「貴様は一目見た時から気に食わなかった!!貴様の言う-父君-とやらを殺す前にズタボロにしてやるぞ!!!」
「は!!!貴様如きが私達の父君を殺すだと?寝言は永眠してから存分に言うがいい!!
あぁ・・・死人が二度死ねばそれは消滅であったな・・・・ならば今すぐ寝言を言い切り消滅しろ!!!!」
悟空が桃白白を連れ去ってすぐに、ラディッツの息子のセルが同じ名前を冠した人造人間セルを消滅させようとかめはめ波を練ったのだが、桃白白のナノウィルス性の毒から八割がた回復したセルもまたすぐさまかめはめ波を出して消失させ、そこからはセル同士の肉弾戦へと切り替わった。
肉弾戦を仕掛け、維持させているのはラディッツの息子のセルの方
自分もあちらのセルも肉体再生は出来るが、自分は地球の気を借りるなどという荒唐無稽に近い事は金輪際できない・・・・自然にしている父には本当に感服しかないのだがそれは兎も角として、長期戦になれば自分のエネルギーの方が先に底をつく・・・・出来るだけ長く戦い時間を稼ぐ一手を-孫セル-は選んだ。
だが
「私相手に時間稼ぎが出来ると思っているとは滑稽だな!!!」
そんな思惑は向こうのセルには端からお見通しである。
自分だとてこんな出鱈目に近い気の操作が出来なければ同様の手を使い、再生なぞ出来ないくらいの極大技を使うタイミングを計る。
そして目の前の自分からすれば-セルもどき-は、自分を瞬時に消滅させられる程の力量は無いと初戦の勝利で確信している。
ならば目の前のセルもどきが出来る事はただ一つ
この世界の孫悟空かあるいはメタルクウラとやらを倒した孫悟飯も入れた二人を待つか、どのみちとれる方法は時間稼ぎ位なものであると確信したセルは、セルもどきのお遊びに付き合ってやっている。
肉弾戦であってもエネルギーを使う事にかわりはなく、自分の攻撃を受け止めるだけでもセルもどきのエネルギーは削られ肉体へのダメージも蓄積され、自分同様に設計された人造人間であるのならば肉体のダメージは自動再生され、そこでもエネルギーが使われている筈である。
ならばこのセルもどきの思惑に付き合いって絶望に落としてやるのが一番面白そうだと傲慢な悪癖が鎌首をもたげて遊んでいる状態であるのだが・・・・・
ズシュ・・・・
「・・・・流石に飽きたな・・・」
「な・・・・・」
ガハッ!!!
五分かそこらで飽きたと、孫セルの胸をセルは無造作に手刀で貫いた。
確かに卓越した武の持ち主ではあるのだが
「圧倒的な何かを持ち合わせている-私-とはずいぶん違うのだな・・・・出来損ない殿?」
「あ・・・・ぁ・・・・」
「互いに死人同士で-セル-の名前の誼で見逃してやろうか?」
孫セルの耳に顔を近づけセルはひそりと毒を流し込む。
お前が父君と呼ぶこの世界のラディッツを共に殺すのならばと
向こうの孫悟空とベジータと孫悟飯を殺した後、自分を追い詰めたこの世界のラディッツが一番悲しむ方法で殺してやるのは愉快だという言葉は・・・・・残忍で残虐で・・・ラディッツを愛する者が聞けば瞬時に感情を沸騰させる言葉に
「ふ・・・・ふっふっふ・・・・くっはっはっはっは・・・」
孫セルは冷笑をもってむくいた。
手刀で貫かれながらも嗤う孫セルの態度に、これは拒絶かと判断したセルは詰まらない奴だと失望する。
何かしらの言葉を用いて自分に降った振りの小芝居くらいは見られるかと期待したのだが
この世界のセルもまた、-ラディッツにいかれている一人-だとセルはとうに知っている。
そのセルが自分の言葉をどう処理するのかを見てやる為だけに餌を与えたのだが・・・
「つまらん・・・・さっさと貴様を・・・・・」
「どうする?」
「・・・消す以外の・・・・・な!!????」
「-消えてしまったお前の手-で私をどうするつもりだ異界のセル殿?」
「き・・・・さ・・・ま!!何をした!!!!!!!!!!」
見るべきものはもうなにもなく、貫いた手刀を抜いて宙に放って最大のかめはめ波で消滅させようとした異界のセルの手刀にしていた方の手が無くなっていた!
攻撃を受けた衝撃はなく、まして今捉えているセルもどきに何が出来る訳も無いと高を括っていたセルは本気で狼狽え詰問するのを、孫セルは心底見下す。
地球の膨大な気を使えば消えた腕なぞ幾らでも再生できるだろうに、そうせず狼狽えるなぞ同じ地球の気を借り受け自在に使いこなす父君と何と違いすぎるのだろうと侮蔑を隠す気もなく
「なに、私はかつて-ジュニア兄君-と同化した事があって同化の感覚をよっく覚えているのだよ。」
ナメック星人の細胞を持つ者同士であれば可能だろうかと試してみれば可能であったなとクスクスと嗤う孫セルの思考に、異界のセルはそんな馬鹿な事があるのものかと怒鳴りそして引き離そうとしたが
「貴様!!放さんか!!!!!!!」
ズルズルと、異界のセルは孫セルに飲み込まれていく。
そんな馬鹿なと混乱するが,元々ーセルーは他者の生命エネルギーを吸収して爆発的なと成長を果たすように設計されているのだが、異界のセルはーパーフェクトセルーになってから何十年も経ち、その事を失念していたのが致命的であった。
でなければ吸収されるリスクの高い肉弾戦なぞで遊ばずにエネルギー弾で甚振り殺していた。
だが現実はそうならずに右腕が飲み込まれそこから辿るように徐々に少しずつ・・・・まるで蟻地獄にはまって抜け出せないのに焦り始めた異界のセルは、核だけを残して自爆しようと地球の陰の気を集めようとした。
死ぬのは貴様の方だと・・・だが
「気・・・気が・・・抜かれていくだと?・・・・」
異界のセルの気は反対に-ナニカ-に吸い出されていき呆然となり、それを見た孫セルは原因にすぐに思い至りおかしくなる。
「くっく・・・・テラに反撃をされたか・・・・父君に手を出した者をテラが許す筈も無い。」
恐らく桃小父上のナノウィルス性の毒攻撃を食らって弱った時を狙って貴様との悪縁をテラが引き千切り、反対に抜くようにしたのだろうという孫セルの言葉に異界のセルは歯噛みをして最後の足搔きとばかりに孫セルの喉笛を噛み千切り再生する為の隙をつこうとしたが
ザン!!!!
異界のセルの首の方が堕ちた・・・・
・・・・・な・・・ぜ?
分からないと・・・・異界のセルの見開いた目が映し光景は
「・・・・風切羽・閃」
孫セルが生み出した数多の刃の様な気の嵐が迫り・・・・真っ暗になり消滅をした・・・
「・・・・お前・・・・そんなもんを取り込んだら体を損ねるんじゃないか?」
異界のセルの首が落ち消滅をし、残りの体が孫セルの取り込まれるのを見ていた-クリリン-が心配そうに声をかける。
神殿にピッコロを預けて駆け付けた向こうのクリリンは、最期の力を振り絞って過去最大の切れ味を擁した気円斬で異界のセルの首を斬り落とす事に成功し、孫セルも残りのボディを同化させ何事も無かったかのように援護してくれたクリリンに笑いかけようとしたのだが・・・・どさりと音をたててぶっ倒れた!!!
「お!・・・おい!!!!大丈夫か!!!!」
慌てて近づいたクリリンはセルを抱き起そうとしたが
「大丈夫・・・・悪いものを食べたようで・・・・・・消化不良だ・・・」
「・・・・・は?」
悪いもの・・・・
「ふは・・・」
確かにあれは
「はっはっはっは!!!この世界の人達ってやっぱりどっか変わってるな!!!!」
悪い者だと思い至ったクリリンは、セルが消滅をした事で一気に緊張感から解放されたのも手伝って、物凄い無茶苦茶な方法でセルを消滅させたのに、ぶっ倒れておいて悪い者を拾い食いしてしまったくらいの暢気な事を言うこの世界のセルの言葉のおかしさも手伝って爆笑してしまった・・・向こうでは、自分の親友が命を落として漸くであったのに・・・・同化させて勝なんて・・・
「はぁ・・・・俺ももう空っぽだ・・・後は悟飯とこの世界の悟空さんにかかってるのか。」
「・・・・・大丈夫だ・・」
「ん?
「叔父君がきっと勝つ。」
全てを使い切り疲れ果てて自分の側に腰を下ろしたクリリンの、何処か諦観した声にセルは確信している言葉を放つ。
もうここまでくればジタバタしてもしょうがないではなく、悟空叔父が勝つ事を信じようという言葉に
「そうだな・・・・悟空さんが勝ってラディッツさんを取り返したらまた美味しい物作る手伝いするか・・・・」
「私も手伝おう。」
戦い尽くした二人の戦士は、共に上空を見上げて胸のうちでエールを送る
残る敵・メタルクウラが倒される事を願って