エイジ758 十二月二十六日 地球
俺の家に親父と母さんがいる・・・・しかも地球の調理器具は分かりやすくて色々できるから便利ねって・・・・母さんが料理してくれてる・・・・それを俺と親父だけじゃなくて、お昼ご飯一緒にどうだって爺様達とカカロット一家と丁度非番だったクリリンとモンブランと一緒に、ソラと悟白もいる・・・・・・それだけで泣ける・・・・
たかだか昼食かもしれない・・・ただ飯を食べるだけで何か重要な事を話すわけでもないどこにでもある平凡な-家族-の昼食なのに・・・・
バーダックとギネは今は地球の服を着てその姿で食事をしている。
まぁ山村の日常にきちんと溶け込んでラディッツと悟空の親だと言いたいならそれが当然と言えば当然であるのかもしれないが、朝一でその服を二人に贈った時、バーダックとギネは様々な意味で戸惑った。
先ずバーダックは服なんてほぼ戦闘服しか着た事が無いのでデザインの良し悪しなぞ知らないので何を着せられても別にいいと言ったのだが
「・・・・なんだよこの柔らかすぎる生地はよ・・・」
服の着心地にクレームがついた、曰く生地が柔らかすぎて頼りなく感じてしょうがないらしい。
しかしだ、赤と黒のチェックのコットン生地のワイシャツよく似合ってるな親父
それにカーキ色のズボンっていいと思うぞ俺は?
イケメン親父はシックにしても似合うと思う・・・・次はグレーのタートルネック贈ろう・・・・俺が見たい!!!金の鎖のネックレスチェーンも付けてくれないかな?
「あのさラディ・・・・これって本当に母さん着ていいの?」
・・・・モスグリーン色のラメ入りタートルネック膝丈までのセーターに黒の細いパンツ姿の母さん可憐だ・・・・もうね、其れに似合うパールネックレスでもなんでも俺が買って贈るから、もっと可愛い服飾全般着てほしいです・・・・癒される・・・
なんだかんだ言ってもサイヤ人は若い時期が長く、バーダックもギネも若く見える!・・・・たとえ実年齢が・・・・・コホンコホン!!
兎に角!!若い二人に若々しい服を着て欲しいラディッツは、ぐっすりと眠った翌日に動けなくとも速攻で二人の服をネットショッピングしたのだ。
二人のサイズは何となく見ればわかるので、バーダックの場合は肩幅の筋肉を考慮して上の方はワンサイズ上の物を買い、ズボンはベルトで調節できるものを購入し、ギネの方はそのままのサイズで購入をして・・・・その・・・-中の方-はソラと相談してくれと言いながら、父と母にソラと悟白を紹介した。
その前に、ソラの-前身-をきちんと話し、今は自分の娘のソラだという事をきちんと伝えた上でだが・・・・説明された時はさしものクソガキ愛しているぞのバーダックが息子に切れかけたが
「バーダック!!!その子は記憶無くなって!今はラディッツの大事な娘なんだよ!!」
ポンジャでのヘラー一族のザンギャがした事はバーダックから全て聞いているギネもソラの前身を聞いた時は眉をひそめたが、それでも今は大切で愛しい息子が大事にしている娘だと必死に諭し
「ラディ、あんたは全部を納得した上でその子をソラって呼んで大事にしてるのかい?」
無論息子にも大事なところを確認する。
一時の同情や気まぐれではなく、遣り合ったバーダックがいても放り出さずに家族のままでいる覚悟はあるのかと問えば
「うん・・・親父とゲンイン達には悪いんだけど・・・・なんならポンジャの人達には申し訳ないんだが・・・俺はソラを・・・ソラと悟白を放り捨てる気もそっちに差し出す気も無いんだ。」
二人は俺が守るべき大事な家族だというラディッツに
「・・・・わかった・・・」
バーダックは短い一言だが息子の言い分を全て受け止めそして受け入れた。
ラディッツがポンジャの住民に心を砕いていたのはバーダック達も知るところであり、そのポンジャの住民を秤にかけてもソラと悟白という子供を取るのであれば自分達がどうこう言う事ではないと・・・そもそもが、自分達だとて侵略者であり、ソラの前身を糾弾するなぞ烏滸がましい事この上ないのだから
そしてバーダックが落ち着いたのを見計らい、ソラと悟白をラディッツの家に呼んで挨拶を交わし合い、ギネとソラは少し離れたソファーでキャイキャイ言いながらネットショッピングを満喫し(無論ラディッツの払いなので遠慮はしないでと言ってある)
「・・・・こいつなんだがギネに似てねえか?」
「あ、髪型もだけど目とかもやっぱり母さんか・・・・セルの目は俺にそっくりだったから、隔世遺伝かも?」
「・・・・そのセルって奴にも会ってみたかったな。」
「はは、親父とだったら一緒に酒飲んで意気投合していたかもしれないな。」
なにせセルの気性は竹を割ったようにさっぱりとしたものであり、意外に父と息子はウマが合って酒を酌み交わして自分の事を肴にしてそうで・・・・そうだったらよかったのに・・・
セルが、ジュニアと融合などしなくていいくらい俺が強ければ・・・もしかしたら少量でもセルは酒を呑めて今思い浮かんだような日が・・・・
ラディッツは己の弱さで起こらざるをえなかった出来事を思い出し、そして・・・
「もしかして・・・トンミさんがソラをこの地球に送った理由って・・・」
「ん?・・・どうしたラディッツ?」
いきなりしょげてポソリと腐れ縁の名前を出した息子に何事かを聞いてみたが
「いや・・・・なんでもない・・・」
ラディッツは少しだけ眉をひそめた後笑おうとしながら答えてきた。
もしかしたらトンミがソラことザンギャを地球に送ったのは、ザンギャとそして生まれてきたが悟白を愛したセルが、その二人を守ろうとして最後にはジュニアと融合しその果てに地球を守る一翼を担った事で白紙の未来が訪れたのではなかろうか?
確かにジュニアもセルと融合する前からスラッグと融合して強靭な力を手にしたが、セルと融合していなければ地球防衛の一角が崩れ、フリーザ軍に敗れていた可能性の方が高い・・・・だがそれは・・・それではまるで最初からセルが手に入れた心と愛を贄にするようで・・・・・暗くなりそうな心をラディッツは母と娘と、父と孫息子のそれぞれの楽しそうな声を聞く事で心の底に押し込む。
セルの気高い行いを自分の感傷で穢したくなくて・・・・同情も後からの怒りも、きっとあの誇り高い息子は受け入れないだろうから・・・・
そうして次の日に届いた服を父と母がなんだかんだと言いながらも着てくれて、照れ臭そうにしているのを弟達一家も爺様も温かい目で見ながら食べた昼食は、本当に久しぶりに美味かったんだ
・・・・・・・・・・・・・・・・・
地球ではそんな優しい風景が日常として戻って来ようとしている時
「・・・・それで、お前は地球との和睦をまんまと結ばされた訳かフリーザ。」
「えぇ・・・・癪ですがこれ以外の道をとれば何故だかあの-怠惰な神-がしゃしゃり出て来て私を殺すそうなので・・・」
久しぶりに父と通信したフリーザは早速の父からの苦情というか嫌味を、あの怠惰だが無視なぞ出来ない神の事を出せば、案の定父も黙り込んだ。
自分だとて!出来れば無理やりでもあの子を地球から引き離したかったが!!それでもあの神と現状出現した第三勢力がいてはそれも叶わず、嫌味を言う父を沈める事で鬱積を晴らす・・・のだが
「お父様・・・・お父様は白銀のサイヤ人に気を付けろと言っていましたが・・」
「ん?・・・あぁ・・・トンミとかいうネズミが白銀のサイヤ人だったんだな。
伝説の超サイヤ人は戦闘力のみを警戒すればいいのだがな、記録によれば白銀のサイヤ人は超サイヤ人の傍らに現れそして不可思議な現象を引き起こしたらしい・・・」
内容が超サイヤ人を討ち取れるかもしれない実力の持ち主同士が何故か同士討ちをするなど、どうも相手の精神を操るなり不可思議な現象を引き起こしたらしい・・・のだ。
「成る程・・・・トンミの場合は未来視と精神干渉特化のようでしたが・・・」
「その事なのだがなフリーザ。」
「はい、なんでしょう?」
「そのトンミの未来視を我が一族の為に役立たせよ。」
「あぁ・・・・確かに-其れ-が出来れば一番なのでしょうが・・・」
未来が視えるのであれば、自分達一族の繁栄はさらに確立されるだろうと、フリーザとしても父の意見に賛同したいところだが
「生憎あの子が地球にいる現在では、誰の未来を視ても白紙の状態であるようです。ですので今のトンミの能力はなんの役にも立ちません。」
だが、裏を返せば未来が視えた時はあの怠惰な神が動く時らしい。
フリーザの言葉に、コルド大王は重々しく頷く。
「ならばその未来が視えた時は直ぐに知らせろ。」
「わかりました・・・・まぁそんな未来は来ないでほしいですがね・・・」
父の要請に了承しながらフリーザが溜息をつくのを、コルドもその通りだと目で頷き
「・・・・・偶には帰ってこい、妻と-アレ-も寂しがっている・・・」
「・・・・・・-僕-の軍に今回の遠征で得た全てを納得させて地球と条約を締結した後なら・・・考えておきます。」
「そうか・・・」
久しぶりに息子の僕の一人称を聞けたコルドはどこか嬉しそうに笑い、待っていると言って切られた映像をフリーザはどこか憮然として眺める・・・・最後の大人の余裕綽々の笑みを浮かべられたのが釈然としなくて・・・
だが収穫もあった
どうやら父は一連の大騒動の一端であるトンミの方には関心はあれども片方のラディッツには無関心らしい・・・・ペットくらい好きにしろという事だろうか?
コルド一族にとって、一族以外に対する認識なぞ大概そんなものであるがそれが幸いしたと言っていいかもしれない。
何故なら、関心がありすぎる兄に・・・・何と言えばいいのか・・・隠したところでどうせ情報をジャックされて遠回りに嫌味を言われるくらいならば潔くいった方がましだから・・・・・どう言えば、あの子を守れるのか考えるだけで頭が痛いが・・・ラディッツの為だとフリーザは必死に兄を牽制する内容を考える。
だがそんなフリーザの思惑は無残に散った
地球で楽しい昼食を摂った後、ラディッツが、忽然と姿を消したのだ・・・・