エイジ761 十月十一日の深夜 地球の荒野
「はぁ〜・・・」
新月前の月が空に頂点に引っ掛かる深夜、山村を北上した先にある荒野のど真ん中で一人の男が深いため息をつきながらあぐらをかいて座り込み、空の月を見るともなく見ている。
長い黒髪が地面につくのも構わず、普段楽しい事や良き事があればぶんぶんと振っている尻尾も髪と同様に地面に悄然としおれるようにつけている。
ため息をつきぬがら、本当は泣き叫んでしまいたい、喚いてしまいたいと心中を千々に乱しながら
何故平和なままでいる事をー周りーは許してはくれないのか?
ー自分達ーはただ、家族と仲間達と周りの人達と笑いあい時には助け合いながら穏やかに暮らす事だけが願いなのに・・・トラブルはいつだって理不尽にやってくる。
こちらのささやかな願いを踏まにじる様に
戦いなんて大嫌いだ
物語りの英雄譚なんて、本当に話しの中だけで始まり終わってしまえばいいのに、物語りよりも数奇な運命はいつだって大切な家族と周りの心を乱して傷つける。
活躍なぞ望まない
そんな事よりも温かい料理を作って食べてもらい、家族と仲間達と訪れる人達と・・・
そんな取り留めない思いにふけっていると
バサリ
「テラ・・・テラは優しいな・・・・あれ、ティラ達もいつの間に・・」
地球の化身たる小鳥のテラが心配そうな気配を出しながら肩に留まってきたのを合図にようやく周りを見てみれば、ティラをはじめとした荒野の動物達が心配そうな顔でいる。
あの説明会の後、夕餉となり食べ終わって片付けをしてすぐにここにきて、もうだいぶ時間が経っている。
一人で綺麗な星を月を見ても気分は矢張り晴れないが、それでもテラ達の優しさに心が温かくなる。
想いに温まりながら地球も宇宙全体も、テラやここにいるみんなの様に優しくあってくれればいいのにと、祈る様な思いで肩に留まったテラをなでつつ、攫われてしまった大切な家族を思う。
どうか手荒に扱われる事なく、無事でいてほしいと
遠くの魔界にて、その様子を見られている事とは露とも思わずに
・・・・・・・・・
「ハッハッハ〜!!あの男があんなに腑抜けた姿になってるよ〜トワ。
お前があいつの弟攫った効果抜群だね〜。」
「・・・そのまま腑抜けて堕落して死ねばいいですね。」
バビディーは水晶に写っているーラディッツーを見て上機嫌に笑い、横で共に見ているトワはーせめてあと半日ーはそのままでいてほしい、できれば気落ちしたまま死ねばいいと忌々しげに呪いの言葉を水晶の向こうの男に投げつける。
無茶をしすぎた
それは何も怨敵にも等しいあの猿野郎だけではない!!
魔界側もーはったり半分ーを本当の戦力に見せる為に、無理矢理双子の炎と氷の技に暗黒魔界の瘴気を混ぜて、あの世とこの世の境界線で合わせ技をさせて大爆発を起こさせる事であの世とこの世を繋げ、その後に双子にラディッツを攻撃させれば大当たりして、魔人ブウの復活のエネルギーにする孫悟空を攫う事に成功したのだ!!
無論あの世に自分達だけで往来するのは訳なく、一年前からラディッツ周りを恨むなり戦いだけの狂気じみた輩なりに粉を掛け、出現させたいポイントでの結界破壊を実行したので、自分達の実力である事には間違いない!
間違いないのだが・・・あの世の亡者を単身で往来させられず結界破壊は必須なのだが連続ができない!!
少なくとも実行して二日は使用できない!
ハルハルとシュンシュンもいまだに疲弊して今は眠りについている。
早くとも目覚めて技を使える様になるには後七・八時間はいる。
この世界の理をごく一部であっても破壊するのだから、これで済んでるくらいで奇跡の様なものだと思いたいのだが、もう少し早く目覚めてもらい地球を地獄と直結させたいのがトワとそして共同で禁忌の力にも等しい技を開発したバビディーと、魔王ダーブラ達の本心である。
そして魔界にとっての厄介な事がもう一つ派生した。
孫悟空の意識はしぶとく、あの忌々しい兄の甘い言葉を信じて堕ちるのをやめてしまいこちらの洗脳を解こうと足掻いている。
魔法も使えない素人には破るのは不可能ではあるが、善性を反転させるのに予定の時間よりもだいぶかかってしまう!!
様々な意味でこちらの時間稼ぎの為にも、ラディッツには是非腑抜けていてほしい。
本当は腑抜けたラディッツを殺しに行くけるのが一番なのだが、時間を稼ぐ為にも半端な攻撃をしてまかり間違ってあの男が陽の気に溢れた形態になられたら洒落にもならない。
「時間よ早く過ぎろ・・」
そして我等に味方せよ
トワは時間に願う。
だが、その願いは届かなかった
エイジ761 十月十一日 五時 魔界
「何故ラディッツ達の侵入に誰も気が付かなかった!!!
トワ!バビディーと共に本当にあの男を見張っていたのか!?」
「・・・我らは間違いなくあの男をずっと監視してましたわ。」
「そうじゃ!そうじゃ!!昨日トワが落ち着いてようやく監視を始めてからずっとは・・・僕は見てないけどトワが見ていたのは知ってるよ。」
ラディッツに腑抜けのままでいてほしいと、トワとバビディーの報告でラディッツの様子を知ったーラディッツ死んでくれー一同が永遠と同じ事を願ったのだが
「報告!!魔界の浅い第三層に陽の光の気が溢れ!溢れると同時に敵からの攻撃で地球に行く戦士達が壊滅しました!!」
「報告!!敵の進軍止まらず!陽の光の気で焼かれ!隙をついて攻撃と進撃を繰り返し第三層の中盤まで抜かれております!!」
じきに第四層に降る入り口に来られて突破されるという突然の報告が、次々と現魔界統治者・魔王ダーブラに報告が上がってきた。
ダーブラはーどこかの世界ーのダーブラとは違い、己の意思でラディッツを滅ぼし、その為にも敵対者を絶対的に殺し尽くせる魔人ブウの復活に意欲を燃やしていた。
なにせある日突然己の身が焼かれ、ダーブラは悪の気が強いせいで十日間生死の境を彷徨うほどの大ダメージを負い、ラディッツ憎しの筆頭ともいえる。
ラディッツを殺せる為ならばとバビディーとトワの望むものを提供し研究をさせそして魔人復活まで残りわずがというところで!またもやあの男が我等の故郷たる魔界を陽の気で蹂躙しているという!!
トワ達だけではなく水晶を扱える他の者達にも監視させており、どこからもラディッツが魔界に来るための行動を起こしたという報告は上がって来なかったら。
あの性格はともかくとして魔法の第一人者たるバビディーも、ダーブラと共に報告を聞いて目を丸くし
「トワ!!!あの男に動きあるかい!?」
自室のベットにて寝転がった状態でラディッツを監視しているはトワは、まだくる気配が薄いですと兄には嬉しそうに、ダーブラには退屈そうに答える。
そんな呑気なトワの気配にイラッとしながらも深呼吸をして落ち着ける。
落ち着いたバビディーはトワの水晶を除く。
水晶を見つめれば確かに家族と別れを惜しみまだ家から出る気配のないーラディッツーの姿が捉えられているではないか!!
ジュニアを筆頭に、身を案じられ行くなと引き留める者、行くにしても無事に帰ってきてほしいと願う者達に囲まれている・・・・では、魔界の第三層から侵入したと言われているラディッツとは誰なのか!?
どちらが本物なのか偽物なのか・・・今一体何が起きているのか・・
長くなるので前後半にしました。
はやく本編動かしたい、、、