地球の国王と大臣達が、苦い杯を呑む決断をするより少し前に、断腸の思いで一同日中に帰ると言った者達もいた
言わずと知れたフリーザ達である
念願であった・・・・フリーザには自覚がなくとも悲願でもあった
あの子を、ラディッツをこの手の中に戻す事が
だが状況がそれを許してはくれまい・・・・これより自分達は帰還してそして・・・爺に話すのは当然で、フリーザ軍本部の高級官僚達と武官達と、少なくとも周辺には今回の遠征の結果、攻めた先の惑星との同盟を結ぶ事になった事とそして・・・惑星サイヤの王と星に住むサイヤ人達の独立とその後の話をしなければならないという、途轍もなくそれこそ年末年始の予算案系の会議なんてかわいく思える厄介な仕事が待っているから・・・
なにが厄介かというと-身内-にどう話を持っていけば正解なのだろうかこれは?
自分の今回の遠征とそれに起因しているラディッツ探しを苦々しく思っていた父と、自分がラディッツを見つけ取り戻したらたら絶対に力づくでも奪いに来るであろう兄
・・・・・部下達は自分の全てを使って黙らせることが出来、かつ同盟に旨味を見出し軍全体の利益になるようにして彼等にも恩恵があれば何とでもなる
ポンジャとそれ以降のトンミの暗躍で、大多数の血の気が多い下郎は一掃されたに近い程いなくなっている・・・・きっと・・・・今日この日を見越して-邪魔な者達-を掃除していたのだろう
ネズミらしくどぶの残飯を食い尽くすよう、邪魔な者達の生命を誰かに食わせて掃除をして・・・・残った相手が超弩級過ぎてトンミじゃ無理だろう・・・・コルド大王とクウラ様なんて・・・・とか、目を覚まして一切を聞いたザーボンとドドリアの内心の感想であったのは兎も角として
和睦が提案されてベジータ王が来てそして話の方向性が決まったあたりで目を覚ましたザーボンとドドリアに引き連れられたフリーザ軍とそして・・・
悟雲!!!!!
歳も歳なのに鶴仙流の誰よりも速く飛んで来たお師匠様は、
「悟雲!!!!悟雲よ!!!!!生きて・・・・生きてて・・・・・・」
最愛の馬鹿弟子を抱きしめ名を叫びながら泣いた
そして同じように鶴仙流の弟妹弟子達は、師と師兄を取り囲んで泣いた
たった少し前まで死ぬか生きるかの戦いをしていた相手を前に、外聞も何もなくただ泣いた
ラディッツが生きている事が嬉しくて、ただそれのみで泣いた
話は全て、トンミから渡された通信機器で聞いていた。
ラディッツ達の前に姿を現す前に、トンミは鶴仙人とその弟子達に自分の自己紹介と、この戦争の結末を見届けに行くので聞いていてほしいと言ってスカウターではなく、かなり大きめの受信型の通信機器を置いて行ってしまった。
「・・・・訳の分からん奴じゃったが、少なくとも悟雲に害をなそうという奴には見えんかった。」
だから、言われた通り通信を聞きながら待ってみようという師の言葉に、黒・白・ピューリはフリーザ軍が目を覚ましても対応できる位置で警戒しながら通信を聞いていれば・・・・・兄弟子が泣いていた・・・・・沢山沢山泣いていた・・・・自分達の事も大事に思ってくれて、それでも相手のフリーザという奴が好きで・・・そして先程のトンミという男から真実を告げられ宇宙全体の現状を教えられた果てに、和睦の提案をしていた・・・苦しそうな声で・・・
きっと、自分達の事を思って申し訳ないと思っているだろう事が容易に想像がつく
自分達だとて死を覚悟して戦場に来た
それでも腕や足を無くした者達の心は平静とはいかない、それでも納得しようと努めていただけに、申し訳なく思う
兄弟子の心の負担となってしまった事が
己の弱さが理由なのに、まるで自分が全ての元凶の原因だとでもいうように己を責め立てる兄弟子・・・・堪らなかった・・・・そして悔しかった・・・兄弟子の負担になった自分達の弱さが、そして一番の原因達をぶん殴る力のない矢張り弱い自分達が
だから・・・・・
「兄様!!!全部全部聞きました!!!!和睦上等です!!!!私のこの腕生えるんですよね!!そこの胡散臭い男の人の治療で!!!!そのあとこの人達と真剣勝負してぶっ飛ばせるくらいに強くなってのします!!」
「兄者!!!!俺達絶対に強くなります!!!そこの同盟相手になる者達がとち狂ってまた兄者を捕らえようとした時に自力でぶっ飛ばして跳ねのける位に!!!」
「悔しいですが!!今は爪と牙を研ぐ時間が出来たと思います!!!宇宙の平和は無理でも!地球の平和を兄弟子様と守ります!!!」
「正直侵略しかけてきた奴等許そうって気がしませんが!!!でも・・・きっと俺達だって兄弟子がそうなったら・・・・・だからわかりたくも無いのにわかっちまうんです・・・だって俺達だって兄弟子の事が大好きですから!」
全部隠す事無く自分達の心を曝け出した
無くなった腕が元に戻るのならば文句はない、その代りいつかこいつ等をぶっ飛ばしてやると・・・・地球人は思い込んだらとことんでそしてどこまでも前向きでありそして・・・・素直なのだ
サイヤ人とも他の星の者達とも全く違う摩訶不思議な種族、それが地球人であるのをラディッツは久しく忘れていた・・・・彼等は自分が考えるよりもうんと強くてそして優しくて・・・懐が物凄く深い人達だという事を・・・
そしてずっと自分を抱きしめてくれているお師匠様・・・・
「お師匠様・・・・」
自分の名前を何度も何度も呼んでくれる
何度も心配をかけた
何度も泣かせてきた
何度も助けられた
それでも自分を大事な馬鹿弟子と言って離さずにいてくれたお師匠様・・・・
その光景に、悟空達は兄に近寄りお師匠様諸共に兄に抱き着いて一緒に泣いた
そんな光景を、フリーザは苦いものを呑んだ顔で見つめ続けリーキュ達は羨んだ
今の自分達ではあの嬉しそうに崩れた笑みを浮かべるラディッツを手に入れる事は叶わない事を自覚したから・・・・其れでもいつか必ず・・・・和睦という縁でまた結ばれているのであればきっと・・・
そう信じて
「ラディッツ、そちら同様に私達も話を纏めてきます。
纏まったら必ず連絡をしますのでこちらを持っていなさい。」
「赤い・・・・フリーザ様・・・。」
フリーザ達は地球を一度去る事を、ラディッツ達が落ち着いてから切り出しそしてラディッツに-赤いスカウター-を渡した。
緑は一般的なスカウター、青は文官が主に使っており赤はフリーザだけが使う特別なスカウターであり、それを渡されたという事は・・・・
そのスカウターを渡されたラディッツは呆然としそして・・・ボロボロと泣き出すのをフリーザはぎょっとした!
何故泣くのです!!??泣くほど嫌なのですか?それほどまでに私達が・・・・
フリーザの心が過去最高にざわつき搔き乱れ、そして・・・・初めて絶望という感情を味わった・・・トンミから全てを聞いて、同族と故郷の星を消した私を、公的には仕方がなく受け入れても・・・・私的にはもう完全に縁を切りたいとまで思われているのだろうか・・・そんな・・・そんな事ならば!!この子を今殺して私も死んで地獄とやらで監禁・・・・そんな事が頭を駆け巡った時・・
「う・・・嬉しいです・・・・フリーザ様・・・」
フリーザ様とお揃いの物を頂けるなんて・・・・
物凄く崩れた笑みでエへへと笑う・・・・そう・・・十八年前にさんざん見てきたラディッツの嬉しい時の笑みが、自分に向けられた・・・・スカウターを渡したくらいで、何がそんなに嬉しいのか分からないが・・・もしかしたら・・・
フリーザはスカウターを渡す為にラディッツの近くにいる。
無論弟達がバリバリの警戒をしてベジータ王も金色の髪のままで何時でも突っ込んでこれるほどに気をみなぎらせながらだが、そんな事はフリーザに知った事ではなく
ポンポン
喜ぶラディッツの頭を-何時もの様に-尻尾の先で優しく叩いてやれば、瞳を上に向けてまたへにゃりと笑い、もしかしたらもしかしなくても!!
「あぁ!!!!手前!!!」
「おや・・・じ?」
「いい・・・お前達は気にしなくて大丈夫だ・・・俺はもうこんなに大きくなったんですよフリーザ様?」
細いラディッツの腰に尻尾を回せば子供の時の様に回すことが出来たのでポットの縁に座らせてみれば、周りが騒いだのをラディッツが右手を掲げて止めそして、恥ずかしそうにするだけで・・・・そうか、この子はちゃんと私のものなのだ
距離があろうが周りに誰がいようがこの子が誰を愛そうが、最後の最後には私の子なのだ・・・・・ならば
「私を見下ろしているつもりなのですかラディッツ?」
「ッ!そ・・・それは・・・」
「たかだか背が高くなっただけなのは、貴方自身が分かっているでしょう?」
背が伸びたラディッツは、ポットの縁に座ればフリーザを見降ろす形になるのに眉をひそめたが、貴方の考えなぞ全部お見通しですよと指摘し、そしてそっと柔らかさは無くなってしまったが、傷一つないすべやかな頬に手を当ててやれば真っ赤になって
「きっと、また戻ってきますよ。」
囁けばさらに顔を赤くして、周りが五月蠅い事この上なくなって・・・名残惜しいがフリーザはラディッツをおろしそして、全軍帰還を命じて空に上がっていく
その後をザーボンとドドリアと特戦隊達とスーナを抜かしたフリーザ親衛隊のリーキュが周りを取り囲んで、殿をマトマが務めた。
茜色の空に帰還するフリーザ達は一度も振り返る事無く去っていった
詫びの言葉はなく、悪の帝王らしく
その姿に、悟空達は今度は自力であの野郎をぶっ飛ばすくらいに強くなるのだと誓った
フリーザ達の全軍撤収を見届けたベジータは、王としてキューカンバとスーナと数人のサイヤ人の戦士を伴い、また来るとラディッツに力強い笑みを見せ、周りに軽く会釈をしてスーナ達と共に空に上がった。
スーナもまたね〜と手を振りながら、満更でもない表情でベジータに寄り添いながら
その後はトンミに連れられたギネがラディッツとカカロットに突撃をして抱き着き、ラディッツは呆然としてそして泣いて泣いて、全部の気持ちを涙と共に吐き出しその足で国王に事態の終了を告げ密談をした後、各シェルターの扉が開かれ、次の日はラディッツは問答無用で休暇を取らされた・・・・というよりも当分オブザーバー的な話を通信でして後は山村でのんびりしろというお師匠様からお達しが下された。
政治的な話は無理でも、周囲の事はジュニアや他の者達にも出来る程に育っているのだからというお師匠様の言葉に、周りも頷きラディッツは両親の下で休む事になった
飛び続けてきた鳥が羽休みするように、ラディッツは不器用ながら自分の事を心配してくれる親父にぽつぽつとこれまでもことを話し、母に甘える日々が始まるのであった
これにてフリーザ達との事は一旦区切りがついたと思い、後書きを書かせていただきます。
読んでくださっている皆様、酷い誤字脱字或いは文章自体が間違っているのを根気強く直してくださり見捨てないでくださっている皆様
評価や面白い、ここ違うのではないか、こんな事があったら面白いのではないかと感想やお声をくださる皆様
本当にありがとうございますm(__)m
読んでくださる皆様がいるのを励みに、筆者的には複雑で時にはこんな悲しい事書くのはと思いながらもエタらずにここまで書くことが出来ました。
ここから新章になって、フリーザ様達以外の人達がメインになりますが、今までの様に毎日投稿が難しくなり、週に二・三度の投稿となります。
駄文ですが、楽しみにしてくださっている方達には申し訳なく思いますが、エタりはしませんのでよろしくお願いします。