北の銀河を少し中央に行ったとはいえどもそこはまだ辺境の内部であり、悪の帝王とその兄が互いのフルパワーで肉弾戦しようが、その周りで金の髪となったサイヤ人二人に率いられる様に、黒髪のサイヤ人の男戦士二人と緑色の戦士が悪の帝王の兄の配下三人と死闘を繰り広げようが-誰-も何事だと駆けつける者はいなかった。
これがもう百万キロ南下した銀河の中央寄りに行ってていたなれば、北銀河開闢以来の異常で膨大なエネルギーのぶつかり合いに、宇宙警察機構が・・・・勝てるかどうかは度外視しても、様子見に偵察機を飛ばしつつ、近隣の星々に避難指示を出しながら直ぐに逃げられるように宇宙船を手配するくらいの非常警戒レベルだが、何度も言う様にここは辺境宙域の中で、知的生命体どころか自然のある星すら珍しい場所なので・・・・たったの十分で双方のぶつかり合って生じたエネルギーやら、デスビームやデスボールやら・・・・・はては超かめはめ波をいなされ、パワーボールが全部弾かれながら星が二十五個壊れても宇宙には何の影響も無いのだ!!!・・・・多分?
ちなみにだが・・・・クウラはフリーザにきちんと手加減はしている・・・・だって、-たった二億-ぽっちの弟に、今現在十億まで高めたフルパワー出したら弟は死んでしまう。
ポンジャで手痛い敗北を喫してからクウラはさらに力を高める事に固執しそして、西銀河の不思議な戦士達を相手にして遂に十億を突破したのだが、その実力で弟を黙らせるつもりはあっても、弟と違って兄クウラはフリーザを殺すつもりは全くない。
そんなことした日には、政治という面倒な事もしなければいけない一族の頭領にされるのが目に見えている!!
だったらそんなの無視すればいいだろうと普通ならば誰もが思う
クウラ程の実力があれば、誰もそれこそマックスの父コルド大王と言えども勝てなかろうが、そんな事はどうでもいい
「我が栄光の一族」
クウラが大事なことを決める時、何かがあった時、常に出される言葉の通り、クウラは父の強さで築かれていった自分の一族に誇りを持っている。
最終的に本当に、例えばフリーザが何者かによって殺されれば最早跡取りは自分しかおらずそうなってしまった時は継ぐ心構えがあるほどには
実力がありながらも政を嫌い、征服に興味のない長男
実力が下回りながらも政治力と征服と統治と崇められることが大好きな次男
二人が本気で組んだ日には、北銀河どころか東西南の銀河も掌握が夢ではない!!
だが、とある子ザルを間に挟む事によって多少は互いに譲歩するようになったとはいえども、今現在そのとある子ザルを巡って大戦争勃発している
そのおかげで、全銀河制覇という悪夢は遠のき銀河の平和にとっては良い事なのかもしれないが
「・・・・・・そんな超絶面倒そうな一族の男達を虜にするって、お前は本当に一体何なんだ?」
「・・・・・・・そんな事をー私ーに言われましても・・・・」
-外-が大変な事になっているのに、お前はよくグースか寝ているよねとか・・・夢の中で文句言われている俺って何なんだろう?
しかもだ・・・・僕だって-まだ-寝ている時間だったはずなのに、-予言魚さん-に泣きながら起こされたから仕方がなく様子を見に来たって・・・・・現状俺は攫われて被害者の筈なのに・・・・何故俺が責められねばならないのだろうか?
それも夢の中で・・・・解せん・・・・・
・・・・・・・・・・・
眠っていたくないのに、起きたいのに意識は朦朧として眠りに落ちていたら、急に目の前の・・・・前世で見たエジプトの猫を模した神-バステト神ーをもっと人寄りにした・・・・人?が現れて驚いていれば
「・・・・・・こんな細っこくて女みたいな奴が、予言魚さんの予言を全て見通せなくしたって・・・・全然信じらんないな・・・・」
開口一番、中身は分からないが物凄く俺に呆れたのが分かるほどに溜息をつかれた
何を言われているのかがさっぱり分からない
だけども・・・・俺は自然とこの猫みたいな人に頭を下げていた
そうしなければいけないような気がして
跪くのはフリーザ様だけ
その意思で辛うじて膝をつく事はしなかった・・・・だけれども・・・
「ふん・・・・サイヤ人の癖にいやに礼儀がなっているじゃないか。」
俺の行動が正解だったのか、呆れた声音の中に少しだけ機嫌の良さそうな色が乗って、そろりと上を向けば、不機嫌そうな目がほんの少しだけ笑みが灯っている
どうやら本当にバステト神の様にこの世界の神様かそれに類する人のようで・・・戦いが多くて、善よりも不毛な事の多いこの世界で神様をしているこの人は物凄く大変そうで・・・・きっと地球の神様みたいな気苦労が多いのだろうか?
・・・・・その不毛な事の片棒を担いでいる俺もきっとその気苦労の一つなのかなと思うといたたまれない・・・・けど・・・
「外は・・・・フリーザ様やカカロット達は無事ですか?」
この猫の神様(ラディッツはそう心の中で呼ぶことにした)はさっき超絶面倒な一超絶面倒な一族の男達が、面倒ごとを起こしそうだから様子を見に来たと言って、俺に-外-の様子を端的に教えてくれた・・・・・俺がドラゴンボールで女にされてクウラ様の子をという話までもだけど・・・・・・クウラ様、それは命を賭してもお断りします・・・・
それは置いておくにしても、フリーザ様達と弟達の安否が気にかかるところだ・・・俺はお兄ちゃんなのにどうしてこうも弟達や息子に心配をかけてしまうのか落ち込みたいのに・・・・猫の神様に驚かれた顔されてるの何でだろう?
・・・・・こいつ本当にサイヤ人なのだろうかと、猫の神様にまで本気で驚かれているラディッツはある意味最強かもしれないが、驚かされた方は何だこの珍妙な生き物はと本気で仰天していたりする
この目の前の男-ラディッツ-と名乗っている男が-転生者-と呼ばれている部類の者である事は-内部の魂-を視て確信を得ている
この世界の一切の事象を予言する予言魚さんの未来を白紙しか見えなくなったという時点で、この世界の者ではなさそうな-異物-が混じっていないかと従者に探させていたが・・・・・まさか面倒ごとを起こしている渦中の奴を見物しにくれば一発で当たりって・・・・僕ってくじ運良かったかけとか・・・・軽く現実逃避しながらも-猫の神様-は頑張って珍しく・・・・本当に珍しく!!!破壊以外の神様仕事をしたのだ!!!
転生者とやらは時折どこかの時間に一人か二人は現れては-歴史改変!!--先取無双-とかいっては宇宙の因果律を弄ってはその度に予言魚さんを泣かせてきた
予言が滅茶苦茶だと
そして奴等の大半は、自分の力で周りの助けになる事をしている-つもり-のようだが、滅ぼさなければいけない奴等が見逃されたり、そこを今倒されれば後々そいつが潰す筈だった面倒ごとを自分が処理しなければいけない事になったり碌な事が無かった!!
こいつも同じ類の奴なら速攻で-破壊-する・・・筈だったのに・・・こいつは-この世界-の事を丸で知らない奴だった・・・・転生者って奴は、ここを-ドラゴンボールの世界-だと言って、サイヤ人の種族を残すだの、フロスト一族のフリーザ生誕を阻止するだの、地球最強になってサイヤ人を超えるだのなんだのと言っていたのに
「・・・・・世界を知ってるかって・・・・そんな無茶な事を言われても困ります。」
目の前の礼儀がなっているおかしなサイヤ人は僕の質問に困った笑みを浮かべた
「この世界を知ってる人なんて・・・・きっとこの宇宙を生み出したかもしれない神様がいたとしてもきっと無理な話だと思いますよ?」
世界は広大無辺で、生み出した神様がいたとしても、複雑に絡み合いながら成長した世界の全てを知る事なんて難しいだろうと・・・・・たしかに、-全王様-も生み出す事や壊すことは出来たとしても、ご存知の事なんて多くはなく、もしかしたら何も知らずに世界を・・・・いや・・・・これを僕が考えるのは不敬が過ぎるか・・・
だが、ラディッツという男が-ドラゴンボールの世界を知る転生者-ではない事はそのやり取りであきらかになっている・・・・第一自分を見てもきょとんとしていたのが・・・・・ではこの男は全て-偶然-に今の出来事を全て引き起こした事になる!
・・・・・・どんな企てでこの世界を引っ掻き回したのかと、理由如何によっては破壊する気満々であったのに・・・・だが・・・こいつは悪くはない
「外は相変わらず戦いが続いてるね。
フリーザの兄が本気出してないお陰で、お前の弟達も無事だよ。」
「そうですか・・・・教えてくださりありがとうございます。」
たった少しの言葉だけで全身から感謝の念を出す奴・・・・・破壊するの勿体ない気がしてきた・・・
確かに現状北銀河だけに限って言えば-人間レベル-は悪くないどころか断トツによくなってきている。
その理由も聞いた時は、フリーザの奴頭がどうかしたのかと本気で思ったんだが
「おいお前。」
「はい、なんでしょうか?」
「料理は得意か?」
「は?・・・・・多少は作りますが・・・・そうですね、-私-の料理を周りの人達は美味しいとは言ってくれる程度には作れるかと。」
・・・・あの外で目をいからせて戦っている弟達のその時の事を思い出しているのか、穏やかな笑みなって浮かべて暢気なものだが
「この状況を無事に乗り切ったら、僕と従者がお前の料理を食べに行ってやる!」
「は!?」
「何だ不満か?」
「あ・・・いや・・・・クウラ様の件が片付くかどうか・・・・最悪私は死んでいるかもしれませんよ?」
「なんでだ?あのクウラはお前の事を・・・」
「もしもフリーザ様が敗れて先程の事が現実化しそうになった時は、私は自死します。」
きっと、フリーザ様は私の事で苦しむだろうから、そうなるくらいならば
「自死して地獄でフリーザ様達を待ちます。」
弟達は善良だから、天国に行って会う事は叶わず憤慨するだろうがそれでも・・・・
「・・・・・お前は生きる事がそんなに軽い事なのか?」
破壊されたくなくて、死にたくなくて、踏みつぶされたくなくて抗い必死になるのが普通だろうに、いとも容易く己の生命を頬る目の前の男に不快感が湧いたが
「いいえ、私とて守りたい者が沢山あって、死にたくなんてありませんよ。」
困った顔をして死にたがりではないというのに
「それでも、全てを使い切ってもどうにもならない時は、死んでも従いたくない事だとてあるんです。」
クウラ様がしようとしている事はまさしくその類であり、到底受け入れることは出来ない。
ならばとるべき道は抗う事
それでもそのすべてが潰えたのならば道は決まっている
そう、からりと笑って言われては・・・・・・
「・・・・・天命は動かせないけれども・・・・少なくともお前の性別くらいは変えられないようにしてやる。」
「!!!それは・・・・・私にはそれに見合う対価が!!!」
「だから!・・・・美味いものをいつか馳走しろ。」
これは神の気紛れだと、猫の神様が後ろを向いて手を振られて・・・・そして・・
行ってしまって・・・・また意識が下に・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
「・・・・静かだな・・・」
「クウラ様は機甲戦隊以外のクルーは乗せて無いの・・・・・ラディッツはやっぱりブリッチかしら・・・・」
外でフリーザ達がドンパチしている間に、クリリンとスーナはレズン達に持たされた気の遮断ステルススーツを着て、ラディッツだけがいるであろう宇宙船に侵入したのだ。
よもやフリーザが潜入作戦をするとはフリーザの性格をよく知っているクウラは夢にも思わず、だが一応のセキュリティはかけているが、そこはこの作戦を思いついたターレスとその一味の科学力でセキュリティを黙らせ侵入したクリリンとスーナだが、意外と広い宇宙船の中を隈なく捜索中である。
なにせ気を体外に出せないラディッツは、スカウターでも気の探知でも見つけることは出来ず、かといって偵察機をばらまけば黙らせているとはいえどんなセキュリティにひっかり、クウラ達にばれないとも限らないので、小柄で機転が利くクリリンと、戦力充分なスーナが組んで探している。
兄の愚行を知ったフリーザと、クウラの思惑にブチギレたベジータと悟空の三人で全員が乗って来た宇宙船を三人で外から押して飛んだことによってあっという間にクウラ達に追いつくという大快挙(大暴挙ともいえる・・・・)で、クウラ達の驚を想定以上につけた事によって成功した潜入作戦の果てに待っていた者は・・・
「可哀そうに・・・・・こんな姿にされて・・・・・」
果たしてスーナの予想通りラディッツはブリッチの簡易ベッドにいたが問題が発生していた
「・・・・・あんた誰よ?」
眠るラディッツを抱きかかえている筋骨隆々の一流戦士と一目でわかる若いサイヤ人の男と、その男の側で立っている左目に傷のある老人は一体誰だと、スーナは警戒心を剥き出しにし、クリリンも静かに光輪を両手に浮かべて構える
・・・・・・兄は何故、平穏に生きる事が出来ないのだろうかと怒りを覚えながら