俺ラディッツは弟を絶対に守り抜く   作:ドゥナシオン

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地球にて:青年編
雲の如く自由な奴・・・或いはフーテン野郎とも言う


エイジ749 地球のとある所

 

高層ビルの最上階の豪華な部屋に、大勢のカメラマンと記者たちが詰めている。

 

これから数十分後に、世界が注目する世紀の会見になるかもしれない生放送が控えている。

 

誰もが知っている超有名人が出る!

その事で胸が高鳴りどんなスクープが取れるのかと記者たちは待ち構え、カウントダウンともいえるちょっとしたお祭り気分になる・・・・筈であるのだ・・・普通なら

 

しかし彼等は別の意味でドキドキしていた!

何ならそろそろ顔を青褪めている者達が、記者と会見にいどむ者達と双方の各関係者から出始めている。

 

そんな中で、一人のご老体は顔を真っ赤にして怒り心頭に発しながら記者会見の舞台裏で自分の弟子達に指示を飛ばしている。

 

「ええい!あの馬鹿弟子どこ行った!!もう記者もカメラマンもこんなに来てるのだぞ!!」

「鶴仙人様!兄弟子はこの会見場に確かに入られたのですか?」

「儂がひっくくってきたのじゃ!天!外にあいつはいたか?」

「それが会場内をくまなく探させているのですがどこにもおらず・・・」

「あの馬鹿弟子は・・・」

「鶴仙人さん、いざとなったら俺が表の社長として就任したと発表しましょう・・・元々あの人は表に出る気はなかったのですから致し方がないかと。」

「本当にあの馬鹿弟子は・・・」

 

天津飯の報告ともう一人の男の言葉に、鶴仙人は肩を落として頭を痛める。

 

今日は鶴仙流が本格的に去年から始動した警備会社・サイヤン・ℱと正式に提携する事をお披露目するべく、サイヤン・ℱ社長と鶴仙流の創始者・鶴仙人が調印をして握手をする予定であり、後数十分もすれば生中継オンエアーの時間になってしまう!!

 

それではサイヤン・ℱと鶴仙流のどちらにとっても不味いのだが・・・そもそもサイヤン・ℱを立ち上げた鶴仙人の二番弟子は、調印と握手会なら-表の社長-がやればいいと渋っていたのを、師匠命令で強引に取り付け、今日の運びになれたという経緯がある。

 

互いが全面的に協力をしあって犯罪者集団に立ち向かうと宣言をする事は、サイヤン・ℱと鶴仙流双方にとって理になり、世間から益々注目をされ悪党どもが震えあがり、弟子好みの状況になるというのになぜ表に出るのを渋るのか、師匠の鶴仙人からすればさっぱりであり、当日になっても悪足搔きしていた馬鹿弟子の手を引いて着替えさせに餃子を付けたのだが、まんまと逃げられた!!

 

近頃餃子のサイコキネシスは強まり、もしかしたらあの馬鹿弟子をもきちんと金縛りできるのではなかろうかという一縷の望みと、サイコキネシスが通じずとも餃子の気配感知能力は馬鹿弟子の次に鋭敏になり、馬鹿弟子が逃げようとしたら取り押さえるのが無理でも自分に連絡するようにと言っておいたのだが、五分しても出てこないので室内を覗いてみたら、どうやってか忽然と消えたという。

 

まだ遠くには行っていないかもしれないと、鶴仙流の高弟に上がって来た天津飯に探させたが杳として行方知れずのままであるとしか言いようがありませんという天津飯の答えに、鶴仙人は益々怒りを深め、外にいた餃子は悄然とした。

 

「ごめんなさい・・・僕がきちんと見ていれば・・」

「・・・はぁ・・・餃子よ、お前のせいではない。全部あの馬鹿弟子が悪いのじゃ!!」

「でも・・・」

「ええぃ!デモもクラシカルもあるか!!あの馬鹿弟子に連絡を取ってみる!!

天、餃子と休んで来い。」

「分かりましたお師匠様。」

「・・・行ってきます・・」

「やれやれ・・・」

 

 

餃子の反省を、一昔前の鶴仙人であったればその通りじゃと責任全部を餃子に押し付けて怒鳴っているだろうが、今の鶴仙人にはそんな気は毛頭起きず、其れよりも最後の頼みの綱である通信機器に手を伸ばす。

 

これで出なければ、馬鹿弟子の望む通りサイヤン・ℱの表の社長と提携するしかない。

 

 

▲▲▲

 

ピルピル

 

「ん?お師匠様とうとう通信機器を使う事にしたのか。」

 

掛かってきた登録番号を見て、男は意外そうな顔をしながら通信機器に出た。

 

通信機器なんてチャラついた物をお師匠様は嫌がっていたのに、余程切羽詰まっているようだと、生放送をおっぽり出した馬鹿弟子は余り罪悪感を持っていない感じで連絡に出た。

 

自分は確かに警備会社を立ち上げる為に資金を出して登記登録をしてあちこちの伝手を使って警備員と警備ロボットを配備できるように箱を作って中身を充実させたが、社長をしたいとは一言も言ってない。

 

自分の様な容姿の者が、警備会社の社長でございと言っても世間的には通じないだろうと、去年自分の考えに賛同して軍まで辞めて駆け付けてくれたホースに、表の社長を頼んで自分は決断も責任も取るトップになるからよろしくお願いしますときちんと頼んだはずなのだ。

 

そしてその時はホースもいいと言ったのに、お師匠様が待ったをかけられ今日の運びにされたが、別に記者会見の場を離れたのはボイコットしたのではない。

 

この後面と向かって言いに行く予定だ。

 

その事を伝えるべく連絡をしようとしたら、あちらから入って来たのでこれ幸いと出てみれば

 

「◎▽▤×⧻∓!!!!」

「・・・・・・・・・・えぇぇぇ?」

 

お師匠様のお怒りが天元突破していて、物凄い怒号なのは分かるが何を言っているのかさっぱりと意味不明である・・・

 

「悟雲!!!貴様今どこにいる!!!!!!」

 

それから一分くらい怒鳴っていたお師匠様から漸くまともな単語が出てきて、馬鹿弟子・孫悟雲はこれでようやくお師匠様とお話が出来るとほっとした。

 

「俺のもう一つの仕事である-鶴速達便-に緊急案件が入りました。

依頼者は国王陛下の孫息子様で、国王陛下に至急届けてほしいとの依頼を受けてこれを受諾し、現在国王陛下の返信待ちなんです。」

「なんじゃと!!!」

 

馬鹿弟子叱ろうとしたら、物凄い超大物のどころか国のトップ出てきて、さしもの鶴仙人も怒りが霧散し、聞き耳たてていた記者達は物凄いスクープかとざわめきだす。

 

「返信待ちという事は・・・お前は会見には・・・」

「間に合いそうにないので、俺の提案通りにホースさんを社長に据えて鶴仙流との提携を纏めてください。

ホースさんは今通信に出られそうですか?」

「・・・・記者達と打ち合わせ中だ。今儂は其の記者達とホースの目の前にいる!

悟雲!通信をスピーカーにする、この場にいる儂も含めて全員をなっとくさせる釈明せい!!」

「畏まりましたお師匠様。」

 

悟雲ことラディッツは良い笑顔で師匠の要請を受諾し、依頼主の父親である現国王陛下にお伺いを立て、了承を得て情報を開示した。

 

ラディッツは数奇な運命によって弟と共に地球に飛来し、最早帰る星も無く何より帰れるあてもなく、この地球で生きていくのだと思いを定めた時、働きお金を貯めたら是非にもやりたい事が二つあった。

 

一つ前世で好きだった特撮ヒーローウルトラマン系やゴジラシリーズでお約束の地球防衛軍ないし民間警備会社を立ち上げる事。

 

普通に働いてもお金稼げなかったら、今ある力を振って油田掘るか金か宝石の鉱脈あてるかをして資金を稼ぐつもりであったが、ひょんな縁から人気子役で大金を稼ぎ、子役をやめても鶴仙流の高弟としての収入があるので夢を実現させるべく奔走し、出来た警備会社がサイヤン・ℱである。

 

これには元中の都の軍で大佐をしていたホースに、社長をしてもらう。

 

なにせ自分の容姿は、悲しいかな身長百五十ぴったりで止まり、悪党を倒すと宣言する警備会社の社長向きではないのだ。

 

戦闘力という体内にある気の総量は相当あるにもかかわらず、筋肉がある訳でもなく、顔も母に似たのか優しい顔のままで、荒事をこなせる社長としては不適格とラディッツ的には判定を下した。

 

世間では確かに人気の武闘役者として囃されているが、それは子役の域を出ずに可愛いという声の方が圧倒的なのを、ラディッツは自覚している。

 

二十一歳ではもう肉体的成長は望めないのであれば、表の社長は警備会社の顔になるのは自分的によろしくない。

 

であるならば程よく筋肉のついた身長百八十以上ある肉体に、赤い髪を短く刈り込み、顔は切れ長の目に涼やかな顔つきでこれぞできる軍人というホースを据えて、自分はスポンサーであり会長になる道を選び、もう一つの夢を実現させた。

 

それはこの世界で初めて空を飛んだ時に抱いた夢、即ち空を飛んでできる職業に就く事であり、空飛ぶ郵便屋【鶴速達便】という小さな、本当に社屋のいらない今のところラディッツだけで回す仕事を作る事に成功をした。

 

世は通信機器というデジタルがあるが、しかしそれを傍受する輩が居り、傍受を掻い潜り時に暗号化するのを解読するといういたちごっこに業を煮やした軍や警察を相手にした商売である。

 

これも普段悪党潰しをしてきたラディッツと鶴仙人が築いて出来た伝手が物を言い、今のところ鶴速達便のお客様十名いる。

 

それぞれ国家の重要機密を抱える重要人物であり、今は国王の孫息子様から国王陛下への手紙を配達し、その返事待ち。

 

鶴仙人の持っていた通信機器を会見場中央に置いてスピーカーモードにし、少し待てば

 

「手紙の内容を公表しても本当によろしいのですか国王陛下?」

「構わん、君の行動に悪意がないという証拠がいるのだろう?

儂等の私的な事で君が謗られる事の方が問題だ。」

 

通信機器からおなじみのラディッツの声と、年始年末や季節ごとやで結構マスメディアの前に立つ国王陛下の声に、一同何が語られるのかと固唾を吞んで待っている。

 

何ならこの後ラディッツと国王陛下の遣り取りとを、正式にテレビに流してもいいかと、王室のマスコミ対応の係官に許可を得るべくカメラを回している兵もいる中で、流れたラディッツの言葉は

 

「では、国王陛下の孫息子様は皆様ご存知の通り十五歳になられます。」

 

先ずは国王陛下のお孫様の情報確認から始まった。

 

国王陛下の種族は割かし早婚で、孫も若いうちから数名おり、其の中で一番年が上のお孫様だという情報の後すぐに、内容発表が成された。

 

「お爺様、近頃お爺様やお父様達が政治家の皆様や軍の皆様たちと共に、世の悪党達を相手に日夜戦っているのは知っております。

しかしお爺様もそろそろご高齢であり、もう一か月も休みを取られていないのは僕としては心配なのです。

世の皆様も、お爺様が心労で倒れた時は僕と同じくらい悲しむと思うのです。

 

何も成しえていない僕が言えた事ではないかもしれませんがどうかご自愛くださいませ。

 

僕の他にも従姉妹達も心配しております。

 

悪党は・・・・えぇ・・・この手紙を運んでくれる-鶴の方-が・・・国王陛下、もうよろしいですか?」

「ん?あぁ・・・もうそこまででよかろう、其れよりももう少しでいじらしい孫息子達に報いてやれる良い言葉が生まれそうだから手伝ってくれんか?」

「あぁ・・・はい・・・えっとお師匠様・・・」

 

鶴の方が!!その後は!!!しかも国王陛下の私生活は完全に秘密にされているので、もっと知りたいマスコミたちの気配を察した鶴仙人は、溜息をつきながら

 

「・・・・頑張れ悟雲、こちらはお前の提案通りにしておく。」

「よろしくお願いします。」

 

 

「あぁ!!・・・・鶴仙人様・・・」

「せめてもう少し・・・」

「・・・・王室の怒り買ったらお前達も営業停止だぞ?」

 

欲が深すぎると駄目になるだろうと、鶴仙人は自分自身とマスコミに言い含めると、マスコミ一同納得をした。

 

「そりゃ・・・・困ります・・・フィルム全部速攻破棄!抜け駆けも今回無しだぞ!」

「こりゃ特ダネが過ぎて駄目だな・・・・」

「悟雲さんの人脈バグってる・・・」

 

そのバグった人脈のお陰でたった一年で民間警備会社が形を成して成功するに至っているんだろうなと、鶴仙人達とマスコミ一同溜息をつきながら、予定通りにサイヤン・ℱの社長・ホースと、鶴仙流創始者の鶴仙人との生放送をオンエアーする事になった。

 

ここ数年、王室が本腰を入れて犯罪者集団を許さないと断固とした姿勢が持続されるというネタを仕入れただけでもいいとしようと。

 

▲▲▲

 

「あ~・・・・きっもちいい!!!!!」

 

国王陛下の返信を受け取ったラディッツは、飛行機も飛べない超超高度を飛行している。

 

下の人達の事は悪いとは思うが、これで自分は世間からはスポンサーだと認識される。

 

だからと言ってホースとお師匠様に宣言した決定とそれに伴う責任はまっとうするつもりだ。

 

とは言えそれは社長でなければいけないというルールはないので、鶴速達便をしながら二足の草鞋を当面はしていく。

 

通信機器だとていつかはハイスペックなものが考案され、こんなアナログな商売はもって数年だろうと考えている。

 

だが、僅かな期間であっても夢を叶えている事にラディッツは心の底から満足をする。

 

誰かを傷つけに行く為ではなく、戦いとは全く無縁な事で空を飛び、それが誰かの役に立つ事が嬉しくて。

 

 

しかし、お師匠様が自分を社長にしたがっていたのはラディッツ的には意外であった。

鶴仙流の名が出る仕組みにすれば、てっきり社長はホースでも誰でもいいというと思ったのだが・・・・かつてラディッツはバーダックとギネの想いを知らない、親の心子知らずであったが、今は師の心弟子知らずという造語が出来そうなほどに、鶴仙人の想いを全く知らずにいるのだ。

 

 

 

 

「ええいあの馬鹿は!!容姿がなんじゃ!あ奴が成した事をすべて公表すれば!世間の者共の馬鹿な意識なぞ容易く変えられるというのに!!!」

「鶴仙人さん・・・」

「お師匠様・・・」

「・・・・兄様の馬鹿・・」

 

無事(?)に会見を終えた後、速攻でホテルに戻った鶴仙人を心配してついて来たホースと天津飯は鶴仙人を慰め、餃子は天さんとお師匠様と同じくらいに大好きな兄様・悟雲を詰る。

 

鶴仙人はラディッツの肉体が何故成長しないのかを知っている。

 

それはかつてラディッツが大切にしてくれていた人だと言う者から与えられたアメに、成長経路と気脈を封じる毒が入れられていたからだ。

 

気脈の方は自分の弟である桃白白が、どうやってかラディッツに仕込まれた毒を取り込み、己の体内の毒をもって中和させることに概ね成功し、八割がたは開いているという。

 

だが、成長経路の方は人体にそこまで造詣が深い訳でもないから下手に弄れないと言われ、知り合ったドクターゲロやカプセルコーポレーションの社長・ブリーフにも依頼し診てもらったが、双方からはこれを完治させることはおろか、治す手立ても見つからないという散々な結果が出された。

 

見た目が成長しないなら、せめて社会的地位で大人である証を、鶴仙人は己らしくないと分かっていてもラディッツに与えてやらずにはおれなかったのだ。

 

自分が用意したものではなくとも、世間が大人であると認める地位を平然と他者に譲るラディッツをなんとしても引き留めようとしたのだ。

 

あれは自分の名声と権力を高める為の道具だという思惑から結んだ師弟関係が、何時しか本物になったのだと言われても悪態をつくだろうが、それでも・・・自分の馬鹿弟子なのだあれは・・・

 

そんな事を知らない弟子は空を飛んでいる・・・自他の様々な思いを置き去りにするように

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その弟子の弟妹達が、何やらこそこそとしているのをつゆ知らずに

 

「お姉ちゃん・・・兄ちゃん当分はお仕事でいないぞ。」

「良く教えてくれたわね悟空。」

 

兄のいない今が!自分達の冒険に出掛ける絶好の機会である!!!

 

「「頑張ろう!!応!!!」」

 

手に二つの星が入ったオレンジ色のボールをもってお互いを鼓舞し合うのであった

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