△月○日
出掛けて一日目でお師匠様に出会って(いわれなき襲撃を受けての間違い・・)紆余曲折あって俺は鶴仙人様の弟子になった。
たった一日で長年掴めなかった気を感じ取ることが出来て、しかも次の日には都に連れて行ってもらったのが縁で仕事も見つかった。
俺にとってお師匠様は幸運の運び手なのだろうか?(・・・それはお前の事だ・・)
鶴は千年亀は万年っていう位だから、お師匠様-そこそこの-悪党っぽいけど実は無意識に人に幸運を運ぶ人でもあるのだろうか?(いやだからそれはお前・・)
たったの三日で起きた事とは思えない程の濃い三日間の出来事に、爺様聞いててびっくりしてたのは無理もないよな~。
流石に襲撃の下りは言わなかったけれども、まさか出掛けて数日で色々ある奴ってそういないだろうし。
しかし日記は毎日書くの無理そうだな。
明日からの映画の撮影あって、その合間を縫うようにとりあえずは座禅組んで自分の中で気を感じて完全に消せる修行をする・・・・毎日バタンキューな気がする・・・
前にもあったな、忙しすぎて日記が書けなかった十日間が
確か三年前に軍の年度末決済時に、他所の宙域から人攫い専門集団が数万の軍団で押し出してきてフリーザ様のお膝元を荒らそうとして、緊急予算を付けて当然決済のやり直し・・・・世にいうデスマーチした時のあの過密さは・・・フリーザ様をして冷汗流させてたっけ・・・予算はきちんと回らないと軍も回らないもんね・・・・ドドリアさんなんて怒り狂って先頭切って戦闘してたしザーボンさんなんて捕虜にした奴等を裸一つで来たであろう宙域に送って警告代わりにしてたし・・・・何もかもが懐かしいな~。
親父もあの時寝る時間削って働いてる俺を見たせいか、うちのクソガキの睡眠削りやがってとか・・・・恥ずかしいけど嬉しい事言ってくれたらしとは、軍医としてついていったトンミさんが教えてくれたっけ。
トンミさんならきっと・・・・フリーザ様助けてくれて・・・~~~・・
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寝てしもうたか、今日はゆっくりと話をしようと思ったのだが疲れておるのだな。
悟空も寝ているし、このまま寝かせるか。
大量の夕餉を三日ぶりに作った悟飯は、兄が帰って来た事で大喜びしてはしゃいだ悟空はいつもよりも食べて、そしてそのまま歯も磨かずに眠って、自分が片付けをしていた間に、日記を書きながら眠ってしまったラディッツをそっと抱き上げ悟空の隣にそっと降ろす・・・・まさか-鶴仙人様-の弟子になるとは・・・何の因果がこの子にはついているのか・・・・
「爺様!悟空!!みんな!!帰ったぞ!!!!」
日が昇ると共に帰ってくると言うラディッツの言葉を信じてパオズ山の麓の村で(以降山村と記す)で、悟飯と悟空は村人のみんなで待っていれば、ラディッツは空から飛んで来た。
「悟雲だ!!」
「あいつ本当に飛べんだなぁ~。」
「悟雲!!こっちだこっち!!!」
「早く来てよ悟雲兄ちゃん!!!!」
空を飛んでいるのに誰もラディッツを怖れずに、それどころか誘導するように大声を上げて立った三日しか出掛けていない悟雲ことラディッツに歓声を送る中
「にいちゃぁぁぁぁぁ!!!!」
「悟空!!!!」
一際大きく叫んだ弟を地球名で呼び、ラディッツは飛ぶ速度を上げてすぐさま降り立ちあいたかった弟を抱き上げ
「爺様、皆ただいま!!!」
元気いっぱいに挨拶をするラディッツをみんなが取り囲んで悟空諸共滅茶苦茶に抱きしめ沢山の朝ご飯を村で食べ、双子のシュウとマイと悟空を連れて山に連れ出し湖のほとりで持たされたお昼ご飯を腹一杯食べ尽くし、昼寝をさせた。
都の喧騒と違い、ここは穏やかだ・・・
自分の中の気を感じると同時に、ラディッツは気配を感じる事を少しずつだが上達している。
慣れればきっと気配の中にいるのを当たり前と出来るのだろうが、今は四苦八苦している。
しかし山や自然の中の気配は穏やかで、特にこの辺りは優しくて、眠る子供達を見ながら癒されるラディッツは湖を渡る風の音を聞き、雲の流れを見つめながら鳥や小動物たちの声に聞き入る。
これ程の穏やかな気持ちは・・・・きっと地球に来て初めてかもしれない・・・
沢山の事を考えて、沢山ある道の先を決めて、沢山の想いを胸の中に沈めて・・・・
今は道筋がほんの少し見つかってほっとしているのだろうか?
「・・・・悟雲兄ちゃん・・・」
「ふぁ~・・・にいちゃ・・」
「お兄ちゃん・・・」
「・・・起きたか・・・・」
帰ろう
寝ている子供達の傍らで、心を微睡ませていたラディッツは寝起きの子供達を優しく抱き上げ、ゆっくりと山村に向かって歩いていく。
「にいちゃ・・・飛ばないの?」
「飛ばないの?」
「飛んでほしい・・」
幼い子等の言葉に、初めてとんだ日の事をラディッツは思い出す。
どこまでも果て無く、空の上までいけそうで、行こうとしていた自分・・・
「みんなの体がもう少し丈夫になったら・・・後一年は飛ばない。」
その代り、こうして抱っこするから許しておくれというラディッツの優しい言葉に、悟空達は返事をして約束をした。
一年後のいまくらいに、きっと飛んでほしいと
シュウとマイを親元に返し、悟空を抱えたまま悟飯の下に戻った二人を待っていたのは、沢山の夕飯と笑顔の祖父だった。
「ただいま爺様。」
「じいちゃん!!」
夕餉を摂りながら、ラディッツは三日間で起きた様々な事を祖父に話した。
荒野で奇妙な老人に会い、何故か弟子入りした事を
その人は鶴仙人だと言われた時に悟飯は口に入れていたお肉を吹き出しかけて慌ててお茶を飲んで誤魔化し、ラディッツに話の続きを促した。
慌てた祖父の気配に気が付いたが、促されたラディッツは受けた修行の内容と会得で来た気の運行から話を続け、都の凄さを話しそして強盗事件に遭って助けた人が有名な映画を作る人でその人から仕事を貰った事を。
「カカロットと爺様に会えるようにちゃんと契約を結んできたから大丈夫。」
鶴仙人師匠が契約を結んだ時、ラディッツ自身も目を通し、いくつかの要望を出した。
金額に言う事は無かったが、お金にちょっと(物凄く)目が行ってしまった鶴仙人は、弟子と祖父の約束を言うのを忘れていたので自分で祖父と取り決めた事を話した。
・三日に一度は無理でも五日に一度は休みが欲しい。
撮影でどうしてもやむをえない時は少なくとも二日前には知らせて欲しい事
・金額はこのままでいいが、お師匠様への授業料として自分の給料の一割をシネマキーン側でお師匠様の口座に振り込み、残りを自分に払う事
・シネマキーン側の理由で映画撮影が中断されても、提示された金額を三分の二は支払う事
次々と提示されるラディッツの言葉に、海千山千のシネマキーンをして舌を巻かせる。
見た目と違った実力といい、そして無理のない範囲で己の利になる事をきっちりと確保していく手腕に。
「それともう一つは、もしも次回も俺を使ってくれる時があれば今回の報酬の一割減で。
もしもその作品がヒットしたらその分はボーナスとしてください。」
フリーザ軍で教わった方法
最初は安く提示し、別途報酬をきちんと確保しておく。
そうすれば、成功した時の報酬総額が上がるとナナバ様が教えてくれた。
きっと社会の中では当たり前の提示なのだろうが、教えてくれた大人がフリーザ軍の文官長だと言うのが感慨深いがそれは兎も角として
「・・・いいですよ。きっとこの作品は当たりでしょうから安い投資です。」
「ありがとうございます。」
口座はどうやらシネマキーンが作り、自分の名義となるらしい
自分の知る地球とは本当に考えられない事だ
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「会いに帰るの五日に一度になったけど、ちゃんと次の仕事にも繋げるようにした。
次の時は仕事貰えなくて駄目だったらお師匠様と修業しながらここと同じように土方をすればいいしね。」
「そうか・・・・ラディッツ。」
「うん?」
「今楽しいか?」
今・・・・俺は・・・
「楽しいよ爺様、それと俺は幸せ者だ。」
本当に幸せ者なんだよと言うラディッツの言葉に、悟飯はラディッツと兄の言葉は分からなくともひっついて笑っている悟空の頭を優しく撫でるのを、二人は嬉しそうに笑った。
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其れからのラディッツの日々は多忙煌びやかで楽しい怒涛の日々となった。
「鶴仙人様の弟子で鶴仙流を学んでいる孫悟雲といいます。よろしくお願いします。」
「君が新しく決まった子だね、監督のカッチンだ。」
監督を始めお師匠様と共に沢山のスタッフに挨拶回りをし
「君本当に素人さん?なんだか衣装の採寸初めてな子には思えないんだけど?」
「いやぁ・・・作ってもらえることが多かったもので・・」
主にフリーザ様が伸縮機能付いている筈の文官服を、身長伸びたり季節ごとに色合いを変える為に作ってもらったりとは言えないラディッツは、撮影用の衣装を作る係の言葉に言葉を濁し
「ヨーイ!!アクション!!!」
その言葉で教えられた演技で台詞を言い、貰った台本に書かれていた格闘の型は、シネマキーンと監督のカッチンが相談をして、難しくはないが見栄えのする型を鶴仙人が監修したものと差し替えられ、それをまた一から覚えて動いた。
クレジットの武術監修欄に自分の名前が出るとあって鶴仙人は俄然張り切った!
「悟雲君て凄いのよね、一度もNG出してないのよ?」
「この間監督がワンカットずつ取るシーンを間違えて長回しにしちゃった時丁度悟雲君の難しいシーンだったの一発オッケー出してたもんね。」
「強くて頭良くてその上-尻尾-が生えてる子ってミステリアスよね!」
遠征の改善案やその他のプレゼンをフリーザ様と大勢の前でしていたのが役に立ち、尻尾の事は予めシネマキーンに伝え、衣装を作る時にその場にいた共演する役者達とスタッフに見てもらい周知の事実とした。
何かの拍子で見られて慌てるよりも、こういう者だと知ってもらった方がいいし第一
「成る程、少し変わった子だね。」
誰かが言ったのか分からないが、獣人がいるのが当たり前のこの世界では少し変わった子で済むらしいとラディッツは教えてもらった気がした・・・・この地球は、人種に対しておおらかなところがいい・・・・本当に自分の住んでいたとは別世界だとしみじみと思った。
そこそこの才覚を、きちんと磨いて貰った事で生きていける術を身につけさせてくれたナナバに、そしてひいてはフリーザにラディッツは感謝する。
何事に関しても通じるフリーザ達への想いは、ラディッツの心を温める。
時折、何故か無償に泣きたくなった時はアメを瓶から取り出し少し舐めては綺麗に清めてまた戻す・・・しかし先日遂に一つ食べ尽くしてしまった・・・・残りは二十九粒・・・ゆっくりと食べよう・・・
「ほれ、まだまだ気配を感じるぞ。」
「ムムム・・・」
「唸ってなんになるのじゃ馬鹿弟子・・・」
他の出演者の撮影の合間にラディッツは気配をゼロにする修練を積んでいる。
鶴仙人は気の運行に関しては鈍い弟子に呆れながらも、丹田に気を戻すのをイメージさせる。
出せるのならば仕舞う事も可能だと
丹田を意識し、気を水の流れとイメージしたラディッツは
「あれ?悟雲君は?」
「ここです。」
「おや!・・・・まぁ・・・目の前に座っていたか・・」
撮影終盤には気配を消す事には成功するようになっていた。
撮影・修行・家に帰るの繰り返しを、ラディッツは心底楽しみそして
「爺様!明日俺映画の宣伝でテレビに出る。生放送で出るから見て欲しい!!」
電気を引かない内蔵電池型の大型テレビを買って帰った。
山村にもテレビはあり、そろそろ四つになる弟がシュウやマイと同じテレビの話題で楽しんでくれれば嬉しいし、ニュースとかも見れば世界を知る事もできる。
「ほっほ、明日が楽しみじゃのう。」
「にいちゃんが見られる!!」
悟飯と悟空はラディッツが見られると喜んでくれた。
そして村人達にも知らせて正午になる前に村にある公民館でラディッツが買って来た大型テレビを悟飯が持ち込んだ。
時間と共に作品紹介が始まった。
映画の最初のワンシーンとそしてハイライトの直前、ラディッツが師の仇に向かったところで終わりとなり、役者達の挨拶の回になった。
「続きは是非劇場に足を運んでご覧ください!お待ちしています!!!」
主演と監督たちの中に、一際小さなラディッツはよく目立つ。
「悟飯さん・・・・悟雲君は凄い子になったね・・・・」
「元から凄い子だよあの子は。」
「兄ちゃんカッコいいよな悟空!!」
「うん!兄ちゃんはいつもカッコいい!!」
「そうよねそうよね!!」
ラディッツの活躍を、悟飯と悟空と皆が喜んだ。
善良な人達はラディッツ達を見て楽しんだ・・・・善良な人は・・
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「ふん・・・ここで最後だったかのぅ?」
「あ・・・・どうして・・・なんであんたが俺達を潰すんだ!!!」
ラディッツ達が映画の宣伝をしている時、師の鶴仙人は-最後の悪党ども-の拠点を潰していた。
映画の撮影の合間や、弟子の帰郷時鶴仙人は自分と繋がりを持っていた悪党達を潰しては警官達に捕まえさせていた。
「鶴仙人様、よろしければ道場を持ちませんか?」
「はぁ?・・・・理由はなんじゃ?」
遡る事撮影が始まって一か月過ぎた頃に鶴仙人はシネマキーンに話を持ち掛けられ、その話の裏は何だと聞いてみれば
「なに、この映画は当たります。きっと悟雲君を主役にしたシリーズが作れるほどに。」
長年当たりの役者や現場を見てきたシネマキーンであったが、これ程-楽しそう-な現場は早々出会えることはない。
「あの時の台詞の気迫凄かったです!良ければ時間がある時俺に教えてくれませんか?」
「それ俺が持っていきますよ・・・重い?大丈夫大丈夫です。」
「冷えそうなので暖かいコーヒー淹れてみました。良ければ試飲してみてください。」
「大丈夫ですか!!??え?落ちて受け止めたの重くなかったかって・・羽よりも軽いですよ?」
人懐っこい悟雲は貪欲に周囲の事を学ぼうとし、尊敬された方は気分がいい。
撮影スタッフは大概役者に気を使うが、悟雲は反対に手伝い元気よく笑って動いている。
役者同士の間も楽しそうに縫い歩き、事故も彼のお陰で未然に防がれ武侠ものに一度はある怪我人も今回はゼロで
「きっと-悟雲組-と言うのが出来ると私は踏んでいます。」
悟雲班かもしれませんがと笑っていたシネマキーンは、不意に笑みをやめた。
「将来のある子どもと何よりも儲かりそうな私の為にも、貴方には-この都-の悪党を自らの手で潰してほしいのです。」
その代りに道場を建てる。
「今回の映画とそして-彼の活動-で名が売れた鶴仙流に、お弟子さんが来ると見ています。」
ラディッツはこの都で起きている犯罪を潰して歩いている。
潰しては鶴仙人の名と流派を名乗る。
其の事を鶴仙人も知っているが、其れで弟子が来るだろうか?
しかし、映画とそして都入りの初日の事を都の者達が覚えていれば・・・
「この都のだけでいいのか?」
「はい、他は私の知りえぬ事ですから・・・・それにこの都の裏で、もっと大きな-組織-の影がちらつきだしましてね・・・・邪魔なんですよ。」
「ほぅ・・・良いだろう。儂の道場は日当たりの良い場所にしてもらおうかのう。」
シネマキーンの提案もだが、自分と同じ悪党面をしたのが気に入った鶴仙人は二つ返事で請け負った。
近頃自分と繋がっている悪党は、自分になれ始めたのか妙に態度が大きくなってきたのが気に食わない上に、-赤いリボン-とやらが幅を利かせているという。
他所はいざ知らず、自分の気に入った場所を荒らされるのは気に食わない。
活動拠点にしていたのは此方が先
儂の場所じゃこの都は
「鶴仙人様、我等に協力してくださりありがとうございました。」
全ての悪党の拠点はシネマキーンの取り持ちで警官達と潰し、彼等が突入する前に全て気絶させ引き渡す。
悪党たちの報酬はいつも手渡し現金なので口座を調べられても自分に辿り着く事は無く、悪党達が自分の事を話しても捕まった腹いせだと思われようし第一に自分と悪党達の証拠が何もない。
警官達もその辺を知りながらも掃除が出来るから自分を見逃がしているのをよく知っている。
どれ程歯噛みをしようとも、自分は彼等には有効な事を
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「総帥・・・東の都の活動資金源が途絶えました・・・」
「誰だ・・・・近頃名を売っている鶴仙人という奴か?」
「・・・そうかもしれません、どうなさいますか?」
あの都は西の都・中の都と違って悪党達が動きやすく活動資金を得るのに随分と目を掛けていた・・・・
「少し早いが勢力拡大を急がせろ。」
きっと自分達の繋がりを、自分達の身の惜しさに話すかもしれない。
少しでも減刑を勝ち取る為に
「誰にも、それこそ中の都の軍でさえも我等に逆らえない程の強固な地盤を築かせろ・・・・世界征服の邪魔をさせるな・・・」
「畏まりました。」
背の低い赤い髪に黒の眼帯をした男に向けて、長身の黒い肌の執事服を着た男は一礼する。
世界の全ては赤いリボンに巻くべく動き出す為に