「なんじゃどいつもこいつも-亀!亀!!-と!!何故儂の様に優れた達人を褒め称えずに亀の奴ばかりがもてはやされておるんじゃ!!」
世間は馬鹿者ども揃いかと思うと-鶴仙人-はやっていられなかった。
珍しく-表-の武術界から武とは何かの討論をする会に出て欲しいと言うから行ってみれば、仕方が無いのぅ儂の見識が必要なほど今の武術界は小粒も良いところじゃて。
儂等の頃の武術修行と言えば、それは血がにじむような努力と大勢の兄弟子達や朋輩や下の者どもと切磋琢磨をしていたもんだが、今の武術界の修練からして生温い!
そう演説をぶってみればまぁまぁとお茶を濁されそれまでになり、控室に戻る道すがらで嫌な言葉が耳に入りおった。
-武天老師様が見つからないから同門だったと言われた鶴仙人呼んだら外れだったな-
-本当に同門かねぇ~。あのお方は良い名声を聞くが鶴仙人の方は裏と繋がって‥-
聞いた瞬間殺したくなったのを堪えた儂は絶対に偉い!
呼びつけておいて人を侮辱した者なぞ一昔であれば果し合いを申し込んで堂々と殺しておったものを!!
亀の生温さは武術界を矮小させただけだと何故誰も分からん!!
死にかけてこそ得られるものがあるというのに、それは行き過ぎだの果ては邪道だのとうるさい事を言いながら見てみるがいい、誰が気功弾を撃てる弟子を持っている?
誰が己の気のみで滝を割るような繊細な気を扱えるものが居る?
お優しくした分、武術界はかつてなしえたほとんどの御業が失伝しておるではないか。
その点、儂の弟にして鶴仙流を習得させた弟はどどん波を扱えるに至るほどの超絶達人になったではないか。
あれは脱サラして殺し屋になってから名を馳せ居った・・・クックック、其れでこそじゃ。
どこまでも高く羽ばたき儂の名前も高めてくれよ弟よ。
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様々な事をつらつらと思い出して酒を飲み、むしゃくしゃした気持ちで人ごみにいるのが煩わしくなった鶴仙人は、東の都から程よく離れた荒野に舞空術で来て散策をしてみれば、自分の知らない小僧が浮いているのを見て瞬時に頭に血が上り感情を沸騰させた。
自分が教えてもいない者が、生意気にも自分が血の滲む・・・・大嫌いな努力の末に編み出した舞空術を使っているのを許しておける程、鶴仙人という男は懐の広い男ではなく、なんなら小僧という事で大目に見て多少は手加減したどどん波で貫かれて死のうが墜落死しようが何の痛痒も感じない冷酷な男であった・・・・痛痒はと断っておこう
撃たれて驚いて落ちてしまったラディッツは空中で体勢を立て直し無事着地をし、指で背中の穴が開いた部分を触って溜息をついただけだった。
爺様が用意してくれた服なのにとぶつくさと文句を言いながら、元凶の目の前のご老体に苦言を呈する。
「・・・・痛くはないが服に穴が開いてしまったな・・・・いきなり乱暴が過ぎるぞご老体。
俺でなければ死んでいたぞ?」
「・・・・・・・はぁ!!!????」
他者の死に対して痛痒を感じずとも、自分が出会ってしまった未知なるものには恐怖が沸き起こる・・・・・気功弾不意打ちで背中に喰らってもケロリと喋っている小僧がいれば普通は怖い・・・・地球だもん・・・惑星ベジータやその周辺地域じゃないのだここは・・・恐怖を感じた鶴仙人が割とまともな感覚を持っているに過ぎないのだ!・・・多分・・
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まったく・・・・出掛けて一日目でトラブルって勘弁してほしい・・・俺なんで撃たれたんだ?
そもそもが、この地球にも気功弾を撃てる人達が居るのか・・・・稀に空飛べる人がいるって爺様が言っていたのをきちんと考えれば、気功弾を撃てる人もいるか・・
「ご老体、俺を撃った説明をしてほしいのだが・・・・・大丈夫ですか?」
「あ・・・・あぁ!!説明じゃと!そんな者儂がお前にしてほしいは!!
いったいなんじゃお前は!お前の様な小僧が空に浮かんでしかも手加減したとはいえ儂の人生最高傑作のどどん波をくらってもなんともないとはどういう了見じゃ!!」
・・・・・はい?・・・・これは・・・いわゆる逆切れという奴だろうか?
説明もういいからお引き取りしてほしくなってきた・・・
酒の勢いも手伝って、鶴仙人は目の前の理不尽に鬱憤をぶちまける。
「お前の様な小僧っこが!!儂の血の滲むような努力の結晶である舞空術を半端とは言えあやつり!虎の子のどどん波が効かない・・・お前の師は誰じゃ!!
さぞかし名のある者なのじゃろうな!!!」
そうでなければ許さないとばかりに迫る鶴仙人に、ラディッツは友人達が言っていた古いサイヤ人達の姿が重なって見える。
己の力に絶対の自信を持つ言動をしながら、常に誰かに認められたい傾向にあり力を振い見せ付け他者からの称賛を得る事を喜ぶとしている武張った武官達・・・己が分からない者を許しておけずに消すところはフリーザ様達も一緒なのだが一点だけ決定的に違うところがある。
他者の評価を気にするかしないか
しないのがフリーザ様達で、するのが・・・まぁ普通なのだろう。
誰もが自分に絶対の自信を持ち己の道を邁進して生きていけるわけではなく、比較し己の優位性を持ちたいと思うのもまた自然なのだろう。
これはどちらが良くて間違っているという話でもなしに・・・・
「ご老体・・・・面目ないが俺に師はいません」
「なんじゃと!嘘を言え!!それではなにか?お前は独学でそこまでの力と技術を得た麒麟児だとでも言いたいのか!!!」
誰に教えられた訳でもなく、自然に身に着けたと言われては-あの出来事-で一度は武を離れようとしながらも舞い戻り、先に名声を上げた亀に負けてなるものかと必死に追いかけ追い越し、遂には技の多彩性を身に着けた自分に価値がないと言われたようで、さらに怒り出す目の前のご老体を宥める為にラディッツはあっさりと自分の正体を教えた。
「俺、宇宙から来たものです。」
「・・・・はぇ?」
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ラディッツはあっさりと目の前のご老体に、自分の出自と民族の特性と育った環境を話し、話したら話したでご老体が頭を抱えながら呻いてる・・・
「こんなバケモン級の強さを持った奴が弱い世界・・・・世界がおかしいだろう・・」
・・・・うん、俺もそう思ったけど諦めたよ・・・・
だって親父とか親父とか親父とか・・・・如何、戦闘狂の代表格親父しか思いつけん・・・死にかけて強くなってよっしゃしてた人他に知らないけど・・・マトマとかもその傾向に走ってたっぽいから、無駄死にしないで長生きしておくれよ、遠くから祈ってるから・・・・如何、脱線した。
「俺の事話したから今度はご老体の事を話してください・・・・訳きちんと言うまで逃がしませんよ?」
「う!・・・・えぇい!!分かったわい!!!お前の世界では自然に身につける技術の内の一つかもしれんが!!この世界では空を飛ぶ術を使えるのは儂と弟だけじゃ!!」
血の滲む努力の果てに体得した事を、教えた覚えのない者がしていた事に腹が立ったと・・・殺意はないが死んでも構わん位だったからスカウターに咄嗟に表示された数値は十だったわけだ・・・・
考えてみれば目の前のご老体が編み出した空を飛ぶ技は舞空術といい、己の気を極限まで高めて身に着け、そしてそれを完璧にコントロールして飛ぶと・・・だったら気で身を守るか、当たってもそこそこのダメージになるような威力と墜落死するかどうかわからない高さで狙い撃ちしたと・・・・死んでたかもしれないけれど俺は生きてるわけだから別にいいか・・・・割と結果論でいくラディッツであったが、普通に評価したら目の前のご老体凄くないになる・・・間違っても無い面ではないと言っておく。
爺様の話ではこの世界で気を扱う者はそこそこいる。
しかしそれらの大半は無意識にしている事であり、鶴仙人達の様に己でゼロからマックスまでを自在に扱える者は数える程であり、ましてその気を自在に操り空を飛べる鶴仙人は紛れもなく超絶達人といえる。
これはラディッツと悟空の祖父になった悟飯でさえも遂に体得成しえなかった領域なのだから。
今度は鶴仙人の言葉で悩みだすラディッツに、鶴仙人の方から問いかけた。
「何を悩んでいるのだ?怒らんのか?」
手加減したとはいえ割と死んでいた状況を怒りもしないラディッツに、何を企んでいる問いかけたつもりだったのだが・・
「いや・・・実はですね、俺空飛べるし気功弾撃てますが、それは感覚的にしているのであってきちんと仕組みを理解している訳じゃないんですよ。」
「・・・ふむ、たいていの人間が筋肉や脳からの指令の電気信号によって動かされる仕組みを知らずに動いて喋って様々な事をしているのを理解していないのと同じか。」
「・・・はい!!まさしくその通りです!!!」
自分の一言で何を言いたいか的確に言いあてた鶴仙人の見識の深さに、ラディッツは凄い人見つけたと興奮を隠せずにお目目をキラキラとさせてしまった!・・・こいつ懲りない奴である・・・目の前のご老体に殺されかけたのにやらかした・・・
案の定ラディッツの素直な称賛に気をよくした鶴仙人は気が大きくなって髭をいじりながら何か悩みがあれば聞いてやるぞという態度をとる・・・・殺しかけた小僧相手に何してんだ・・・
突っ込みどころ満載の二人に対し、生憎突っ込み入れる者がどこにもいない中でトンチキなお悩み相談室が急遽開催された・・・・阿呆のような本当の話で・・
ラディッツ曰く、己の成している事に必要な根幹の気と言うものを実感した事は無く、こうしたいからと思えば体が自動でしてくれる感があるので強くなっても実感が湧かず、更に常時エネルギーを出しているという事は消費が激しくこれを自在に出し入れできれば自分という器が大きくなって、更に戦闘力というエネルギーを蓄えることが出来て強くなれるのではないかという。
ラディッツの話は鶴仙人からしても強い奴が何を言っているのだと話半分で聞くには勿体ないところがあり、一考の余地があった。
確かに自分も亀も・・・もういない同門達も最終的には気の体得をする事が一人前の証であると師・武泰斗から教えられた。
ただ漫然と使う者と自在に操る者とでは同じ百の力を使うにしても雲泥の差があると。
師の教えに間違いはなかった・・・・・それでも巨悪の前では無駄死にをしてしまったが・・・もう遠い昔であって近頃は忘れていた事を・・・何故目の前の小僧が師と同じ事を言うか・・・・その教えだけは覚えている・・・同じく教えられたくだらない正義は捨てたが・・・・この小僧を儂の手でさらに強くし大成させることが出来れば・・・
「小僧」
「何ご老体?」
「ち!儂はご老体ではない、鶴仙人と呼ばれておる。」
「あぁ・・・だから頭に鶴が飾られてるんだ。ふふ、可愛い鶴だと思ったらご老体が鶴仙人と呼ばれているからトレードマークみたいなものなんだ。」
鶴を見て笑う小僧に、鶴仙人はしめたと思った。
「小僧は鶴が好きか?」
「へ?・・・・俺も小僧じゃなくて孫悟雲って言う名前がある。
爺様が付けてくれて、雲中白鶴って言う言葉から雲って言う言葉を選んだって教えてくれた。」
「ほう、なかなか学のある者じゃのう。」
「うん!爺様は凄く素敵な人なんだ!!俺が鶴が好きって言うの知らなくても鶴に縁のある言葉で名前を付けてくれたんだもん。」
祖父を褒められグイグイと迫る悟雲ことラディッツに、鶴仙人は頬を引きつらせながらたたみかけにいった!ここが勝負!!
「そうか、儂の名前と縁のある・・・・奇縁じゃのう。」
「へ?・・・あぁまぁ確かに・・・」
鶴仙人の言葉に、ラディッツは苦笑する。
確かに出会い方は最悪であったが、話してみればしっかりとした見識を持ち、しかも気を扱う事が稀な中でも上澄みどころか超トップの一人が目の前の鶴仙人。
まぁ自分の周りは割と物騒で危ない人達ばかりで・・・ある意味鶴仙人は真っ当な方だと一般人感覚マヒした・・・・もといお亡くなりあそばしたラディッツに、これはいい感触だと鶴仙人は勝機を捉えた!!
「悟雲よ、先程の事は儂の失態じゃ、どうかこの通りじゃ。」
「な!!なにを!!」
鶴仙人は躊躇いも無く土下座を敢行したのだ。
どう見ても奇貨たるこの子供を逃がさない為に、自分と小僧しかいない状況だからこそできる鶴仙人流の抜け目のない一手。
これを見ている者は他におらず、目の前の小僧は善良そうであり言いふらすものには見えないと計算し尽くして案の定
「頭を上げてください鶴仙人!俺は大丈夫でしたし元々怒っていませんでしたから・・・」
そう、強者の中で過ごしすぎて、先程の出会いの仕方は世間では間違いなく案件ものか力のままに殺される事もあった筈なのにそれをしない事から導き出した狡猾の一手で切り開いてできた道を鶴仙人は走り切った。
「詫びとそしてお主の才に!!儂は惚れきったのだ!!!!」
「は?・・・はぁ・・」
「是非お主の強さを磨く手伝いを儂にさせてくれ!!」
「その・・・先ずは立っていただいて・・・」
「いいや!お主が答えてくれるまで儂は立たんぞ!!!」
頭を上げても正座で地面に座り続けながら言い募るラディッツは、鶴仙人の望む言葉をまんまと言ってしまった・・
「えぇと・・・・その・・鶴仙人は・・・・俺の武術の師になってくれるという事でしょうか?」
そう-師-と言う言葉を言わせる事。
自分から言えば断られること請負であり、それよりも自分で答えに辿り着いて言ってみた言葉の方が、己自身の中で受け入れる可能性が高まる!
「その通りだ・・・・お前から見れば儂の様に弱い者が何をというかもしれん・・・だがしかし誓おう!お前の強さを使って何か悪意のある事を成さん!!そんな事の為に申し出た訳ではない。」
純粋にお前を育てたいのだという熱意に、善悪問わずにこういう熱意に弱い・・・ちょろすぎる・・・
しかしだ、ラディッツとしても一応はきちんと考えているのだ!・・・過去を思えば本当かなと疑いたい所ではあるがきちんと考えていた。
超絶達人であるのに小悪党臭が何故かする鶴仙人が悪事成そうとした時は自分がボコって潰せばいいかと・・・・超一流軍団の次期文官長の思考とは思えない脳筋であったが兎も角!
お金稼ぐ仕事に就くだけではなく、強くなって弟を守りたいラディッツは、この世界有数の実力者に会えることなど早々ある事ではなさそうだと考える。
独学でやろうにも、もう付き合って力を高め合える者達は周りにはいない・・・
侵略宇宙人が来てしまった時、力が足りないと嘆く事態が来る可能性を低めたいラディッツと、元から強さは備えているが使いこなせないラディッツを育てる事で己の名声を高めたい善良と悪党の利害が一致して
「よろしくお願いします・・・えっと・・」
「師匠とでも好きに呼べ。」
「分かりましたお師匠様!」
元気一杯に返事をするラディッツの言葉で、奇妙な縁で結ばれたデコボコな子弟が誕生をした・・・・・
この奇妙な縁が、やがて地球に幾度も襲いくる危機を乗り越えられるかもしれない一助となる事を思いもせずに