俺ラディッツは弟を絶対に守り抜く   作:ドゥナシオン

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降り立ちし者・・・・

空では大気圏ギリギリでメタルクウラがアルティメット・悟飯と激突している時、地上では-セル達-が猛威を振るっていた。

 

「こっちこっち!!ばぁ~か!喰らえ!!!」

「きゃは!死んじゃえ!!!!」

「弱い弱い!こんなの金縛りじゃないよ~だ!!!」

 

セルは完全に地球の陰の気の扱いを覚えフュージョンしたゴジータを相手にし、徐々にゴジータのパワーを上回り始め、拮抗していた戦闘が少しずつ押され始めゴジータの肉体に傷がつき始めるのを、セルは嘲笑う。

 

「どうした!私を倒してこの世界の可笑しな男を助けるのではなかったのかね!!??」

 

最初の威勢はどこに行ったと、蹴りと同時に放たれた言葉にムカッとしたのがいけなかったのだろうか?

 

「隙有り、という奴かね?」

 

ズン!!!!

 

「「・・・・ハ・・・・・」」

 

数十合という短くも長い打ち合いの末に、セルの重いボディーブローを受け止めようとしたがゴジータの思考が怒りで揺らされたせいか一瞬反応が遅れた・・・・

 

-この薬は瞬間的にしか効き目がありませんがいいんですか?-

-構いませんよ-

 

その瞬間的というのが自分達の戦いにおいては致命的になる・・・・・少し前に!この世界のブルマとフリーザの会話の通りに、-瞬間-が明暗をわけたのだ・・・・攻撃が避けられないと悟ったゴジータが瞬時に腹に気を張り巡らせたとはいえ、セルのめり込んだ拳は容赦なく第二の追撃をする・・・・握りこぶしが離れる前に、拳を開いて気功弾を腹に向けて容赦なく撃ちこむ。

 

ゴジータが、声なき悲鳴を上げる。

 

あまりの激痛の嵐に声すらも上げられずにいるゴジータにセルは哄笑したくなるのを堪えている。

 

まだだ、また油断をしてはあの時の二の舞になる

 

かつて童子と見縊っていた孫悟飯に大敗を喫したセルはあの時の事を片時も忘れた事は無い。

 

念願の孫悟空を偶然に殺せた形にはなったが、最期は童子・孫悟飯に殺された自分・・・こいつ等がバラバラになった時こそ!はじめて勝利を得たと死骸を踏みつけ存分に嗤ってやるのだ!!

 

それはセルが産まれる理由となった打倒孫悟空という、ドクターゲロが生み出したプログラムの所為か、それとも完全体になった事で得た自我の所為か、どのような理由にしろ狂気をも孕んだようなセルの執拗な攻撃は、確かにゴジータに致命的なダメージとなり・・声すら上げられない悲鳴も絶え果て・・・・

 

「ふふ・・・・他愛のない・・・」

 

ぐったりとしたゴジータの首を掴み、ここにかめはめ波ほどの質量の気功弾を放てば死ぬだろうかと思いを巡らせたセルは

 

「行儀の悪い・・・」

 

ほんの少しだけ意識を浮かせ反撃を試みて左掌に集めたゴジータの気を尻尾を伸ばして打ち据え目論見を潰す。

 

「お前達は最早死ぬ、お前達の死と共にこの世界の者共もな。」

「「・・・・お前が殺したいのは俺達だけだろう・・・」」

 

セルの言葉に、ゴジータは一言いう度に激痛に耐えながら、この世界の人達は関係ないだろうと言い募るのを、セルは一笑に付す。

 

「あの可笑しな男は私を攻撃しただろう?あの男だけを殺してもいいのだが、-この世界-はあの男を愛しているとでも言えばいいのか・・・・あの男を殺すにはこの世界の関係者一同を屍にしなければできそうにもなくてね。」

 

知っているかね二人共?この世界の者達は実に狂っているのだよ、ラディッツという男一人を守る為に、全宇宙を巻き込むような奇妙な事になっている事を。

 

帝王がフリーザが、その兄のクウラが、生き残っているサイヤ人達が、果ては地球の強者達があの男の為ならば躊躇いも無く戦いに身を投じるのだと・・・・自分達に教えを説くようなセルに

 

「「は!!!それだけあのあんちゃんが皆に慕われているんだろうよ!!お前と違ってあのあんちゃんはいい人だからな!!!!」」

 

そんなすまし顔のセルにゴジータになっているベジータと悟空は思いっきり鼻で笑い飛ばしてやる。

 

確かに自分達もあの気の良さそうで笑った顔が実によく似合うラディッツの優しさに触れて、そして実感した・・・・この人を守ってあげたいと

 

実に不思議であった

 

地球で愛する者を得てようやく愛というものを少しずつ知り始めたベジータが

愛を知っても時折それよりも修行や強者との戦いに興じ、家族・身内以外にはさして関心を向けない悟空

 

そんな二人のサイヤ人が初対面でほんの少ししか触れ合っていないこの世界のラディッツにそんな感情を持った事が当人たちが一番不思議かも知れなかった。

 

それでもあの笑顔に何かを感じたのは本当なのだし・・・・こいつを道連れにして自爆して悟飯達を元の世界に返してついでだがこの世界のラディッツを守るのもいいと思う程に

 

「そうかね・・・だが・・・・そんな事は!死ぬお前達にはどうでもよかったな!!!」

 

悟空達の決意を感じ取ったのか、セルは勝者の余裕を引っ込め掴んでいるゴジータの首筋の指に力を込め

 

 

フォン

 

声なき悲鳴を再びゴジータに上げさせると同時に気を練り上げる

 

首とそして忌々しい声を出す声帯諸焼き切る気功弾が放たれようとした。

 

「さようならだ・・・「異世界の敵よ・・・」

「だ!!!」

 

新狼牙風風拳!牙巻き!!

爆裂閃光弾!!竜巻の型!!!!!

 

 

ゴジータに止めを刺そうとしたセルの声に覆いかぶさる声に、セルが誰何しようとした時

 

ゴジータの首筋を掴んでいた右腕が吹き飛び、セルの右腕を落とした者はそのままゴジータ諸共遠くに飛び退り、残された左手を伸ばして追おうとしたセルを大量の気功弾が取り巻き渦巻くようにセルを絡め上げ誘爆していった。

 

一つ一つの気功弾のエネルギーはさしたる量ではないが、全てが絡みつき誘爆した時のエネルギーは凄まじく、セルを消耗させるに足り、辛うじて膝をつかずに前を向いたセルが目にしたのは

 

「・・・この世界のヤムチャは鶴仙流とは・・・・笑えるな・・・・隣にいるのはこの世界のピッコロに相当するジュニアだったか?」

 

鶴仙流の道着を身に纏いゴジータを肩に担いでいるヤムチャと、白いワイシャに灰色のスーツズボン姿のピッコロの様なジュニア・・・・この世界は本当にシュールだとセルは笑いたくなる。

 

何だこの出鱈目な世界は・・・・仕事をしているピッコロなぞピッコロではなかろうと余裕の笑みを浮かべながら。

 

「お前達が来たからと言って戦況がひっくり返る訳でもなしに・・・死にに来たのかね?」

「「・・・・・・」」

「やれやれ、冗談さえ介さないなぞ無粋で詰まらん。」

 

瀕死のゴジータにこの世界の仙豆でも食べさせられる前にさっさと殺すか

 

満身創痍のゴジータを助けられでもしたらかなわんと、動こうとしたが・・・・

 

「・・・なん・・・・だと・・・・」

 

気が付けば、セルは膝をついてた・・・・・それどころか膝をついた感覚もなく・・・ジュニアとヤムチャの間に降り立つ男の気配すらも感じ取る事が無かった・・・

 

「き・・・・さまは・・・・が!!!!」,

 

辛うじて左手で体を支え平衡感覚を取り戻そうとするセルに無造作に近づいた男は、セルの疑問に答える事無く掬い上げるようにセルの顎を蹴り上げ腹を無造作に踏み抜き、地面と己の足にセルを縫い留め、そこで漸く動きを止め体を折り曲げセルの顔を覗き込んだ男は

 

「私の愚かな弟弟子が世話になったな。」

 

冷気を孕んだ殺意を乗せた瞳でセルを見遣る。

 

「が・・・・あ・・・・貴様・・・・私に何を・・・」

 

通常であれば、腹がやぶれようがこの程度の傷なぞダメージにもならないというのに体に力が入らず男の好きにさせてしまっている事が業腹な事この上ないが、相手の男の怒りの方がセルよりも尚深かった。

 

「貴様が閉じ込めたと思っていた愚かな弟弟子がな、珍しく私に助けを求めたのだよ。」

 

近頃は平和で、平和でなかろうとも愚かな弟弟子の周りの者達で事足りる事件ばかりで、漸くあれに平穏が訪れたのだと、見ていて楽しんでいた。

 

奇妙な弟弟子の周りに寄り添うようにいる穏やかに笑う兄者を、自分をおっちゃんと慕うあれの弟達を、自分を師兄と慕うあれの下の弟妹弟子達はあれの周りにいるとよく笑う。

 

自分がそれを外から眺めて楽しんでいるのを・・・・

 

「私の楽しみの邪魔をする貴様を殺せる力が無いのが口惜しいな・・・」

 

確かに無力化するなり自分よりも下か少し上回る者くらいならば殺せる毒を体内に飼いなしているが、残念ながら貴様を殺すに足る毒はない。

 

無いが

 

「貴様・・・・・ジュニア達もヤムチャ達も私が生み出したセルジュニア達と戦っていた筈だ・・」

「んん?・・・・・あれは私よりも弱かったのでな愚かな弟弟子が寄こした助けを求める声と具体的な指示が届いて速攻性の毒で瞬殺したぞ。」

 

地球にいる異次元のセルが生み出した幼体の位置と、迎撃している味方の位置を事細かく。

 

それを伝えれば自分がどうにかしてくれるとでも信じたのだろう。

 

-・・・・・師兄、今俺はテラの内側にいます・・・・詳細は世界を無事に助けてそちらに戻ってから必ずお伝えします。

其の為にも師兄の力がいるのです・・・-

 

そんな事をしおらし気に請われれば、応えてやるのがあいつの言う兄弟子の役割なのだろが、腕が錆び付いておらんといいのだが・・・

 

そんな風に考えながら桃白白は体内で飼っているナノウィルス性の毒を自分よりも先に教えられた現場に向かわせそして、セルジュニアとやらの体内に侵入をさせ神経毒で麻痺をさせとどめは周りに任せ、機動性の高い攻撃をするヤムチャと目くらましの攻撃が出来るジュニアを連れそしてセルを一時的にだが拘束をして、見下ろす。

 

「残念だが私にはお前を殺し切る力は無い。」

 

だが、お前は死ぬ

 

そう言い切る桃白白の後ろに静かに降り立ったのは、黒髪に深淵の闇を詰め込んだような冷え切った黒い瞳の悟空であった・・・・

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