俺ラディッツは弟を絶対に守り抜く   作:ドゥナシオン

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もしかしたら・・・

人とは他人の成功談を聞くよりも、失敗談の方にこそ好感がもたれやすいと・・・・前世の大学の教授に教わったなと、自分とブルマの馴れ初め話をし終わったラディッツは、あんたよく結婚してもらえたわねと言ってくる向こうのブルマと、おらの結婚と同じくらい大変そうだなとか向こうの悟空に言われたり、男女の間は分からんとかピッコロには言われるし・・・何よりもベジータ達にもほとほと呆れられた顔をされている・・・・訳の分からんもんからデリカシーにかけている変な奴と認識されたらしい。

 

怖れられるよりは大分ましか・・・・・

 

話し始めて大分経ち、夜も更け切った頃合いに自分の話で向こうの人達の雰囲気が更に柔らかくなったのを感じて安堵したラディッツは、うつらうつらとしながらそんな事を頭の隅でちらりと考える。

 

向こうのラディッツと違いすぎる自分・・・・俺が辿ったかもしれない道を違えられてよかったと思いながら

 

ポスン

 

「寝ろ親父。」

「ジュ・・・ニア・・・俺はまだ・・・・」

「眠いんだろ?寝ればいい。」

「ん・・・・やだ・・・」

 

父の眠気をすぐさま感じ取ったジュニアの胸の中に倒れ、寝てしまえという息子の言葉にラディッツは首をかぶり振って寝ようとしない。

 

気配で妻のブルマだって眠そうにしていないのに、片付けだってまだ何もしていなのに・・何よりもあちらの破壊神様達の寝る場所だって決めていないのに・・・・

 

 

「兄ちゃん、洗い物くらいおら達で大丈夫だ。チチと姉ちゃんをおらの家に送ったら全部すっから寝てくれよ。」

「え?私お兄ちゃんの側で・・・」

「あ!姉様!!そっだらはしたねえ事知らねえ人達の前でしたら駄目だべ!!

そっだら事よりも悟空さ、おらも洗い物するべ!!」

「あのなチチ、悟天はまだ一人で寝たら寂しいって思うぞ?早く帰って一緒に寝てやれよ。姉ちゃんも暫くはチチ達と一緒に寝てくれ。」

 

何も無いとは思うけどと、初妊娠で双子をその身に宿している姉を気付かう弟の思いに免じて、ブルマは引きさがりチチと共に悟空が送り出すと同時に、セルはラディッツを横抱きにし先に休ませてもらうも寝室へと向かった。

 

二人がいなくなると同時にクリリン達が慣れた様子で食器を台所に運び始めて例によって例の如くのようにジュニアが待っていて手早くきれいに洗っていくのを唖然として見ていた悟空達も、せめて運ぶくらいはと慌てて台所へと運び始める。

 

「・・・・下げてもいいか?」

「・・・・・・・好きになさい・・・」

 

・・・・すんごくあり得ないけれどもフリーザが空にした皿やワインのグラスをベジータが下げたりもした・・・

 

フリーザも少し口にすればそれなりのエネルギー補給になるという代謝の良さを発揮したのだが・・・・美味だった・・・・全てを食べきってしまう程に・・・・それを認めるのは癪だし、第一

 

「貴方が食器下げまでするとは驚きですよベジータさん・・・」

 

この男も丸くなったものだというのは分かっていたが、まさか台所仕事の手伝いをする程とは思わなかったが

 

「食わせてもらった者への礼だ。」

 

ぶっきら棒ながらも自分への問いに答えつつ、飯美味かったと言いながら向こうの者達と話をし始めるベジータの姿にこそフリーザは驚いた。

 

自分の軍の中にいた時は、同族二人に対してもどこかよそよそしく冷たく、自分達には隠しているつもりであったろうが嫌悪とそしていつか殺してやるという殺意と自尊心からくる傲慢さがベジータの全てであったのに・・・・変われば変わるものだ・・・・

 

ベジータも運び、チチと姉を送って来た悟空も戻って洗い物に入り、他の面々は魚や鶏の骨、果物の皮などの生ごみを捨てテーブルと椅子をテキパキと拭いていくヤムチャと天津飯の姿に、向こうのクリリンと亀仙人も手伝おうとしたが、お疲れだろうからと優しい声で止めながら残りを片付け

 

「お茶を全員分淹れたぞ。」

 

コーヒー・紅茶・ココア、果ては烏龍茶などもあるが好みが分からんから、とりあえず緑茶の薄いのを淹れたというジュニアの言葉に、ヤムチャ達はテーブルの周りに人数分の椅子を置きなおし、悟空が自然とフリーザの前に湯飲みをコトリと置いた。

 

視線からも態度からも敵意はなく、今更毒も無いだろうとフリーザがそっと口を付ければ

 

「・・・・・」

 

芳醇な香りの緑茶をゆっくりと啜り始める。

 

「・・・・聞きてえ事があるんだったら今なら聞くぞ?」

 

お茶を飲みながらポツリと言った悟空の言葉に、向こうの悟空がうずうずしながら手を上げそして

 

「あのさ・・・ここの・・・・おめえの兄ちゃんは強いんか!!??」

 

これが聞きたかった!

 

向こうの悟空の言葉に、もっと他に聞く事があるだろうが何とも悟空らしい言葉だと向こうのクリリン達は苦笑し、破壊神様と天使様の孫悟空らしいと呆れもっと有意義な事が効けないのかとフリーザ馬鹿を見る目で見る。

 

そんな向こうの悟空の言葉に、悟空は湯飲みを握りしめるのをジュニアがそっと手を当て宥めるのを見た亀仙人は

 

「・・・・どうやらあまり聞いてほしくない事をこちらの悟空が聞いてしまったようじゃのう。」

 

申し訳ないと立ち上がって謝し、どちらの悟空とクリリン達を慌てさせた。

 

特に悟空は単に強いのであればこの世界にいる間に一度は手合わせを願いたいと、本人は軽い気持ちであっただけに、武の師匠で沢山の事を今でも教えてくれる亀仙人のじっちゃんに謝らせる事をしてしまった慌てふためかせそして

 

「・・・・おら・・・・悪い事聞いちまったみてえでごめん・・・・。」

 

悪い事をしたら謝るんじゃぞと、亀仙人のじっちゃんと遠い昔に-じっちゃん-に教わった言葉を思い出しながら謝る悟空に、もういいとジュニアはいい

 

「俺達の親父は強くない・・・・・気の操作を誤るだけで体を損ねる程なんだ・・・」

 

この世界のラディッツの本当のところをポツポツと話し始める。

 

肉体はまるっきり戦いには向かないのに、星々と同族達の力を借りる事で白銀化とそして超サイヤ人ゴッドというものに一度はなって・・・・其の時の騒動を全て話した頃には

 

「ごめん・・・・おら・・・・本当に悪い事を聞いちまった・・・・」

 

悟空が悄然として謝り、本当に悪いと思っているんならもういいと、兄の身をきちんと考えて謝ってくれているのが分かった悟空は強張らせていた表情を緩める。

 

こいつはまぁ・・・・何というか子供っぽい奴だろうが悪い奴ではなさそうだと。

 

雰囲気が和らいだことで、向こうのクリリン達も悪いとは思いつつゴットのなり方は間近で見ていたので知っているが、サイヤ人の白銀化は知らないし第一

 

「星々の力を借りてというのは、元気玉とは違うんですか?」

 

悟飯の疑問に、破壊神と天使も首を傾げているのをジュニアはちらりと見ながら

 

「・・・・親父はこの地球から直接エネルギーを借りている。」

 

それは星の鼓動とも言える地核や大気、星の生命そのものを借り受け、果ては地球の意志が具現化した-鳥の姿のテラ-を介せば宇宙の星々からも借り受ける事が可能だという言葉に、こちらのビルス達同様に向こうの全員が絶句した!

 

ナメック星の元気玉を食らったフリーザ、地球の元気玉を食らったベジータも、あの当時そこまで強くなかった孫悟空から繰り出された元気玉・・・あれは確か星の生命の極わずかなエネルギーを借りていたと言い、そして地球自身とそこに住まう全て生命とそして悟空自身の力を込めた代物で、破壊神しか倒せないとされていた魔人ブウをも倒したすさまじいエネルギー。

 

それを自在に借りられるとは・・・・一見凄く便利そうだがリスク高そうであり・・・

 

「あの・・・・ラディッツさん以外には他のサイヤ人の方は白銀化や超化は出来ないんですか?えっと・・・父と被ってしまうので僕はあなたの事をカカロットさんと呼ばせていただきたいのですが・・」

「そうだな、おらの事はお前達はカカロットでも悟空さんでも好きに呼んでくれていい。

おらも超化にはなれるし超サイヤ人第二段階にはなれるけど・・・・あんまりなりたかないんだよ・・・・・兄ちゃんが嫌がるしおらもあれになると気が荒い戦闘狂のおらが出てこようとしてよ・・・・」

「なんだ、毎日修行してればいつかは抑え込めるぞ?」

「・・・・そしたらいつ仕事すんだよ・・・」

 

悟飯との話に入って来た向こうの悟空の言葉に、悟空はいつ仕事すんだと呆れる。

毎日あれを抑える修行をした後に撮影なんて出来ないし・・・ひょっとしてあいつは其れが可能な仕事をしているのかと思えば

 

「は?おら・・・ここ最近畑仕事やってるけど後は働いた事ねえぞ?」

 

・・・・・・・ぶっ飛ばしていいだろうかと思ったこっちの悟空は悪くないと思うが

 

「あのですね!父は僕達の地球の最終防衛線みたいな人でして!地球守るのが仕事みたいなものなんです!!!そのおかげで国王から(サタンさん経由で・・・)一億ゼニーいただいたんです!!!」

「そうそう!孫君は地球の防衛任務に就いてるの!!!」

 

なんとなくヤバいと感じた悟飯とブルマは必至に悟空を擁護した。

 

父がいなければ地球が何度滅亡しているかを思えば・・・・・その大半の理由が当人なのはこの際おいておいて嘘は言っていない悟飯は伝えたい事があるんですと話題変更を兼ねた本題に入った。

 

「超サイヤ人にならずとも、瞑想で自分の潜在能力を解放する-アルティメット-という強さもあるんです。」

 

超サイヤ人の二段階以上のパワーで精神を荒らさない方法を伝授する。

 

自分の時はナメック星の最長老様や老界王神様に潜在能力解放をしてもらったが、後に自分の力の底に潜ってする瞑想の仕方もあると知った。

 

あの老界王神様も、超サイヤ人は体を損ねるばかりで碌なものじゃないと言っていた。

 

それにその方法は師のピッコロさんがしているもので、だからピッコロさんはお父さんたちのようにぶつかり稽古をせずとも力が増していくんだと納得したのだ。

 

「そっか・・・・それなら好きな場所で静かにやれそうだな。」

 

自分が修行するとなると村の遠くに行かなければならいか、重力装置の部屋にこもるしかないが、瞑想なら自分の家のチチと悟天の居るところで出来るから心配かけなくて済む。

 

それに超サイヤ人の第二段階以上だとすれば、ブロリーにも追いつき追い越せるかもしれない。

 

良い事を教えてくれたと悟空は悟飯というじっちゃんと同じ名前の青年の手を取ってお礼を言いたいところだが、ふと見れば兄弟のクリリンと同じやつが妙な顔しているのが気になり聞いてみれば

 

「あのさ・・・・まるで地球や他の星にも人みたいに意志があるように聞こえた俺っておかしいかな?」

 

 

そんな不思議な話は聞いた事ないし・・・・神様や武天老師様からも聞いたことが無い。

 

疑問を口にしながら周りを見てみれば、元気玉を使っている悟空もそういえばという顔をしている、武天老師様やビルス様達も似た様な顔をしている。

 

だが自分達のそんな疑問に

 

「・・・・お前達の世界にはテラみたいなのはいないのか・・・・」

「確か・・・・テラは親父のエネルギーを送ったのに応えてくれたって言っていたからな・・・・」

 

こっちの俺とピッコロみたいなジュニさんにしみじみと言われた!!

・・・つまりこの世界では星に意思があるというのが常識らしい・・・・だとすると

 

「悟空とベジータ・・・・・俺が日頃お前達に言っている言葉を覚えているか?」

 

クリリンとジュニアの言葉にピッコロもクリリンの頭に浮かんだ思いがよぎり早速やらかしそうな二人に

 

「お前達が本気で激突修行するだけで地球にとっては悪い影響が出る・・・・ここにも神はいるだろうが俺達はここの世界の者達に世話になっている身だ。

間違ってもゴットだなんだのになって修行しようとするなよ?」

 

ただでさえ向こうの地球の環境に良くない修行をしているのを、こちらでされてこの地球に悪影響を及ぼしたら駄目だろうというがっつりと釘を刺してくるピッコロの言葉に、そしたら当分おら達なにすればいいんだよと口を尖らせる悟空に、帰る算段を考えるぞとクリリンと亀仙人の言葉に、俺はそうするからお前も我慢しろとベジータ達が話し合う中、ブルマはある考えが浮かんだ。

 

・・・・・星にも意思がある・・・・孫君とベジータの本気のぶつかり合いの修行で悪影響を及ぼされる地球・・・・え・・・ちょっと待って・・・・だとしたら・・

 

「・・・ルマ・・」

 

だとしたら私達って!!

 

「ブルマ!!!!」

「・・・・・ベジータ?どうしたの大声出して・・・」

「どうしたのかは俺のセリフだ!!どうした?やはりこんな目に遭ってどこか体調が悪いのか?」

 

突然ぼうっとし始めたブルマをそっと呼びかけたが返事がなく、とうとう大声を出したベジータはブルマの体調を案じるが、当のブルマはそれどころではなかった

 

何故なら・・・

 

「ねえ・・・・ベジータ、孫君達も・・・・私達がこの世界に来た時のこと覚えてる?」

「ん?・・・・俺がフリーザにあと一歩のところまで追いつめた時フリーザがデスボールを出して・・・・」

「おらがそれを止めようと飛んで行こうとしたらデスボールが何かの穴みてえなもんにのみ込まれて・・・」

「ガラスが割れるような音がして気が付いたらこっちに来てたのは覚えています。」

 

これは全員が覚えている事だ

 

突如として割れるものが無い筈の場所で聞いたあの音はきっと異次元の壁が割れる音だと、ブルマはここが異次元だと教えられた時に容易に分かった事だが・・・あと一つ聞いた事がある!!それは

 

「そしたら・・・・-出ていけ-って言葉を聞いた人いるかしら?」

 

ご飯を食べてお茶までいただき、体が物凄く温まった筈なのに体が震えを止められないブルマはテーブルの上の手を握りしめ白くなるのをベジータは優しく手を被せ

 

「俺は聞こえた・・・・もっと言えば、音ではなく頭の中に響いた感じだったがな。」

「そういえば・・・僕もその音が頭に響いた直後に・・・」

「俺もだ・・・」

「俺もっす・・」

「儂も聞いたが悟空、お主は聞いたか?」

「そういやぁおらも・・・・いや・・・出ていけってだけじゃなくて二度と戻ってくるなってのも言われたな・・・・」

「そう言えば僕も孫悟空が聞いた音が響いたの忘れてたよ・・・」

「私は・・・・聞こえませんでしたが・・・」

 

悟空とビルスのその言葉に、ブルマの白かった顔が蒼白になり震えはより一層激しくなり・・・青い双眸から涙が滴り落ちるのにジュニア達もぎょっとした。

 

出ていけという言葉にブルマが何を感じたのか分からず、だが婦女子には優しくが家訓のようになりつつある孫家の男一同は、慌てふためきながら柔らかいタオルを取ってきつつ、精神を落ち着けるハーブティを速攻で用意して飲み頃になるまでコップの外から氷で冷やし、程よくなったところでブルマに渡し飲んで貰う。

 

「・・・・ありがとう・・・・・美味しい・・・」

 

ハーブティを飲み干して少し落ち着いたブルマは、自分を案じてくれているベジータの側から離れ、ありったけの気力を振り絞ろうとカップを持つ手に力を入れる。

 

自分の推測なんて外れててほしい・・・・荒唐無稽で馬鹿馬鹿しくてそんな事はあり得ないと言って欲しい・・・・だけれども・・・・自分の知る限りの戦いの全てに関わってきた戦士達と、宇宙の法則を捻じ曲げているとまで言われたタイムマシンを作った自分が聞いた音を、世界に干渉していない天使ウィスが聞かなかった事・・・・これらを合わせて考えれば・・・

 

「あのね・・・・もしかしたらね・・・・・大外れかもしれないけれどもね・・・」

 

ブルマはカタカタと震えながら、遠い昔は敵同然だったベジータと敵だったザーボンを前にした時以上の恐怖に負けまいと声を絞り出し

 

「私達・・・・もしかしたら私達の世界の-地球-から追い出されたかもしれない・・」

 

異次元の壁を壊すエネルギーはきっと宇宙を開いたビックバン程の超エネルギーが必要だが、そのエネルギーにデスボールが使われたとしたら・・・・・・出ていけと、二度と戻って来るなと言ったのは地球の意志で・・・・地球と宇宙の理に触れ続けた自分達は厄介払いされてしまったのではないかと・・・・

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