俺ラディッツは弟を絶対に守り抜く   作:ドゥナシオン

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決着:地球の未来の為にも・後編

トンミの長い長い話が終わり、全てを知ったラディッツからの和睦の提案とその理由が話された時、天津飯の心は千々に乱れた

 

許せなくて、酷い裏切りにあった様な胸の痛みを感じて・・・兄者を守りたくて戦った先に待っていた事がこんな事だなんて!!

 

納得なんてすんなり出来るはずもない・・・理屈は分かる!

 

目の前の侵略者達を消せば、宇宙を纏めている秩序の崩壊を招きひいては地球にまで戦火が及ぶかもしれない確率が高いと言われれば、兄者の言った通り和睦の道が最良であると。

 

そして手足を無くした者達も向こうの技術で再生可能であり詫びをすると言われた。

 

それで遺恨は無くなる

 

この地球自体にも俺達の生活環境にもなんの影響も無かったから、都市の破壊も何も無かったから・・・

 

だからと言って!悪の権化を野放しにして良いはずがないと俺の中の心は叫んでいる!!

 

周りを見れば侵略者達は兄者の言葉に頷き、ターレスもジュニアもヤムチャもクリリンまでもがどこか納得している!!

 

・・俺と悟空だけなのかもしれない、兄者の言葉に頷け無いのは

 

和睦を結んだからとて、目の前の侵略者達を野放しになんてしたくは無い。

だが、納得するしか無いのだろうか?

 

宇宙などと言う広大な場所から攻め寄せてくるかもしれない者達を防ぐのに、俺の心情なぞ無価値なのだろうか?

 

・・・無価値なのだろう

 

なら、悔しいが兄者の言葉に頷いて、悟空にも頷いて貰うしかない

 

どれ程許せない者達であっても・・・

 

そう、天津飯の覚悟が決まった。

 

それは悟空も同時であった

 

大好きな兄を苦難の道に引き摺りこんだのは矢張り目の前のフリーザ達であり!

 

なのに自分達と同じ様に兄を愛しているなんて冗談じゃねえ!!

 

おら達は!いっぺんだって兄ちゃんが泣く事なんてした事も無いのに!!目の前の奴等は!!!

 

そんでも、そうしなければおら達の大好きな人達が住んでるこの地球は争乱に巻き込まれ・・・悔しいけどおら達だけじゃどうにもならないの分かってる。

 

だって・・おらとおんなじ兄弟のクリリンも、どこか納得した顔してる

気配だってもう闘う気配じゃねえ・・

 

クリリンやヤムチャはおらと違って頭が良くて周りの事もよく見えて、大人ってやつで、おらだって分かんないといけないけど・・・

 

駄目だやっぱり悔しい・・・悔しいよ兄ちゃん!!

 

頭では分かっても心が納得できない

 

己の中の正義を騙してでも己の本心を騙してでも・・・だって、大好きな兄がそう望んでいるのだから、だから!頷き物分かりのいい風にしようとした矢先!とんでもなく巨大な気配に天津飯はおろか、悟空達やスカウターで気配を自動的に感知させているリーキュ達もーそちらーを見た!!

 

静かだが、巨大なエネルギーの塊は上空の遥か上、大気圏外からゆったりと降りてきている・・・まるでそんなものは存在しないと言わんばかりに静かに降りてきたのは

 

「ベジータ!!!」

「・・・・」

 

リーキュ達とは違い、全身覆うスパッツタイプの青いアンダーを着て軽量化の為に肩のない戦闘服を来た戦士は、憮然としてスーナの問いかけに応えないのを、フリーザが問いかけた。

 

「なぜ貴方がこの場にいるのですかベジータさん?」

「・・・トンミの手配、と言ったら?」

 

ピクリ

 

「そう言えば納得するだろう?」

 

驚く周りと、誰だお前という空気も置き去りにするフリーザの冷たい声音に対し、金色の髪のベジータは揺るぎない表情と気配で静かに答えた。

 

・・・・・

 

ベジータも、バーダック同様にフリーザの要注意人物で監視がつけられていたはずだが・・・絡繰りは簡単であった。

 

「あ、その人達は僕の意識刷り込みで何があっても変化無しって報告する様にしたので。」

 

とか、ネズミ野郎トンミの一言

 

まぁ今はそこはどうでもいいのだが、

 

「王子・・・」

 

実に十八年振りのラディッツはなんと声をかければよいのか物凄く悩んだ。

 

トンミの口から知らされたサイヤ人の末路

 

それが全て本当なら!ベジータ王もまたフリーザ様達に殺されている事になる!!

 

王子は、憎いだろうか

 

手を下したフリーザ様達と、引き金になった俺を

 

罪悪感がいっぱいのラディッツは、己がその相手から感慨深げに見られているとも知らずに。

 

よく生きていた

 

ベジータの思いはその一言に尽きる

 

戦闘力は兎も角、てんで戦う意志の無いラディッツが辺境であっても生き延びている事自体がベジータの評価としては賞賛に値する。

 

それにだ

 

「久しいなラディッツ。」

「・・・お久しぶりでございますベジータ王子・・・」

「一つ訂正がある、俺は最早王子ではなくー王ーだ。」

「・・・なんと、もしや先年フリーザ様より惑星を賜った時に!!」

 

久しく会った、数度しか会っていない

 

それでも互いに深く心に刻まれる程に、互いを認め合った双方

 

その片方の短い言葉に全てを察したラディッツは驚きに目を見張り、文官長補佐官としての勘は鈍っていないなと嬉しく思い笑うベジータ

 

出会った時は正反対の立ち位置だった

 

ラディッツの言動と周りに驚いていた自分

そんな自分を穏やかな雰囲気と言葉で包んだラディッツ

 

自分はフリーザのカリスマ性と圧倒的な強さの他に、らしくないサイヤ人の穏やかでそれでいて意志の強さを感じるラディッツを追い求めた。

 

柔らかいのに弱くない不思議な奴

 

己の確固たる信念をもち、それでいて誰よりも自由に周りをふよふよと漂う雲の様な奴

 

心を誰にも屈しないやつ

 

憧れた・・・様々な事で心が凝り固まった自分を壊してくれた男に

 

いつかその男を、フリーザの様に自分にも目を向けさせ仕えたいと言わせてやるのだと。

 

その追い求めた男・ラディッツが驚いている。

 

「俺は王になったぞラディッツ。」

 

武功を重ねた末に、惑星ベジータに似た重力の星を報奨として渡された時に同時に願った。

 

サイヤ人の王となる事を、戴冠を

 

意外にもあっさりと受理された。

 

理由としてはベジータは戴冠式と同時に結婚式も行い、その相手がフリーザ親衛隊のスーナを妻にしたのが最大の要因だろう。

 

もしも裏切ろうとすれば、スーナは百%フリーザにつく

 

一昔前のサイヤ人ならそんな事は枷にもならないが、ベジータは心底スーナに惚れそして溺愛している。

 

そのスーナの存在がベジータの首輪になっている状況を、ベジータが抵抗もしないからこそフリーザも少し甘い対応をして、そして認めたのだ。

 

ベジータ王を

 

その王が、バーダック同様の手口でここに来たという事を、フリーザは不愉快そうに、スーナ達はもしやと思い戸惑いそして泣きそうになる。

 

もしや、フリーザに手切れを言い渡しにきたのかと

 

しかし、その予想は裏切られた

 

「話は全て聞いている。」

 

自分の父達と同族の大半と故郷の星を滅ぼしたのはフリーザだと、トンミに教えられたのは五年前

 

その時にベジータは怒り狂った

 

愚かだと思って見ていても、心の奥底では父と同族が大切であったのか、それとも・・・怒りの理由はベジータ自身今もなおわからない

 

そして怒り金色の戦士となった直後に遣る瀬無さが襲った

 

サイヤ人が滅ぼされるに値する種族なのを、様々な経験を通して世界を学んだベジータにはもう分かっていたから

 

二度と同族を滅ぼされない様な、真に誇り高く誰もが尊敬の眼差しを向ける様な戦士の種族にする為にベジータは心血を注いだ

 

自身を鍛え上げ律する傍で、戦士のみならず非戦闘員達とも一人一人繋がりを持ち、そして彼等に尊敬の念を勝ち得た。

 

嬉しかった

 

 

貴方が王になられて嬉しいと、生き残っている全てのサイヤ人達に言葉こそ違えど同じ事を言われた事が

 

全てのサイヤ人達が、ゲンイン達とてもフリーザのそばを離れ戴冠式とスーナとの結婚式に来てくれた事が

 

目指した男の幼馴染達までもが言祝ぎに来てくれた事が、ベジータの心をより穏やかにしなやかにそして、強くした

 

何があろうとも、どの様な事があろうとも己の道を行くという意志を

 

そして半年前にトンミに今日起こるであろう事を聞かされ、フリーザ達が出発した二日後に付かず離れずで後を追い、スカウターでフリーザ達とラディッツ達の遣り取りを拾った全てを聞いて自分のサイヤ人達の今後をベジータ王は定めたのだ。

 

「俺達ー惑星サイヤーのサイヤ人達はどちらにも組みしない。」

 

ベジータは、新しい故郷を惑星サイヤにした。

 

自分の名前を入れるのは違う、あそこは全てのサイヤ人の心に棲まう星にしたくて。

 

そしてそんなベジータが決めた事は

 

「惑星サイヤのサイヤ人はフリーザ軍より独立し、独自に地球のラディッツと盟を結ぶ!

無論それがフリーザ軍と敵対するものではなく、地球と和睦をし尚且つ非道な侵略をしないのであれば戦力を貸し出す契約を結ぶ!!

そしてトンミの働きもあり、ポンジャを離れた辺境は俺達と連携をしている!

フリーザ軍とても無視できない、無碍にでき無い勢力があると思ってもらって構わない。

数でも戦力でも簡単には潰されない勢力を以て、惑星サイヤの王ベジータが!サイヤ人ラディッツの、地球・フリーザ軍の和睦の提案を支持する!!

その和睦はフリーザ軍だけが有利とはならない、抑止力の位置となる事を約束する。」

 

それは、その宣言は!!・・・ベジータ王貴方は

 

宣言に周囲が戸惑う中、ラディッツは一つの可能性を見出した

 

不安定な自分達と違い、安定して現フリーザと拮抗する戦闘力を有するベジータ王が率いるサイヤ人と辺境の諸勢力は侮れまい。

 

席巻しているといっても、未だフリーザ軍は盤石ではないのだろうから

 

三国志の如くにせんと・・・自分の知る結末ではなく、互いを牽制しながらも滅ぼし合う事を牽制する関係性を真に望む姿を見出したラディッツは泣きそうになる・・・嬉しくて

 

しかし反面その宣言は、フリーザの周りはともかくフリーザ自身には苦いものであった。

 

和睦したとしても、あの怠惰な破壊神に破壊される未来を回避する方法はなんとなく浮かんでいるので和睦後に油断した地球を好き勝手しつつラディッツの心も捕える策が、フリーザの中では成立していただけに、自分と同じ力を有する金色の戦士になっているベジータの出現と提案は憎らしい程に効果的だ!!

 

スカウターは消滅したが、体感的に金色のベジータはフルパワーの自分と同じだというのを感じる!それでは困るのだ!!

 

今のベジータは確かな実力を有し、大義もラディッツも自然に手に入り、ならばスーナもリーキュ達も王に逆らう理由はなく!自分も異義を挟める余地すら無い!!

 

政治力があるだけに、現状を壊した先を望まない沈思黙考の為にフリーザは上を向いて瞑目する。

 

そのフリーザを見て、悟空も天津飯もほっとし、そしてベジータ王の提案に心の底から頷く事が出来た!

 

悪の抑止力が出来た事と、その悪を野放しにしない条約が結ばれる事に・・・

 

そしてクリリン達もまた泣きたい程に嬉しかった。

 

大人の判断として、兄の言う空手形の和睦を受け入れなければならないと思い定めた先に現れたこの提案を聞いて、心の底から頷く事が出来ると。

 

そしてその言葉の果てに、ラディッツを先頭にし地球の国王陛下に和睦の話が持って行かれたのはそれから一時間後であったのだ。

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