エイジ740 フリーザ軍
「これちゃんと撮れてるのガジャ?」
「これくれた開発班の兄ちゃんは動かせば自然に撮れるって言ってたぞ。」
科学技術班と仲のいいラディッツが、八ミリビデオみたいに日常を撮って残せないかなと頼んでみたのを受け取ったガジャが早速撮ってみようと幼馴染に声をかけたところまではラディッツにとっては普段通りだったのだが・・
「ふふ、-クウラ様-の前でも元気なのだなお前達は。」
「・・・・ガジャとスーナが申し訳ありませんサウザー隊長。」
「なに、新しいカレーレシピが十個目になったのだ。
記念してお前に作ってもらおうと立ち寄ただけだからそう畏まるなラディッツとその補佐官ゲンイン。」
「・・・ちなみに立ち寄りの許可をフリーザ様から受け取って・・」
「おい小僧!フリーザの兄である俺が、何故いちいちあいつの許可を得ないといけないんだ?其れよりもさっさと新カレーとやらを作れ。
子ザル達もあの小僧を手伝ってこい。」
「・・・・畏まりましたクウラ様。」
「あ~・・・・良いのかゲンイン?」
「今フリーザ様は惑星連合と再提携する為の調印の最終まとめをされている・・・」
故にフリーザ様の兄であるクウラ様がこの場の最高権力者であり指示に従う様にという言葉を、言うこと聞いていいのかと聞いたマトマにゲンインは指示を出す。
そしてクウラ機甲戦隊のサウザーとドーレとネイズはその通りだと頷くのを、カレーの支度をしながらラディッツはたははと苦笑しながら頭を痛める。
何であんな凄い人達が、軍の食堂に二度も来るんだろう?
其れも仲のよろしくないフリーザ様の軍本部のこの食堂に
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「カレーを食いに来てやったぞ小僧。」
ガジャと一緒に空に浮かぶ自動撮りが出来るカメラを手にして、食堂で何か作るラディッツとそれを手伝い食べてご馳走様をする所まで撮ってみようと、ラディッツと幼馴染が昼食後の食堂を借り切り、さぁこれから何か作ろうと相談しようとしたら
「新しいカレーを作れ。俺と機甲戦隊全員分のな。」
いきなりやって来た超お偉い様の言葉に、ラディッツは凍りつきながらも頑張って復活を果たし、真っ当に一度お断りをした。
「ここはフリーザ様の軍の食堂です。
如何に兄君様のお言葉とても、許可なく軍の方ではない方にお出しすることは出来ません。」
「ちょっとラディッツ!!」
自分達は食堂で食料や調味料を使った分は給料から引かれる仕組みであるので使えるが、クウラ様達は違うという言葉に、さしもの怖いもの知らずのスーナも顔を青褪めさせながらラディッツの口を慌てて塞ぐ。
確かにこの場のフリーザ軍の文官としてラディッツは毅然としなければいけないだろうが、マトマとリーキュとガジャが、口の過ぎたラディッツが攻撃を受けるかもしれない事を覚悟し身構え、その両者の間にゲンインが入るのを、クウラは眉を少し上げたきりでサウザーが笑って話を進める。
「かかった費用は後程私からフリーザ様にお支払いをする。其れでどうだラディッツ?」
「分かりました。」
そして、奇妙な撮影会が始まったのだ
「ラディッツ!玉ねぎって言うの切ると目が痛い!!」
「魚これくらいに切ったらフライにするのか?」
「シーフード炒めてこれに味付けすればいいのか?」
「米炊けそうだ!火止めればいいか?」
調理場ではラディッツと幼馴染達が賑やかに調理を進めていい気、食堂のど真ん中にテーブルを置いて陣取ったクウラ達を、他のフリーザ軍は出入り口に張り付いて固唾をのんで見守っている。
無論この事はフリーザには通達済みだが、軍の全体の事が掛かっているので少なくとも一時間以上は離れることは出来ず、ナナバもドドリアとザーボンも席を立つことが出来ないので、文官のお偉いラディッツとゲンインが頑張るしかない。
しかないのに・・・
「リンゴとはちみつ~とろ~りとかして~。」
カレーを作れてご満悦になった子ザルラディッツにそんな理性はねぇである・・・本当に覚悟決まったらこいつのメンタルは最強なのだ
このほど手に入れたリンゴっぽいものではちみつも使ったシーフードカレーのレシピを送ったら、速攻で本人様が来て驚いたがまぁお支払いをしてくれるなら優しいところがあるフリーザ様も怒らないかと信じて(妄想して・・・)、自分を入れたみんなの分を拵える。
ラディッツが落ち着けば自然と周りも落ち着きを取り戻し、何時もの様に賑やかになる。
「ガジャ、野菜炒め終わったからスープ入れてくれ。」
「これフリーザ様達の分足りるかな?」
「カレーの他に今クレープこさえるから。」
「あ!あれ巻くの私したい!」
「材料は何を切っておけばいい?」
きちんと後からすっ飛んでくるであろうフリーザ様達の事も考えて、ラディッツ達は一般軍人の三十人前のクレープを、甘いものがあまり得意ではないクウラの事も考えてツナと野菜や肉巻きなども作り終え、丁度カレーもできた。
「これはいつもよりも香りがいいな。」
「果物をすりおろしたのが辛みをまろやかにしているな。」
「はちみつ入れてたから甘ったるいと思ったらこれいいな。」
「美味い美味いぞ!!!」
クウラは出会った時のように淡々と感想を言いながら黙々と食べ、機甲戦隊達は美味しいと鍋ごと食べそうな勢いに負けまいと
「ラディッツ!美味いなこれ!!後で親父さんとお袋さんにも作ってやれよ。」
「カカロットが大きくなったら手伝ってもらうんでしょ?」
「その時はフリーザ様達にも調理してる時から見てもらいたいな。」
「餅つき大会みたいに行事にしてもらうか?」
「カレーパーティーとか?」
幼馴染達も沢山食べて話すのを、ラディッツはほんのりと笑って食べている。
そこからは・・・・ラディッツは私のもの様がきて映像は途切れた
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エイジ748 フリーザ軍
「この後フリーザ様達が来て大変だったんだから。」
「・・・・あの男の周りはこんな話ばかりだな・・・」
ラディッツの話は何かしらの美味い食べ物と、それに釣られて厄介ごとがやってくるという印象がベジータにはある。
まさかフリーザの兄にまで目を付けられていたとは・・・
今ベジータは休日を過ごしているスーナの部屋で、ラディッツとスーナ達の映像が収められているカード型のメモリーを見せてもらっている。
スーナ達はラディッツと別たれて八年にもなるが、誰もラディッツとの思い出が色あせないのを不思議に思ったベジータが素直に何故だと問うて、聞かれたスーナは喜んでラディッツとの思い出の映像を見せてくれている。
他にもフリーザと自分達は初の遠征をした時、本部の司令室で待っていたラディッツの下へと帰って出迎えを受けた後までの映像や、子供達だけで湖にランチを持って出かけた映像などが数個残っている。
その映像の中のラディッツはいつでも優しく笑ってくれている。
それに
「見てこのペンダント・・・フリーザ様が五年前に私達にくれたの。」
銀河王朝の最後の航路データにも、ラディッツ達のポッドが映っていない事に自分達は絶望しかけた。
もう行方は分からず、もしかしたらラディッツ達はもうと沈みかけた時、フリーザは気紛れの優しさでラディッツの生命と繋がる石の欠片をほんの少しだけ砕いて子供達に与えたのだ。
これを作る羽目になった経緯もきちんと話し、この石が光る限りラディッツは生きているのだと
「・・・・あいつは生きているのか。」
「ふふ!フリーザ様がそうだって言うんだから間違いないわよ!!」
スーナは濃いピンクのタイツに、最新型の肩防御の短い戦闘スーツに身を包み、下は女性サイヤ人に支給されるミニスカート型を履いている。
戦闘スーツの下に身につける防御力の高いタイツの色は、大抵は水色か青だが、特別色のピンクはスーナだけが許されている。
その特別仕様のスーツの上にほんのりと光る小さな石は、普段はタイツの下に隠しているが、今はベジータに見せつつスーナもうっとりとして見ている。
ラディッツを思って
他にも文官をしているゲンインは戦闘スーツではなく防御性の高い布で誂えられた白と銀を基調とした貴族服にマントを羽織り、リーキュのタイツは緑でマトマは紅く、ガジャは茶色と、服装と扱いからして他のサイヤ人の生き残りや軍の者達と一線を画している。
そのようにフリーザに目を掛けられている彼等の呼び名は、今やフリーザ親衛隊であり今年から正式に軍の編成に組み込まれている。
隊長はリーキュでマトマが副を務め切り込み隊長はスーナである・・・・ガジャがするといった時、私がやりたいという熱意に負けたガジャは、スーナのフォローしないと危険だと後方支援にあっさりと回ったお転婆である・・・じゃじゃ馬とも言うが、ベジータ王子は回収された飛ばし子や他の戦闘好きの暴れ者たちを纏める方に組み込まれ、プライベートでも余程休みが合う時でないとこうして気軽に会う事は無くなるのを、ベジータは惜しむ。
もっと力をつけて、自分の下に来る者達を手懐け独立を果たしたらスーナは会ってくれるだろうか?
それともフリーザ様を裏切る奴なんて大っ嫌いと言うだろうか?
しかし-アレ達-が持ち掛けてきた話は非常に興味深く、もしもアレ達が話している通りに着々と事が進めばチャンスはある。
フリーザから穏やかに独立し、スーナも納得させることが出来れば・・・一番いいのは自分が軍にいる間にスーナを番にしてしまう事だが。
今や戦闘力はスーナよりも自分の方が伸びており、もう少しすれば手荒にではなく取り押さえて勝ちを宣言できるところまで来ているのだから、勝った時にでも番にしてしまえばいいだろうか?
欲しいものは力づくでも、それこそが自分達らしいではないかとスーナが淹れてくれたお茶を明るい声でお喋りを続けるスーナの声を聴きながら、サイヤ人らしい思考をするベジータにスーナは気が付かない。
それはいつもの光景であるのだが、いつもと違う者がいる日でもあった
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自室のベッドで私服姿で横たわりながら、ゲンインはラディッツの生命の石の欠片のペンダントを見て悩みを吐露する。
「俺は・・・・どうすればいいラディッツ?」
かつて自分は、お前と弟は俺が守ると誓ったが・・・・
フリーザ様の本性は残酷で冷徹無比、ラディッツは兎も角ラディッツに守られ大切に慈しまれた弟なぞ、きっと見つかった日にはフリーザ様が殺してしまう
その時ラディッツはきっと弟を守ろうとしてフリーザ様に逆らうだろうけど、其の時君はどうする?
半年前に-あの人-に言われた事が、頭にこびりついて近頃はそんな夢ばかりを見る。
ラディッツ達を見つけて再会しても、弟を殺そうとするフリーザ様に逆らい諸共にされ血の海に沈むそんな夢を・・・
生きているのはフリーザに贈られたペンダントで分かる。
だが・・・あの人の言う通りであるのならば見つかった方がラディッツに幸せなのだとどうしてもゲンインには思えなくなってしまった。
見つかれば弟が一緒であればきっと予想通りになるのはゲンインにも察せられる。
本性は告げられた通り冷徹無比で、己の思い通りにならない者は処分が待っている事を、ラディッツよりもゲンインの方が早くに気が付いていた。
自分達、特にラディッツがいかに特別扱いをされていたかが・・・・そしてラディッツに対する異常なまでの執着と自分達以外が近づくのを極度に嫌っていた事を。
あの人は見極める事が上手い・・・物事も人の本質も何もかもが・・・
フリーザ様の本性をきちんと理解しているであろう自分にだけ予想される未来を話し、そして-その時-どうするかを問うてきた・・・・・きっとあの人がネズミで、ラディッツの居所も知っている。
ゲンインはそれでも、ネズミの発見をフリーザ達どころか幼馴染達にも隠している。
自分の優先はどこまでいってもラディッツと、そして彼が大切にしているカカロットなのだから。
もしも自分とネズミの予想が外れ、フリーザが穏やかにラディッツを迎えるだけならばそれでいい・・・だが・・・
外れた時は?
その時はどうすればいいか、ゲンインには答えが出せないでいる。
他の幼馴染達はラディッツと同じくらいフリーザ様に忠誠を誓い、自分と違って心の底から慕っている。
遠くない未来、自分は決断を迫られるのは目に見えている。
ラディッツが生きているのであれば捜査の打ち切りはあり得ず、何時かラディッツ達は見つかるのだから
未来を思い幸せを思う者達と悩む者達の先に、何が待つのかは誰にも予想は出来ない
それはきっとこの事態を引き起こし、絵を描いたネズミにとってもだ
「懐かしいな〜。」
そして遠く離れたラディッツも、メモリー機器を開けて映像を懐かしんでいた。
どこであっても内蔵バッテリーが充電できる様に太陽電池で、大切に使えば手入れをしなくとも後二十年はもつ。
アメは流石にもうないが、瓶はメモリー機器と共にいつでもどこにで腰のポシェットに入れて持ち歩いている。
いつかカカロットにも見せてやろう。
自分のメモリーには、スーナ達には無い両親の映像も入っているのだから。
酒を呑んで愉快になり、常になく優しく母と保育カプセルに入っていた弟に話しかけていた父と、それに喜んでいた母の映像をこっそりと撮ってある。
あいつがお嫁さんを見つけた時にでも見せてあげよう
幸せな未来を思い、半月の夜空でラディッツはほんのりと微笑むのであった