二人に、ラディッツの心が折れ掛ける

 

自分の事を大好きだと言ってくれる弟

自分の事を大事だと言ってくれたフリーザ様

 

そのどちらにも、矢張り弱い自分の声なんて届かないのか?

 

絶望が、ラディッツの心に忍び寄る

 

このまま二人の死を見るしかないのかと・・・・黒い思考がラディッツの心を覆い尽くそうとしたその時

 

-ピィ~~-

 

「!!!・・・テ・・・ラ?」

「ピィ!ピィィィィ!!」

「お前・・・こんなエネルギーのぶつかり合いの中を飛んで来たのか!!」

 

 

絶望に心も体も冷えて凍てつきかけた肩に、ふわりとした感触に俯いていたラディッツが顔を上げて右肩を見れば・・・・鳥のテラがいた

 

戦闘時以外では地球の気を借りる時はどこからともなく現れる、黄色くモフモフの小鳥は

 

ぺシ!!!!

 

・・・・羽でラディッツ頬を打った

 

「テラ・・・・」

 

痛くはない、だが・・・・しっかりしろと言われた気がしてそして

 

「ピィ~!!!!」

 

頬を打ってきた羽が、空を差しつられて見上げれば・・・・そこにあったのは・・・

 

「テラ・・・そうだ、今日は満月なんだ・・・」

 

空にくっきりと真円を描いている満月・・・・だが、それを見てもラディッツは大猿にはならなかった

 

狙ってか偶然か、フリーザ軍が到達する日が満月だと知った面々は、プルーツ波を通さないムーンシールドを、衛星に搭載し打ち上げそして、月が出る一時間前から展開している。

 

自分よりも幼馴染達と他のサイヤ人の戦士達が大猿化してしまえば手に負えなくなるから。

 

目論見はずれて大猿化できなかった時に、誰かが代用であるパワーボールを出そうとも、作ろうとした瞬間に消すように周知した

 

 

その満月に

 

「テラ・・・・お前は俺に大猿になれというのか?」

「ピ~ィ~」

 

自分が大猿化した時も必ず来るテラ・・・・いつも-アレ-になろうとしては成功しない・・・・だけど!!それでも・・・もしかしたら!!

 

可能性が一つでもあるのなら

 

「・・・・やってやる・・・」

「ん?」

 

そこに向かって手を伸ばせ!!縮こまるな!!!泣いてる場合じゃないんだ!!!

 

やらなければ!!やってみなければわからない!!!!

 

力が欲しい!!!

 

俺は今!!心の底から力が欲しいんだ!!!!

 

愛した人達を止められる力が!!!!

 

 

「おい・・ラ・・・は?・・・あの馬鹿野郎!!!!どこに行った!!!!」

「親父!!!」

「おじさん・・・ラディッツ!!!」

「ラディ!!!」

「あの・・・馬鹿!!!!」

 

傍らで蹲って泣いていた息子の気配が変わったのを、何事だと見ようとしたバーダックには、飛んだラディッツが一瞬でかき消えたように見えてゾッとした!

 

もしも・・・・本当にかき消えてしまったら・・・・

 

上空を探しても、殺し合いをやめない二人の間に入った形跡はなく、周囲を見回しても影も形も無い・・・・

 

あいつは弱いくせに変なところで肝が据わっていて、鋼の心を持ってやがる・・・

 

ラディッツ・・・・なにをするつもりかしれないが・・・・死ぬんじゃねえぞ・・

 

・・・・・・・・・

 

ムーンシールドは、万が一上空まで飛ばれても突破されないように大気圏外から展開をしている。

 

その外に出たラディッツは、寒さに震えながら怯えたように月に目を向ける

 

向けた瞬間

 

「あ・・・・・あぁ!!!ぐああああああ!!!!!」

 

体が燃える様であった・・・

 

地表で受けるよりもより濃密に浴びるプルーツ波は、ラディッツの理性を食い散らかそうとする

 

諸に浴びれば、もしかしたらそうなる予感にラディッツは怯え、果たしてその通りの展開になってしまった

 

暴れろ・・・・あの五月蠅く言葉も聞かない馬鹿達を踏みつぶしそうぜ!!!

 

暴力を楽しみ、破壊を悦楽だと嗤う凶暴な自分の中のナニカ

 

自分よりも圧倒的な力を感じ、意識が塗りつぶされる

 

けど!怯えてなんかいられないんだ俺は!!

 

嫌だ!!

 

断れば、驚かれた

 

何故だ?それだけの力が-本当は-あるくせに!!いつまでお綺麗なままでいるつもりなんだお前は?出来ないんなら-俺-にその体渡せよ!!!

 

ドンドンと、心の中で-自分-が暴れる・・・・戦闘民族サイヤ人の狂暴なまでの戦闘意欲と破壊の限りを尽くしたいまさしく-狂暴な猿-・・・

 

その猿が今・・・俺を乗っ取ろうとしてる・・・・意識が薄れる・・・・フリーザ様の技を受けた時の様に・・・・嫌だ・・・・・・・嫌だ!!!

 

「渡さない!!俺の心は!!!-お前-に渡したくない!!!俺は愛を捨てたくない!!破壊がしたいんじゃない!!!」

 

俺は!!!守りたいんだよ!!!!

 

だから・・・ありったけの力を込めた呼んだ・・・・

 

「-テラ-!!!!!!俺に!!!力を貸してくれ!!!!!」

 

グォォォォォォォォ!!!!!!

 

己の中の破壊と殺戮衝動を持つ戦闘民族サイヤ人の原始的な本能に負けたくなくて、-小鳥-を・・・・馬鹿げているかもしれない・・・・それでも俺は、何故小鳥にその名をつけたのか・・・本能で分かっていたのかもしれない・・・だってほら・・

 

ピィィィィぃ!!!!

 

宇宙空間まで来てくれる小鳥は、地球の方から来てくれて、声に振り向いてみれば

 

そこに見えたのは・・・・青い地球と・・・金色の羽を大きく羽ばたかせる・・・テラが・・・

 

一羽の鳥は、大猿に向かい飛んで行く

 

-何時もの様に-力を貸す為に

 

 

自分は意識を太古より眠りにつかしていたが、ある時自分に向かって大量の気を送ってくる何かが気になり、気紛れに地表に出れば・・・・-自分-にいるはずの無い生物がいて・・・自分が育み育ててきた生命達が優しい気配を醸し出しているはずの無い生物に群がっていた

 

そしてその生物は、夜空の月が真円を描く度に同じ場所に来て同じような事をしてきたので、また同じように自分も微かに返してやり・・・・気に入った

 

その生物は暖かくて、純粋で、綺麗で、いくら力を貸してやっても飽きる事は無くて

生物はどうやら他の生命体を助ける事が好きなようなので、自分に変調が起きて或いは自分のたまったエネルギーを表に出す時に死んでしまう生命を助けさせてあげたくて教えて上げた。

 

これから溜まったエネルギーを発散させる為に火を噴く

これから自分の一部を揺らす

自分の上のここが騒がしい!

生命の一部達が騒いでいる

 

・・・・生物に力を貸して沢山の事を教えるうちに自分が育んできた生命体達の種類の多さと、煩雑さに驚いたが生物がその煩雑な生命達を助ければ嬉しそうだったので其れで良かった。

 

何時しか自分と生物は一体化する事が多くなった

 

生物は、自分の上で起こっている沢山の事を知りたがり、多くの生命達と繋がる事をしたがることが多い。

力を貸してやれば生命達と容易に繋げてやれる

そうすれば生物は嬉しそうに笑うのだ・・・

 

もっとそばにいたくなった・・・・月が真円を描く日が待っていられなくなった・・

小鳥の姿を作り、自分を移して飛んで行き生物の肩にとまれば、生物は酷く驚いてそして・・・テラと、自分の別名で名前を付けくれた・・・・

嬉しかった・・・分かってくれたのだ、自分がなんであるのかを・・・そして

求めてくれた!!!

 

貸すとも!!幾らでも!!!!お前が欲するのならば!!!

 

その瞬間、地球は一人の男に力を貸すように生命に聲を掛けた

 

自分の中で生命を育む全ての者達に

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「・・・なに?」

「これは・・」

「誰かが・・・・助けてほしいの?」

「俺なんかの力が必要なのか?」

「なんだよ!!・・・・だって俺は弱くて・・・必要なのか?」

「お母さん!!だれかがたすけてほしいって・・・お父さんも聞こえるの!?」

 

世界の全てがその聲を聞いた

 

助けが必要な者に力を貸してやってほしいと・・・

 

その聲に惹かれる様に、世界中の生命が、それこそ植物に至るまで自分の出せる僅かなエネルギーを差し出し

 

特に東の荒野の恐竜や動物達は一同集まり、ある者達はプテラノドンに乗り、ある者達はティラノ達に乗って、海を目指した

 

その上空にはきっとあいつがいるのだと確信をして・・・自分達の助けを欲したあいつが、泣いているのならばまた慰めるべく急ぐティラとその子供達は、海を見るや否や上空に向けて吠えた

 

自分達の聲がきっと届くと信じて

 

そして隠れている人々もまた助けを求める聲に応じた

 

常ならば薄気味悪いと、助けなぞする気も無い者達も、今日この日だけは何が起きても不思議はなく、助けなければならないと、誰もが地面に手をかざし

 

「お兄ちゃん達かな?」

「・・・・悟空さや兄様達が求めてんだべか?」

 

ブルマ達も戦う愛おしい者達を思い、悟天とそしてまだ赤子ともいえる悟白も手を地面にかざせば、黄金のエネルギーが大地が飲み込んでいく

 

そして、それは鶴仙人と弟妹弟子達も祈る様に気を差し出した

 

孫悟雲達の助けになる事を願って

 

馬鹿弟子が戻って来れる事を請い願って

 

そしてその光景を、はるか上空で見ている神達を驚かせる

 

今まさに世界が一つになろうとしている

 

一人の男の優しい願いを、数多の生命達が惜しみなく力を貸している

 

「ポポ・・・」

「はい、神様。」

「・・・世界とは、なんと美しいのだろうな・・・」

「・・・はい。」

 

二人の殺し合いによって、荒れ果て濁っていく世界が、再び輝き黄金に染まる光景の、なんと美しい事か知れないと、神は大粒の涙を流し下界を見守り続ける。

 

この世界の最後の瞬間までも見放すまいと

 

 

あぁ・・・熱い・・・・沢山の気と想いが・・・・・俺の中に・・・・

 

背後には青白い月が、目の前には黄金に輝く地球が・・・その地球を輝かせる黄金の光がラディッツの中に入って行く・・・・

 

膨大なエネルギーは、まるでラディッツの中に元からあったかのごとく馴染んでいく

 

暴れそうになるエネルギーは、心臓にとどまっている黄金のエネルギーが、まるでラディッツを守るように入って来たエネルギーをラディッツの体になじませそして・・

 

「あぁぁぁっ!!!」

 

体に馴染んだエネルギーが一つになろうとしてラディッツの巨大化した体を纏めていく

巨大な大猿は徐々に縮みながら、-黄金の毛並み-が、青白い月の力が混ざりラディッツの中で溶け合う

 

己の中の暴虐性を引き起こす月の力

己に力を貸してくれる優しい思いを帯びた力

 

力とは身も心も精神も強くないといけないんだった・・・・

 

思いだけでは駄目なのだ

力だけでも駄目なのだ

 

両方あれば・・・・・

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「死ね!!!」

「お前が死ね!!!!」

 

悟空とフリーザの戦いも佳境に入り、戦いが始まって以来の互いに発した言葉は死だけであり、双方最大の技の構えを取りそして

 

「かめはめ波!!!!」

「デスボール!!!!」

 

寸分たがわずに放たれた技は、きっと双方をこの星ごと消すのだと地上で見ていた者達に思わせた

 

・・・・どこにふらついていったのかは知らねえが、地獄で会おうぜクソガキ

 

死ねば直ぐに互いにあえるだろうとバーダックとても観念した時

 

ズシャァァァァァ!!!!

 

「あ!!!」

「な!!!」

 

悟空とフリーザの最後になる筈だった大技は、互いにぶつかり合う事無く-割って入って来たもの-によって上空に軌道を変えられ消えていき、フリーザと悟空は呆然とした

 

割って入ってきた者の異形さに

 

尻尾が揺れている・・・

踵の少し上まである長い髪が揺れている・・・

 

そのどちらとも-白銀色-であった事がフリーザと悟空を混乱させた。

 

「双方止まってくれ・・・」

「あ!!・・・・にぃちゃん?」

「ラディッツ?」

 

悟空とフリーザは異形の声を聞いて驚愕した。

 

死んだと思った兄が、ラディッツが、髪と尾を白銀色に染めているどころか、何故か白い布のズボンだけで半裸な上に白銀色の体毛が肩まである・・・・まさに異形の姿で自分達を止めに来たのだから・・・

 

止まるつもりのない自分達を・・・




外見:超四の見た目に白銀色の体毛
   髪型は変わっていない
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。