俺ラディッツは弟を絶対に守り抜く   作:ドゥナシオン

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プロローグ:弟は俺が守り抜く!後編

俺は謎の陰謀によって弟のカカロットと共に、一年という超長距離の航路先の座標も名前も不明な惑星に着陸を果たした。

 

無事に着陸が叶ったが、カカロットとは真反対の場所に不時着してしまった。

宇宙ポッドの燃料は最早無く、リンクしていたカカロットの宇宙ポッドの場所を追尾する事も、軍に超長距離通信を試みる事も不可能だ。

 

だがしかし!俺は諦めない!!何年かかってもカカロットを見つけ出すんだ!!

 

そう決意してから幾星霜、俺は様々な試練を乗り越え艱難辛苦の果てに成長を果たしたカカロットと再会を・・・・果たすだなんて絶対に嫌だぞ!!!

 

「初めての寝返り!初めてのタッチは絶対に見る!

初めてカカロットが口にする言葉はにぃとかおにぃとか言ってもらうんだ!!!!」

 

 

・・・・・・故郷が滅んで幼馴染やフリーザ軍丸ごと無事なのは知っていても、両親とその仲間のサイヤ人の安否を知らない状況下の中、ラディッツはブラコンまっしぐらな言葉をガッツリ叫びあげながら無人の荒野を爆速している。

 

謎の惑星に不時着したと同時にラディッツはすぐさま宇宙ポッドの点検をし終え、これはもう使い物にならないと判断を下すと行動を開始した。

 

向こうに着いた時に日常で持っていたいものを数点持たせてもらったので、ポッドの収納スペースから、備え付けてある最新版のスカウターを三つと、前世であった写真立て程の大きさの映像が見られる名付けるところの映像アルバム、そして-アメ-

 

折に触れてフリーザはラディッツに褒美としてアメを与える。

今回の遠征とも言えない近距離、それもスリープでの移動で実質三日しか行動しない中でも、ラディッツはもしかしたらスリープ途中で目を覚ました時、ポットの生命維持装置でお腹がすかなくともフリーザ様の美味しいアメを舐めたいと、仕えてから六年目にしてはじめて個人的なお強請りをしてみた。

 

フリーザは苦笑しながらしょうがない子ですねと頭を撫でられながら、何時もの様にガラス瓶に入れられた数十のアメを兵士に持ってこさせて渡された。

 

お強請りしてよかった・・・自分はもう、フリーザ様に再会する機会なぞ無いだろうと、アメの入った瓶をそっと胸に抱きしめ、腰に据え付けられているポシェットに大事にしまい、上空を真上に飛んで地形を確かめる。

 

かなりの高度に来てみたが所々岩山がある荒野しかなく、端が見えない。

 

「・・・・かなり大きな大陸か・・・一つの大陸かそれとも惑星自体が大きくて巨大な大陸が複数あるか・・・」

 

見続いてみれば何とティラノサウルスもどきの恐竜がいる!

岩山の上には翼竜が巣を作っており、草食竜もちらほらおり文明が見当たらない。

 

「白亜紀みたいな時の地球に似た星なのか?・・・・あれがこの星に住む生物の頂点であれば、カカロットが乗ったポットが破壊される心配は無いな・・」

 

スカウターで時間をはかって三十分ほど観察すれば、ティラノサウルスの様な恐竜が草食竜を捕食しているところが見れたのでじっくりと見てみた。

 

結果、ティラノサウルスもどき(ラディッツ命名)はゴジラの様に口から放射線物質を武器として吐き出す事は無く、自分が知っている地球に生息していたティラノサウルスと同じように、牙と顎の力で獲物を仕留めて食べている。

 

翼竜も観察してみたが、ラドンの様に戦闘的では無く卵を守っており、番と思しき個体が戻って来たので見てみれば、番の口から魚らしきものが吐き出され、卵を守っていた個体に食べさせている。

 

「・・・・完全にジュラシックワールドなのか?」

 

判断材料は少ないが、少なくとも気功弾を口から吐いたり怪音波を発生させつつ竜巻を発生させるゴジラ世界ではなさそうだと結論付けたラディッツは、単純生物だけの世界であれば、こちらも単純にカカロットの乗った宇宙ポッド落下の跡を探す事に専念する事にした。

 

これが宇宙に進出するような文明国家であれば、自分達の現状を話して弟を探してもらいつつ自分が働ける場所を探して根を張る算段を付けるのだが・・・サルの惑星よりは良いだろうと、弟とジュラシックワールドに生きて行く覚悟を決めて手掛かりを探す。

 

ポットが落ちたのは東の方、ここからどのくらい離れているか分らないが、虱潰しに探していくしか手がない。

 

荒野の中にも木はあり実がなっている。

降りて口にすればアーモンドの様な甘さがあり、枝も程の良い太さがある。

 

「・・・許せよ・・」

 

ラディッツは木に謝りながら実をポシェットに入るだけ入れそして枝を手刀で落とし、器用に爪でほじり空洞にする。

ある程度穴を広げた枝に掌をかざして気功弾にもならない熱を発して木の中を焼き、蓋を作ってさらに木の皮を剝がしてこよりにしてして糸状にして蓋と簡易水筒を縛り付ける。

 

食料確保、水も川か湖を見つければこれで持ち運べる。

惑星の規模も内情も知らないところで、自滅するような阿呆が事で命を落としている暇なぞ無いのだラディッツには。

 

もう自分しかカカロットを守れるものはいない。

幸い戦闘力五千弱のクソ雑魚サイヤ人でもこの惑星の恐竜たち相手になら勝てる!

 

「準備万端整った!今行くぞカカロット!!!」

 

上空に飛んでは捜索範囲内を決めて何か手掛かりが落ちていないかを地表を駆けずり回って無いとなれば次に行くという何とも手間取る方法をラディッツはとった。

 

闇雲に飛び回って体力を削って腹を空かせすぎる訳にはいかない。

サイヤ人はただでさえ飯を食うのに、腹が減ればちらほら恐竜一頭丸ごと食べなけれればおさまらなくなる。

 

それに体力尽きて、餌食にされるなぞ笑い話にならない。

 

なんともらしくないサイヤ人ラディッツは、逸る心を抑えつけて慎重に捜索範囲を駆けずり回って探し、日が落ちライトもない中捜索は困難となり諦めて数少ない樹木の下に降り立った。

 

何の幸運か落ちて数日した乾燥した枝が幾本かあり、組んで気功弾を軽く放って火をつける。

 

別段寒い訳ではない・・・体は・・・だが心が冷え込む・・・・・カカロットを今日中に見つけるのは無理だと理性では分かっていても、それでももしかしたらという希望が崩される中で星が上り始めた宵闇は、弟を探す事で忘れようとしていた胸の底に沈めた痛みを浮上させる。

 

「・・・親父・・・・母さん・・・・お願いだから・・・生きてておくれよ・・」

 

神様・・・大勢の人を殺した穢れた俺が願う事は滑稽な事かもしれない・・・それでも、どうか自分の大切な人達をこれ以上とらないでほしい・・・

 

せめて弟だけでも無事でいて欲しいと

 

火の側で膝を抱えて座り込んだラディッツは、膝の中に顔を埋めてグスグスと泣きながら-神様-に祈る。

 

人は、普段は敬う事を意識しないのにどうしようもなくなった時に神様に祈るように、大切な人々と離れ離れにされた幼いサイヤ人の子供もまた縋りつきながら、心と体の疲弊に身を任せ眠りにつく。

 

明日こそ弟の行方の手掛かりが見つかる事を願って

 

 

二日目も同じように捜索したが、芳しくなかった。

しかし広範囲を探しても文明は一つも見当たらず、宇宙船の影も見えないので矢張り未開の惑星だという認識を強めながら、荒野が途切れ森が出現したので洞がありそうな大木を上空から探し、見つけられた事を喜び大木の洞の中に入り込み、途中で見つけた川から汲んだ水を飲んで木の実を数えて数個口にし、アメを一つ取り出してゆっくりと口の中で転がす。

 

「アメ・・・美味しいな・・・」

 

甘いような酸味の様な、何とも言えない不思議な味わいのあるアメは、二年前くらいからフリーザ様が褒美としてくれたもの。

 

「貴方だけにあげる褒美のアメです。」

 

他のお菓子の様に、周りに分け与えたらわたしは悲しいですよと言っていた。

以来その言葉を忠実に守り、甘いもの好きな母にもマトマ達にも上げていない自分だけの物。

 

ラディッツは一頻りアメを舐った後、そっと口から取り出して水をかけてアメに着いた唾液を流し、手にもって乾かしそっと瓶に戻す。

二度と手に入らないアメと、それ等に付随される思い出を決して忘れまいとする健気な行為。

 

「・・・・・フリーザ様・・・親父、母さん、みんな・・・おやすみなさい。」

 

シンと音もしない状況で心折れないように、よすがのアメの瓶を抱きしめて眠りにつく。

 

だが・・・夜半に目が覚めた。

むやみに喉が渇いて心臓がドキドキと音を立てている。

 

自分の中の何かが、外に出ろと騒ぎ出す

 

苦しいような心地良いような苦痛に顔を上げれば、-光-が洞の中に差し込んでいた!

 

まさか!!

 

いやな予感がした。

自分の血が沸騰するようなこの感覚は!一度だけ-体験-させられたからこそ分かる!

 

この惑星には-月-がある!!・・・・最悪だ・・・

 

自分達サイヤ人は尻尾がある状態で満月かそれに類するパワーボールから発せられる、千七百万超のプルーツ波を目から取り込む事により大猿に変化する。

 

飛ばし子の大半は、攻め滅ぼす飛ばされた惑星に月がある事を条件に飛ばされる。

着いたその日の夜に、赤ん坊が大猿に変化して滅ぼせるように満月の日を狙って。

 

超長距離先とはいえども、飛ばし子の贈られる条件下は同じであることを忘れていた自分の間抜けさに腹を立てながらも、昨日のように星空の下で眠らなかった事を幸運に思う。

 

プルーツ波の体験は、中級戦士候補の子供達は一度は体験して自分達の本性が何であるのかを叩き込まれる。

 

幸い体験なので変身する前に装置から発せらるプルーツ波は切られ、次は-外-で変身までするというところでラディッツは文官としてフリーザ軍に就職した事で、実際になった事は無い。

 

だが、あの時の理性が失われていくような感覚は怖れと共に忘れられずに、ラディッツは大猿化への忌避感だけが残された。

 

因みに幼馴染達は外仕事で大猿化したらしく、強くなるけどいまいちだったというスーナとゲンインに対し、バキバキに暴れられて楽しかったというマトマと二度とならんというリーキュウの感想はさまざまであったが一致していた事があった。

 

理性が無くなる?そんな事ない・・・・・自分は武官に向いていないと烙印押された気がして落ち込んだのを、フリーザ様は笑われてこのままの貴方でいいのですよと慰めてくれた思い出に浸りながら、この満月をカカロットが見ていない事を願う・・・願い多すぎないだろうかと強欲な自分が嫌になるが、カカロットが大猿化して安全であろう宇宙ポットは壊れてしまう。

そしてきっと理性を失い、暴れた後は月が沈めば無防備に眠ってしまう。

 

万が一恐竜に見つかり餌食になったらと思うとぞっとする・・・いや、大猿化してくれれば居所が分かるかもしれないと、月を見ないように、見ようとする体を抑えつけてうつぶせになり、耳だけを澄ませて寝ずの番をする。

 

大猿のたてる酷い音が聞こえてこないだろうかと思ったのだが甘かった。

 

三日目は森の上を飛ぶので下には降りない。

 

宇宙ポッドが落下すれば、森の地形が変わっているのが分かるからだ。

 

ゆっくりと痕跡を探しながら、ラディッツは今朝見た生き物に驚いた。

 

月が沈んだ気配と共に、何の異変も無かった事にがっかりとしながらも少しは眠ろうと意識を落とし、次に目が覚めれば・・・・目の前に-サルの親子-がいた・・・同族の蔑称ではなく、本当に猿の親子だった。

 

・・・・ここは白亜紀のようなジュラシックワールドではないのか?

猿の親子も起きた自分に驚いて逃げ出すのを追う様に木の洞から這い出てみれば、鳥がいた。

 

小さなムクドリの様な鳥が群れでおり、よく見れば枝に蛇が巻き付き猿の親子の群れもおり、地面にピューマのような肉食そうな動物までいるのだ・・・ここは、地球のあらゆる時代の生命を取り込んだような惑星だと、違う記憶を呼び起こしそうになったのを慌てたラディッツは両手で顔をはたいて気を取り直す。

 

-昔-に引きずられるな!今大切なカカロットを探せ!!

 

ギャーギャーと鳴く、オウムの様な鳥を驚かせながらラディッツは飛び立ちそして漸く痕跡を見つけた!!

 

そこは岩山がそびえ立ち始め、川が大河程の幅になった・・・・自分の知る雲南省の写真がそのまま目の前に現れたような場所に広大な森林があり、何かがぶつかりなぎ倒された木々の先に、岩山に激突して止まったと思しきポッドがあった!!

 

「カカロット!!!!」

 

あぁ・・・あぁ!!!見つけた!!俺の・・・たった一人の弟!!大切なカカロット!!

 

見つけられたと涙を溢れさせながらポッドに着いたラディッツは

 

「そんな・・・・」

 

膝から崩れてへたり込む。

 

ポッドの蓋は開いており、中にいるはずのカカロットがいなかった・・・

 

「どうして・・・・あれは一週間はもつはずなのに・・・・」

 

ポットは大猿化で壊されない限り、-自動-では開かない仕様になっている。

一週間は燃料が切れても予備バッテリーで生命維持装置が作動して、安全を期して明かないように作られている。

見ればまだ予備バッテリーで動いている装置が作動している・・・故障では絶対になく、そして・・・カカロットを寝かせた赤子用のクッションの上にポットの天井部の部品が落ちていて僅かに血が付いている!

よほどの衝撃に衝撃素材が耐えられなかったのか、頭の部分に落ちてしまったのだろうか・・・

 

怪我をした状態でどこに行ってしまったのか・・・・もう自分はカカロットと会えない運命なのだろうかと心が折られかける。

 

しかしどうしてと、地面に俯いたのが功を奏した。

 

 

「あし・・・あと!!??」

 

地面に-靴の足跡-と思しきものを見つけたラディッツは、どうしてあるかという考えは瞬時に捨てた。

 

これはもしかしたら弟に会える最後の手掛かりかも知れないと思い定め、顔を地べたに擦り付ける様に下げて必死に次の足跡らしきものを探す。

 

一歩を見つければ次第にくっきりと分かり難なく辿る。

そこからどれ程追跡したか分らない程の時間の中でラディッツは-文明-と言える物を発見した。

 

中華風の家・・・・まごう事なき-家-に、足跡は向かって-扉-の中に入って・・・そして・・・・

 

「おんぎゃぁ!!おんぎゃ!!!」

 

あの声は・・・・あの声を!忘れるはずがない!!!!

 

 

            カカロット!!!!!!

 

家がある事も中にベットと家具があろうともラディッツには見えていても見えていなかった。

 

ラディッツの瞳が捉えて映し出したものはたった一つ

 

求めてやまなかった最愛の、唯一となってしまった弟のカカロットのみ・・・

 

「カカロット!!カカロット!!!ごめんな!見つけるのが遅くなって!!!」

 

籐の籠に入っていた弟を、二度と離れないように強く抱きしめる。

 

自分の事を覚えていてくれたのか、泣いていた弟はなきやみそして・・・きゃははと・・・笑ったのだ・・・・

 

故郷は無くなり、両親も顔を知らずに行方不明になってしまった事も知らずに笑う弟が哀れでそして・・・・愛おしい・・・

 

「お前は笑っていてくれ・・・・」

 

絶望も嘆きも、全て俺が引き受ける・・・・・だから・・・・親父、母さん、俺は貴方達に誓う

 

「俺ラディッツは弟を絶対に守り抜く。」

 

今度こそ生きて大切な者を守り抜ける力を持っているのだから

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