ラディッツをフリーザの下から引き離す
トンミにとってこれは容易な事だった
同族の-古きサイヤ人-のお陰で
「ラディッツ覚えているかい?」
「・・・はい?」
「君が-同族と同僚-に何度殺されそうになったのかを。」
昔語りをしていたトンミからのいきなりの質問に戸惑うラディッツと周りに、トンミはゆったりとした優しい表情で、核弾頭もかくやなとんでもない爆弾のような地雷発言かましやがった・・・
「「「「「・・・・・・・は?」」」」」」
その瞬間、その空間は崩壊するのではないかという程に殺気の嵐が吹き荒れた
殺気立ったのは悟空・ジュニア・天津飯・ヤムチャ・餃子とそして殺気ではないが戸惑った雰囲気を出すターレス
ではラディッツを追いかけてきたフリーザ達はというと・・・無表情で・・・感情がごっそりと抜け落ちた様な能面に、悟空達とは正反対の静かすぎる気配
そしてラディッツを心の中で愛しているぞクソガキと言い続けているバーダックは、胸中はマグマもかくやなほどに怒りで燃え盛っているが、そこは超一級戦士でありポーカーフェイスを決め込んでいる・・・・・心中出して堪るか・・・・
では当の本人、ラディッツは・・・
少し上を向いて思考しながら・・・・何度指を折っている事か!!!
えっと・・・同僚の文官達に毒を盛られて死にかけたのが八回に、同族達からの攻撃であわやが十数回・・・・・未遂や遅効性の毒がいつの間にか消されていたり誘拐紛いや家に一人でいた時に爆発物を送られて寸でで遠くに運んで上空で爆発させたのが・・・・
「忘れた・・・・」
「「「「「「「「「「はぁ!!!???」」」」」」
これである
忘れてしまう程にありすぎて、正直覚えていない
それ程までに当時のラディッツの立ち位置は危うかったのだ
最初に重症のラディッツがフリーザ軍の軍医・トンミの下に担ぎ込まれたのはラディッツが八歳の頃であった。
サイヤ人として中級で、フリーザ軍の中では下級兵士であった若手サイヤ人に、地位と境遇を妬まれ、一人になったところを襲われたのを必死に飛んで逃げおおせ、一人でトンミの所に無意識に飛んだのだ。
いきなり何の前触れもなく、ボロボロの姿のラディッツが姿を現した時も本気で驚愕をした。
ラディッツが死にかけた時、昔からの未来が視えたから
どうやらこの時点でラディッツが死んでしまったら、自分を含めたサイヤ人達は死に、そしてフリーザはバーダックの第二子に殺される古い未来に戻る様に出来ているらしい。
それではつまらないし、何よりも赤子の頃から目を掛けてきたラディッツが純粋に可愛い甥の様に感じているのだから、自分も絆されたもんだと苦笑しながらも懸命にラディッツの治療にあたりそして一命を取り留めてくれた。
メディカルポッドも万能ではなく、生命力の弱った子供の傷を治すのは容易ではないのだから。
その後も物理的な怪我や毒を盛られて担ぎ込まれるなど、枚挙にいとまがなくなるほどにラディッツは殺されかけた
同族から殺したいほどに嫌われ、同僚から殺したいほどに妬まれ
愛される一方で殺意が増していく伏魔殿の中で、ラディッツは笑う反面死にかける異常な日常を送っていた
無論両親には内緒である
そんな事が知られた日には、母は泣くだろうしただでさえフリーザ軍とフリーザ様が大嫌いだと言ってはばからない父がどんな反応をするか分かったもんじゃない。
暴走なんてされた日には父は確実に・・・・それに・・・・どんな目に遭ってもラディッツはフリーザ達の側を離れたくなかった。
怖い事なんて痛い事なんて楽しい事の数分の一であり、どんな目に遭っても逃げればいいしトンミさんの所に行けばいいし、最悪はメディカルポッドで治せばいいのだからと・・・・だからと言って、そんな事態はフリーザがラディッツを本格的に寵愛するようになってからは許されなくなったが
その前からとてもナナバや特戦隊達を始めとしたザーボンとドドリアも含めて慮外も慮外者を罰しようとしたが、ラディッツを四六時中守ってやれるわけでもないので、隙アラバと狙われ続けていった。
それを踏まえたフリーザは一連の事態の収拾と、己の欲望を叶える為にトンミに-毒作り-を命じた
「なるほど・・・あの子の体内に入っているであろう遅効性の毒と、これからはいるであろう遅効にしろ速攻性にしろどちらの毒も消しながら、あの子の成長分泌ホルモンを分泌する箇所と成長経路の一切を潰していくナノウィルス性の毒を作れと・・・複数の毒を体内に入れる事になりますがよろしいのですか?」
ナノウィルス性の毒を一つではフリーザの容貌は叶えられないが、打ち消しあわずにラディッツの成長以外の健康を害する事の無い様に二つのタイプを時間をかけて馴染む様に入れていければいけるだろうが・・・・毒を体内に飼わせてもいいのかと確認するトンミに
「構いませんよ、寧ろあの子を守る為なんですから。」
フリーザは物凄く良い笑顔できっぱりと言って来た
そう、その言葉に偽りが無かったからだ
ラディッツを放したくないのは無論の事だが、傍らにいさせなければラディッツの生命自体が危うい状況であったのだ。
馬鹿は治らない
そんな輩でも、暴発しなければ使える道具だから見逃しその傍らでラディッツの成長を止めてずっと自分のポットの端に乗せて牽制し、毒は体内のナノウィルス性の毒で消させる。
合理的ではある
ただ一つラディッツの意思も人権も一切の考慮がないところを除けば、守るという観点でいけば完璧であった。
殺されかけるラディッツを守れるのだから
そんなフリーザの命令を、あっさりとトンミはわかりましたと了承をした
「・・・・貴方はあの子が大事だと思っていましたが?」
平然と自分の命令を笑顔で受けるトンミにさしものフリーザも怪訝な顔をするほどおかしなことであった
日頃から互いに顔を合わせれば笑顔で挨拶をしあい嬉しそうに話し合っている二人
・・・そんな片割れのトンミに命じているフリーザもいい性格をしていたが
「だって、僕では貴方に勝てませんもの。」
トンミも更にいい性格をしてた
ラディッツが死ぬわけでは無いのだから、寧ろ守るのに都合がいいですから助かりますとかいい笑顔で言ったのだから・・・・
思惑と真っ黒な感情の中を笑顔で歩く可愛いラディッツを、殺そうとした奴あるいはころそうとしている奴等の未来がまた見え始めた。
揃って同じ時に死んでいる
即ち古きサイヤ人達がベジータ王と共に暴発した挙句にフリーザ達の手によって殺される運命一択である。
だが、その未来を視ることが出来るようになってトンミの思惑の為の道作りが捗った
サイヤ人でも未来が視えないのがどうやらラディッツ或いはフリーザ達につく側の者であり、従順な振りをしても未来が視えればそれが自分の敵と、差別化が図れるのがありがたい。
ラディッツ達を遠くに行かせた後に、フリーザ達を抑え込むための道を作らなければいけないので、自分の味方になるものをどんどんと増やさなければならない。
フリーザの命令を聞きつつ、ラディッツ達に優しく接しながらもラディッツに毒を馴染ませていき、その合間の様にバーダック達と楽しい日々を過ごしたいと酒を共に飲む日々・・・・トンミは性格破綻しているからこそできる異常な日々を送りながら、第一の運命の日を待った
そしてその日は来た
随分前から暴発する側のサイヤ人の詳細な未来を視る事で、クーデターの日をフリーザ達よりも前に掴んでいたトンミは、ずっとずっと集め続けて軍の中に拡散させていた自前の駒達を使い切った
ラディッツが八歳の頃に、手配されたクラッシャーターレス軍団をトンミがずっと匿っていた。
ラディッツの幼馴染達に手を出した時点で逃げる羽目になるだろうと、いろんな伝手を作っておいたトンミの網にターレス達が引っ掛かったのだ。
トンミは数多の死にかけた武官達を助ける事で恩を多大に生み出し、持ち前の甘言と優しい雰囲気で相手を篭絡してそして後は放っておいた。
何度も話しかけるよりも、いざという時助けてほしい、お前だけが頼りなのだという言葉は武官達の心を酷くくすぐった。
フリーザ軍の下級から中級兵士達は常にそんな言葉に飢えていた
お前だけが頼りだ、お前にしか頼めないのだと、特別な誰かに何かになれない事を知っている彼られとって、命の恩人の懇願は酷い毒の様に彼等の思考をくるわせそしてトンミの望みを叶える。
なにもフリーザ達に反逆をするのではない。
軍への裏切りでもなく頼み相手の自己の不利益にならないラインを、トンミは見極めが非常に上手かった。
それをして、未来が視えるからといって弱すぎるトンミが生き残ることが出来た最大の理由。
悪党達を相手に立ち回りをこなす内に身につけた処世術に磨きがかかりそしてラディッツを遠くへやる事の役に立っている。
・・・・まるで自分すらもがラディッツの作る白紙の未来を作りを手伝う駒のようだと苦笑したが、望みの物の一つであるクラッシャーターレス軍団を手に入れた時にまぁそれでもいいかとそんな思考はゴミ箱へと捨て去った。
最初は自分達を売り払うつもりかと、毒を盛られて辛いであろう体で吠え上げてきたターレス達に、自分の言う事を聞いていれば終生匿う契約を結んだ。
様々な意味で後がないターレス達はトンミと契約を結び、手始めに軍内部のコンピューターに忍び込ませてトラップを仕込ませそして、ラディッツ達が-飛ばし子-に確定された時、ターレス達にラディッツとカカロットの宇宙ポッドの行き先変更と、ポッドの通信機器を受け専門にして発信は出来ないように細工をさせた。
フリーザ達の事だから、ラディッツが遠くに飛ばされたと知った時、通信を飛ばして惑星ベジータと同族が滅んだと現状を知らせるだろうし、ラディッツも通信を受け直ぐに周りの星々の配列や様子を知らせる事ですぐ位置を特定されて回収されるだろうと容易に想像がつく。
それでは困るのだ
ラディッツが現状を知る分にはいい
其の方がラディッツもいつか故郷の者達が迎えに来るという甘い考えを捨てて死に物狂いで強くなり-自立心-が育つだろうから
ラディッツには両親からの自立は兎も角としてフリーザ達から精神的にも独立しようという気概が全くないので、其れでは引き離した事にはならない
心の距離も引き離した方が将来的には良さそうなのでそうした。
刻一刻とクーデターが近づく中で、ベジータ王子はどうしようかと考えていたら・・・・あっさりとラディッツがやらかしてくれた・・・・・いつの間にか知り合いいつの間にか餅つき大会という場所に王子を招待する程の仲になっていて・・・・それを見た時は呆気に取られた後爆笑したのを、隣で見ていたバーダックに気持ち悪いと言われても気にもならなかった
少し前まではちょくちょくとフリーザとラディッツに反発心を持ち続け道を違えて殺される映像が視えていたのだが、餅つき大会の時には白い空間しか視えなくなっていた
ベジータ王子もまた白紙の未来を手に入れたようで何よりだった。
そしてその後すぐにベジータ王によるクーデターが起こり、自分の作戦も開始となり結果は上々で、トーマ達は残念だったが、バーダックとギネが生きているのだからトンミにとっては矢張り上々の首尾で終われたのだ。
ギネは無傷で、バーダックは戦士として再起不能にする為に右腕が義手も付けられないようにする為の処置をしろと言われてその通りにした。
バーダックが生き残れれば手足の一・二本いいじゃないか
生きていればきっとラディッツに引き合わせてあげるから許しておくれよと心の仲であってもきちんと詫びながら施術したのだから
そんな中、フリーザ達の方針は決まった
ラディッツを探す為と、飛ばされた弱いラディッツを守る為に宙域を呑み込みながら支配しながらフリーザ軍は動くと
それを知らされたトンミは、その日寝る前にとっておきの酒を開けて一人で祝した
さあこれで白紙の未来が幕が上がったと