エイジ760の九月の暑い日に、それは突然告げられた
「今から一年ないし数年寝る。」
そうしないと色々ともたないと破壊神ビルス様は山村の村民をはじめラディッツ達全員に告げた
元々寝るのが趣味なところがあるが、今回は其れには当て嵌まらない。
全ては前年の騒動で破壊神の力を著しく使ったのが原因である。
破壊神は全力ないしやろうと思えば大抵のものは-なんでも-瞬時に破壊できる(例外は天使と全王様・・・)
その代りその力の反動も当然ある。
その力をメタルクウラを倒す為にやむを得ず力を振い続け、本来なら騒動が終わった時点で数年くらいの眠りについた方が良かったのだが
「・・・・お前の子供はいつ生まれるんだ?」
これである・・・・どんな意味かはもう破壊神その人自身にも分からないレベルでブルマを大事にしているビルスは(わりとラディッツはどうでもいい・・・)ブルマの産む子供達を見てからにする事にして、なら双子が産まれたらすぐになるかとビルスの体調の本当のところを唯一知っているウィスは考えたのだが
「・・・・こんなふにゃふにゃな奴等、守らないと死んじゃいそうじゃないか・・・」
何て言って、双子が少しは大きくなるまではとで粘ったのだ・・・・色んな意味で微笑んだウィスにビルスはむかつきながらも、一週間睡眠で粘っていたのだ。
しかし双子が生まれて四か月後に限界を迎えてしまい、大事な話するから山村の中で僕を敬っている奴ら全員集めてよと言われたラディッツは何事だと思いながらもその日の夕刻に集まれる人達に集まってもらった中でのビルスの宣言が成され・・・・・当然・・・・
「や・・・やです!!!ビルス様に数年も会えないなんて寂しいです!!!」
「私達ビルス様がつかれ取れる料理沢山作る!!だから・・・やだ~!!!!」
「これ!ピラウにパオン・・・あぁ・・・他の子達も・・・」
ビルスを慕う山村の子供達は大泣きして、数年も会えないなんて寂しいから嫌だとビルスに縋りつき
「ビルス様!僕強くなってビルス様の代わりに悪い奴やっつけます!!だから・・・だからゆっくり休んでも・・・・半年くらいで・・・・」
超戦士の祖父と父を持ち、自身も文字通り地球最強の幼児である孫悟天も自分が戦うから半年くらいの静養で起きて欲しいと爆泣きして、悟炎とソラも大泣きしてビルスに吶喊してむしゃぶりつき、嫌だ嫌だと大泣きをして引き留めようとしたのだが・・・
「みんな、ビルス様を困らせたらいけないよ。」
ビルス様はこの宇宙を守る為に沢山の力を使って体が辛いんだと、一人一人を優しく抱き上げながらビルスから離して親の腕の中に入れつつ、子供にも分かりやすい説明をしていく。
ラディッツは子供達は本当にビルス様を大好きで会えないのは寂しく辛いという想いで引き留めようとしているのが分かるが、そのラディッツ自身が身に過ぎた力でぶっ倒れている張本人であり、肉体のしんどさを知っているから。
そして、ビルス様ご自身も其れが鳴ければと思う程に、ビルスの表情は何かを堪えるように歪んでいる。
ビルスは当初、自分を神として正しく敬い美味しいものを貢いでくる者達を気に入ったにすぎずに気紛れに優しくしていたのが、いつの間にか子供達の泣き顔を見るのが苦痛になるくらいになってしまって・・・・宇宙のバランスの為に、彼等と同じくらいの子供が大勢いる惑星を散々破壊してきたのに・・・其の事に何も思わなかったのに・・・
「・・・・数年はかかり過ぎだから、一年後には起きるよ・・・」
自分でも無茶な事を言居ている自覚をしながら一年ないしその次の年くらいには起きれるようにすると子供達に行ってしまう程で、食べる事が寝る事と同じくらいに大好きなビルスは宣言後に早々にビルス星で休眠に入り
「私はビルス様のおそばでビルス様をお守りしますので、ビルス様が起きるまでお会いできません・・・・」
ウィスもビルスを守る為に会えなくなってしまったのだ。
当然その事で-魔人ブウ-とその周辺事情の情報を得ている者達は
ラディッツの守りが手薄になる!!!!
この危惧に苛まれる事になった
向こうの世界も運悪く破壊神が休眠していたせいで地球丸ごと無くなる大惨事になったのだからと、フリーザもベジータも当然地球周りの警備は厳重化させるべく軍と部下達を派遣する事をラディッツ達自身に説明をしてくれたが
「・・・・・心配が消えないって・・・・贅沢なんだろうな・・・」
破壊神様を除けば宇宙で随一の強さを誇る者達が守ってくれているというのにと、悟優をあやしながら悟天の隣に横たわりながらブルマはぽつりと呟く。
なんで・・・・こんなに嫌な予感が拭えないのだろう・・・
・・・・・・・・・・・・
ブルマの心配事は、ある意味で的を得ている・・・・・主に宇宙の政治的な場所でラディッツを疎ましがる者達が増えているという、ラディッツを愛する者達からすれば最悪な事態が。
それは宇宙の食糧事情改善に着手する前から起きてはいた。
たった一人のサイヤ人を探すのに無駄に膨大な資金を使われるのはおかしい
全てはこの一言に集約されている。
フリーザ軍の中でもサイヤ人は数が少なく少数であるにもかかわらず、その少数がフリーザ軍の文官長を拝命されており、フリーザの親衛隊を占めている事態に多数の同胞がいる戦士達には面白くもない話であり、だがそんな事を面と向かって言うのは自殺行為である。
だからか、会った事がなく見つかりもしないラディッツが其の鬱憤晴らしの的になっていた。
しかしそれは害のない口さがない言葉のみであり、言っている者達を片端から殺していては軍は早晩崩壊するので堪えてくださいというナナバ達を始めとした文官達の言葉を、フリーザは言った者達を早急にではないがより危険度の高い任務で使い潰すという、実にフリーザらしくない迂遠な方法で罰してきたのだ。
当然ラディッツの功績と人柄を知る文官達だとて、言った者達を即死刑にしてほしいところであったが、巨大になった軍を回すための人材を簡単に消すわけにはいかなかったのだ。
惑星ベジータ周辺でそこそこの数の軍で好き勝手していた頃と違い、もう-フリーザ帝国-と呼んで差支えの無い領地をもってしまったのだから・・・
しかし、ラディッツが見つかり最早遠征をせずに
「あの子が安心して暮らせるようにしなくてはいけませんね。」
と、内政に力を入れる発言をしたフリーザの下でゲンイン達以外の惑星出身者達が大量に重要な役割を振られ、不満は其れなりに解消された筈が・・・・-権益-を侵されたと騒ぎ出す有象無象が
「・・・・・またですか・・・」
「はい、これで五件目です・・・・惑星アルタイの第三皇子で惑星カンの近くの守りにつかせている武官長が殺されたを皮切りに・・・・犯人の手掛かりは今回も無しです。」
殺されている。
惑星アルタイはフリーザ軍内では比較的に後から傘下に組み込まれ序列が低かった。
だが食料がそれなりに豊富で、周りの惑星よりもフリーザ達に食糧供給が多くそれ故に褒美のようにその星の第三皇子に役割を与えて重要であると内外に伝えたのだが、この度のラディッツの案が上手くいけばその優位が消される事に大いに不満を持ち、そもそもが-地球にいるだけで軍に何も後見せずただ思い付きを言うだけの存在-であるラディッツの存在を疎ましく感じていた。
それがあちこちにもちらほらと見られ、それは惑星サイヤでも同じようラディッツに不満と嫉妬が口の端に上るようにもなっていた。
ベジータ王は自分達よりも一人のサイヤ人を寵愛していると。
彼の実績を知らずにキューカンバのスカウターで共有された細身の役立たずそうなラディッツしか知らない者達からすればそれも当然なのかもしれない。
ラディッツが地球の気を借り、同族の気を借りやがては宇宙の星々の気を借りて強くなることは口外されていない。
ラディッツが脅威に映り、自分達のコミュニティに入らないのならば危険人物として消すべきだなどという益体も無い事を思いつかれないように、弱いが良いサイヤ人の同胞だと認識してもらうはずが、弱い奴が何故大事にされるのだといつの時代のどの場所でも似たような嫉妬・羨望は生まれるのだろう・・・・
惑星サイヤでその事に怒り心頭に発して口にした若造に焼きを入れたのは意外にもフリーザ親衛隊にして惑星サイヤの王妃・スーナではなく(・・・・スーナじゃ殺しちゃう)ベジータ王の最側近にして武官長のナッパであった。
彼は知っている
サイヤ人ならば力を示して武官をさせるべきだとさんざん喧嘩を吹っかけ遂に自分に向かってきてアーマーの腹部にひびを入れた時は
-やっぱりこいつは戦士です!!!-
を直訴しようとしたのだが、当人は中級戦士としては破格の力を示しても文官仕事に邁進していた事を・・・
そして様々な大人達の中でへこたれずに仕事をこなしていた事を・・・
力は確かに普段は弱いかもしれない・・・だが!精神は誰よりも強く!!根性のある奴なのをナッパは知っている。
それ故に、ラディッツを軽んじる者に拳骨付きの説教をしている。
しかしそんな事でラディッツへの反発心が消える筈もなく、フリーザの方も埋め火の様にくすぶるラディッツへの不満をどうするべきか、矢張り見せしめとして幾惑星ごと消し去るべきかを思案していた矢先の出来事であった。
当然第三皇子を殺されたアルタイは血眼になって犯人を捜そうとしたが、一撃で首の骨を折られた以外は何の特徴もなく殺され犯人が見つからない内にその後四件も同様の事が起きた。
これが二月前からの話であり
「・・・・・ラディッツの周辺とそしてあの子に強い不満を持つ者達の身辺もそれとなく見張らせていなさい・・・」
ゲンインの報告を聞いたフリーザは今できる唯一の事を指示し原因を下がらせ。
「・・・・・何事もなければいいのですが・・・」
単にラディッツへの不満を持った者が他の案件で敵対した者達に殺されただけの事件で終わってくれればいいのだがと、フリーザは溜息をつきながら地球のある方に目を向ける。
あの子に何事もなければいいのだが・・・・
・・・・・・・・・・・
「さ・・・・悟空さ・・・悟空さ!!!」
「あ・・・あぁチチおはよう・・・」
「もう悟空さ!寝すぎだよ!休みの日だからってもう昼になっちまうだよ?」
「いぃ!!??・・・本当だ・・・」
悟空はベットサイドにある時計を見て、寝すぎたな~とたはは笑いをしながら頭を搔きながら-楽しい夢-を思い出しながら愛妻の説教を聞いている。
ここ最近、兄の悪口を言っているから君が倒してお兄さんを守ってあげなよと言う言葉と、その悪口を言っていたという奴の顔面をぶっ飛ばして
「カカロット・・・・俺の為にすまない・・・ありがとうな。」
大好きな兄ちゃんに満面の笑みを浮かべながら抱きしめられお礼を言われる夢を見る。
兄ちゃんを守るのはやっぱりおらだとついつい悟空はニマニマしてしまう。
夢の中ではあるが、自分に話しかける奴曰く、兄の悪口を言う奴はフリーザの配下でフリーザは無能だから兄の悪口をいう奴を罰せないのだとか
・・・・やっぱりあいつは兄ちゃんにとっては害でしかないのだ
兄ちゃんがフリーザ軍の中にいる時から兄ちゃんを悪い奴等から守れなくて、兄ちゃんに毒を盛る事しかしなかった最低最悪な奴!
そんな奴よりもおらの方が・・・
「聞いてるだか悟空さ?」
「あ・・・うん・・・なんか楽しいけど-疲れる夢-見てさ・・・もう起きるよ。」
「・・・どっか具合が悪いんだべか?そしたら寝てた方が・・」
「いや起きるよ、ご飯食べたいしな。」
「そうけ?なら朝からこさえた肉饅頭あっためて来るから早く来てけろよ。」
「あぁ、直ぐに行く。」
現実ではなく夢の事である。
しかし自分にとっては楽しく爽快な内容を思い出しつつ何よりもチチに言った通りこの夢を見ると肉体が酷く疲れているという不思議な事がある。
その様子に説教をしていたチチが心配してくれるのが嬉しい悟空は、愛妻の肉饅頭を食べるべく着替えて寝室を出る。
その寝室の窓は-普段-ならば閉まって鍵も掛けている筈が、何故か鍵が開いている事と、何気なく居間に行く途中の洗濯機の中に入れた長袖の寝具の袖の端に微かに紫色の何かが付いていた事に悟空は気が付かずかなかった・・・・・