ラディッツは頭を抱えていた、祖父と弟の目がなければ床を転げまわった後にふざけるなと、目の前で飯を食っているじいさんに怒鳴りつけてやりたい!!・・・その横で困り顔でいる爺さんの息子は別である・・・・
「ふむ・・・・お前は腕っぷしだけではなく飯を作るのもうまいのだな。」
「・・・・そうですか・・」
「兄ちゃん!!俺お代わりしたい!!」
「おおいいぞカカロット!兄ちゃんの作った中華まん美味いか。爺様、白湯のお代わりあるから言ってくれ。
ゲボさん、チンジャオロース作りすぎたからどんどん食べてくれ。」
「・・・・儂にはなんも無いのか小僧?」
「・・・・・好きに食べてくれ・・」
捕らえて三年間!最近ずっとこの爺さん俺達の家で飯食ってるし!!
見ろよ!爺様が俺とじいさんの遣り取りを見てどうしたものかっておろついてんじゃねぇかよ!!・・・・つかず離れずいるんじゃなかったのかよじいさん・・・
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刑務所いかずに執行猶予がついてからのドクターゲロの動きはとにかく早かった。
ラディッツの立会いの下で製薬会社に面接を受け知識と実績を買われて一発合格を果たし、年なのでという理由から臨床実験と其の成功例は全て会社に功績を譲るのでリモート出社にしてほしいというのも半年のお試しで問題なくかつ新薬開発に成功すれば、其のままで雇う契約を結んだその足でラディッツが住む山村に住民登録を済まして村民にまでなった。
・・・・・このバイタリティを良い事に活かせよと言ってはいけないのだろうかと、傍らで見ていたラディッツは思ったのだが、じいさんは兎も角息子のゲボさんは父親が楽しそうだと笑っているので突っ込まずにいた。
とは言えマッドサイエンティストが村民になれるのかという疑問は直ぐに解消された。
擬態が美味いのだドクターゲロという男は
「科学者がいちいち世の者どもから疑問を持たれては研究しづらかろう。」
処世術と言うものを知らんのかと諭されるように言われた時はぶん殴りたくなったが我慢した・・・・問題起こさなければもう何でもいいやである。
とりあえず事件から一週間はラディッツと共に村にいたのだが、問題どころかゲロは村の中に直ぐに溶け込んだ。
其れこそずっと古くから住んでいるように。
ここは本当に山の村で、トラクターなどの重機は壊れるギリギリまで村の人達が親に教わったお手入れ方法で手入れをしていたが、不具合が生じやすいのをすぐさま無償で直し、公民館にあるテレビをチューンアップして画質と音を良くし、ラジオも村のお知らせをする各所にあるスピーカーもあっという間に新品同様にして見せるゲロは
「いいやゲロ先生はすんげぇな。」
「何でも都から来たらしいぞ?」
「そんだら本当の先生様だな~。搾乳した後に出荷まで保管しておく保冷車の調子みてもらってもええかな?」
「あ!・・・おらんところの家庭用冷蔵庫も・・・」
一つ一つの機械製品のお悩みをあっという間に直してくれる都の先生、それがドクターゲロの山村での呼び名になったのを、良いのか悪いのかと悩んで見ているラディッツの肩を、ゲボにポンと叩かれラディッツは顔を上げる。
オレンジの髪を・・・何と言えばいいのかモヒカンみたいな・・・とさかみたいにした奇抜な髪型だが、妙に憂いを秘めた眼差しと合致する逞しい大人の兄ちゃんに
「・・・・ゲボさんはどうしてゲロさんの言う事に逆らわないの?」
最早ため口で聞いてみる。
悪の秘密組織に創設から立ち会って一兵士となって付き従い、今も自分を倒すと言って息子を振り回しているのにゲボは笑ってゲロの少し後ろについていく。
数日過ごせばゲボさんの為人は分かる・・・・というかシュウとマイを両肩に乗せ、村に新しい人が来たというので爺様と弟も来て、その弟を肩車してくれているゲボさんは絶対に超絶優しくていい人なのに・・・・
そのゲボはいつもと変わらない慈愛に満ちた笑みを浮かべ迷いなく答える。
「俺が父を愛しているから・・・・・それでは答えになっていないか悟雲?」
「あぁ・・・そっか・・・・うん、そうだね、なってるよ・・・」
自分の祖父もゲロに家電お悩み相談しているのを複雑そうに見ながらゲボの答えに納得をする。
好きや一緒にいたいのには理屈も善悪も無い・・・・自分がそうであるように・・・
「兄ちゃん?」
「あぁ何でもないよ悟空。」
ゲボの肩車で喜んでいた弟が、自分の顔を見てどうしたのか心配してくれている・・弟を心配させたら駄目だろうと、ラディッツは頭を一度降って切り替える。
じいさんの目標が世界征服から俺を倒す事に切り替えたのなら、ずっと俺が勝ち続ければいいのだと、カカロットを地球名で呼んでゲボと子供達と共に大人達の所に戻ってそして月日が流れて・・・・・ドクターゲロはラディッツの生活に入り込んだ。
幾ら近くで監視と言っても、ゲボも父の事を見張っているので鶴仙人の道場内や荒野での修行場は兎も角として、山村に帰れば家で大人しくしている筈なのに
「お前を観察する時間がもっと欲しいのだ。」
・・・・なんて言い出して四六時中は大袈裟でも本当に張り付かれて反対にラディッツの方が滅入りかける。
だがゲロとゲボというお客さんが来ると悟飯と悟空は賑やかになると喜び、最近では悟空を寝かしつける間に悟飯とゲロがお茶を飲みながら何かを語らっているのを横でゲボが嬉しそうに見ている・・・・爺様にお茶飲み友達が出来たと思っていいのだろうかと、ラディッツの心はほんの少しだけじいさん信用してあげたほうがいいのだろうかと思い始める・・・三年という歳月は、十二の子供が十五になる程長い年月であったのだ。
▲▲▲
「鶴仙流の道場もすっかりと門人が増えて手狭そうだな。」
「じいさんが機械トレーニングも馬鹿に出来ないって言って最新設備置いてくれたおかげもあると思う・・・・」
「ふん・・・儂の仕えている会社が筋力サプリメントとやらを出す為に臨床実験に付き合ってもらう為のデータ取りになっているからな。
あのトレーニング機材の出資は製薬会社に礼を言うのだな。」
「ほほぅ、ならばあれは本当にただでいいのだな。」
「あ、お師匠様。」
「悟雲、最近そのジジィは-アレ-していないようだがいいのか?」
シネマキーン出資による鶴仙流の道場が建てられ二年以上が経ち、鶴仙人とラディッツの名声もさることながら、古いだけの武闘ではなく最新のトレーニング機材があるという触れ込みで道場は昨日から当分弟子入りを締め切る程に賑わっている。
滝行・荒行・組み手等自然にあるものを使って修行をしていた鶴仙人達の頃と違い、今や武闘は科学を伴ってするのが主流となっているのを、ドクターゲロが補って見せたのだ。
こいつ何企んでいるのかとラディッツは申し出を受けた時に師の鶴仙人と共に物凄く疑った。
二か月前に人造人間七号をラディッツが倒して壊した後に、八号を作り、ラディッツの目の前で初起動した時
「おはようございますご主人様。」
のほほんとした笑みを浮かべた八号の挨拶を受けた時のゲロの顔は見ものだった。
それまでの戦闘データを全て積み込み、ラディッツの監視の下で仕入れた機会で持ちうる限りの技術で作られた八号は七号よりも怪力としなやかな動きに加えて戦闘頭脳を瞬時に弾き出す頭脳を与えたはずなのに・・・・・筈なのに・・・・今山村でゲボと共に悟空とシュウとマイと新しく山村で生まれた女の赤ちゃんを背負って畑仕事を喜んでしている・・・・・つまりはそういう事だ・・・
そんな超いい奴作ってしまったと悟った時のゲロの顔は本当にすごかった
目ん玉おっぴろげて鼻水が少し垂れて、自分なに作っちゃったんだと顎が外れそうな程口をかっぱんと開けていた様は、映画撮影の過密スケジュールと修行と帰郷と様々に忙しくて色々と疲れていたラディッツを大笑いさせたほどであったのだが、それ以降ゲロは人造人間を作っていないのを、鶴仙人は指摘したのだが今は煮詰まっているというゲロの言葉にラディッツは其の方が自分と世界は平和でいいから一生アイディア枯渇してくれと祈りながら
「お師匠様、確か昨日から面白いお弟子さんが二人入ったって言ってませんでしたか?」
道場で師と高弟が座る所で師を出迎えたラディッツは、新しい弟子はまだ来ていないのかと尋ねる。
パオズ山に三日間帰郷した足で道場に来た時、門弟の一人が入門した者がいる事を教えてくれたのだ。
新弟子が入って来たのに立ち会えなかったので会ってみたいラディッツは鶴仙人に紹介を促し、鶴仙人はにやっと笑って入って来いと入り口に声を掛ければ
三つ目の男の子と、宙に浮いている肌が真っ白でほっぺに赤い丸のある男の子が入って来たのを、昨日見たであろう門弟達は矢張り驚くがラディッツの態度には変化がないのを鶴仙人はつまらんと鼻を鳴らす。
「ふん!お前は驚きもしないのだな・・・可愛くないのう悟雲は・・」
折角驚かせようと思ったが、自分がそもそも宇宙人であるラディッツはそんな理不尽なと内心で苦笑しながら新弟子達を迎え入れる。
ラディッツの今の姿は鶴仙人が着ているの鶴仙流の道着と同じだが、色合いが全く違うものを身に纏っている。
鶴仙人の道着は緑の上着に中は黄色だが、ラディッツのは上着の縁取りと丸に鶴の字だけが黒色で、後は真っ白という・・・・鶴だかパンダをイメージしたのか分からない少々けったいな道着を着せられている・・・・・ラディッツ的にはこの服は嫌だと抗議し、お互いに唾飛ばし合うほどの言い合いまでしたのだ。
「俺を客寄せパンダだって言いたいんですかお師匠様は!!!」
「ええぃ!!鶴が好きというお前の為に!!儂が寝ずに考え上げた渾身の鶴らしいデザインに何の文句がある!!!」
・・・・・この言葉にラディッツはノックアウトされた。
自分の為という言葉に非常に弱いラディッツに勝ち目はなく、袖を通せば他の門弟達は細身の悟雲さんが本当に鶴に見えますよと言われてはもう何も言えないであり、儂の見立てた通りだと師匠ドヤ顔である。
その道着をはためかせながら近づいて
「俺は鶴仙人様の-二番目の弟子-で君達の同門になる孫悟雲だ。よろしく頼む。」
鶴仙人が公式的に弟子だとしているのは弟の桃白白一人であり、後は少々拳法やその他の・・・まぁ良くない事を教えた程度で弟子としてはカウントしてないので、桃白白の次の弟子はラディッツこと孫悟雲となり、後は面倒なので何番弟子は言わずに実力次第で高弟の座を用意する事になっており、今のところは空座である。
つまりラディッツは鶴仙流の中で三番目に偉い人で有名人で、そんな人から挨拶をされた相手の一人はすっかりと泡食ってしまった。
「は!!初めまして!!俺は天津飯と言います!!!親はいません!鶴仙人様の取り計らいで道場に住み込みで教えていただきます!!よろしくお願いします!!」
「畏まらなくていいよ、俺まだ十五だし。」
「俺は十歳ですから悟雲さんよりも五つ下です!!」
顔を真っ赤にしながらも、はきはきとする天津飯という少年は好ましいとラディッツや門弟たちの顔がほっこりとする中、天津飯は気持ちがいっぱいいっぱいである。
有名で、すっかり子供の憧れとなり天津飯もまた鶴仙人の武名とラディッツに憧れ、テレビで東の都で鶴仙流の弟子を募集しているのをニュースで知って、はるばる遠くから孤児院を抜け出して旅をして辿り着き、道場前でうろついていたのを鶴仙人が面白そうだと入れたのだ。
「話を聞いてこ奴の胆力と、何よりも素人とは思えんほどの筋肉の付き方はお前よりも武闘家に向いていそうだからな。掘り出し物かも知れんから拾ってみたわ。
下手したお前なぞあっという間に抜かれるのではないか悟雲?」
「たはは・・・まぁ背は少し伸びましたが確かに天津飯の筋肉は・・・君鍛えてた?」
「い・・・いえ・・・・毎日切った木を持ち運んでたり農作業を手伝ってただけで・・」
そうしたら天性のものなのだろうかと、ラディッツが羨ましそうにするのを鶴仙人はふふんと鼻で笑いながら、自分の横で浮いているもう一人に挨拶せんかと促す。
「僕、餃子。」
「餃子か、君は・・・・気で浮いているのではなさそうだね?」
「ほう、この小僧の特徴にもう気が付いたか。」
「えぇ、気ではなく・・・・エスパーかな君は?」
「・・・・わかんない・・」
「ん?」
「誰も僕の事わからなくて、あっち行けって石投げられてたのを天さんが庇ってれたから一緒に来たの。」
「・・・・そう・・・天津飯に助けられたんだね。」
「うん!僕天さん大好き!!!!」
少し聞いただけでも、この餃子という子の生い立ちはあまり良いものではなさそうで、それは天津飯も同じようだ。
子供二人がどこか遠いところで出会ってここに辿り着き、まだ弟子をギリギリ募集していたこの道場にに入り込めて締め切りになった・・・・不思議な縁をラディッツは感じずにはいられなかった。
「餃子はいくつだい?」
「え・・・えっと・・」
年齢を聞かれた餃子は、何かを数える様に指を折りやがてにぱっと笑って
「天さんと同じ!!」
「そうか、十歳か・・・・お師匠様、天津飯と餃子は当面の間は武術半分に一般社会の勉学にしてほしいのですがよろしいですか?」
「ほん?お前が下の者達の方針に口を出すとは珍しいの・・・・童だしまぁ良かろう。」
これだけの弟子がいるのだから一人か二人位はゆっくりと育て上げるかと、大道場主として気が大きくなった鶴仙人は懐の深いところを見せつけ、ラディッツと天津飯は礼をし、キョトンとして浮いている餃子に、天津飯が慌てて礼をするものだと教えているのをみんなが大笑いをして見ていたが、ゲロは微笑みながらも鋭い目をしていた。
▲▲▲
「やれやれ・・・あの小僧のせいで-サンプル集め-は今はここまでのようじゃな・・」
ラディッツの帰郷と共に山村に戻り、息子が寝静まったのを見計らって起き出したゲロは、今まで集めた-遺伝子-をネズミロボットに持たせ、北の山で稼働している人造人間七号に送る。
ラディッツが壊した人造人間七号は、腹が立ったので処分したといったが秘かに集めていた部品で直し、レッドリボン軍にいた頃から自分専用に用意しておいた北の山奥のラボに行かせた。
仕事の合間に遠隔操作で七号に指令を送り-人工生命体培養のノウハウ-を全て七号のデータベースにインプットもし終えた。
七号の今のみためは北の都で資材を購入させても怪しまれない様大人の男にしてある。
資金もネズミロボットに銀行のカードを持たせた。
後は送りつけた多くの武闘家の遺伝子を掛け合わせ、自分が思い描いた究極生命体の完成を待つばかり。
勿論仕事にかこつけて時折様子を見て、七号に不具合が生じれば失敗作を作って破棄したように見せかけて同じように向かわせればいい。
その時は初期から培養ノウハウを持たせてだ。
八号を作った時は芝居ではなく本当に対ラディッツを見越したのだが、自分が作る人造人間は性格がとんでもなく良いか、初期の頃の様に自分の指示に従わない猪突猛進の身勝手な奴しか出来なかったのに苛立ったゲロは、人造人間は諦めた。
その代わりラディッツの遺伝子を主軸とし、弟の悟空と昔は武道の達人であったという祖父の悟飯の遺伝子を家に上がり込んで床に落ちている髪から採取し、ラディッツの師や同門達の遺伝子は最新トレーニングマシーンに付着した汗や髪から採取済みである。
惜しむらくはこの世界の何処かにいる武天老師や、身近にいた桃白白のも欲しいところであったが、小型カメラやそれに類する物を作る事をラディッツから禁じられ監視の目が厳しかったので遠方の武天老師や他の武闘家達は断念せざる終えなかった。
ゲロもナノカメラを作ろうと、体内の健康診断だと甘言を弄してラディッツなら丸め込めると思って言ってみたのだが、小型カメラは軍事転用可能であることはレッドリボン軍壊滅で思い知ったラディッツは、ゲロも悪用して何かをするのではないかと恐れたので、やろうとした瞬間そのナノカメラを付けたら終身刑にしてもらうとにべもなく撥ねつけられたので諦めた。
では培養装置をも作れる七号に作らせればいいかというと、それをすれば七号の情報処理能力が容量を超えて無理である。
人が好さそうでいて用心深いところがある厄介で嫌な子供である・・・・子供らしく騙されればいいものを・・・
それに桃白白は用心深く、トレーニングマシーンを使う事もせず、自分に全く近づいてこないので下手に手を出せば全ては無理だろうが何かを企てている事を見抜かれそうなので即座に遺伝子を採取を放棄した。
とは言え、近頃はラディッツの監視の目が緩んでいるおかげで遺伝子を採る事が出来たのだし、更に言えば人造人間を作る事自体を許してる時点でゲロからすれば甘い事この上なく、危機管理が全くなっていないのだラディッツは。
「遠くにあっても-お前-が無事に育って儂の目の前に現れる事を祈っているぞ。」
まだ姿かたちも無い-我が子-を思い、ドクターゲロは声をたてずに嗤っている。
奴等が強くなればなるほどにその都度遺伝子を採取し追加し十年後ほどに生まれる様にと設定をしている。
あまり長ければ自分の寿命が尽きてしまう・・・・その前に・・
「あの小僧の死を、見届けるまで儂は死なんぞ・・・・」
どれ程の歳月を共にしようとも、優しい言葉を掛けられるようになろうとも、ゲロのラディッツへの憎しみと、己の頭脳が生み出す最強生命体への欲望と野望は、決して消える事は無いのだから
己の甘さを後悔しながら死ぬがいい孫悟雲よ!!!