何時もの荒野に胡坐をかいて座っている桃白白とその目の前で転がって呻いているラディッツを、少し離れた場所に椅子を置いて座って見ている鶴仙人の姿があった。
「う~・・・ふぅ・・・」
「痛いか小僧?」
「・・・・うん・・・でも、決めてるから・・・」
カカロットを守り切れる強さを手に入れると・・・・だから・・・
「アメ食べて頑張る・・・・」
桃白白が突き止めたラディッツの気の運行のおかしさは毒が盛られている事だと、ラディッツ本人には明かしていない。
言ってもラディッツの心を乱すだけであり、強さを追い求める事に貪欲になった桃白白にとってはラディッツが強くなるための道を遅れさせる事象は邪魔である。
其れよりも納得いくような事で言いくるめてさっさと毒の排除をする
即ち、生まれつき塞がれている気脈がある。
それは隙間があるので気を扱えていたが、苦痛を乗りえて排出すれば今以上に強くなれると言うエキセントリック・バトルジャンキーの師兄の言葉をラディッツは信じた。
なにせ自分が強く成る事に余念がなく、近頃は昔の古書を引っ張り出して武術の型や気の運行の基礎から見直している程であり、自分が扱う気の使い方を解析しようとしている。
ならば自分の体の事も気を練ってくれようとした時に見つけてくれたのだと。
其れからはひたすらに桃白白は毒の排出を、そしてラディッツにとっては気脈をこじ開けてもらう・・・・想像を絶する苦痛に歯を食いしばって・・・
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毒の排出後はラディッツは夕餉も摂らずに・・・摂れずに寝入ってしまう。
それほどの苦痛と体力消費に耐える馬鹿弟子・・・
「実際のところどうなのだ悟雲の奴は・・」
「ふん・・・兄者も甘くなったものだ。弟子如きの体の心配をするとはな。」
「そんなんではない・・・揶揄うな・・」
気にしていない風を装っていても、悟雲が苦痛の声を上げる度に兄の気が乱れるのを知っている白白は、笑いながら茶を飲みながら報告をする。
「毒は小僧が舐めているアメだった。」
「何じゃと!!!」
弟からの報告に、鶴仙人は酷く動揺した。
あのアメは、ラディッツにとって大切な人から頂いたものだと嬉しそうに、そして悲しそうに話してくれた。
自分を可愛がってくれた人からの贈り物はもう手に入らない
だから大切に食べているのだと・・・・それに毒が入っていたという事は贈った者が毒を仕込んでいたからに他ならず、ラディッツが大切な人だと定めた者に誑かされ騙されていたとのかと思うと・・・
「どうした兄者?」
「決まっておる・・・あの馬鹿弟子は儂の金の卵を産む者じゃ、毒なんぞもってのほかじゃ!」
露悪的な物言いをする兄・・・
この期に及んでもまだ認めないか・・・仕方のない兄だと、自分の話一つで顔色を変え立ち上り今にも弟弟子が大切に抱いているアメの瓶を取り上げようと立ち上がる兄を宥める。
「あのアメ自体はもう無害だ、あれは毒というか・・・・意志ある毒とでもいおうか・・・手を出した儂に向かってきおったので吸い取ってやったわ。」
「・・・・なん・・・じゃと・・」
ラディッツの毒を突き止めた後、桃白白はラディッツが持っている数少ない持ち物のアメに目が行った。
ラディッツの毒を最初に取り除いた時、毒であるナノウィルスはラディッツの気脈を閉じるという命令とは異なるもう一つの命令である毒の無効化を発揮した。
ナノウィルスである自分を排除しようとする桃白白の気を、毒と認識して攻撃を加え一部のナノウィルスが図らずも桃白白の気を辿って桃白白の体内に入るというアクシデントが起きた。
本来起きうることのないアクシデントは桃白白に変化を起こさせた
ナノウィルスを感知できるようになったのだ・・・・・人間やめたかこ奴・・・
荒唐無稽な程に馬鹿馬鹿しいが本当の話であり、疲れたからと酒を飲むといって町でしこたま飲んだ後、荒野の兄と弟弟子がいるホイポイカプセルの家に戻った時にはもうアメの中にある?いる?何かを感知していた。
痛くて泣いて、縋るようにアメの瓶を抱きしめて眠っている年相応の少年の手の中にある瓶から発せられる禍々しいものは、自分を食い荒らそうとしている何かと同じだと。
これに先程弟弟子にしたように、自分の気を流し込めば攻撃してくるのではなかろうか、其の時自分の気で絡めとり支配できれば・・・
思い立った事を試したくて、眠るラディッツから瓶を取り上げる事無く蓋だけを開け人差し指をアメにつけ気を流し込めば、大量の何かが自分の中に押し入り食い破って出ようとする意図丸見えであったのを、弟弟子を起こす事無く苦痛に耐えた桃白白は、ナノウィルスを体内に閉じ込めるのに成功したのだ・・・・人間やめてませんかこのお人?
ナノウィルスの気配って何?取り込むって何である・・・・しかもだ・・・
「儂を毒で蝕もうとしているか暴れておったが・・・くっく・・儂の気に取り囲まれていいようにできなくてさっきから蠢いているのが関の山よ。」
・・・・訳分らん事言ってるし・・・
座りなおして気を落ち着けようとお茶を飲もうとした鶴仙人が絶句して茶を飲むのを忘れる程だぞ桃白白よ・・・
苦痛もまた強さへの代償だと嘯き痛痒を感じていないようであるが、ラディッツをして苦痛に喘がせ常人だったら0.1秒で死んでしまう程の猛毒を・・・・笑って茶を飲み続けるこいつは絶対人間じゃない・・・
その数日後には
「兄者、儂は自在に気の中に毒を仕込むことが出来るようになったぞ。」
そんな事を弟子が寝入っている深夜に言ってきた弟に、鶴仙人はもう匙投げた・・・
なんでも意志ある毒とやらを自在に体内であやつり、好きな量の毒を自分の気に練り込み相手の神経を麻痺ないし神経を端から殺していくことが出来るとか・・
「便利だな、殺すだけではなく情報が欲しい奴の骨を折る事無く、致命傷以外のどこにでも指を突っ込むだけで相手の動きを封殺できるのだからな。」
おかげで今やっている仕事も捗って良いな
近頃は桃白白は殺し屋をしていない。
依頼を受けてから殺すよりも、懸賞金付いている大物犯罪者を狩りに行けば、行政が大金をくれるのでノータイムで仕事をして金が手に入る・・・・・悪党泣かせの兄と同じような事をしつつあるのだこいつも・・・
大物の居所は自分でも知らないので、小物から辿る為に神経毒を注入して脅して吐かせてから警察に持っていって金を貰ったその足で大物を狩って数分で同じ警察署に舞い戻るのがデフォになってきている・・・・何言ってんだろうと思うだろうが本当である。
悪党相手に手に入れた力の実験にもうってつけであり、加減を間違えて殺しても、悪党をうっぱらう事都合二十を超えたところで、大物犯罪者は手に負えないのでと表の世界の警察からも死んでも構わんのお墨付き貰えたので無問題。
大物は大半が死刑確定しているからだがそれは兎も角
其の内格上に対しても内部殺しが出来る程になるかもしれないと、老酒飲んで嬉しそうにしている桃白白は・・・・矢張り人間やめてる・・・そもそも目の前の弟の上って自分しかおらなくないかと鶴仙人は冷汗流すのを、桃白白は揶揄う様な笑みを浮かべているのに気が付いた鶴仙人は面白くなさそうに弟の飲んでいる老酒を奪い取って飲みながらちらりと寝台で眠る弟子を見る。
大切な者に食い物にされる・・・・弄ばれる・・・・・儂は・・武泰斗様の教えに背いているが・・・武泰斗様は儂を・・・・儂は大切にされているのだろうか?・・・あの方は悪さをしていた儂の所業を叱りつけてきたがそれでも・・・・見捨てられる事無く最期まで共にあってくれたのではなかろうか・・・・
胸中に苦いものとかつての暖かい思い出という相反する想いを、老酒で飲み下す
何がどうであったろうが、自分が悪党であった事は間違いなく・・・だが未来は・・このままでもいいという怠惰な自分と、分ったのならば足を半歩ずらして-上-に上る道を行けという可笑しな自分・・・分らないなぞと思うのはいつ以来だろうか・・
鶴仙人が悩みだした頃、悪党達もまた悩んでいる。
「総帥・・・・このままでは我々の組織が盤石になる前に・・」
「分かっておる!!・・・忌々しい桃白白めが!!!殺し屋の分際で何故我等を攻撃するのだ!!」
大金を払ってやめさせようと、ブラック補佐に命じて桃白白に接触を試みたが、最早悪党は実験材料にしか見えていない桃白白は大金を持ってきた輩も実験動物として散々使い倒した後、金は懐に入れて警察に引き渡しまたそこで報奨金を貰う・・・ゲスの極み・・・・鬼畜の所業だと歯噛みしているレッド総帥だって同じ穴の狢だろう・・・平和な世界を武力制圧して世界征服企んでるんだから・・・
そんな狸(レッドリボン軍)と狐(桃白白)の攻防が水面下で行われていたのだが
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「兄者、弟弟子借りるぞ。」
毒の排出から三ヶ月が経ち、ラディッツが地球に来て初めて雪がちらつく冬の日に、桃白白は鶴仙人にラディッツを借り受けに来た。
「こ奴は今は仕事もオフで、昨日家に帰って来たから良いが何をさせるつもりじゃ?」
近頃あちらこちらにフラフラとしている事と何か関係があるのかという兄の言葉に、桃白白はうっそりと笑い嘯く
赤いリボンを解きに行く手伝いをさせるだけだ