ブチギレって行為に年齢て関係ないんだよな・・
エイジ734 惑星ベジータ・・・とある所にて
「畜生あのくそ親父!!風邪でもひいて寝込んで苦しめ馬鹿野郎!!!!」
ぜぇはぁと、肩で息をしながら目の前の巨大湖に向かって叫ぶ少年がいた。
齢六歳になるラディッツであった。
彼の容姿は普段はそこまで悪くないが、叫ぶ内容を誰かが聞いたとしても、その内容を咎めようとしない程に顔には青あざが、一般的なサイヤ人が着ている戦闘服の肌が出ている部分の赤黒く腫れた様を見れば、ラディッツの父親を知っている者達は、親不孝発言をされても仕方がないかと黙って見逃がす程にラディッツはボコボコ状態であった。
「俺が何したってんだよ!毎日毎日きちんと親父が-仕事-行ってる時も!親父が作った戦闘特訓メニューもしてから楽しく空飛んでたら怒るし殴ってくるし!戦闘力が伸びないくらいで怒んじゃねぇよマジで!!!」
四歳の頃から兎に角戦闘力が伸びない事を父親であるバーダックから言われて怒られ、特訓という名のしごきを受けているラディッツはもう限界であった。
ラディッツも最初は三歳の時に気功弾撃てた時は妙に機嫌のよくなったバーダックと共に喜んだが、それよりも空を飛ぶ方が楽しいのでついそちらに力を入れてはバーダックに叱られるというラディッツ的には最悪ループができてしまった。
バーダック曰く、飛ぶなんて言うのは当たり前の事であり、そんな事よりも気功弾をもっと強く練り上げて大勢の敵達を瞬殺できるようになれと言ってくる事に、前世地球の、それも平和な島国で育った彼としては、それは受け入れられる事ではなかった。
そんな物騒なことよりも、何時かは空を飛ぶ仕事ないかなと夢見ている。
しかし、現実は甘くはない。
今日も今日とて父の特訓という名の虐待もどきにとうとうラディッツはキレて、初めて鬼のような父バーダックに噛みついた・・・・文字通り手も足も出ないが、振り上げられてきた左腕に噛みついてやったのだ。
少しは痛そうにするだろざまみろと笑おうとしたら・・・・・残念父親の嗤い顔にドン引きして唖然として食い込みかけた犬歯が抜ける程口を開けてポカンとしてしまった。
だって・・・父親がバトルジャンキーで戦ってる相手が強い事に歓喜する変○に見えてしまったからしょうがないだろうと思ったラディッツはきっと悪くはない。
事実、自分の腕に本気で噛みついたラディッツに対して、バーダックは歓喜していた。
漸くこいつにも俺の血が表に出てきたのだと、それでこそだと
しかしその後がいただけない、噛みつくこと自体は悪くはない。
実際の戦闘なぞに美学だのなんだのと言っている連中は圧倒的な強者だからこそ許されるのであり
自分の様な下級戦士はどんな手を使ってでも敵を倒し生き延びる事が最も重要であり-潜在能力-では中級とは言え、いまだに-らしくない-ラディッツがとうとう牙を剝いた事が本気で嬉しかったのだが、その後自分の腕をかみちぎるでもなくここからがら空きになっている自分の腹目掛けて気功弾を撃って来るでもないラディッツに、詰めが甘いんだよとバーダックは呆けた息子をボコボコにし、うつぶせに伸びた息子に特訓メニューを言いつけ、終わるまで帰って来るなと言い捨ててギネの待つ家に帰ったのだ。
ここで一つラディッツが知らない事は、母ギネとそして糞親父と罵っているバーダックの心情である。
そもそもラディッツは自分の種族が戦闘民族と周辺宙域から怖れられている事も、現在は他の星を暴力で制圧した星を売り買いする為に手を組んだ筈のフリーザ軍、それもフリーザの圧倒的な強さに戦闘民族サイヤ人たちは丸ごと飲み込まれて手下となりはて、フリーザ達の命じられるままに他所の星を攻めて、それで給料をもらっている立場にいる事も何も知らない。
そして何故ラディッツが四歳を過ぎてからバーダックが戦闘力が伸びない事に苛ついている事も。
それはバーダックとそしてギネは本気で焦っているからだ。
自分達はもう下級戦士とランクという名の烙印を押されてしまったのだから仕方が無いと割とさっぱりとしている。
下級戦士であってもきちんとやる事を殺って、星をいい状態で陥落させれれば報奨だってくれるのがフリーザ軍のやり方であり、故に自分達を食わせてくれてかつ戦闘欲も満たしてくれれば上がベジータ王だろうがフリーザ様だろうが関係なく、楽しく暴れて愉快に酒が飲めればそれでいいというのが下級戦士と言われている者達の本音である。
・・・割とサイヤ人の上層部と現ベジータ王は本気で泣いてもいい気がするがそれは兎も角、六歳であるのに下級戦士の間の子供であるラディッツが、未だにどこの惑星にも攻めるような事なく本星ベジータにいるのは異例にも等しいのだがきちんと訳がある。
それは生まれたサイヤ人の赤ん坊は王族も例外なく戦闘能力検査を受け、ベジータ王の息子のベジータ王子も受けている。
因みにその時のベジータ王子の測定値は三千と非常に高く、文句なく最上級戦士になる事が約束されている。
そしてラディッツはというと、なんと千という下級戦士の間の子供とは思えない程の数字を叩きだしたものだから検査官が驚き、見守っていた出産後で疲れながらも我が子の戦闘力を見守っていた母ギネと、偶々仕事(他所様の星にカチコミをかけて殲滅してきた)を終えて帰ってきていたので気紛れで出産に立ち会ったバーダックをも本気で絶句させたほどであった。
検査官は何かの間違いだと躍起になって何度も、それこそスカウターを取り換えてまで調ベ直したが、検査官的には非常に残念ながら結果が覆る事はなく、潜在的には中級であると認められたラディッツは、下級戦士が一般家庭で使われる育児カプセルではなく、認められたサイヤ人が入る事を許された育児室のカプセルで育てられ、三歳になった頃戦闘能力が千二百と割と低めだがまぁまぁの位置である。
もしかしたら将来、父親のバーダックの様に八千越えとかに化ける可能性もあるので-飛ばし子-は免れ、本星での様子見教育となった。
そこから一年経ち四歳のラディッツは千五百になったが、そこから先が少しずつしか伸びず、六歳になってからは検査官からもこのままであれば中級戦士をはく奪して下級戦士として飛ばし子にすると通達された時、サイヤ人としては珍しく同族意識が強く仲間を大切にし、家族を愛するギネは、せめてラディッツが十歳くらいまでは一緒にいたいと心が引き裂かれそうになった。
そして意外な事に、下級戦士と侮蔑されている自分達の下に生まれながら中級戦士となってくれた我が子に屈辱を味あわせて堪るかと、これまでの自分の境遇を思い起こしながらバーダックは心の中でガチギレを起こした。
振り返ればバーダックは確かに戦闘は好きで、三度のギネの飯と同じくらいに好きだが、だからと言って自分の周囲の状況、特に上級戦士やフリーザ軍達の嘲る事を隠そうともしない侮蔑的な視線を無視できるほどにバーダックは出来た男ではなく、何なら自分を見下している奴等を皆殺しにしてやりたいと腹の底で願っている程である。
ラディッツから見ていて感じている、父は何に苛立っているのかという理由はここにあり、こんな糞みたいな生活に折角良い機会に恵まれた息子を落としてたまるかと、バーダックは本気でラディッツを鍛えようとしている。
だかしかし、古今東西親の心子知らずは同じであるのが残念であり、何も知らないラディッツはとりあえず言われた事も出来ないのかと糞親父に言われるのも癪なので、ボロボロの体をおして言われたメニューをこなしてから-お気に入りの巨大湖-に飛んで行って叫んだのだ。
日が傾きかけた居るので最後の叫びをしてやろうとラディッツは背をそらして肺腑一杯に息を貯め込み、糞親父の馬鹿野郎と叫んですっきりとしてさあ帰ろうとしたが・・・
「仕事を増やす馬鹿野郎ども!!!字が汚い奴マジで滅べ!!!!!!!」
・・・・なんかいつの間にやら隣に知らない奴がいる。
短い白髪の髪をおったて一般的な戦闘服着てスカウターをつけている爺さんが、片手に紙の束を握りしめて・・・
「何が悲しくて書類仕事は全てコンピューターに読み込ませれば自動処理してくれる時代で!字が汚すぎて読めないからと×判定喰らった書類を儂が処理せねばならんのじゃ!!
数字も字も汚すぎて毎回確認に往復しなけりゃならない爺の事を労われんのかあのボケどもは!!!!!」
・・・・・・何だろうか、片や一般であれば(サイヤ人的にはもう大人と同じ)幼児と呼ばれるであろうラディッツと、名も知らない爺さんが世の理不尽と無常を嘆く絵面というのはシュールである筈なのに、どこか似た悲哀を出しているのは何故なのだろうか
その問いに答える者は誰もいなかった・・・・