俺ラディッツは弟を絶対に守り抜く   作:ドゥナシオン

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振り回される運命

エイジ758 十二月二十七日

 

「う・・・・うん?」

 

・・・頭が重い・・・・体も・・・思考もうまく働かない・・・・だけど・・・俺の全てが訴えてくる

 

ここは俺の家じゃない

 

俺の家はどこにいても-テラ-の気配で満たされている

 

深い繋がりを得たせいか、気を貸すの借りるだのではなくて・・・・小鳥姿のテラがいなくても-いる-のを感じさせるほどに、あの温かくて優しい気配が戦いの次の日に俺の家が満たされていて・・・でもここには何もない

 

体に力が入らなくて目も開けられないが其れでもわかる

 

ここは自分の家でも、ましてや-地球-でもない・・・だってここは-寒い-から

 

体がじゃない・・・心が・・・いや・・・心よりももっと深い場所が寒くて堪らない

 

まるで・・・・そうだ・・・・一年のコールドスリープから目を覚ましたあの時のようで・・・・もしかしてここは・・・宇宙なのだろうか?

 

だとしたら何故?

誰が俺を?

 

フリーザ様達では絶対にあり得ない

 

あの方が約定を違える事なぞありはしない

 

あの方は-戻ってくる-と俺に言われた

 

地球に再び来ると・・・ならば俺が宇宙にいる理由はフリーザ様達でない

 

フリーザ様のご意思を無視して俺を地球から連れ出すメリットがない・・・そんな事をすればあの方はご自分の言葉を違えさせられたと激怒して、下手をしたら関わった者達の周辺諸共に処罰されるのは、馬鹿であっても分かっているだろう・・・わかっていないいない馬鹿であったら俺の事を拉致するなんてことは土台無理だからその線も無い。

 

だとしたら・・・・

 

「何だ起きているのか小僧?」

 

!!!!

 

「気配が表に出ないせいで、お前が起きているのかどうかすらわからなかったが、瞼が動いたから漸く分かったぞ。」

 

「・・・・ぁ・・・」

「ふん、声が出ないのならば無理をする必要はない。

なにせお前はこれから-ずっと-俺達といるのだからな。」

 

長い旅路を共に過ごす一日目くらいは寝ているがいいと・・・存外優しい手つきで声の主はラディッツの両の瞼を片手で覆いそして再びラディッツの意識を眠りの底へと堕としたのを

 

「・・・・よろしいのですか?」

「いいもなにも、まだこいつの体は万全では無いだろう。」

 

俺が欲しいのは、どんな時であっても誰が相手であっても己の生死が掛かろうともはっきりとものを言ってくる小僧が欲しいのだ。

 

「こいつが万全にになるのを待つくらいの器量は俺にだってある。」

 

だからしばらくは待つ

 

声の主の隣で一連の遣り取りを見ていた部下の問いかけに、声の主は何という事も無いと答える。

 

自分が追い求めた小僧

 

漸く見つかりフリーザ達が本気で手を伸ばし奪おうとしたのを跳ねつけた小僧

 

事の顛末は-父-が直接フリーザから聞いた事を全て聞かされ知っている。

 

故に、小僧は地球という無防備な場所に置かれている

 

きっとフリーザの事だから、俺が未だに西銀河で遊んでいるとでも思っているだろうが、監視体制を残しでもしているだろうが甘いな。

 

フリーザ、お前だけがステルス機能の付いた代物を持っていると?

西銀河の裏では俺達が知る以上の代物がごろごろと流通しているのだぞ?

 

俺の趣味では全くないが、弟様を出し抜いてみませんかというあいつの楽しそうな顔に免じて一度きりの裏技を使ってやった。

 

その機能で宇宙船を地球に降ろし、自分達に纏わせ小僧を攫ってきた。

 

家の庭で一人でのんびりしていたのか、太陽を心地良さそうに浴びてトロリと溶けたような笑みの小僧の意識を刈り取って攫ってきたのだが

 

さて・・・

 

「フリーザは今頃どうしていると思う?」

 

ラディッツは今、さほど大きくない(フリーザの母艦基準・・・その半分)宇宙船のブリッジの隅に態々設えられたベッドの上で寝かされている。

 

声の主は、クウラとて最初はフリーザが小僧・ラディッツを取り返して意気揚々とポンジャに戻ってきた辺りで強襲して小僧を奪うつもりであった。

 

近頃は父にさえ楯突く事が増えた小生意気な弟を教育してやるのが目的なのと、もしも改心したら小僧を-貸してやる-事も吝かではないという・・・・お前それはいい訳だろうと、クウラの心の内を知っている奴がいたらそう突っ込むだろう表向きの理由とは違い、たんにラディッツが欲しいから。

 

フリーザの兄であり、コルド一族の長子であり、実力の高さはフリーザの側仕えであればだれもが知っている筈の自分に対しても媚びる事も臆する事も無かった奇妙な子ザル

 

サイヤ人特有の変な自意識過剰でもなく馬鹿なのでもなかった・・・あれは一体何なのだと、一度目の様子見ではわからず、ならばフリーザの居ない時を見計らって-カレーレシピ十種類目-という・・・・我ながら阿呆なこじつけ理由で会いに行ってみれば

 

-フリーザ様の許可は下りていますか-

 

とか宣って来た

 

命いらんのかこの小僧は?

 

馬鹿なのか?

 

見てみるがいい、周りの奴等も隣の同じ文官服を着た奴の顔面も蒼白だぞ?

 

俺の機嫌を損なえばどうなるのか分からん奴ではないだろうに・・・・然程にフリーザへの忠誠心が高いらしい

 

少しでもあいつの利益にならない事を命じられるのを、唯々諾々と受けるのが嫌なのだと

 

それならば後に代金を払うとサウザーが提案した事であいつは受け入れたが・・・俺は釈然としなかった。

 

まるで俺自身の事などには興味は無く、-フリーザの兄-だからという理由で歓待されたようで・・・・新鮮でもあったがな。

 

俺の事を知っている奴等の反応はいつだって二つだけ

 

俺に媚びるか怯えるか

 

そしてそんな奴等の末路も二つだけ

 

俺が無視するか俺に殺されるか

 

例外は父と母とフリーザと、俺の親衛隊のサウザー・ドーレ・ネイズの三人だけ

 

後は虫けらと変わらず、どいつも変わらん奴だと思っていたのに・・・・

 

お前は何故違う?

 

感慨深げに大人になり、ベッドに横たわって眠る小僧を見下ろす主を、サウザー・ドーレ・ネイズの三人は優しい眼差しでそれぞれの任せられている仕事の席から見つめている。

 

長かった

 

主の念願が漸くかなった

 

主自身がどれ程否定しようとも、主は小さな子ザルが欲しかったのをサウザー達は知っていた。

 

奇妙でそれでいてどこか自分達の心の中をソワソワとさせるような、それでいて目が離せなくなるような不思議な雰囲気をもった不思議な子ザル

 

作る物は美味しく、本人は心を温めてくれる・・・・欲しいとサウザー達すらもが焦がれた

 

こんな生き方をしているのだ

 

荒涼として寂寞とした戦闘人生

 

それは嫌ではない

 

誰に支配される事も無く自分が望んだ主の命令だけを聞いて、好きな戦闘をして暮らしていける人生は最高で、それ以外のものは美味いカレーと酒だけがあればいいが

 

カレーが出来ましたよ~

 

そう、優しく楽し気に囀る子ザルがいれば尚いいと・・・

 

知略も磨けば光り、自分達専属の、更に言えばクウラ機甲戦隊の唯一の文官兼料理人に欲しくて、フリーザ軍とポンジャよりも先で会敵できるように太陽系に寄っていったのが功を奏した。

 

クウラとフリーザの父親のコルドは、フリーザの報告を聞くと同時にすぐさまクウラに顛末の全てを話した。

 

フリーザは誤解をしているが、クウラとてあの怠惰な神の事と天使の事は父から聞かされている。

 

そしてサイヤ人を時間をかけてでも一網打尽にして滅ぼしつくす命令を受けた事も

 

それもフリーザよりも先にだ

 

その上で

 

「俺はそんなまだるっこしい事をするのは性に合わない、これはむしろ弟の方が向いているのでは?」

 

弟に譲った・・・・というか押し付けた

 

 

世には自分達一族でも勝てない者がいる事を父から常々言われ続けてきた。

 

魔人ブウとヘラー一族とそして破壊神

 

ヘラー一族は癪だが弟に全てを奪われた・・・・魔人ブウは俺が貰う

 

だが破壊神は?

 

悔しいが逆立ちしたって-今の自分-では金輪際勝てまい・・・せめて宇宙の悪夢とまで言われた魔人ブウを自分一人で圧勝するくらいの強さを手に入れない限りは、ボージャック一人にあの様を晒した自分では・・・だがいつかは・・・

 

そう胸に刻みつけた破壊神が、自分達を事あるごとに消そうとするらしい・・・どうやら自分達も破壊神にとっては何の進歩もしないサル野郎のサイヤ人と同列に扱われているようで腹ただしいがまぁいい

 

それよりも父の思惑の方が今はむっとする

 

そろそろ後継者を正式に決めたがっている父は、小僧を使って俺とフリーザをぶつけ合わせて勝ち残った方を一族の跡目にする腹積もりだろう。

 

それまでは俺の方が戦闘的には上であったが、今回の騒動でフリーザの力が爆発的に跳ね上がり、そして政治力もある。

 

だが一点、父に反抗しだした事があいつを正式な跡目にする事に父が躊躇い、しかし今回の騒動で俺を降すのであれば反抗的な事の全てに目を瞑ってやるという気なのだろう・・・父はあいつには甘いから。

 

そして此方が勝てば俺がか・・・・・馬鹿馬鹿しい・・・俺には征服だの支配だのには興味がない。

 

愉しく戦えて強くなり、俺が宇宙最強になれればそれでいいのだから・・・だが、勝てば小僧は俺のもので、矢張り当初から考えた通りに政治はあいつに任せればいいし、従順であれば小僧を貸してやると約束もしてやる。

 

小僧はきっと反抗するだろうが、地球とやらをそのまま守ってやるとでも約束してやればいいだろう。

 

・・・それにしても・・・俺達一族にとことん使われる小僧だな

 

フリーザと俺から欲しがられ、それを父が利用し後継者争いの為の起爆剤にされる

 

たかだか滅ぶ寸前であった一民族の小僧であるのに、今やこいつが宇宙と俺達一族の生命線とは・・・・・まぁそれもどうでもいい

 

要はこの宇宙が発展ないし馬鹿どもを消していれば良さそうで、ならばこいつが俺の下で働けばそれでいいのだろう。

 

フリーザ達とて小僧を攫った者が誰かなぞ直ぐにはわかるまいし、もし仮に俺に仕業と分かっても、広大な宇宙から俺をすぐに見つける事なぞ不可能だしな。

 

「フリーザ達が探し出す前に、お前は俺にどう説得されるだろうな小僧?」

 

優しい言葉?

支配的な約束?

それとも物理にものを言わせた自分らしい説得?・・・・・これはないな

 

こいつがそんな事に屈するような奴ならばそもそもがここまで欲しくなる理由もない。

 

何者にも何事にも屈しないこいつだからこそ欲しいのだから・・・いずれにしろ

 

説得の為の時間は沢山あるだろう

 

そうクウラ達は考えていたのだが・・・

 

 

「兄ちゃんを攫った奴の所にはまだつかねえんかよフリーザ!!!」

「・・・・お前は本当にあの子の弟は思えない程の馬鹿ですね!!!いいですか?

ラディッツの事が無ければお前なんてさっさと宇宙の屑ゴミにしてやりたいんですよ私は!!!」

「あぁ・・・カカロット?ちょっと黙っててくれ・・・フリーザ様、兄君の船は二つ先の宙域の隕石岩礁地帯ですよね?このまま進めば三時間後に接触すると算出されました。」

「・・・・・まったく・・・よもやあの兄が出て来るとは思わなかったぞ・・」

「ベジータ・・・・フリーザ様!!!フリーザ様のお兄さんでもぶっ飛ばしていいですか!!??」

「スーナ・・・流石にそれは・・」

「構いませんよ、寧ろ愚かな愚兄を縊り殺してやるくらいの気概で望みなさい。」

 

 

・・・・・・・・はい!!!???

 

「あ・・・・あのさ・・・その・・」

「・・・・なんですか地球人の小僧?」

「いや・・・俺こう見えても三十路近いんだけど・・・まぁそれはいいとして・・悟雲兄さん攫ったのってあんたにとっては兄何だろう?」

 

縊り殺すって言っていいのという、悟空同様に山吹色の亀仙流の道着に身を包んでいるクリリンの真っ当な言葉に、フリーザは鼻を鳴らして一蹴した。

 

「家族愛だのなんだの私とあの兄にとってはありませんからご心配なく、それよりも貴方達に死なれでもしたら私にはまったくもってどうでもいいのですが、あの子が泣くのでどっか隅にでも隠れてなさい・・そもそもそこの馬鹿サル以外がどうしてついて来たのですか?」

 

 

・・・・・・会話からお察しであろうが、フリーザは速攻でラディッツを攫ったのは兄だと特定して追いかけ、あまつその追跡にはフリーザ親衛隊のマトマとリーキュと、そしてまだ太陽系の近くにいたベジータとスーナがラディッツの下を訪れた時に偶々事態を知って付いて行くのは問題無いのだが・・・問題は悟空とクリリンとそして・・

 

「親父を取り返す為に決まっているだろう・・・」

 

 

ジュニアもいる

 

自分達も連れて行けと物凄い圧をかけ、バーダックもクソガキ攫った奴をぶっ殺すを目力だけで訴えてきたが、フリーザにとってはお断りである・・・兄とやり合うのならば馬鹿子ザルの手も借りたいと、許可をしたのは其の三人だけ。

 

では何故ラディッツが地球から姿を消して直ぐに、居場所まで特定できたかというと・・・

 

 

「北の!!!!お前は気がふれたのか!!???」

「西の言う通りだ!!!何故地球育ちのサイヤ人とその周辺だけではなく!あの悪の帝王にまで教えたのだ!!!!」

「・・・・北の界王・・・・何か考えがあるざますか?」

「・・・・・あ奴等の力を合わせんと勝てんじゃろう・・・」

 

ラディッツを有する北の界王が、関係者一同に-全て-の情報を流したのだ

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