おら達の持っていた力は全部兄ちゃんに渡しちまって・・・・はは・・・おら達みんな体に力が入らねえや
クリリンとジュニアはともかく、助けた機甲戦隊って奴等に介抱されてたたら世話ねぇな
けど・・・・おら達の力だけじゃねえ・・・・想いってやつも全部兄ちゃんに託す事が出来たんだからまぁいいか・・・・・また・・・兄ちゃんに全部任せちまうなんて情けねえけどさ、もうおら達は見守るしか出来ねえのは・・・悔しいけどよ・・いつかオラもあれくらい強くなる・・・なるんだ
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クウラ達の危機を前にして庇う様に出現した黄金の球体は、ラディッツを中心として悟空達全員が無意識に超化して起こった現象であり・・・そして誰に言われた訳でもなく自然とラディッツに全エネルギーを渡していた。
自分達の大切な人達を守りたいと願いながら
力を得たラディッツはすぐさま黄金の球体から飛び出し、ブロリーの攻撃を返す中、残された悟空達は生命に必要最低限のエネルギーしか残されておらず、フラフラになったのをクリリンとジュニアとクウラ機甲戦隊の面々に介抱され一息繋がら、目の前の兄とブロリーの戦いを見ている。
一番消耗が激しく荒い息をしているスーナも、ベジータの手を握りしめ必死に気を張ってラディッツの戦いを見続けている。
自分達の願いと命運を託して
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クウラとフリーザ、そしてサウザー・ドーレ・ネイズが、ブロリーのエネルギー波に呑み込まれかけた時、その光景を目の当たりにした時
守るんだ!!!!
悟空だけではなくその場にいたサイヤ人全員が、ただその事だけで頭が一杯になった
怨敵にも等しい、兄を好き勝手しようとした兄弟とその配下の者達が死のうがどうしようが知った事ではない・・・・筈なのに!欠片もそんな事が思い浮かぶ事は無くて・・・分かっている・・・・本当はもう悟空だとて分かっていたのだ。
自分達だとて兄が突如として目の前から消えれば・・・・正気を失ったような事をするだろう事が!!!
フリーザ達がしたような事は実質的に出来なくとも!疑わしい場所を探し回り、もしも兄を捕らえている者があれば・・・・きっと自分はそいつを殺す!躊躇いも無く!!
どうしようもない程に自分達は兄を愛している・・・・囚われる様に溺れる様に・・・無くす事を何よりも怖れる程に・・・・フリーザもクウラもブロリーも・・・もしかしたら兄に出会わなければもっと違った道を・・・・それが兄をめぐってぶつかり合いそして・・・・・
何故か最後にはその兄が舞台の上に立たされ
「ラディ!!!!!!!」
欲しがった相手と激突をする事になるなんて・・・・そんな事、夢にすらも思ったことなんてないのに!!
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それは奇妙な光景であった
超化しているブロリーは、伝説と謳われし超サイヤ人そのものを体現している
白い布のズボンのみを纏い、なにも着ていない上半身の筋骨は逞しく、黄金の髪を振り乱しながら戦う姿は闘神と言えるほどで・・・・それと対峙する物は正反対の容姿であった。
赤い長髪をたなびかせながら黄金の気を纏って振うブロリーの猛攻を、白の長袖シャツに茶色のズボン・・・・一般人、それも軟弱と言われてもおかしくない程の瘦せたラディッツが、ヒラリヒラリと危なげなく躱している。
それもただ躱しているだけではない
ブロリーの拳を躱しながら腕に振動を流し込んでは肉体のダメージを蓄積させ、エネルギー波の嵐は避ける事無く己の中に吸収しそして少し己の気を上乗せして返している!!
まるで人間の戦士を相手に、神様が遊ぶように戯れる様に、戦いとも呼べない光景が繰り広げられており次第にブロリーの息が上がり始める。
己の方が勝っていたのに、ラディッツの髪がおかしな色になってから急に逆転をされている事に、ブロリーは苛立ちとそして・・・・生まれて初めて戸惑いというものを感じた。
今までは、自分の力だけで周りを黙らせ屈服させ、或いはそんな姿に頼もしさを覚えた周りと上手くやってきた。
惑星ベジータの終焉後は、あちこちにある傭兵の仕事場が自分の家で父以外にもその場限りではあるが家族というものも出来て・・・・不思議とラディッツがいなくとも苛々とする事は無くて・・・・自分の力があればいつかラディッツと再会してそして一緒に暮らすのだと疑いもしなかったのに・・・優しいラディッツが自分を拒む。
こんな事があっていい訳が無いのに!!またあの優しい歌と笑顔が見たいだけなのに!!!それなのに・・・・
パン!!!!!
伸ばした手を打ち払われる・・・・・痛い・・・・痛い?俺は・・・これが痛いというも やつなのか?
今生において、ブロリーは初めて痛いと感じた
ただ手を振り払われただけなのにどうして・・・・
どれ程傷を負おうとも、どんな目に遭っても裏切られても蔑まれてもただの一度も痛みを覚えた事なぞ無いのに・・・・ラディッツから振り払われたただそれだけの事が物凄く痛くて痛くて!!!
「ラディの意地悪!!!!!」
「・・・・・・」
「どうして俺に優しくしてくれないんだ!!!お前の事が大好きなのに!!!ずっとずっと探していたのに!!!!お前と一緒にいたいだけなのに!!!どうして意地悪をするんだよぉ!!!!!」
童が泣くように涙を流しながら、ブロリーはただひたすらに我武者羅にラディッツに撃ち込む・・・・その姿は先ほどまでの様に畏怖される戦士の姿は微塵もなく・・・・
「ガキ・・・なんだなあのブロリーって奴は。」
憐れな童の姿であった
その様に、悟空達ち距離を話して見物しているビルスは呆れたように言葉を漏らし、ウィスも困惑をしながらその様ですね~と気の無い返事をする。
まさか千年に一度現れるという伝説の超サイヤ人を具現化したような戦士が、童のように泣き喚きながら戦うだなんて誰が予想したであろうか?
予言魚さんはラディッツの所為かは分からないが、宇宙全体の未来予知が出来なくなって不可能であり
大概の事はお見通しであるという天使・ウィスをしても予想外な事しか起きない一日であり、何度驚かされているかわかったものではない。
予言魚さんの無き月から始まった奇妙な出来事を紐解くだけの筈が、いつの間にやら北銀河で神同士のような、人ではありえない次元の戦いを繰り広げる場面に遭遇しているのだから・・・・だがその戦いもまた奇妙で、戦士とは思えない優しい面持ちの男を相手に、屈強で武の申し子と言わんばかりの戦士が泣きつき始めている・・・泣いているのに戦う事をやめられず、相手のラディッツという男の表情がどんどんと優しくなっているのはどういう訳だろうか?
何故、相手の精神が乱れた事で倒す好機としないのか・・・・動きみ心も乱れたブロリーという男は、先程盛大に怒りをまき散らしていた黄金の戦士で充分に倒せそうな程に弱っているというのに、気力が充実しているラディッツという男は何故とどめをささずにこんな茶番とも呼べない者に付き合っているのか・・・ウィスをしても、ラディッツという男の考えが全く分からなかった・・・
・・・・・・・・・・・・・
「・・・・・またですかね~リーキュ・・・・」
破壊神の従者をしても伺い知れないラディッツの心は、フリーザ様達には丸っとお見通しであった。
ブロリーと武力で遊んでいる訳ではない
力試しなんて金輪際ない!!ただ・・・・これは自分達の時と同じ事になると、フリーザはため息をつき頭痛を堪える様な気持ちで親衛隊隊長に愚痴り
「そうですね・・・・ラディッツはまた-許す-方向で決まったみたいですね。」
有能であり、ラディッツの良いところも悪いところも全て知り尽くしているリーキュもまたフリーザ同様にため息をつきながら答えるのを、マトマとスーナもまたラディッツがやらかそうとしている案じはじめる。
「ラディッツらしいっすけど・・・・クウラ様達がそれを・・・」
意外と武力だけではなく、外交と政治にも明るいマトマが、ブロリーをラディッツが許した後で、今度は主人の兄とまた一悶着あるのでは無いかと危惧するマトマを、単純一直線な性格のスーナが鼻を鳴らして一蹴した!
「ふん!!!ラディッツ攫ったクウラ様がどう思うなんて知った事じゃないわよ!!それよりもフリーザ様、ブロリーって子許してもいいですか?」
・・・あり得ないほどの不敬罪を口にしながら(フリーザがどう思おうとも、クウラはフリーザの兄なんですよ・・)、フリーザにお願いをするスーナは図太すぎるだろ。
そして
「お前もかスーナ・・・・だが、-フリーザ殿-、あのサイヤ人を許してはくれないだろうか?」
行く当てが無いのであれば、自分達が面倒を見るというスーナの言ったことは全部叶えてあげたいベジータの言葉に、同盟を締結したばかりの相手の要請にフリーザは眉根を寄せて考え込み、自分達をズタボロにした輩に業腹なクウラは憮然とするが、ラディッツが許すと決めたいう事が決定打であり、反対する理由がない。
自分達も似たような事をやらかして、それでもラディッツの優しさという名の甘さに救われているのだから・・・・だが!!あの子は本当に絆され過ぎだというフリーザの言葉に、その通りだと悟空達も頷いて同意を示す・・・・兄は、本当にどこまで器がでかすぎるんだろうか
サイヤ人名のラディッツは兎も角として、地球名の孫 悟雲は、その名の通りの雲であった。
自由な雲は、怒りで雷雲となり嵐を巻き起こそうとも、それが全てでは無い
刻一刻と、それどころか瞬くうちに形状も役割も変える雲は、最早ブロリーに対する怒りはなく、ブロリーを疲弊させそして
「ラディ?」
ふらふらになって力尽きる寸前のブロリーを、ラディッツはそっと受け止め胸の中に抱き寄せた・・・
ずっとこうする為に、ラディッツは少しずつブロリーのエネルギーを削る戦いをしていたのだ。
ともすれば、ブロリーを一瞬で消せるであろう力の調整に四苦八苦しながらもそれでも
「ブロリー、俺はお前とパラガスさんが生きていてくれて嬉しかったんだ。」
「へ?」
ラディッツの穏やかな声と言葉の内容に、ブロリーは素っ頓狂な声で応えたが
「カカロットみたいに、俺はお前のことを私か本当の弟の様に思えていたんだ。」
「う、嘘だぁ〜。」
「ん?」
「ならどうして!俺の事を弾くんだよ!!どうして!!」
力尽きながらもそれでも強く言葉を否定するブロリーを、ラデキッツは優しく抱きしめる。
己よりも巨大で頑丈な肉体と力を持ちながらも、童のままの子供の頭を優しく撫で
「俺はなブロリー、フリーザ様達が大好きなんだ、クウラ様達が大好きなんだ。
カカロットやリーキュ達も大好きなんだ。」
お前を愛する様に、そう言われては最早ブロリーから一切の戦う気配がなくなりそして、黒い髪をしたサイヤ人の青年を抱くラディッツの姿がそこにあった。
自分の手に入らなくとも、ラディッツの愛を確認できた事を満足して
それが嫌って殺そうとしたフリーザ達と同じ道を辿っているとは、ブロリーは知らない方がいいだろうが、闘神と星々の力を借りた半神の戦いは、こうしてあっけない幕切れで終えた。
派手なぶつかり合いで宇宙がさらに破損することもなく、誰かの生命を喪う事なく、奇跡の様な幕切れで
誰もが安堵した
兄を守れて、兄を守れて、父を守れた事に安堵の息を漏らした。
だが、それは平和な終わり方とは程遠いものとなった
穏やかな終わりの代償の様に、暴れる事をやめたブロリー抱きしめたままラディッツも意識をおとしそして
やらかしたクウラ達や、ブロリーが力尽きるのを感じ慌ててブロリーの側に駆けつけたパラガスも連れて二日後に地球に帰還し、山村の悟飯達の前に宇宙船が降り立ち、ジュニアに横抱きにされ宇宙船から降りて祖父悟飯や父達の悲鳴の様な涙声が山村の中に満ち溢れても
ラディッツの目覚めることはなかった・・・
息はしており、脈だとて正常に動いているのに!
弱仙豆を飲ませてもメディカルポットに入れても何をしても、ラディッツの瞳が開かれる事ない中での、地球への帰還であった・・・