俺ラディッツは弟を絶対に守り抜く   作:ドゥナシオン

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孫悟飯

ふぅ~・・・・・・?

 

どのくらいカカロットを抱きしめて泣いていたか分らないが、ラディッツは一つの違和感をカカロットに抱いた。

 

確かにカカロットは生まれた直ぐ後から自分が抱き上げればご機嫌になってくれたが、今のカカロットは下級戦士用保育カプセルで施された戦闘特化の性格が刷り込まれた直後であり、物心がつくまでは同族であろうとも触れた者に対して殴る噛むなどの荒い気性をしている筈であり・・・悲しいがそうでないとおかしいのだ。

 

其の事は予め保育カプセルを設置した者達からの注意事項で受けている。

 

保育カプセルから出した後は、眠っている時以外は余程でない限り不用意に抱き上げない事を。

 

普通のサイヤ人達であればこんな注意事項受けるはずないのだが、ラディッツとギネはらしくないサイヤ人として一躍有名人であり、万が一ラディッツ様が弟を抱き上げて怪我なぞした日には・・・・間違いなく弟は殺される・・・誰にとは言えないがそれは兎も角として、可愛いと不用意に抱き上げないでくださいとガッツリと釘を刺されたラディッツが、注意事項で受けたはずの荒々しい性格とは全く違てキャラキャラと嗤っている弟をまじまじと見といると

 

「ほっほ、少しは落ち着いたかな?」

 

不意に背後、それも直ぐ真後ろからかけられた声に、ラディッツはぞっとした。

 

未知の惑星で何が不意に襲ってくるか分らない状況なので、スカウターの索敵モードをずっとオンにしていた筈なのに!声を掛けられている状況でもスカウターのセンサーは反応せず、クソ雑魚であってもこんな近距離に近づかれて声を掛けられるまで自分すらも気が付かなかった事に心臓を鷲掴みされたような恐怖がラディッツの背を駆けあがる。

 

弟を抱いて飛びさがろうにも室内でそれは出来ないと見たラディッツは、恐る恐ると声の主を見る為に背後を振り返る。

 

戦闘力といおうか、生命反応は一から捉えられるスカウターが反応しないという事は、アンデットとか幽鬼の類であればどうするべきかまで、真剣に考えながら・・・いやラディッツとしては本気であらゆる危険性を考えた結果脳内大暴走して少々阿呆になってしまったのだ・・・・・阿呆の子ザルに・・・

 

しかしだ!声を掛けられたという事は少なくとも自分がすぐに殺されるという危険性は低かろうし、きちんと考えれば弟の今の姿はきちんと布おむつがはめられている!そこから考えるに!!少なくとも後ろに居る者は弟を保護ないし拾ってくれて面倒を見ている方!!ラディッツの名推理が当たれば大丈夫だと確信したうえできちんと対面する事にしたのだ!!!・・・・・多分・・

 

 

何をどうしたって話しかけてきた者を見なければいけないので、後ろを振り返って見えた人物に、ラディッツの目が点になった。

 

見た目はふさふさの白いひげを蓄えた・・・どう見ても自分の知る地球のお爺ちゃんであった。

着ている者は中華風であり、其の事が益々この惑星は何なのだというラディッツの疑念に拍車をかけきょとんとしたのを、初老のお爺ちゃんはラディッツから-邪気-を感じない事で警戒を解き、気配でそれを感じた老人はこれで話ができるとほっと胸を撫で下ろした。

 

 

薪と今日の晩御飯になる獲物を取ってきて家に帰ってみれば扉が開けはなたれており、泣く声が聞こえてきた驚いた。

 

気配を消してそっと覗き込めば、数日前に拾った赤子を抱きかかえて泣いている子供がいた。

 

泣き声には悲痛な叫びの色が溢れており、幼子とも言えそうな子がまるでこの世の終わりのように泣く姿が哀れで見ているだけで痛ましげであった・・・・直ぐに近づいて慰めたいと思ったその時、泣いていた子は顔を上げそして

 

           

            俺ラディッツは絶対に弟を守り抜く

 

 

 

痛ましげな気配を纏いながらも、誓いを立てたラディッツという子供の姿に慰めるのは失礼だと思いなおして泣き止むまで待っていた。

 

ラディッツと言うものは確かに拾った赤子の兄であるのかもしれない。

見たことも無い服の腰部分に見えるのは、自分が名を付けた-悟空-に生えているのと同じ尻尾の様に見える。

 

子供は悟空を抱えたまま自分を見てポカンとしている。

先程の様に痛ましげに泣くよりもずっとその方が子供らしくていい事だ。

 

「儂の名は悟飯、孫悟飯という。」

 

埒を開ける為に名乗った孫悟飯という初老の人の名乗りに、ラディッツは弟を片手で抱き抱えながら慌てて空いた手で涙を拭って己も名乗る。

 

「俺の名前はラディッツと言います!・・・・この手の中にいるのは俺の弟でカカロットと言います。

もしかして・・・貴方が数日間弟を?」

「ほっほっほ、同じ尻尾があるのを見て兄弟じゃと思ったのが当たったようじゃな。

如何にも、その赤子を儂が数日間此処で見ていたのじゃが、そうかカカロットという名があるのか。

積もる話が沢山あるじゃろう、お茶でも飲みながらゆっくりと話そうかのぅ。」

「へ?」

 

・・・・・この世界って本当になんだ?

 

 

お茶に呼ばれる事になったラディッツは、眠ってしまったカカロットを抱いて勧められた椅子に座りながら周りを見まわし益々訳が分からなくなる。

 

竈の一つで湯を沸かしているところを見ると電化製品の類はなさそうであるが、それでも恐竜がいる世界で中世時代の生活をする人類がいる・・・・恐竜が絶滅せずに人類が共存している類の惑星とは珍しいものだときょろきょろとする。

 

家の内装は奇麗で壁は見た感じでは漆喰のようにも見え、椅子も雑貨類もフリーザ軍やサイヤ人とも違う・・・自分の知る地球に本当によく似た光景や手触りに驚きしかない。

 

なによりも

 

「儂の家はそんなに珍しいかのラディッツ君や?」

「あ・・・・そうですね、自分の住んでいたところよりもその・・・居心地が重視された良い家かと。」

 

サイヤ人の家は酔ったり喧嘩が起きても容易には壊れないよう頑丈重視であり、フリーザ軍の方は機能美を追及しているがクッションや木の椅子などは殆どなかったのでラディッツの感想に嘘はなく、それを感じ取った悟飯を喜ばせた。

 

「ほほ、それは嬉しい言葉じゃのぅ。この辺りはパオズ山といっての、山の中には儂の家しかないど田舎でな。

そのど田舎家をここまで褒めて貰えるとは、苦労して立てた甲斐があると言うものじゃ。」

「貴方がご自分でこの家を建てられたのですか!!??」

「なにせこんな山奥じゃからのう。業者に頼んで建ててもらうのも悪い気がしてな。

なに、一人で住む分に不自由のない大きさじゃからそこまで手間取らんかったよ。」

「いえ・・・凄い事かと。」

「ほっほ、そうは言っても家具なんぞは街に行って・・・」

 

言葉が通じ合っている事が最大の疑問であった。

 

どう見ても銀河公用語を使うような発達した惑星に見えない星に住んでいる孫悟飯という老人と、銀河公用語を使っている自分が普通に会話をしている事がおかしいのである。

 

単に航路先を変えられただけであれば、行き先予定だった星は自分達と同じく銀河公用語を主としている星であり、あの宙域一帯であれば納得はいく。

 

だがこんな簡易宇宙船も飛んでいないド田舎どころか辺境の最果てかもしれないこの星の住人と話せる理由を考えればラディッツは一つの事しか思いつかない。

 

スリープ学習

 

ごく稀に長距離移動先の星の言語を覚えるときに使われるポッドに備え付けられている学習装置で、この星の言語を学習する事を組み込まれて飛ばされた・・・一体自分と弟をここに飛ばした者達の狙いがさっぱりと分からない。

 

ラディッツは当初は陰謀で飛ばされたと考えていたが、自分が目障りであればこんな超長距離に飛ばしたこと自体が不自然であり、航路はそのままで飛んでいる最中ポッドを爆破する細工をした方が遥かに簡単である。

 

戦闘力が三万近くになったマトマやゲンイン達にならその手は通じなくとも、戦闘力五千弱の自分であれば三日ほど航路を飛んだところでやれば、宇宙の藻屑と化して確実に仕留められたこと請負である。

 

にも拘わらずにもしかしたらこうして惑星に辿り着いて生き延びる可能性がある不確実性な事を実行した上に、言語まで学習させる意味が不明である・・・・本当に、誰が何のために・・・

 

コトリ

 

「難しい顔をして居るが、一息入れんかの?」

 

つらつらと考えていれば、いつの間にかお茶を淹れ終えたのか湯気を立てた湯飲みが置かれ優しく温かい声を掛けられる。

 

声と湯気の温もりに誘われるように湯飲みを持ち上げそっと飲めば・・・

 

「美味しい・・・・」

 

少しの酸味と甘さがほのかにあるお茶と温かさに、ラディッツの強張っていた体と思考が解けていく様を見た孫悟飯は嬉しそうに笑いながらラディッツの前に腰を掛ける。

 

子供が辛そうな気配を漂わせて考え込む姿に、悟飯は胸を痛めながらラディッツに話しかける。

 

「お主の弟の・・・カカロット君じゃったかな、儂は勝手に-悟空-と名を付けてしまったんじゃ。

申し訳ないのう・・・」

「いえ!!・・・・数日間面倒を見てくださった人がその様な事で謝らないでください。

悟飯さんに弟が拾われなければどうなっていたのか分からなかったのですから。」

「そう言ってもらえると儂としても助かるわい。」

「いえ・・・・その・・・弟を拾って保護してくださった経緯をお話しいただいても・・・」

 

必死に探していた弟を保護してくれた人に、きちんとしたお礼をしたラディッツとしては、弟がどのようなお世話を受けたのかを知った上で礼を言いたいので聞かせてもらえるかという言葉に、悟飯は快く話してくれた。

 

「あれは三日前の昼前じゃったな。少し遠くにある村に野菜を求めた帰り道に天から尋常でない光が落ちてくるのが見えたのじゃ。」

 

その光の軌道は自分の家の帰り道と同じ方向であり、気になったのですぐさま落ちた場所を身に行けば、見たことも無い丸い物体が岩山に激突をして煙を上げていた。

 

見れば窓の様なものがあり中には赤子と思しき者がおり、隔てられた声は聞こえないが泣いているようであった。

 

「必死に開けるところはないかと扉を叩いたり周りを押してみたのが功を奏したのかの・・・」

 

扉の下部分を押せばへこんで空気音が漏れるような音を立てて扉が開き慌てて体を差し込めば頭から相当量の血を流したのが分かるほどの怪我をした赤子は、それでも力強く泣いていた。

 

直ぐに持っていた手拭いを赤子の頭に巻いて止血し、そのまま家に連れ帰り適当な手拭いを布おむつのように巻いた。

 

尻尾がある事には驚いたが其れよりも赤子の体が酷く冷えている方を何とかしようという方に気がいき、湯を沸かす間に自身の服をはだけて赤子を中にねじ込み己の肌で温め風呂に入れる頃には、尻尾の事がどうでもよくなっていた。

 

「その子は怪我をしていても儂が抱き上げ包み込んだ時笑ったのじゃよ。」

 

先程ラディッツが抱き上げた時と同じように、笑いながら自分の顔やはだけた胸を嬉しそうにぺしぺしと小さな手でたたいてくる様が可愛くて、愛おしさがこみ上げそして・・・

 

「温まったその子を寝かしつけた後、他に同じような丸いものはないかと周囲を探し回ったがおらなんだ。」

 

この赤子はたった一人で天から降って来たと思った故に

 

「儂の孫として育てようと思い、悟空と名前を付けたんじゃよ。」

 

その悟空は次の日には傷がふさがっており、キャラキャラと笑い、かわいい孫が出来たようじゃと笑う孫悟飯に、ラディッツは無言で頭を下げるのであった。

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