気絶させられた・・・ただのエルボー一発で、脳みそを揺らされたのと全身に走った衝撃で意識刈り取るって・・・あのバケモン・・・・あんなバケモンを愛しているんだとか抜かすラディ坊ちゃんも、親衛隊のガキどもも頭おかしいんじゃないか?
そのラディ坊ちゃんの幼馴染の一人のゲンインとかいう奴の記憶消した時は、あんなバケモンの下にいるのは可哀そうだな~とか思ったのを、後悔しながらターレスは呻きながら意識が浮上した体を無理やり起こす。
ポンジャ戦の後、ネズミの勧誘を逆手にとって色々と逆手に取ろうとしたのを嗅ぎ付けたネズミの依頼で、ターレスは単身でラカセイ達が作ったハイスペックのステルスシールドを使ってゲンインの部屋に忍び込み、そして記憶を改竄してから地球に来た。
・・・・地球のラディ坊ちゃんもがっつりとあのバケモノ大好きなまんまでげんなりしたが、さてそのバケモノはどうなって戦況はどうなっているのかと近くにいる誰かに聞こうとして上を見てみれば
「・・・・・なんだよありゃ・・・・」
バケモノ・・・・いや・・・異形がいた・・・
フリーザではない、何故か髪が黄金になって逆立っているカカロットも・・・何故か不思議とお前そんな風になれるのかとしか思わせない程の異形・・・白銀色の体毛に背中まで覆われているラディ坊ちゃん・・・・
顔はそのままなのに醸し出している雰囲気がヤバい・・・・
「起きたのか・・」
「・・・・・バーダック、お宅の坊ちゃんどうしやがったんだ?」
「は!そんな事・・・・俺の方がご教授願いたいもんだよ・・・」
・・・どうやらあの坊ちゃんの異形に、戸惑っているのは俺だけじゃなさそうで安心したぜ・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「にい・・・ちゃん?」
死んだと思った兄が生きて目の前に来た事で、怒りと殺戮の衝動に飲まれていた悟空の普段の優しい意識がほんの僅か浮上した。
生きている・・・・物凄い力と異形の姿をしながらも、自分が兄を間違えるはずがない!
大好きな・・・・愛している兄ちゃんが戻ってきた!!
嬉しくて・・・だが・・・
何してんだよお前は?あんなの放っておいて殺したかった奴をさっさとばらしちまおうぜ?
自分の中の何かが、背後から忍び寄ってそそのかすように囁いてくる・・・・
兄ちゃんが瞳を閉じてしまった時、フリーザを殺したいと叫んで心の中でも呻いた時にそいつは目を覚まして・・・そっからおらは・・・・そうだ、こいつの言う通り、兄ちゃんが二度と危ない目に遭わねえようにしねえと・・・・フリーザの野郎はぶっ殺さなきゃいけねえんだ!!!!
「ガアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
兄ちゃんは優しいから、兄ちゃんは本当に本当に優しいから・・・・あいつの事を消すなんて出来ないから!-オレ-が・・・・・
「カカロット・・・・」
消そうとしたら・・・・
「兄ちゃん?」
オレの目の前に兄ちゃんが来てた・・・・
矢張り呑まれていたかと、ラディッツは先ずは心配していた弟の方に近づいた。
先程自分も同じような目に遭ったから分かる
今カカロットは、-戦闘民族サイヤ人の戦狂いのカカロット-に吞み込まれてしまっている
自分は、テラとこの星の生命達の力のお陰で跳ねのけることが出来たがカカロットは、普段柔らかく何時だって笑っている様な柔らかい瞳が、今は殺意を露わにして呼吸も荒く、気も大分濁っていて・・・・
「放せ!!!俺があいつを殺してやる!!!殺してやるんだ!!!」
殺戮衝動のままに話している・・・・俺が弱かったから、弟の心を守ってやることが出来なくて・・・・それでもまだ・・・
「戻っておいで-俺のカカロット-」
「は!!俺がカカロットだ!!!放せよ畜生!!!」
今の悟空よりも、僅かながらに力が上回っているラディッツは優しく弟の両腕を抑えつけそして飛んだ。
フルパワーのフリーザの目にも映らないラディッツの-飛び-
飛んだ先は地球の大気圏外
無防備なところをフリーザが見逃す筈も無く、もしかしなくともその状態の弟を殺して自分を拘束する未来しか想像できないので上がりそして、弟の額に額を付け潜った
カカロット・・・どこにいるカカロット・・・
今の自分なら何でもできそうな気がして試した
弟の意識に入り込めるのではないかと・・・そして果たして・・・
オレがカカロットだと言っているだろう!!!
金色の髪を逆立てたカカロットが先ずは姿を現した
そのカカロットはにやっと嗤い、破壊と殺戮をしたいと疼く狂戦士の顔を覗かせている。
フリーザ軍にいれば、数多の戦士達を見てきた
特戦隊のような超一流の戦士達や、上級・中級・下級と
孤高な戦士タイプもいれば仲間と組んで派手に闘うのも好む者や狡賢い者、弱くともその弱点を補って戦って生き延び手柄を挙げる者と本当に沢山の者達がいた中で
「ラディッツ、-アレ-だけには近づかないようになさい。」
たった一人だけ、フリーザ様に直々に近づくなと言われた戦士がいた
その戦士は-死の戦士-と呼ばれていた。
フリーザ軍も残虐行為を好む者もいるが、その戦士は殲滅をし尽くす事に生き甲斐を感じて-そういった仕事-を専門にしている奴だと・・・
一度だけ、フリーザがいない時にその戦士に近寄られた時、ラディッツは総毛だった
無表情に見えて瞳の奥が嗤っている
血生臭く、殺戮と破壊を楽しむ者はこういうやつなのだと本能が嗅ぎ取り飛んで逃げ・・・・ほどなくしてその戦士は処分されたという・・・・理由は今をもって不明だが、その戦士と目の前の-カカロット-は同じ・・・
「俺は俺の弟のカカロットを探している。」
「は!!だから言っているだろう!!!俺も・・・」
「・・・・そうかもしれないな。」
「あん?」
「お前も-カカロットの一部-かもしれない・・・・だが、お前は-今までの様に-眠っていろ。」
恐らくだが、この地球に来た時頭を強く打った事で、本来なら表に出るはずだった子のカカロットはずっと眠っていて、俺の仮死と共に目覚めて・・・・
「否定はしない、お前もまた-カカロット-だ。」
だが、今は俺のカカロットを返してくれと、ラディッツは目の前のカカロットを抱きしめそして・・・・
「・・・離せよ・・・・」
「カカロット・・・」
「離せよ!!!お前!!俺に何をしやが・・・・・浮いてくるな!!!甘ったるいお前の代わりに俺がフリーザを・・・・邪魔な奴等を全部ぶっ殺してやんだからよ!!!」
抱きしめればカカロットは暴れた
目の前にいるのが自分の兄だと分かっている
だが、戦闘民族サイヤ人にとってはそんなものは記号に過ぎず、敵よりかは幾分かましな奴という以外の何物でもなく、邪魔に感じたら殺してもどうとも思わない者の・・・筈なのに・・・甘ったるい-地球育ちのカカロット-が・・・
・・・ちゃん・・・あ・・・おれは・・・・おらは!!!
「やめろ!!甘ったるいお前に敵を殺す事なんて出来るものか!!!」
黙って俺に体を明け渡せと叫んでも・・・・
「お休み-戦狂いのカカロット-・・・・お前のお陰で助かった事は感謝する・・」
自分が死んでしまったあの時、フリーザ様だけが怒りでフルパワーになられていたら、目を覚ました自分が見ていたのは死屍累々の地獄であったろう・・・
否定はしない・・・だから消さない・・・・
消す事も今の自分にはできるかもしれないが、その必要はなさそうで
「兄ちゃん!!!!!」
自分の知る、地球育ちの優しい弟の気配を感じたラディッツが、閉じていた瞳を開けた時、飛び切りの笑顔の弟の顔がそこにはあった。
「兄ちゃん!!!兄ちゃん!!!兄ちゃん!!!!!!!!」
その言葉しか知らないように何度も何度も自分を呼びながらぐしゃぐしゃの顔で泣いている弟を抱きかかえながら、ラディッツは静かに地表に降りて
「カカロット・・・親父といてくれ・・・・」
「兄ちゃん!!!」
「・・・・あんたがやるっていうのかラディ坊ちゃん?」
「・・・・・出来んのかよクソガキ?」
・・・・・同じ髪型でもどうしてこう顔が違いうんだろうかと、弟を父に預けようとすれば、目を覚まししたターレスと父の顔と泣いている弟の顔を見ながら不意に埒の無い考えが浮かんだ。
髪型も似ているだけでそっくり同じではないし、それぞれ違った強さが顔に滲み出ているんだなとか思い、思わず顔が緩みかけながら、答えた
「俺・・・・フリーザ様の事が好きなんだよ。」
昔も今もそして・・・きっとこれからも・・・
だから俺自身で止めたいんだという言葉で答えそして、父達からの返答を聞かずに空に上がった
怒気と殺気が渦巻いている上空に