俺ラディッツは弟を絶対に守り抜く   作:ドゥナシオン

37 / 233
悟空都で人を助ける

・・・助けて・・・誰でもいいから助けて!!

パパに会いたい!ママのいるおうちに帰りたい・・・

 

 

▲▲▲

エイジ746 地球

 

「ほえぇ・・ここが兄ちゃんのいる東の都ってところか・・・何でもでけぇんだなじいちゃん・・」

「そうじゃのう、儂が若い頃よりも高い建物や空を飛ぶ乗り物が多くなっておる。

連れ来て下さり助かりますぞゲボさん。」

「いえいえ、こちらこそ悟飯さんと悟空君と、何よりも悟雲には父も含めてお世話になるばかりです。」

 

車を運転するくらいお安い御用ですと、好青年ゲボはにこりと笑って悟飯と悟空をラディッツが握手会をしている会場は此方ですと案内をする。

 

悟飯は実に四半世紀ぶりの都の変わり様に、悟空は村で見たことも無い乗り物や建物、そして何よりも美味しいにおいを漂わせる飲食店に心ひかれながら、東の都の凄さに驚きそしてワクワクとする。

 

 

「爺様、カカロット、三日後に兄ちゃん東の都で握手会っていうのをするんだが都に来てみないか?」

 

少しずつ背が伸び始めたラディッツは、もう一・二年で子役を引退する事をシネマキーンと鶴仙人に打診した。

 

お金も一般庶民の生活を送れば一生働かずに食べていける程の貯金ができ、映画が再放送なり再上映されるたびに売り上げの幾らが入る仕組みの契約を結び、これは役者をやめて二十年は支払われる仕組みにしてあるので無収入になる事はない。

 

それに俳優業をやめたとしても、鶴仙流の道場は二つ目が新設される予定であり、その中において高弟のラディッツは弟妹弟子を指導し収入確保もしている。

 

仕事に困らず何よりもそろそろやりたい事が実現できそうな資金と人脈を山ほど確保できたので、そろそろ引退しても良かろうかになったのだが、当然子役から大人の役者にそのまま進むだろう事を疑ってもいなかったシネマキーンは、鶴仙人を動かしてラディッツの引退を反意させようとしたが出来なかった。

 

鶴仙人自身の名声は東の都どころか全ての都に広まっており、道場と各地の講演会などの収入があれば贅沢し放題は無理でもいい生活が出来るので弟子の好きにさせると公言されてしまって詰んだのである。

 

仕方ないので引退するのは今撮っている映画を撮り終えた三年後という事で互いに合意をした。

 

ラディッツが引退する前に撮れるだけ映画や武侠ドラマを撮っておこうと、シネマキーンが提示した過密スケジュールのせいで五日後どころか当面は帰郷できないラディッツが、三日後の握手会の後に一日休みを貰えるので、弟も大きくなり世間もそれなりに知ってきているので社会学習もかねて弟と祖父を東の都に来てみないかと電話で誘ったのだ。

 

「じいちゃん!おら兄ちゃんに会いたい!!都に行こうよじいちゃん!!」

「んむ・・・しかしな、都は遠い、少し前なら儂が車で連れて行けたのじゃが・・・今は田植えが忙しいから村の人に頼むのものぅ・・」

「う・・・・おらがじいちゃん負ぶって走って行ってもいいよ?」

「そうもいかんじゃろう。」

 

悟空の力と体力考えれば本当に二日ほどで走破出来そうだが、だからと言ってそれを実行させる気は悟飯にはない。

 

しかし可愛い孫達の願いを叶えるにはどうしたものかと悟飯は頭を抱える。

 

東の都はラディッツ的には近かろうが、祖父と弟にとっては遠く、ラディッツも仕事で迎えに行けない。

だがそこはラディッツもしっかりと考えていた。

 

「ゲボさんにお願いをしてあります。」

 

悟飯と悟空に話を持っていく前に、ゲボに二人とともに東の都に来てほしいと頼めば、畑は持っていても田植えをしないゲボは手が空いているので快諾を得ている。

 

其れならお言葉に甘えようかと、ゲボも入れて三人は三日後に東の都に行く事になった。

 

「いいな悟空、俺もマイも行ければな・・」

「そのうちお父ちゃんに連れてってもらおうよ、悟空も一緒にさ。」

 

ゴサクの田植えの手伝いをするシュウとマイはいけない事をがっかりしていたのを、何かお土産を買ってくるというゲボの言葉に慰められる。

 

出発の日の前の晩は悟空は嬉しくてなかなか寝付けず、悟飯の布団に潜り込んであったら兄ちゃんとどんなことして遊ぼうか、じいちゃんはどうすんだとお喋りをしながら、次第にうとうとし始めた。

 

悟空が此処まで喜んで何よりじゃと笑いながら悟空の寝息を聞きながら悟飯も眠りについた。

 

 

「じいちゃん!お日様昇る前に出よう!!」

「これ悟空・・・ゲボさんの支度もあるじゃろう。落ち着いて朝ご飯を食べんか。」

「ふぐふぐ!!・・・兄ちゃんと沢山会いたいの・・・」

「悟空は本当にラディッツが好きじゃのう。」

「うん!おら兄ちゃんもじいちゃんも皆の事も大好きだぞ!!」

 

ご飯粒を付けながらにっぱりと笑う悟空

 

・・・儂の孫は可愛すぎる・・・・悟空が都で可愛さに目を付けられて人攫いに合わんように儂が守らねば!!!!・・・・じじ馬鹿爆誕の瞬間であった・・・・平和だな~・・・

 

 

「悟空行ってらっしゃい!」

「悟飯さんお気をつけて!」

「ゲボさん、悟飯さんは大丈夫でも悟空ちゃんが迷子にならないように気を付けてあげてね。」

「悟雲によろしく伝えてくれや。」

「分かりました。」

「ほっほ、儂もまだまだ悟空の面倒みられるほど若いぞ。行ってくる。」

「皆行ってきます!」

 

誰かが遠出するとなれば全員集合がお約束の山村の皆に見送られ、ゲボの運転するエアーカーで悟飯と悟空は出掛けた。

 

「うわ・・・兄ちゃんと飛ぶ時よりもゆっくりだけど、景色が飛んでってる・・」

 

ラディッツは帰郷している時、必ず一度は悟空とシュウとマイの三人を抱えて飛んでいる。

 

三人にとって、ヒーローとはラディッツであり兄ちゃん大好きなのであるが、エアーカーは少し違うが悟空をワクワクとさせている。

 

去っていく風景は自分で走るよりもはるかに早く、どんどんと変わる周りに、この先何があるのだろうと悟空の目はキラキラと輝くのを、悟飯も楽しそうに見ながらエアーカーの凄さに感心する。

 

「最近の乗り物は凄いのぅ。」

「父が開発した電池式のエアーカーです。乗り心地の感想を後でいただければ研究のフィードバックになるのでお願いします。」

「ふむ、本当に最新のじゃのう。音も無くシートも心地いい上にエンジンの振動も全く感じられん。

これで完成で良い気がするのう。」

 

老いたとはいえども武道の達人であり世にまだ名が残っている孫悟飯の世辞ぬきの言葉に、ゲボは頬を緩める。

 

父が作った物を褒められゲボも短い旅を楽しみ、三人はあっという間に都についた。

 

悟空はラディッツのように人種には驚かなかった。

 

山村には近頃クマやトラなどの獣人の家族が何組か引っ越してきて、爺様婆様達が望んだように賑わいを見せてきたからだ。

 

其れよりも雲をつくような高い建物に、兄の様に空を飛んでいる乗り物に圧倒されキョロキョロとするところは兄弟一緒であり、悟飯は微笑ましげに悟空の手をきちんと握っていたのだが

 

悟空の耳に声が届いた

 

 

・・・助けて・・・誰でもいいから助けて!!

パパに会いたい!ママのいるおうちに帰りたい・・・

 

 

「誰!!??」

「・・・悟空やどうした?」

「じいちゃん!誰かが助けてって・・・また!!」

「声?悟空君、俺には・・」

 

やだ!!来ないで!!

 

「こっちだ!!!」

「悟空!!」

 

悟飯とゲボには聞こえない声が、確かに悟空の耳には届いた。

 

沢山の雑音の中に、怯えと悲しみがある声は、悟空を駆り立てた。

 

居ても立っても居られずに祖父の手を放して雑踏の中へと躊躇いもなく飛び込んでいく。

 

声がするのは建物の間の奥の方であり、小さな悟空はスルスルと進めた。

 

走って走って・・・・

 

「悟空!!こっちじゃな!!」

「じいちゃん!!」

「捕まっておれ!!!」

 

追いついて来た悟飯の耳にも、声が届き悟空を抱き上げ一気に走る速度を上げた。

 

少なくとも女の子が一人助けを呼びながら、この先を逃げ回る声

 

常人よりも遥かに耳の良い自分よりも声を聞きつけた悟空に、悟飯は内心これもサイヤ人の血とやらなのかと舌を巻きながらも、今は声を辿る方に集中しながら悟空を抱えてビルの隙間を走り抜けその先に見えたのは

 

「いた!!じいちゃん・・・・」

「やめぬかお前達!!!!」

 

水色の髪の女の子にナイフを突きつけ観念するように迫る暴漢数人を、緊急事態と悟った悟飯は悟空を抱えたまま勢いを殺さずそのまま暴漢達を蹴り倒した。

 

一人を蹴り飛ばしそのまま勢いを利用し、三人の暴漢の頭を蹴り倒し地に降り立った悟飯は、油断せずに悟空と座り込んでしまっている女の子を抱き上げ暴漢達の手からナイフを蹴り飛ばし、足でひっくり返し気を失っているのを確認する間、悟空は泣いている女の子の頭を優しく撫でている。

 

「うぇぇぇ!!ふぇぇぇ・・」

「大丈夫、じいちゃん強いから悪い奴もうやっつけたからもう大丈夫だぞ。」

「ふぅぅ・・・パパ・・・」

「パパ?・・・パパってなんだ?」

「・・・パパは・・・パパよ・・」

「パパって人か?」

「ふぇ?」

 

悟空のいる山村には、父親をパパと呼ぶハイカラな人はおらず、頓珍漢な問答に女の子はびっくりして泣くのをやめてしまった。

 

「パパはブリーフって言う名前があるわ・・・・」

「悟空や、パパとはお父さんの別の呼び方なんじゃよ。」

 

悪者どもが完全に気絶しているのを確認し終えた悟飯は苦笑しながら悟空に助け舟を出す。

そういえば田舎にはない呼び方が沢山あり、この東の都で沢山学ぶことがありそうだ思いながら。

 

そして案の定悟空は新しく知った事に驚く

 

「そうなんだ!へぇ・・・世の中色んな言葉があんだな。

お姉ちゃんは父ちゃんに会いたいんだ。」

 

少しだけ背が大きそうな女の子を、お姉ちゃんと悟空は呼び、パパの意味が通じた女の子は笑ってどうしてこうなったのかを話し始める。

 

「パパと一緒に-ラディッツさんの握手会-に来たの。

パパと手をちゃんと繋いでたんだけど、私が猫ちゃん見つけて可愛いから撫でようとして手を放しちゃって、路地の中に入った猫ちゃん追っかけちゃったの・・」

「そうか、そしてはぐれたところをこの悪者どもに目を付けられ攫われかけたのか・・」

「うん!・・・助けてくれてありがとうお爺ちゃん。」

「礼ならば儂ではなくこの悟空に言ってくれ。お前さんの声を誰よりも早く聞きつけて駆けだしたのじゃよ。」

「そうなの!!・・・あんた・・・あ・・ごめん、悟空君だっけ、助けてくれてありがとう。」

「へへ・・・なんか恥ずかしいな。

悪者倒してくれたのじいちゃんなのに。」

「ううん!!私の声を一番に聞いてくれたの悟空君でしょう!!

悟空君ありがとう!!」

 

子供達が腕の中で話している間に、万が一本当の事件である事を考慮した悟飯はゲボに頼んで警察に駆け込んでもらい、器用に悟空を抱いている手で通信機器でゲボに居所を知らせて駆け付けてもらった。

 

「あ!!パパだ!!」

 

駆け付けたゲボと警官の中に、水色の女の子の父親の姿もあった。

 

眼鏡が外れかけ、普段飄々とした表情はどこにもなく汗を振りまきながら必死の形相を浮かべる父の姿に、女の子は安堵した。

 

安心したら心に余裕もでき、助けてくれた二人にまだ自分の名前を言っていない事に気が付き、降ろしてもらう前にお礼を言いながら名乗った。

 

「おじいちゃん、悟空君、助けてくれてありがとう。

私はブルマって言うの。

悪い人達から助けてくれて本当にありがとう!!」

 

 

▲▲▲

 

ピルピルピル

 

「はいもしもしラディッツです・・・は・・・警察?

祖父と弟が!!・・・はい・・はい・・分かりました直ぐに行きます!!!」

 

警察から祖父と弟が事件を見つけて未然に解決した旨の連絡がラディッツに入り、握手会がちょうど終わったラディッツは、スタッフに俺抜けますの一言で打ち上げやスポンサーへの挨拶などの仕事をおっぽり出して警察に向かい、後日シネマキーンとお師匠様にしこたま叱られたのは別のお話。

 

「悟空!!爺様!!!」

「あ!!兄ちゃん!!!」

「あぁ!!!本物のラディッツさん!!???」

「・・・はぃ?」

 

駆け付けたラディッツに会えた悟空と、握手会に行けなかったブルマは憧れの人に会えて大はしゃぎして悟空につられてラディッツに飛びつき、何が何だか分からないが、子供二人が飛び込んできたので何時もの様に柔らかく抱きとめる・・・誘拐未遂事件があったんじゃなかったか?

 

そう思う程に、女の子ブルマの笑顔は眩しかったのだ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。