エイジ749 パオズ山悟飯宅・・・
「爺様!!!何故子供二人だけの旅なんて許可したんですか!!!!」
ギャアギャア!!
ヂュィ!!ヂュィ!!!
・・・・平和で長閑なはずのパオズ山で突如として発せられた怒声に、鳥たちは目を丸くし泡食って逃げ出した!!
「これラディッツ落ち着かんか。あんまりにもお前の声が大きいから鳥たちが怯えておるぞ?」
自分的には凶報にも等しいことを告げながらも、どこか落ち着いている悟飯にラディッツは食って掛かった。
「これが落ち着いて居られますか!!カカロットはまだ世間を知らない十二歳ですよ!しかもジャンケンという護身術技以外は武道も何も教えていないんですよ!
ブルマは世間と人の怖さを知っているとはいえでも十六歳の女の子なんですよ!!??
嫁入り前の娘が!荒野やどことも知れないところを、胡乱なもの探しの旅に出かけましたって言って誰が落ち着いていられるんですか!!!」
ぜぇはぁと、肩で息をする孫息子に詰め寄られている孫悟飯は、まぁ落ち着けとお茶を出し、爺様に逆らう事が基本無いラディッツはお茶を出されたので気を落ち着けて椅子に座る。
久方振りの帰郷で弟に会えると楽しみしていたのに
山村のシュウとマイとハルに子供用のお土産と、大人達用の土産を沢山置いてから爺様と弟のいる家に帰ってみれば、悟空はブルマと共に-ドラゴンボール-とやらを探しに出掛けたという・・・・なんだそれはである・・・
悟飯に詳しい話を聞いてみれば、一昨年に祖父が納屋に仕舞っていた本を取りに行った時、昔山で見つけたガラスとは違う光る球を久しぶりに見つけ、家に遊びに来ていたブルマに見せた。
ブルマも女の子としてガラスのものや光る小さな宝石を見るのが大好きであり、欲しいと言えば上げるつもりで見せてみたのが始まりであった。
「ご飯お爺ちゃん、これなんだか不思議ね。星が四つあるって事は、他にも一つ星のものがあるのかな?」
ラディッツを兄とし、悟空はもう弟だからと君を付けずに呼ぶようになったブルマは、当然のように悟飯の事もお爺ちゃんとして敬うようになった。
排他的なゲロは兎も角、お兄ちゃん気質のゲボと人造人間八号ことはっちゃんと仲良くなり、よく山村にも遊びに来るようになった元気なブルマは、好奇心も旺盛で頼み込んで見せてもらえたゲロの試作品やはっちゃんの事を調べたりと元気いっぱいに過ごしている。
そんなブルマからしたら、ガラスとは全く違う物質でできている四つの星が入った不思議な球はとても魅力的に映った。
これは何かとても不思議で、そして自分を楽しませてくれる何かを感じ取った。
きっと調べてみたらワクワクする事があるに違いない!ラディッツお兄ちゃんが空に連れてってくれる時と同じように!
「お爺ちゃん!悟空!!私これが何だか調べてみるわ!!!きっとこれ凄いものだと思うの!!」
「そうなんか!!へへ、何かわかったらすぐにおらにも教えてくれよな姉ちゃん!!」
「当たり前でしょう!ワクワクは皆で楽しまないと!!!」
楽しい事を教えて欲しいという悟空に、少し大きくなったブルマは、柔らかく大きな瞳を一つウィンクして約束をする。
楽しいことは皆でしようと。
そうして家の書庫に、不思議な球の事が乗っている文献がないかを調べているうちに、自分の家の倉庫の奥にも同じものがあるのを発見した。
カプセルコーポレーションの自宅にあった玉の中にある星は二つであり、借り受けてきた四つの星を隣に置いてみれば、ほんの少しだけ光が強まった気がしたのを、ブルマはもしかしたら特殊な、それこそお兄ちゃんやお爺ちゃんやお爺ちゃん先生(鶴仙人)が言うような特殊な気だが電波の様なものが備わっており、それが球同士を共鳴させたのではなかろうかと実験をして、それを捉えるレーダーを作り上げる傍らで球の事を調べれば物凄い事が分かった!!
この球はドラゴンボールと呼ばれていたものであり、七つある球を全て揃えれば神龍という神様の龍が出てきて願いを一つ叶えてくれるらしいというのを、レーダー作りも含めて二年かけて調べたブルマは早速両親と訪ねてきているラディッツと鶴仙人のいるリビングに向かった。
凄い発見をしたなと、皆んななら褒めてくれるとワクワクドキドキとしているブルマの耳に、父ブリーフとお爺ちゃん先生とお兄ちゃんがリビングで深刻な話をしているのを偶然聞いてしまった。
「残念じゃがの、検査結果では悟雲君の成長経路を治す手立ては見つからんかった・・申し訳ない。」
「大丈夫ですよブリーフさん。失礼になると思いますが、こちらで調べてもらう前にバイオテクノロジーを得意としているゲロさんにも調べてもらいまして・・・もしかしたら別なアプローチでとお師匠様と相談をして無理を承知で調べていただいたのですが・・・そうですか。」
しょうがないですね~と、困ったような笑いをする大好きなお兄ちゃんの言葉を、ブルマは喜びでいっぱいだった思いが冷たいものに変わったのを感じながら、来た道を泣きながら走って戻った。
お兄ちゃん・・・大人になれないなんて可哀そうだ・・・
自分も背が伸び始め、あと少しで背丈を抜かしそうになっても出会った頃と変わらないお兄ちゃん・・・
「ドラゴンボールは願いを-なんでも-一つだけ叶えてくれる・・・」
調べた時はイチゴを山ほどみんなで食べる事をお願いしようと思ったが
「絶対にお兄ちゃんの体を成長させてもらおうと思うの!!」
どう思うと、ブルマは速攻で悟空に相談をすれば、おらも兄ちゃんの体を大人にしてほしいと力強い顔で頷いた。
「私が夏休みになって、お兄ちゃんが仕事で家にいない時を見計らって冒険に出掛けましょう。」
兄の体の秘密を知った十日後に悟空に計画を話すブルマに、悟空は兄に内緒だというところは渋った。
「兄ちゃんに秘密作るのはよくねぇと思うぞ?」
嘘と隠し事はいけませんを素直に受けとっている悟空としては、兄の事だから兄にきちんと言って出かけたいらしいのだがブルマそこは頷かなかった・・・何故なら
「最近お兄ちゃん私と悟空に甘くて過保護が過ぎるのよ!!前に肩無しタンクトップにミニスカートはいてきたら、嫁入り前の娘が気心知れた山村とはいえ人前でそんな恰好するもんじゃないとか言って来たのよ!」
服装一つであれである!もしも二人だけで出かけたいと言ったら!あの兄は絶対に許可なんてしてくれるわけがない!!
では許しなく行ったとしても、兄には気配を察知する超感覚があり、必ず・・・それこそ世界の果てまでも探そうとするに決まっている!
其れこそ世界中にいる鶴仙流のお弟子さん達に一声かけた日には、孫悟雲さんの為にと山狩りまでされては洒落にもならない!
きっと自分達の顔写真を警察や村々に配って情報集めをするに決まっているのだあの過保護なお兄ちゃんは!!
では理由を言って共に来てもらうのも、ブルマ的にはなしである。
それは本人に向かって、貴方の体はおかしいと面と向かって言うも同然だからだ。
自分達は別に、兄の身長が伸びなかろうが何だろうが別にいいのだ。
そんな事であの尊敬する大好きなお兄ちゃんの何かが損なわれるわけではないと、ブルマも悟空も、兄をきちんと知っている者達はそう固く信じているが。
だが、父の診断結果にお礼を言いながら、成長しなくても大丈夫ですよと言っていた時のお兄ちゃんの顔は泣きそうでありそしてとても動揺していたのがブルマには分かった。
兄が有する超感覚、それはお爺ちゃん先生にも備わっている。
だがあの日、盗み聞きしていた自分に声をかけなかったという事は二人とも自分の気配というものが感じ取れないほどに動揺した事を意味しているとブルマ考えている。
それ程に、兄は内心とても自分の体を気に病んでいるのではないかと。
そんなお兄ちゃんに心配かけない為と自分のせいでと気に病んでもらわない為にと、ブルマは頑張って悟空を説得したのだ。
そして自分達の味方にご飯お爺ちゃんを引き込んだ。
「お爺ちゃん!ドラゴンボールの話の真偽は分からない!でもね!!もしも文献が本当なら私絶対に試してみたいの!!」
「ブルマちゃん・・・・悟空も同じ気持ちか?」
「うん!!おらも兄ちゃんに喜んでくれる事してあげてぇ!!おら達いっつも兄ちゃんに沢山の事してもらってんのに、おらも姉ちゃんも返せてない・・・」
「そうか・・・・」
十六歳の娘と、十二歳の男の子が世界を巡る・・・・普通ならば無謀だと止めるべきだろうが、この世界の治安はもう一人の孫息子と鶴仙流の人達が公共機関と協力をして物凄くよくなっているのを鑑みる。
何よりも二人は、大好きな兄を思いやるという素晴らしい志を抱いて旅に出るのだと、真剣な面持ちで相談する二人の気持ちを汲み取り、悟飯は二人の冒険を応援する事にした。
「ブルマちゃんはお父さんとお母さんの許可を得て来る事、話は其れからじゃ。」
悟空は兎も角、いかに孫娘の様に可愛と思ってもブルマは他所様の子供である。
ブリーフとビキニとはあれ以来季節ごとの挨拶をする仲であり、二人もブルマ同様悟飯とラディッツを可愛がってくれている。
そんな二人の許可を得なければ自分も話は聞かないという悟飯に、ブルマは両手を腰に当てて物凄いどやった!
「大丈夫よ!お爺ちゃんの前にパパとママの許可はばっちりととってきてあるから!!」
おぉという悟空の感嘆した声と拍手に気を良くしたブルマは鼻息を荒くして、これでお爺ちゃんも賛成してくれるでしょうと迫られた悟飯は、ブルマは賢く強い女の子だと苦笑しながら旅の準備の相談に話を移す。
「とにかく安全確保が第一じゃ。二人がはぐれた時ようにそれぞれ一つずつ通信機器を持っていく事。
朝移動する前に必ず通信機器の調子を確かめてから動く事じゃが、矢張り予備はいるかのう。」
「そうね、予備バッテリー持っていくね。家のホイポイカプセルもおっきくって警備システムが付いている最新のをパパがくれたからそれで大丈夫だと思う。」
「おらは野宿でも楽しそうだけどな、姉ちゃんはベッドで寝たほうがいいと思う。
着替え持っていった方がいいかな?」
「そうね、悟空も私も五日分持っていて、汚れを真空で落とす洗濯機付きの家だから其れで着まわせるけど・・・食料はどうしようかな・・」
「んん・・・おら魚なら獲ってこれるけど野菜とかは町とか村で買うのか?」
「そうじゃのう、お金もカードと現金両方もっていって、使う時は悟空が持ち歩いて、ブルマちゃんは何にも持たん方がいいのう。」
「ご飯はおらも作れるぞ!!」
中華まんの作り方はばっちりだという悟空の言葉に、私だって大丈夫なんだからとブルマも胸を張る。
二人は遠くまで出かけるのに微塵の不安も感じていない。
それはひとえに悟空が強いからだ。
半年前に、山で大きくなって山村を襲って来た体長五メートル以上の化け物イノシシを、悟空は祖父から教わった護身用の格闘術のジャンケン・グーをイノシシの眉間に正面から叩きつけて倒すという実績があるのを、ブルマは目の前で見ているからだ。
ブルマはラディッツから、兄妹になるのだからと二人の出生の秘密を教えてもらっている。
戦闘民族であることは伏せて、そこそこに強い事を教えてもらったブルマは、お兄ちゃんと悟空は物語に出てくる正義の味方だと思った。
きっと悪い人達はお兄ちゃんがほとんど捕まえて、悪者が出ても自分の頭脳と悟空の強さがあればきっと何とかなるという、子供らしい自信を溢れさせるブルマと悟空を、悟飯は心配しながらも二人を送り出す。
二人ならきっと無茶な事はしないで無事に帰ってくる才覚があるだろうと信じて。
そして二人が旅立った二時間後に、なんと休みが急にもらえたから帰って来たというラディッツに事情を説明したところ・・・・ブルマが危惧した通りにこれから止めに行ってきますというラディッツを、悟飯は強い言葉で止めた。
「ならんぞラディッツ!!胡乱であろうとも子供達なりに懸命に考えた行動を止めるという事は、あの二人の成長を邪魔するも同然じゃ!
其れともラディッツよ!お前はいつまでもあの二人を子供でいさせたいのか?」
「それは・・・」
「違うじゃろう。大切にするのと猫可愛がりをするのとは別じゃ。
あの二人ならきっと大丈夫じゃよ。何かあった時と寝る前にはちゃんと儂とお前の通信機器に連絡を入れる様に約束をさせたのじゃ。」
「そうか・・・それなら・・・頭に血が上ったとはいえ爺様に酷い事を言って申し訳ありません。」
祖父の言う事は全てもっともな事であるとラディッツは反省をさせられきちんと詫びれば、祖父に優しく頭を撫でられ許してもらえた。
自分はこの爺様の様に懐の広い優しい大人を目指していたのだが・・・・
近頃二人に口やかましくなりすぎているのではと薄々自覚はしていたのだが、可愛い女の子から美少女へと成長したブルマが心配で、人を疑う事をしない弟(お前もだ・・)が心配でつい口出しすぎてしまっていたのを、祖父に案じられていようとは・・・
そして二人の成長の邪魔になりかけていたという言葉に、ラディッツは衝撃を受けた。
二人もいつかは大人になるのだと・・・・子離れできない親になる所であった・・・いやお前は兄だろうと言ってはいけないがそれは兎も角
連絡を約束してくれたのだからきちんと待とうと、ラディッツは落ち着いて淹れてもらったお茶を飲む。
・・・・とりあえず二人にちょっかいかけた奴等はとっ捕まえてOHANAS Iする事は決定して、警備隊たちに連絡しての動向チェック無し、小型カメラ再びをして二人を追って随時監・・・見守るは無し、二人を信じて連絡待ちに徹しようと、祖父から二人が出掛けた事を聞いた時に瞬時に脳内で作成した-オレガカンガエタサイキョウノフタリヲマモルアン-を破却しながらだ。
ちなみに悟飯も悟空とブルマの二人に約束をしている。
決してラディッツにドラゴンボールの願いの使い道を話さない事を。
だからこそ
「何か欲しいものがあれば俺に言ってくれればいいのに・・・そしたら警備会社の事務のバイトとか斡旋して・・・そっちで社会勉強すればいいのに・・・」
「こんな事になるならカカロットに武道の基本だけでも教えて気功弾撃てるようにしたのに・・せめて空飛べるくらいには・・」
分ったと言いながらも未練たっぷりなラディッツの言葉を受け止める悟飯であった。
妹の将来も考えて心配しており、弟を争いから遠ざける為にわざと武道の道を隠したラディッツが物凄く後悔している事をきちんと分かっているから
そして兄の魔の手(・・・過保護な手)からまんまと逃げる事に成功した二人は
「しっかりと摑まっててね悟空!!」
「バイクってはえぇな!!!」
「最初はきちんと食料があるうちに北の谷へ行きましょう!あそこで時間かかっても西の都か中の都で補充すればいいから!」
「分かった!へへ・・・もしかしたらブリーフおじちゃん達にも会えっかな。」
「そうね、時間あったら寄りましょう!!!」
いざドラゴンボール探しの冒険に勇ましくバイクで突っ走っていった
・・・・安全第一な冒険になった件について・・冒険に出来るかな・・・