俺ラディッツは弟を絶対に守り抜く   作:ドゥナシオン

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初めましてとさようなら・中篇

「暗黒魔界の者が何故姿を現したのです!?

目的はなんですか!?」

 

時ならぬ暗黒魔界の住人を名乗る者の堂々とした出現に、いち早く反応した界王神・シンにトワは空中に留まったまま心底見下した瞳でシンを見遣りながらシンの誰何を馬鹿にする。

 

「貴方は界王神様でしたっけ?暗黒魔界の住人の私が何故貴方に目的を教えないといけないの?

それとも、神と言われている身であれば誰もが貴方に平伏して質問に答えると思っていたのかしら?」

 

生命を生み出す御技を除けば実質的な戦闘はこの船の主たるフリーザのー本気ーにすら勝てないのに何を偉そうにとケラケラと笑われるのを、従者のキビトは主人を侮辱したトワに激昂しかけるが

 

「確かに私の力はここにいるフリーザやーラディッツさんーには遠く及ばない。

それでも出来る事がある限り私は私のすべき事を果たすのみ。

もう一度問います、貴女が悟空さんを操った者ですか?」

 

しんとしたシンの瞳は一片の揺らぎすらもなく己の力の非力さを認めつつ、それでも己に出来る事をするのみと淡々と語るシンの姿にトワはシンには心理戦は通じないと見てとり方針を変える。

 

界王神が未熟者で自分の言葉に動揺する者であるのならば、心の隙をついてー操る事ーが出来るのであれば連れ帰るつもりであった。

 

魔人ブウの復活のエネルギーの為に。

 

フリーザ達に勝てないまでも界王神の膨大で純粋なエネルギーであれば取り出してーすぐにー魔人ブウの封印の球を奪いエネルギーを注入して程なく復活させる事が出来るだろうから。

 

しかし己の不意の出現と嘲りの言葉にも一片の揺らぎすらもない静謐なシンの気配に、矢張り当初の予定通りにするしかないかとトワは内心で落胆する。

 

いつ破壊神が目を覚ますか分からない状況であれば暗黒魔界側にとっては一分一秒すら惜しく最短ルートをできれば行きたいところではあるが、トワはすぐに口撃相手を切り替えた。

 

「確かに私がそこの孫悟空の心に入り込んだわ。

ただし私は孫悟空の夢の中で貴方の最愛のお兄さんを穢している者達がいる事を教えて、実際にそいつらを殴れる状況を作ってあげただけよ!!」

 

そして殴られた者達が孫悟空の拳に耐えきれずに一撃で死んでしまったのはそいつ等が弱かったのと孫悟空が兄を穢した者達を許さずに手加減せずに殴りつけただけで、自分は兄・ラディッツの悪口を言った者達を殺しなさいと命じても唆してもいないと、トワは人を殺したのは悟空の純然たる意志だと再び笑い

 

「どうかしらフリーザ!貴方の大事な配下をそこの孫悟空が五人も殺したのよ?

確か貴方達はこの半月その犯人を躍起になって探してたわよね?

それと悟空!貴方の大事なお兄さんの事を悪く言っている者はまだまだいるのよ?それでもいいの!?」

 

トワは双方を煽るように少しずつ心を支配する時に使う魔術の力を、言葉を発しながら空気に溶け込ませてこの場にいる者達全員の心を荒そうと試みる。

 

この一年間トワ達はラディッツを本気で消滅させるべく彼の為人は無論の事、人間関係を徹底的に調べ上げられ綿密な計画の下で心を操つり働かせる者とー贄ーを誰にするのかを選び実行した。

 

孫悟空を嫌い抜きまして配下を殺されたとあればフリーザは許さず、今厄介で忌々しいラディッツの腕の中にいる孫悟空を取り上げるように動くはずであり、何よりも自分の言葉に正気を取り戻してしまった悟空の心が激しく動揺している。

 

トワは悟空の心に入り込んだ時に心底驚いた。

これほどの強さを秘めながらもーただの一人ーも手にかけたことのない悟空の純粋で清らかな魂に!

 

孫悟空は一度として敵を最後まで倒した事がない

 

それはいつも兄・ラディッツがしてきたから。

 

武道家であっても悪人を倒す事があるかもしれない可能性をラディッツが全て引き受けた。

 

鶴仙流も含めた弟妹達の手を汚させない為に

 

ラディッツの願い通り悟空の手が汚れる事はなかった・・・今日までは

 

ラディッツが守り抜いた純粋な心と魂を反転させた時、その反動でどれほどの力を手に入れるのか純粋に科学者としても見てみたいとトワの胸が高鳴った。

 

その悟空が、自分は夢ではなく現実の世界で人を殺したと告げられた事に激しく動揺した!

 

自分が夢の中で兄の悪口を言っている奴らをぶっ飛ばしてのが本当は・・・では先程、フリーザが止めてくれなければ・・・自分は悟天を

 

夢と思い悟天を軽くどかそうとしただけが、悟天を・・・最愛の我が子を手にかけていたかもしれない事に悟空の心は千々に乱れた。

 

自分の目の前にいるであろう悟天の事を、悟空は兄の腕の中から出て確かめようとする気力すらが抜け落ちた。

 

トワと名乗った女の話を聞いて、配下を殺されたフリーザ達と息子とジュニア達と、何よりも兄の反応がどうなっているのかを確かめるのすらが悟空にはおそろしかった!

 

トワの話しが終わって誰も何も発されずに、母艦のエンジンオンだけが響く。

 

己のした事に息子は自分に怯え、ジュニアとブロリーは自分を軽蔑しフリーザ達は怒りと心を操られた自分を侮蔑しているのかもしれない・・第一兄がどう思ったのかを考えるだけで悟空は怖しかった!

 

するつもりはなかったとはいえ、己を悪様に言っただけの者の生命まで奪った自分をどう思ったのか・・・兄に嫌われたら!自分は本当に生きていくのが・・・

 

怖ろしくて、そして己が犯した罪の重さに悟空の心が闇に落ちかけた時

 

「それがどうした。」

「・・・は?」

「聞こえなかったのか?それがどうしたと俺は言ったんだ。」

 

ラディッツの声が響いた

 

悟空の人を殺した罪を一番嫌悪すると悟空が思い込んでいた兄はたった一言で蹴飛ばし、トワもそんな一言で一蹴されるとは想定外であり思わず変な声をあげればまるで愚か者に対して言い聞かせるようにもう一度言われてしまった!

 

しかも悟空をますます大事そうに腕の中に抱きしめながら

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