俺ラディッツは弟を絶対に守り抜く   作:ドゥナシオン

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ー幕間ーフリーザ軍とっての一年半

-とある銀河の宙域にて-

 

星々が燦然と煌めく大宇宙の中で、一際大きく瞬きを繰り返す場所があった。

 

その光は消えては起こり、数多の命を食らいながら光を絶やしていく・・・まるで生命と魂を呑み込むブラックホールの様に、喰らいつくされる者達の悲鳴をも貪りながら

 

「逃げ場がねぇってなんだよそりゃ!!」

「こちらはドーラ海賊団!!あんたらに敵対した事なんて一度だって・・・ぎやぁぁぁぁ!!!」

「・・・あいつ等・・・俺達を全員殺す気かよ!!!!」

 

宙域をまたにかけたドーラ海賊団という宇宙海賊団があった。

 

海賊団の主な-仕事-は鉄火場で生まれた捕虜たちの肉体を或いは脳内を改造し奴隷にして売り払う事。

 

その-お得意様先-海賊団を支援しながら奴隷の売り込み先との交渉までして利用料をたんまり払っている、この銀河宙域最強軍団であったのが・・・

 

「ちょろちょろと逃げんじゃないわよ!!鬱陶しいわね!!」

「スーナ!-アレ-やるぞ!」

「アレやるの?ワオウ!!久しぶり!!アレやるの大好き!!!!」

 

その最強軍団で近頃名を上げているサイヤ人の少女、ラディッツの幼馴染の一人のスーナが海賊団の三分の一を殺し続けている。

 

 

そろそろあれも不要ですし、消してきなさいというフリーザの命令である。

 

スーナもこの一年半で様々な仕事をしている時には大量殺戮をしていても、死者や戦った者達の尊厳をにやけ顔で踏みにじって笑いかけているハイエナ達を殺してやりたいと願っていたので、-上級戦士四人-の仕事に率先してエントリーしてフリーザ直々に通してもらって大はしゃぎをして撃って出たのだ。

 

まだ少女の幼さを残したスーナに似つかわしい天真爛漫な声は

 

「お前達なんていらないのよ!!!大掃除よ!!!!!」

 

黒い瞳を煌めかせながら放つ言葉には悪意のない暴力に満ち溢れていた

 

 

その周りを支援するように同じサイヤ人で同じくラディッツの幼馴染であるリーキュとマトマとガジャが、スーナが動きやすいように超弩級戦艦などの大物をスーナに残してやり、自分達は小型でちょろついている戦艦に向けて気功弾を撃ち、或いは艦橋に蹴りの一撃をぶちかまして貫通させて爆発させているのだが、団を名乗るだけありドーラ海賊団はとにかく数が多い。

 

一隻も、それこそ一人も逃さずに仕留める事を厳命されている四人、特にスーナはフリーザの命令を絶対視しているところがあるので躍起になって殺しにかかるのだが、死にたくない者が逃げるのは自明の理であろう。

 

それが天真爛漫だが短気なスーナを苛立たせる

 

戦艦に乗ってちょろちょろと逃げる海賊団に業を煮やしている時、スカウターに入った通信内容にスーナの喜びに水がさされかけた。

 

「リーキュ!ガジャが少し遅れてるぞ?」

「構わん!俺達が軌道修正してやればいい・・・いい加減に飽きた!宙域にいるフリーザ軍の下級戦士全員に告げる!

今から俺達で-檻-をする、死にたくなければ外で見ていろ・・・・ガジャが来れたぞ!!」

「じゃあ・・・いっくわよ!!!!せぇい!!」

 

リーキュがスカウターをオープンチャンネルにして命令を飛ばした後、四人の少年・少女のサイヤ人達は敵を取り囲むように四方に散らばり、スーナがサイヤ人の特性・大猿化を促すパワーボールのように高エネルギーに満ちた球体を掌に出現させ、それを敵に投げつける。

 

それは一見すれば一過性の攻撃であり、当たらないように逃げれば消える気功弾に見えた海賊団は、球体に当たる前にざるの様な包囲にもなっていないガキどもの前から逃げようとしたのだが

 

「あ・・・ぎやぁぁぁぁ!!!」

「な・・球体は一つ・・・じゃぁ!!」

「こんな・・・あああ!!」

 

エネルギーに満ちた球体はサイヤ人の少女が放った一つだけではなく、他の三人からも五つ六つと次々に投げつけられ、しかも

 

「マトマ!-エネルギーボール-外に出そうだぞ!!フリーザ様から預かった下級戦士達に傷がつくだろう!!きちんと檻の中のゴミ屑どもに跳ね返るように撃ち返せ!」

「分かってるよリーキュ!!ガジャはその辺うまいよな・・・ガジャ!今度コツ教えてくれよ。」

「へへいいよ!」

 

撃ち放ったリーキュの言うエネルギーボールは消える事無く、場に二十のボールを出したところで四人は檻の範囲を狭める事無く、敵を消しても一直線に飛ぶボールを檻の中に戻し、戻ったボールは少し前よりも威力を高め、一人殺していたのがやがて十人・百人と殺してもエネルギーが尽きる事無く撃たれ続けられている。

 

絡繰りは簡単であった

 

エネルギーボールを撃ち返す時、気を注入して更に威力を増させているだけである。

 

かつての幼馴染が言っていた

 

俺達はまだまだ気を練るのが上手くない。上級戦士達の様な威力が高いのを出そうとすると時間がかかってかえって危ない。

 

気をためている時に攻撃されたら意味がないと懸念していた

 

私達の誰かが気をためてる間に、他の人達が守っていればいいんじゃない?

 

そう答えたスーナに幼馴染は

 

その間に守備が傷つくよりも、兎に角気功弾を撃ってそして

 

気功弾が弾かれたとしても軌道計算をして利き手に気をためて先回りして、気を注入しながら撃てばいい

 

それが積もり積もってやがては跳ね返せていた相手も仕留められるかもしれない。

 

この方法は下級戦士達が単体ではパワーボールを作れない時複数人で気を注入すると言うところからヒントを得たんだと、幼馴染は凄いアイディアだと褒めた自分達に照れ笑いしながら話していた。

 

俺達が共にあればきっと生き延びることが出来るさと言った

 

 

「「「「パワーボールケージ!!!!」」」」

 

 

幼馴染が考案して名前を付けてくれた技は、逃げ惑う人も戦艦も悲鳴も命乞いも涙も血すらも蒸発させて食らいつくし、五分後には檻の中には生命は無くなった。

 

「ふぅ・・・・あっつい!!この技派手で好きだけど、エネルギーとスタミナとられるのが弱点よね~。」

 

女の子らしく髪から流れる汗を厭うて掻き上げながら愚痴るスーナに、リーキュが近くにいる母艦に掃討終了を報告して帰還するぞと促す。

 

 

 

「リーキュ!マトマ!スーナ!ガジャ上級戦士は、預けられた下級戦士を損なう事無く殲滅を終えてきました。

尚軽微の負傷者はメディカルルームに行かせてあります。」

「ご苦労様です、特に追加報告はありますかリーキュ?」

「いいえ、ございませんフリーザ様。」

 

リーキュ達、所謂ラディッツ世代は故郷・惑星ベジータを失ってからは其れまで以上に軍内部で精力的に働き、今ではフリーザの次期親衛隊の呼び声も高く、こうして大規模討伐の後はフリーザが顔を見せる様になっている。

 

「ほっほっほ、もう堅苦しい話はいいでしょう。お楽になさい。」

「フリーザ様!!!」

 

特にスーナが喜び、リーキュ達もスーナのいつまでも子供っぽい態度に笑いながらも、スーナと同じくフリーザの近くによるのを、ドドリアとザーボンもゆったりとした笑みで見ている。

 

「あのねあのね!敵の奴が頭に来ちゃう奴等だったんですよ!!自分達の手を汚しもしないくせに私達の上前跳ねてたハイエナの分際でフリーザ様達の悪口言ったんですよ!!!!」

 

・・・・それ普通に当たり前なのではないのかと・・・突っ込む常識人が此処にはいねぇのである・・・・海賊団なんて、真の悪たるフリーザと比べればまだ真っ当に見えるのだと教えてくれる者が

 

教えられる者達はフリーザ様への忠誠心落とすような事を言う訳ないがそれは兎も角

 

「あいつ等を掃除すればここから西に行ける宇宙回廊も通りやすくなってフリーザ様の持つ交易場所と向こうの交易が盛んになるのでしたっけ?」

「ほぅ?ジャガはよく学んでいるな。

ゲンインと同じく武官・文官の両方をしてみるか?」

「へ?・・・いや!俺には無理ですよザーボン様!!」

「くっはっは!あいつ以降そういう奴いねぇからな。目指すのもありだぞ。」

「・・・ドドリア様まで・・・・助けてくれよマトマ!」

「無理!俺戦えてればいいから難しいのお前とゲンインとリーキュに任せた!!」

「・・・ちょっと・・・頭脳労働に私を入れないってどう言うつもりよマトマ・・」

「はぁ?お前みたいな短絡おバカは・・・待った!!!フリーザ様の前でエネルギー弾撃つって・・・・ぎやぁぁぁぁ!!!」

 

・・・・・・

 

シュン

 

「フリーザ様、今回の情報収穫分析の・・・・・何しているんだスーナ・・・マトマの頭に乗せている足を降ろ・・・・」

「ふん!!人をおバカ扱いするこいつが悪いのよ!!フリーザ様もこいつしばいたの見ててお見事って褒めてくれたもん!」

「・・・・フリーザ様、スーナを甘やかすと不味いのでお願いですから叱ってください。

そしたら俺の給料向こう半年無しにしてくださっても結構ですので・・・」

「おや?私としては元気いっぱいのスーナを見ているのが楽しいですが、駄目ですかゲンイン?」

 

海賊団の移動式要塞型の戦艦はメインコンピューター欲しさにエネルギー弾なしの白兵戦を徹底させており、そのメインコンピューターを早速解析したデータ班からの報告を直接フリーザにあげに来たゲンインが見た光景は、ゲンインの頭を目下痛めているものであり、自分達のボスに手綱を握ってほしいところであった。

 

じゃじゃ馬に拍車がかかって来た幼馴染で紅一点(幼馴染情報)の将来を案じてのお願いだったが、優先すべきはフリーザ様の言葉なので否やなく、了承して頭を下げれば現在進行形で被害喰ってるマトマが滂沱の涙を流した・・・・俺の頭からスーナの足をどかせるのだけには成功してくれろと・・・・あはれあはれ・・・

 

「それでゲンイン、何か報告に来たのではなかったのですか?」

「はい、海賊団のメインコンピューターにある拿捕した宇宙船やここ一年半の間に要塞の自動カメラが捉えた宇宙を飛ぶ船の解析が終わりました。」

「終わったのか!!!」

「終わったの!!」

「ゲンイン!!今度は・・今度こそは・・・」

「お前達・・・」

 

ビクリ!

 

「如何にフリーザ様達がお前達の事を目にかけてくれて何事も大目に見ていてくださるからとはいえ、公私の区別もつかないのか?」

「あ・・・その・・」

「ほほ、そのくらいで許して御上げなさいゲンイン。」

「・・・フリーザ様・・・申し訳ありません・・・・ほらお前達も・・」

「「「申し訳ありませんでした・・・」」」

 

海賊団の中に会ったデータの中身に気が逸ったとはいえ、フリーザ様への正式報告を遮ったスーナ・マトマ・ガジャをゲンインは威圧するのをフリーザは笑って執成す。

 

自分に従順であるサイヤ人の子供達の無礼などたかが知れており大半は子供なままの心に任せて動いてしまう位なのだから、今までの馬鹿な猿どもに比べれば可愛いものであり許容範囲内であると。

 

その寛大な心を、三人を纏める立場のリーキュが真っ先に詫びを入れ、スーナ達も続いたので良しとし、報告が続けられ・・・・その場にいる全員、報告に来たゲンインも心を暗くする。

 

「データの中にはラディッツ及び弟のカカロットの記録と船の映像も出ませんでした。」

「そう・・・ですか・・・」

 

先程までの和やかな雰囲気は一変し

 

「ふぅ・・・なんでよ・・・・だって・・・私達こんなに沢山探してるのに・・」

 

先程の元気さが嘘のように、大きな瞳からポロポロと大粒の涙を落として泣き始めるスーナをゲンイン達は取り囲んで頭や背中を撫でて慰める。

ラディッツ大好きなのはみんな同じで、素直に感情を出すスーナが愛おしい。

自分達の代わりに泣いてくれるようだスーナは

 

「スーナ・・・」

「ねぇ!入れられた燃料ギリギリの遠くに一気に探しに行こうよゲンイン!!

範囲広げたほうがきっと!!」

 

単純明快大好きなスーナが懸命に案を出すほど、彼等は今も必死にラディッツとカカロットを探している。

 

一年以内に見つかるだろうと楽観視されたが、捜索は難航を極めている。

 

まず軍にいるであろう-ネズミ-の正体が杳として掴めないでいる。

あれほどの高度なハッキングを仕掛けてきておきながら、あれ以降一度も何もしかけてこず、仕掛けて来れば辿る気で準備をしていた科学班を嘲笑う様に静観を貫いている。

 

相手の意図が全く分からず、ラディッツは敵が多かった(ほとんど同族の大人達)が殺そうとした意図であるのならば航路の何処かでポッドを爆破した方が手っ取り早く(ラディッツも同じことを考えた)、ではフリーザにも数人はいる政敵(銀河王朝とか連合国とか海賊などを束ねる裏のボス)が、嫌がらせでラディッツを遠くに追いやったというには無理がある。

 

飛ばし子とはいえフリーザ軍の宇宙ポッドに触れるのは軍で働いていた年数が十年以上の者で規律違反を犯したことが無い者に渡されている許可証明カードを持った者に限られている。

 

そうでなければ軍ないしフリーザ達に悪意のある者が潜り込んで戦力削ぎにポッドに細工をされてはたまらないからだ。

宇宙に遠征に行くというのはそれだけでリスクがあるからこそ、唯一の移動手段に対してリスク管理をするのは当然なのだが・・・・飛ばし子どころかフリーザの秘蔵っ子ラディッツの乗るポッドは、茶番の為に乗る物であっても当然万難を排して用意された最高級のポッドであり、直ぐに回収するつもりでいたので燃料調整を厳命していた筈が・・・・幾重にも張り巡らせている軍のセキュリティをすり抜けられ、よりにもよってラディッツが・・・・ネズミを見つけて拷問して行き先を吐かせようにも正体不明である。

 

目的が分からない以上、素直にポッドに入れられた燃料分の距離を探しに行くのは合理的ではないと判断が下された。

 

遠くと見せかけ実は近くかも知れないと言う考えが捨てきれない以上、フリーザの取った行動はシンプルだった。

 

「宙域を呑み込みながらあの子を探します。」

 

銀河王朝とやらも連合も犯罪集団の一切をフリーザ軍が併呑しつつラディッツを探す

 

この発想の下はゲンインの発言にある。

 

あの日、惑星ベジータが消えたのと時を同じくして消えたラディッツとカカロット

 

彼を失い心は怒り狂いながらも、ゲンインの頭は冷えていた。

 

思考を止めればラディッツと彼の弟を失う・・・・それだけは・・・いつか自分は誓ったのだ

 

お前と弟は俺が守ってやると・・・・簡単に破られた約束を必ず果たす為に、フリーザの直属になって直ぐに意見具申をいくつか行ったうちの一つに

 

「犯罪集団をこの機に全て潰し、奴等が抱えていたビジネスと販路・人脈の一切をフリーザ様の管轄になさってください。」

 

余りの意見に長年文官としてもフリーザを支えていたドドリアとザーボンは驚く中、フリーザは無言でゲンインの意見を促し、その答えはシンプルであった。

 

「ラディッツはサイヤ人として弱すぎるのです・・・」

 

戦闘力はもう上級戦士だと威を張る古いサイヤ人どもの大半を抜いているというのに、仕返しどころか反目していた自分達を諫める程に闘争心と言うものが欠落している。

 

いざとなれば弟を守る為には戦うだろう事は、ナッパという愚か者がラディッツの両親を言葉で辱めた時に起こった事で証明されているが、それでは遅いとゲンインは嘆息する。

 

「いざが起こる前に制圧するという考えがあいつに出来ない以上、力だけがあるサイヤ人なぞ奴等にとっては格好の餌にしか見えません。

弟を質にでもとられればあいつは何でもしてしまうでしょう・・・」

 

そうそれこそあらゆることを・・・・

 

「その危険をゼロにしつつ、奴等や無駄に規模だけが大きいくせに周辺惑星諸国を守れもきちんと治められてもいない王朝だの連合だのも潰して膨大にある監視映像データだの不時着した形跡だのを探すのに、これが最短の道かと考え意見具申させていただきます。」

 

ゲンインのいう無駄に大きいくせに周辺惑星諸国のくだりは、現時点で正しい。

 

王朝だのがきちんと機能していれば、如何に宙域最強のフリーザを擁していてもこれほど簡単に軍の規模拡大が出来る筈も無く、そもそも軍が欲しがる利益を生み出してくれる犯罪集団がいる筈も無いのだ。

 

きちんと行政が行き届き、警邏隊がいるだけでも海賊達は嫌がり他に行くのをここまで犯罪がはびこるにはそれなりの訳が、即ち束ねるべきであった者達が長い年月を掛けて腐敗し或いは衰退して無法地帯寸前であったのを・・・

 

「私が束ねてもどこからも文句は出ないでしょう。」

 

悪の帝王が、軍ではなく本物の国を持って帝王となった瞬間であった

 

 

 

 

 

「・・・・・あれから一年半・・・・・貴方はどこにいるのですかラディッツ・・」

 

次々と惑星ベジータ痕宙域を呑み込み、未開の地にも数名を派遣して一か月かけて調べさせては徒労に終わり、ラディッツを待ちわびている子供達も母のギネも気落ちする。

 

それでも、フリーザはラディッツの生存を-知っている-

 

確信ではなく、絆があればわかると言う馬鹿馬鹿しい幻想話ではなく

 

シュン

 

「どうも~、-石-の調子はいかがですかフリーザ様~。」

「・・・・お前はいつになったらノックを覚えるのですか・・」

「はは!そのうちに~、其れで石は・・」

「この通りに、良くも悪くも変化はないですよ・・」

 

自分の私室にノックなしで来る命知らずと言おうか豪胆なのか単なる馬鹿なのか・・

 

「はぁ、数々の功績がなければ襤褸切れにしていますよ-トンミ-」

 

糸目の黒い長髪をオールバックにして後ろで束ねている、ラディッツ同様らしくないサイヤ人のトンミは、平然とフリーザに近づき、フリーザの前にある机の上でほんのりと光る拳ほどの丸い石に近づく。

 

「ラディッツ元気そうですねぇ。」

「まったく・・・貴方に命じてラディッツの体内に入れさせたナノマシーンに、GPS機能も付ける様にすればよかったですよ。」

「いやぁ~、流石にそこまで露骨な事したら、あの面倒ごとが大好きなお兄さまがラディッツの事攫いに来ちゃっていましたよ~。」

「ふん!・・・・今となっては兄に取られるかどうかの心配をしていた方がましでしたがね・・」

 

不愉快そうに尻尾をポッドに叩きつけながら、フリーザは言葉を吐きだす。

 

目の前でほんのりと光る石は、ラディッツの心臓と直結をしている・・・・と言えば神秘的過ぎて嘘くさいが、ラディッツの心臓の何処かにナノレベルのチップが取りついている。

目の前にいるラディッツを可愛がっている筈のトンミが、自分の命令でお菓子の中に入れて食べさせたのが、惑星ベジータを消す一年前、即ち自分の大嫌いな兄クウラとラディッツが出会ってしまった直後の話

 

兄は欲しいとなれば徹底して手に入れようとするが、最終的に手に入らなければ自分と違って時間をかけて懐柔して手に入れようとせずに壊してしまう・・・・攫われた挙句にラディッツを殺せば自分は即座に分かり宣戦布告をすると兄に通達するべく、ラディッツに施した細工に追加させたのだが・・・・GPSを入れなかったのはラディッツを攫って自分に追いかけさせて遊ぶという面倒ごとをされたくなかったのだが・・・あの戦闘馬鹿な迷惑な兄のせいでラディッツの生存が知れるというのは癪に障る・・・複雑な事この上ない

 

 

生きていることを確信しているからこそフリーザに止まる理由はない

 

犯罪集団が持っていた利益につながる事をごっそりと手に入れたことでマージンを取っていた時以上の利を齎し、行政は面倒だが無法地帯になられてラディッツが見つけられなくなっては利が得られてもフリーザにとっては話にならない。

 

実益とラディッツ探しはフリーザにとっては全てが繋がっている

 

あの子を探し出すだけではないのだと・・・・どこか言い訳めいているかもしれないが

 

それに苛立ちを募らせれば得意先でもない悪党どもを薙ぎ払えば自分の気も治まる

 

悪党潰しとは実に趣味と実益を満たしてくれると・・・世の悪人どもの心胆寒からしめる事を愉しみながらも・・・・

 

フリーザ様~

 

スーナとは違う柔らかい声に優しい言葉を雨のように降らせる可愛い子がいない

 

自分の傍らに座っている筈の暖かい子ザルがいなくなって・・・

 

「トンミ、あの子が持っていったアメの効能はどのくらいもちますか?」

「はて・・・たしか持っていったのは三十粒ですから・・・・舐め尽くすのにあの子がフリーザ様から貰った物をだとゆっくりと大切に舐めるでしょうから、アメを舐め尽くすのは一年として・・・・そこからの効能は・・・五年もしたら背が伸び始めるでしょうね・・。」

「そうですか・・・・常用性を無くして効能だけですから苦しむ事は無いと・・」

「はい、常時与えればアメの中に仕込んでいるナノウィルス達があの子の気の通り道を探し出して防いであれ以上強くはなれず、身体成長の経路にも張り付かせる仕様にしているのですが・・・・五年を過ぎれば気の通り道は滅茶苦茶になってその頃にはもう手遅れですが、身長が伸びていてもがっかりとしてあげないでくださいね?」

 

子供の姿から大人になってもラディッツはラディッツなのですからと困った顔をして酷い事をスラスラと話すトンミ

 

かつてはラディッツの父バーダックをボスとし、ギネと彼を引き合わせ生まれたラディッツを可愛がっていた男は、今やすっかりとフリーザの手先の様に見える

 

可愛がっている筈のラディッツの肉体に-毒-を仕込んだのはトンミであり命じたのはフリーザ

 

その命令をあっさりと受けたトンミに、フリーザは拍子抜けしてあの子を可愛がっているのではと聞いてしまうほどであった。

本来は他者の思惑なぞ塵芥にも感じないフリーザが

そしてその答えは

 

「僕では貴方に勝てませんもの。」

 

無駄はしないんですと飄々と笑った奇妙な人物に命じた

 

いつまでも自分の手元で可愛い文官のままでいればいいのだラディッツは

 

其の為にも強くならないようにと、もう一つはラディッツに仕込んだナノウィルスは他の毒を完全分解をする。

 

同族に命を物理的に狙われただけではなく、妬みを覚えた文官どもから毒殺までされかけたのを知らないのはラディッツばかりで・・・放って置けば死んでしまいそうだった可哀そうな子・・・自分に目をかけられたばかりにと、フリーザはそっと微笑む。

 

可愛がられても毒を仕込まれ、そうでなくとも命を狙われる憐れな子を・・・

 

 

もしも他の星に不時着してその星に愛着を持てば・・・・

 

決して許さない・・・・

 

「私のラディッツの心を奪った星なぞ消し炭にしてくれる!」

 

トンミも去り様々な思いを巡らせていても最後に辿り着く答えはいつも同じ

 

 

たとえ辺境にありて自分の怖ろしさを知らずとも、己のモノを誑かした罪の償いはその星にさせるのだと・・・・ラディッツ自身が止めようともそんな事は止まる理由には全くならない

 

 

全てを皆殺しにするまで止まる気は毛頭ない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カツンカツンとトンミは広い船内を歩き、目当てのフロアーに辿り着き飄々と扉の中に入っていく

 

そこは何もない、本当に家具も何もないくらいフロアーの中心に一人の男が胡坐をかいて悄然とした風情で座っている

 

男に右腕は肘から下が無く、目に生気はないが、トンミは気にした風もなく男、バーダックに話しかける。

 

「今日も見てきたよ、ラディッツの生命の石を。」

 

ラディッツと繋がる石を、トンミは勝手にそう呼んでいる。

その言葉に、トンミが入ってきてもなんの反応も無かったバーダックの髪の先がピクリと揺れるのを、トンミは気が付いたのかいないのか・・・・

 

「ラディッツはまだ生きている、でも見つかっていないよ・・・・ふふ、ラディッツとしては見つかった方がいいのかどうなのか・・・君はどう思うバーダック?」

 

ギネは保育カプセルから出た幼年期のサイヤ人の子供達の面倒を見る事で日々気持ちを紛らわせそして陰で泣いている・・・・右腕を失い戦えなくなったバーダックの事を慮って・・・・そんな中、可愛い息子達に戻ってきてほしい状況ではないが、それでも見つかった方がいいのかもしれないと言うトンミの問いに

 

「・・・・一生見つからなければいい・・・・」

 

そして苦しめフリーザと、バーダックの顔に暗い・・・酷い笑みが浮かんでいる。

 

生きているのが分かるからこそ諦める事が反対に出来なくなった馬鹿な男・・・自分のクソガキに囚われ苦しめばいいと・・・そして・・・

 

「君・・・・まだ諦めていないのか・・・・・呆れたよ・・」

「・・・・お前こそ俺の事あいつに報告してないだろうが。」

 

いつか絶対にフリーザを殺す事を諦めていないバーダックにトンミは呆れ、自分の殺意をフリーザに報告していないだろうとバーダックもトンミに呆れるが

 

「フリーザ様ちゃんと知ってるよ君の悪足搔きの事を、戦えもしないのにねぇと。」

「ふん・・・・あのすかした面絶対に歪ませてやる・・・」

「・・・ご随意に・・・僕は助けないよ?」

「・・・・・お前が何の足しになるってんだよ・・・」

「ふふ、酷いな~・・・」

「はん!本当の事だろう・・・」

 

 

 

様々な者達の思惑が、一人の少年を起点として-この世界-をあり得ない形へと向かわせていく

 

それはこの世界の破壊が成されるのかそれとも・・・・それはまだ誰にも分らないがただ一つだけ分かっている事があるとすれば、ラディッツがフリーザ達のいる宙域から飛んでも無く離れた辺境の未開の惑星・地球にいて馴染んで楽しく過ごしている事を知れば、間違いなく地球の全生命は破滅の危機に晒される未来が確定した事だけであろうか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その地球では

 

 

痛いよ・・・毒出す為でも、気を無理やり通されるって死にたくなる・・・

 

「アメ食べよう」

 

フリーザ様がくれた俺だけの特別なアメ

 

今日くらいは一粒全部食べてもいいよね・・明日からはまた少しずつにするから・・

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