俺ラディッツは弟を絶対に守り抜く   作:ドゥナシオン

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どうやら俺は人を助けると仕事に就けるらしい・・・・

東の都というか、摩訶不思議の世界に足を踏み入れたようだと唖然としてたラディッツは、少しして通常状態に戻り、鶴仙人の言う通りに周りを見まわす事無くてくてくと後をついていく。

 

「ほう、もう都の様子になれたのか?」

 

実際はもう少し戸惑うかと思っていた鶴仙人は意外そうにするが、ラディッツは苦笑しながら答えた。

 

「えぇ、考えてみれば沢山の人種の中で働いていましたのでそれを思い出してみればここと向こうが然程違いはありませんでした。」

 

フリーザ軍で働いているのは自分と同じくサイヤ人を始め、他の星系や惑星出身者が数多おり、獣人か宇宙人の違いでしかないのに思い至ったラディッツは、自分の感覚鈍ったなと苦笑する。

 

たった数か月前までフリーザ様のポッドのふちに座りながら、その宇宙人達に様々な指示を出して仕事をしていたのを、忘れるのが早すぎるだろうと。

 

ラディッツが以前どこかしらで働いていたのを聞いていない鶴仙人は、それでもそうかという素っ気ない一言で終わらせ目当てのホテルに再び歩みを向ける。

 

今この馬鹿弟子は自分の弟子以外の何物でもなく、鶴仙人にとっては過去はどうでもいい話・・・・それは自分も他人も含めて・・・・感慨なぞくだらないのだから・・・

 

▲▲▲

 

・・・・都って物騒だな・・・・師匠と数分歩いてたら・・

 

ドパパパパパパパラァァァアァ!!!!

 

・・・・通り向こうにバンクって書かれた銀行あって、中から銃を空や周りに向かって乱射してる銀行強盗らしき男達数人が出てきた・・・・しかも人質を抱えながら

 

「おらぁ!道開けろ!!!グズグズしてポリ公来たら手前等ぶっ殺すぞ!!」

 

黒い帽子にサングラスに口元をハンカチみたいなので覆ってるってところがレトロ感満載な銀行強盗だな・・・・かぶってる帽子が野球帽じゃなくてテンガロンハットだったらビリーザキッドか他のガンマン来るのかと思ってしまう程に古くない?

 

エアカー飛んでる世界でレーザー銃じゃなくて俺の知ってそうな機銃って本当にこの世界ってちぐはぐだなぁと、目の前で強盗事件進行真っただ中でラディッツの思考は完全に映画のワンシーンを見ている気分である。

 

あんなのどうって事ないのだラディッツにとっては

 

文官してた頃は武官同士の揉め事を止めるとなると、銃なんて玩具にもならないマジもんの殺意マシマシの気功弾の間を縫って近づくとか、戦闘を如実に物語るフロアーや廊下の瓦礫をよけながら止める為にかなり頑張ったのだから・・・・それが無い分楽に制圧できる。

 

「お師匠様、ちょっと-名前-売ってきます。」

「あん?・・・・手早く-かっこよく-出来るのか?」

「善処します。」

「なら行ってこい、-鶴仙流-の名前きちんと出せるような戦い方だぞ。」

 

はは、無茶言うな・・・お師匠様自分が提案した事をすぐに分かってくれるのはいいのだが、鶴仙流の技どころか型も何も教わっていないのにとラディッツは苦笑しながら人が見える速さで空中を跳んで通り向こうの強盗達に向かっていく。

 

腕を翼っぽく振ればいいかなと算段を付けながら、強盗達と少し離れた所に降り立ち捕まっている人質に笑いかける。

 

「もう少し待っていてください、今お助けします。」

 

▲▲▲

 

もう少し待っていてください、今お助けします

 

そう目の前に突如として現れた少年はそう宣った。

 

警察官どころか武道に長けている大人にも見えない、か細い少年が柔らかい笑みを浮かべて・・・・

 

「ク・・・ギャハハハハハ!!!なんだこのイカレタガキは?」

「お前みたいなちびは家に帰って母ちゃんのおっぱいでも吸って寝てろよな!!」

「受けんぜガキ、笑わせてくれたお礼は鉛玉でいいか?いいよな!!!」

 

無謀な少年を強盗達が大笑いして嘲りながら三人の内の一人が銃を向け

 

「やめなさい!!ヒーローに憧れて馬鹿な事をして命を落とすんじゃない!!!」

 

強盗達に自分の身元を知られてしまい、強盗の他に実入りが出来たと捕まった間抜けな自分を助けようと言う言葉は、人質になった男からすれば少年を叱責せずにはおれなかった。

 

何故なら自分は-ヒーロー-の作りてであり数多の少年少女達に夢を与えている自負が、目の前の少年に夢と現実を混同させてしまったと思うと堪らなかった。

 

自分が作ったヒーローは、現実にいる筈も無くどこからか突如武の達人が都合よく現れてくれる訳がない・・・・普通は誰もがそう思い、群衆も口々に見知らぬ少年を止めようとしながら早く警官を呼べと怒声や金切り声交じりの悲鳴が上がる。

 

誰もが少年に向けられた銃で、少年は命を落とすと・・・・それが-普通の世界の住人-であったれば・・・

 

「失礼・・・」

 

そう呟いた少年・ラディッツは跳んだ。

 

速度は人々の目に映る速さで優美に強盗達の下に向かって。

 

ラディッツは戦闘センスは乏しいが、飛ぶことに関してはあのギニュー特戦隊のバータをして唸らせ、気難し屋のクウラの目をも惹いた程であり、細い体躯であることが更に自然-鶴-が滑空するように人々の目に映り、少年が強盗達の前に降り立った時には全てが決した。

 

跳ぶと同時に右手を折り曲げ降り立つと同時に少し前に出てる強盗に狙いを定め、銃ではなく強盗の鳩尾に手刀を入れいきなり跳んで来た自分にポカンとした残りの二人には軽く飛んで一回転の回し蹴りをそれぞれの顔に一度ずつ入れ昏倒させ、いきなり拘束が解けふらつく人質を優しく抱き留め

 

「お怪我はありませんか?」

 

先程と同じく優しく笑いかけ安否を確認する・・・・それは時間にすれば一秒かそこらの出来事であった。

 

人々の目には少年が跳んだ後、何か魔法の様な手妻を見せられたように、或いは狐につままれた感じがするが

 

「あ・・・ありがとう少年、本当に助かったよ。」

 

ワァァァァァァ!!!!

 

人質の男性が少年にお礼を言った事で、これは本当に全て現実に起こった事だと群集は認識し少年の偉業と人質の無事を喜んで東の都は大歓声に包まれた。

 

誰もが少年は銃によって殺されるか重傷を負ってしまう者だとばかり思い、中には自分達が助けに行くべきだという男達もいたが、少年は何ほどの事もないとばかりに人質を助け、そして強盗達を一か所に集め

 

「どなたか縛れる縄を持ってきてくださいませんか?ビニール紐でもなんでもいいです。

警察官はそろそろ来そうですか?」

 

何やら物凄く手慣れた様子で周囲にテキパキと指示を出す・・・

 

「少年・・・君は一体?」

 

助けてもらった人質の男はその様子に唖然としながら少年の素性を尋ねれば少年は元気な声で名乗りを上げた。

 

「俺は鶴仙人様の弟子で鶴仙流を学ばせて頂いている孫悟雲といいます!!!」 

 

 

▲▲▲

 

「・・・・・弟子よ・・・・儂の命はもう長くはない・・・だが・・・ゴッホゴッホ儂の・・・仇を取ろうとは思うな・・」

「そんなお師匠様!!俺は・・・まだ・・俺はまだ貴方に沢山の事を教えていただいた恩が返せていません!!

死なないでお師匠様!!!」

 

長い黒髪を振り乱し、師が一人でいる時に刺客に襲われ血を吐く師を細い体で抱きしめながら泣く弟子を、死ぬ間際の師は困った奴だと呆れて笑う・・・・甘い子だ・・才はあれども武に全く向かない馬鹿弟子を、武術の因果に組み込まれる前に・・

 

「儂の因果応報にお前を巻き込む馬鹿な師にする気かお前は?」

 

最後の力を振り絞り、師は毅然と泣く弟子に言い放つ。

その言葉にうたれたように顔を上げる弟子が見たものは、普段見る事のない優しい師の眼差しであった・・・

 

「お・・・師匠様・・」

「泣くな・・・お前は好きなように生きよ、天高く空を飛べ、因果にその翼を捕られるな・・・わしの・・・最初で・・・さいご・・・の・・・たの・・・」

「お師匠様!!!!」

 

弟子の顔を優しく撫でようとした手は遂にそれは果たせずにことりと床に落ちた時、一人の復讐に捕らわれた少年武闘家が世に生まれてしまった!!

 

「許さない!!誰であろうともお師匠様の仇は絶対に見つけてやる!!!!地獄の果てであっても逃がすものか!!!!」

 

尊敬した偉大なる師を失なってしまった事で、少年武闘家の優しい心もまた消え果ててしまったのだろうか・・・・

 

▲▲▲

 

・・・・・・

 

「何じゃこれは?」

「何でしょうかねこれは?」

「おや?お気に召しませんでしたか?」

 

鶴仙人とラディッツはある超高層ビルの最上階の一室で、ミニ映画上映会を見させられていた・・・・助けた人質の男にだ。

 

可笑しい・・・強盗達倒して名乗った直後にタイミングよく警察官が来たのでバトンタッチしてその場を去ってお師匠様と合流して鶴と書かれたお師匠様の背中のマークをみんなに見せながら颯爽と立ち去る予定だったのに、目の前の人質にされていたシネマキーンさんに是非お礼をさせてくれと強引に連れてこられた。

 

体格のよい体で迫られ、金色の短髪で整った髪を振り乱して綺麗な碧眼を血走らせるほどの余りの熱意にお師匠様も唖然としてたし・・・何よりもお礼と聞いてにっひっと笑ってたしな・・・

 

シネマキーンさんが懐から携帯電話みたいな通信機器で車で来るように指示して数分もしない間にエアーカーが来て説明もそこそこに乗せられて初フライトしたし・・・

ロボットが操縦しているって凄いな・・・

 

余りの展開の速さに神経図太い師弟もぽかんとした。

 

着いた先は超高層ビルであり、中に入れば監督ぅぅぅ!!ご無事で!!!とか・・・シネマキーンと名乗った男の人に泣きながら抱き着いた男の人がいたり、そこそこ豪華(フリーザ軍を基準にしているがこの世界では最高級の家具あり!)な部屋に通されて、颯爽とした秘書っぽいお姉さんが冷えた飲み物を持ってきてくれて・・・シネマキーンがお礼を言う前に是非見て欲しいと言われた途端に部屋が暗くなった。

 

なんだと俺もお師匠様も驚いたけれども、座っているソファーの前の壁に映写機で投影したような画面がいきなり映されて武侠小説を映像化したようなミニ上映見せられた・・・

 

「・・・お主儂等に対するお礼とやらがあの映像だとでもいうのか?」

 

少年武闘家が復讐誓ったところで上映会(?)は終わり、部屋が明るくなって直ぐに短気な鶴仙人が切れた。

 

普通お礼をといわれれば身なりのよさそうでしかもビル持ちのそれなりのものであれば直ぐに出すもの決まっているだろうと思っていた鶴仙人が期待外れだと怒る者まぁまぁ分らないでも・・・・無いのかそれは兎も角として

 

「いやまさか!お礼はお礼で実はその・・・・そちらの鶴仙人様のお弟子さんに助けていただいた上で厚かましいとは思いますが、お願いがありまして。

お礼はその方は鶴仙人様の口座に振り込めるように今書類を作らせていますので少々お待ちを。」

「ふむ、なればよい。お前も良いな悟雲よ。」

「はい、俺はお師匠様に従います。」

 

お礼の内訳を何となく察した鶴仙人は、現金にも(文字通り・・)短慮を引っ込めほくほく顔をしながらわざとらしく弟子に気を使って見せるのを、長年気難しい人達に仕えて習得したスキルをラディッツはいかんなく発揮しお師匠様のご意向に沿う答えを微笑んでする。

 

ぶっちゃけラディッツはこの都ならどこかしらで工事があって、お師匠様の口利きで土方をさせてもらえばいいのでお礼はお師匠様の授業料として全額差し上げるので待とうが何しようがどちらでもいいので、出されたアイスティーを堪能する。

 

美味しいと思いながらも、ラディッツはシネマキーンの言葉に引っかかりも覚えた。

 

鶴仙人様のお弟子さんに頼みたい事があるとは一体・・・

 

「実はそちらのお弟子さんである悟雲君に、先程の映画の少年武闘家として映画に出て欲しいのです。」

 

ブゥ!!!!

 

「・・・ご・・ほ・・・・はぃ????」

「・・・・何を考えているのだお主は?」

 

アイスティー噴き出して驚いたラディッツと、同じくらいに驚くのを、シネマキーンは先程の様にまたグイグイと鶴仙人に迫った!

 

「困っていたのです!あの映像に出ていた子役の子があの映像を撮った後に足の骨を折ってしまい!代理を探そうとしていた矢先にイメージぴったりの悟雲君に会えたのはきっと神様のお導きです!!!」

 

・・・・この世界の神様基本人々を見守っているか、やばいやつだと意に沿わないという理由だけで破壊するぞが口癖な奴が居るのを知らんって幸せなのは兎も角として

 

シネマキーンは映画プロデューサーであり演出家でもある。

数々のヒーローものからドキュメンタリーを撮って来たが、悟雲ことラディッツほど美しく動ける子供を見たことが無い。

 

拳法ものを撮る時に依頼させてもらった多林寺の子供達もあそこまでの動きはしていなかった!

 

「まさに悟雲君は鶴仙人様のお弟子に相応しく!助けていただいた時は鶴が舞い降りたと私は感じたのです!!」

 

先程の映像はこれから撮る映画のCMであり、少年武闘家は復讐を誓いながらも優しい人々に癒されながらもその人々を襲う悪漢達を倒す過程で、無きお師匠様の遺言通り、刺客たちを殺す事無く捉えて役所に突き出し、その後天高く飛翔する一大武侠映画を撮るのに

 

「悟雲君ほどその役にぴったりの子はおりません!!是非お弟子さんを映画に出させてください!!」

「ふむ・・・」

「映画の跡のクレジットには-鶴仙流・孫悟雲-と一番にお出しし、お礼の他に映画にお弟子さんを出させていただく依頼料と悟雲君にも撮影のお給料を出させていただきます!!」

 

あの手この手でシネマキーンは、この場のキーマンである鶴仙人の篭絡に邁進した。

どうやら悟雲は師の言う事を素直に聞くようなので、ここで鶴仙人に頷かせることが出来れば九分九厘どころか百%勝てる!

 

そして

 

「ふ~む・・・武闘家たるもの映画というチャラついた物に未熟な弟子を出すというのは考えものじゃが・・・よかろう、難儀している者を助けるのも武闘家たるものの一つの真理!

悟雲よ、鶴仙流として恥ずかしくない立ち居振る舞いをして助けるのじゃぞ。」

 

シネマキーンは賭けに勝った!!

 

よっしゃである!裏社会と繋がっていようがその名前は表でも通る本物の武術の達人の弟子を出すことが出来れば、それだけでも話題になって興行収入が予想よりも多くに見込める!!

 

何よりも-鶴仙人の弟子-が出る映画を撮った自分に、儲かってそうだからと今日の様な有象無象の悪党に手を出される可能性がぐんと減るとシネマキーンは算段して悟雲を出そうと躍起になったのだ。

 

別に先程の称賛に偽りは全く無いのだ。

 

無いのだが映画作りで名を上げ自社ビルを持てるほどに有名となり、さらに益々金持ちの仲間入りを果たしつつある中で今後は用心棒雇わなければ外出も儘らなくなりそうだという危機感を募らせていたのだが、不幸が的中しながらも-二つ-の幸運に出会えた。

 

一つは無論悟雲である。

 

今回の映画の趣旨をなぞらえた様な少年が目の前にいるのを映画撮りのプロである自分がみすみす逃す事なぞあり得ない。

 

柔らかい笑みを浮かべながらも大人を圧巻する少年拳法家はどこか品の良さも感じられて尚良い。

 

そしてもう一つはこの東の都に腰を据えている鶴仙人と出会えた事

 

鶴仙人はこの都の悪党のトップでありボスに近い。

最悪はこの人にみかじめ料を払って他の悪党連中を抑えてもらおうかと検討していたら、まさか本人に会えて格好のお弟子さんまでいたのだ!!

 

塞翁が馬とはよく言ったものだと、シネマキーンはしみじみと思いながらもお礼と悟雲貸出料の中に、-そういった意味の金額-を盛り込ませる書類を今作成させている。

 

「いやぁ、天下に名高い鶴仙人様のお弟子さんを借り受ける事が出来る私は果報者です。

悟雲君、分らない事が沢山あると思うがバックアップは私に任せてくれたまえ。」

「こんな未熟者で良ければ役に立ててもらおうかの。

しっかりと働くのじゃぞ悟雲。」

 

・・・・助けた相手も鶴仙人に負けず劣らずの良い性格をして二人は何やら意気投合をして悟雲ことラディッツに言いたい放題であるのを、ラディッツは仕事が見つかって良かったかくらいの暢気さで二人の言葉にほんのりと笑ってはいと答える。

 

これで爺様と弟を養える位の仕事が当面は出来たのだからラディッツに否やはない

 

 

映画作りなどの芸能活動は土地によっては興行を打つ前にそこの縄張りの親分さんに筋を通しに行く事もあるのでそれを束ねるシネマキーンも自然と悪党寄りの思考が生まれる。

 

悪党の筋の通し方や思考を知らねば自分と下の者達の明日の飯が食えなくなるのは論外であり、何よりもきれいごとだけでの仕上がり維持できるほどこの業界は甘くはないのだから。

 

かくして何時もの様に人助けをすれば文官に就けた時の様に当面の間の仕事を貰い、しかもその相手が思惑満載の少しヤーサンに近い人だったのはお約束である・・・・いいのかこれで?

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