エイジ749 満月の下・・
子供というのは、こちらが思う程に早く成長するのだな・・・・
東の荒野にて遮るものとてない空の下で、ラディッツは満月をぼんやりと見ながら思う
弟妹達の優しさを・・・・
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遡った昼
神龍が消えた後に様々な事を知ったラディッツは、どこから捌いていけばいいのか物凄く悩む。
神龍とやらの不吉な予言めいた言葉も気になるがそれよりも
「兄ちゃん!この子おらの嫁になるチチだ!!」
「おら・・・その・・・・悟空さのお嫁さんになる約束をしたチチです。」
弟に嫁が出来てるって・・・・
一部始終を見ていたウーロンという子が説明してくれなければ何事だとパニックになっていたかもしれんな・・・
「牛魔王か・・・・」
確か十年前を境に名を聞かなくなり、自然といなくなったのだろうと判断して調べなかったが、武天老師様と爺様に改心を約束したと・・・よし!俺は何も知らない!!
「初めましてチチちゃん、俺はパオズ山の孫悟飯の孫で、君のお婿さんになる悟空の兄で孫悟雲という。
悟空の事、よろしく頼む。」
ラディッツは悟空とチチの結婚約束を真剣に受け取った。
更に言えば、チチは将来・・・否!!悟空の嫁が確定している時点で自分の-妹-である!!
であるのならば!!
「チチと、呼んでもいいかな?俺の事は先程のように兄様でも悟雲兄さんでも好きに呼んでくれ。」
「はい!したらそのまんま兄様と!!」
「そうか・・・悟空、お嫁さんを大事にする男になるんだぞ。」
「うん!おら強くなって、働いてチチの事大事にする!!!」
そうかそうか・・・ん?
ラディッツは悟空のお嫁さんを大事にするという宣言を嬉しく思ったのだが・・・
「悟空、強くなるとは・・」
「おら!!この後亀仙人のじっちゃんの所で強くなるんだ!!!」
・・・・はい!!!!???
「ちょと悟空!!突然何言いだすのよ!!」
そうだぞ!ブルマの言う通り!!!
「お前はわざわざ武の道に進む必要はないんだぞ!!いきなりどうしたんだ!!」
弟は・・・カカロットはあの山村で幼馴染や最近越して来た子供達と遊びながら健やかにゆっくりと育っていけばいいのだ!!
笑いや良き事が溢れる山村の中で大人達に見守られ、やがてやりたい事を見つけて・・・・
そんな兄の思いに飲み込まれまいとするかのように、悟空は自分の両肩に置いている兄の手をどかして一歩後ろに下がって腹に力を込めて叫んだ!
「おらは!!!おら会った事無いけどおら達の父ちゃんって人と同じくらい強くなりてえんだ!!!おらも強くなって、姉ちゃんやチチを自分で守りれる男になりてぇ!!」
そして
「そんでいつか兄ちゃんの事も守る男になるんだ!!!!!」
・・・・カカロット・・・
小さな体を大地に踏みしめ、全身で叫びあげる姿と、力と熱がこもったその瞳は親父によく似ている
・・・・あぁ・・・そうか・・・そうだな・・・
-いつか俺強くなって親父と母さんを守れる戦士になるんだ!-
今のカカロットと似たような事を言ったのは自分が六歳の時で、カカロットよりも六つも下の頃・・・
何かを己で定めるのには年齢など関係なかったな・・・
武官から文官として働くと決めたのも、両親を守る為に強くなると決めた時も、両親特に親父は呆れていただけであり止められはしなかった・・・自由に、生きて欲しいと願いながらも囲おうとしているのはきっと間違いだ・・・
「悟空・・・」
「兄ちゃん・・・いいか?」
自分と同じ目線になる為に片膝をつく兄に、武の道を行ってもいいと伺う悟空を、ラディッツは優しく包み込む。
「お前の思う通りにしてみろ。武天老師様にきちんと挨拶をして弟子入りをさせて頂けるかお伺いをたてろ。」
自分は見守るからという言葉に、悟空はそれでいい、自分で何とかするという言葉に、ラディッツは悟空の頭を優しく撫でる。
きっと、この素晴らしい弟であれば良き道を行けると信じて。
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弟の進むべき道が決まった後は、悟空とブルマに、残りの三人は誰だと聞いた時、チチは兎も角二人は物凄く慌てていた・・・・
「お兄ちゃん!そのね!!色々あったけど旅を助けてくれた人達なの!!!」
「ヤムチャいたからドラゴンボールの最後の一つ無事に手に入ったんだ!」
・・・・いや、俺な三人の事聞いただけなのに・・・・なんでそこまで大慌てしてるんだろう二人は。
そしてウーロンとプーアルとヤムチャという男もあわわとしている事は・・・俺の仕事が有名になっているイコール・・・よし!これも俺は何も知らないでおこう!!
「それで、悟空以外この後どうするんだ?」
「えっと・・・ウーロンとプーアルは変身術を活かして・・・・お兄ちゃんの影武者してもらおうかなと・・」
「はい?」
「ほら!お兄ちゃんあちこちの講演会とか握手会とか!!お休みできないほど忙しすぎるときあるでしょう!!
せめて番組収録は無理でも撮影とかは・・・」
「ええ!!お前そんなすんごい理由で俺達の事雇おうとしたのかよ!!」
「孫悟雲さんの代わりって無理でしょう!!!」
「ああぁ・・・それは要検討するとして、そちらのヤムチャという人は・・・」
「俺はカプセルコーポレーションの用心棒でもしてみる。それよりも悟雲さんは空港立て籠りの後始末の方は良いんですか?」
「あ!!・・・そうだった戻らないといけないな。悟空は兎も角みんなは戻る手立てはあるのか?」
「飛行機のカプセルあってヤムチャが運転してくれる。チチちゃんのお父さんはフライパン山の麓にいるからそっちに送って、その後私達はカプセルコーポレーションに戻るの。
悟空はこの後すぐに武天老師のお爺ちゃんの所に行くの?」
「・・・・悟空ちょっと・・・」
「うん?兄ちゃんどうかしたのか?」
ブルマ達の動向が分かったラディッツは、悟空と少し遠くに行く。
「カカロット、沢山沢山頑張ったな。」
「へへ!皆のお陰だ!!」
「そうか、そうだな・・・」
サイヤ人の名前で誉めてくれる兄の言葉が嬉しくて、へへへと笑う悟空にラディッツは大事な事を伝える。
「今日は一旦パオズ山の家に戻って、沢山の替えの下着と次の日は布団一式をもってカメハウスに行け。
そして夕食を済ませたらすぐに寝ろ。」
「うん・・・分かったけど、直ぐに寝たほうがいいんか?」
「今日は満月だ。」
「あ!!!・・・う・・・・うん・・・分かった。」
「武天老師様によろしく伝えてくれ。俺は当分お前には会いに行かない。
いつか武闘家として表に出た時会いに行く。」
「うん!おら頑張るから!!!」
きっと俺はカカロットにあれこれ言って修行の妨げになる。
だから、会いには行かない。
カカロットが武天老師様に表に出て良しというその時まで
指切りをして約束をした
「ほん・・・一か月かけてお前は大きくなると・・」
「お前はつくづく面白いなぁ小僧。」
「兄者・・・よう・・・ようございましな・・」
「兄様!!!良かったね!!良かったね!!!」
悟空達と別れて、直ぐに仕事に戻れば空港立て籠りの後始末もその後の引継ぎも終わった後で俺のする事は無く、就業時間が終わった後お師匠様と兄弟子と天津飯と餃子にはこの後俺の身に起こる事を話した。
お師匠様と兄弟子は俺の素性を知る数少ない人達であり、天津飯と餃子は同門の中でもひときわ俺を慕って本当の兄弟のようになっているが故に。
天津飯は兄者と呼んでくれて、餃子は兄様と言ってくれているのだ・・・・弟妹が増えていくな・・・本当に・・・
自分は幸せだと、ラディッツは東の荒野の夜空の下で満月を眺めながらしみじみと思う。
大猿の姿になりながら
カカロットには大猿にならないようにと言いながら、満月を見るのは狡いだろうか?
今から五年前、自分が十六の時に弟弟子の天津飯の背丈が伸びていくのを見てそれを羨ましく思いながら、自分の体が成長できないのではないかと頭によぎった時、胸が掻きむしらるような思いに体が勝手に動いてた・・・・自分はこのまま小さく頼りなく、父のような戦士になれないのかと思うと悲しくて・・・・気が付いたら、満月の下で泣いていた・・・・・大猿の姿で・・・
ふとして意識が戻った時、空にかかる満月を見た時、満月を見たら大猿になってしまうという恐怖に慄き血の気が引いて直ぐに月を見るのをやめて俯こうとした。
もしかしたらもう遅く大猿となって大惨事を起こすのではないかと恐怖しながら。
しかし違和感を直ぐに覚えて自分の手を見れば大きな猿の手をしていた・・・そして・・・大猿になって泣いていたのか涙で池が出来たのか・・・大猿になった自分と、その背中に何故か沢山の動物達が乗っていて、傍らには俺に尻尾の肉をくれたティラノがいて、卵から孵すのを手伝ったプテラ達が頭の上に乗っていて・・・俺の体に頭や体をしきりに擦り付けてくれていた。
まるで悲しんでいる俺を慰めてくれているように・・・
そういえば、外に出た後はよく覚えていないが、何か温かい気配が俺の中に入ってきた気がするのは気のせいではなかったのか・・・
もしかしたらその温かい気配が俺の意識を大猿の中から引っ張り出してくれた気がして
「あ・・・い・・・が・・・」
お礼を言おうとしたが後はグルルとしか言えなかった。
不便だ!!!ちゃんとお礼が言えないのは駄目だろうと自分を叱責したくなった。
しかし・・・これで俺も大きくなっていると思うと、我ながら現金だと思うがあれほど恐怖していた大猿化するのが楽しくなった。
月に一度だけでも俺は大きくなれるのだと思うと、大猿化を積極的に行ったのは・・・うん・・・カカロットご免である・・・兄ちゃん約束破ってる・・・
けど、大猿化した後はお腹を下にして寝そべって動物達や恐竜達だけとお話しして満月見ないから許してほしい。
「あ・・・い・・・うぅぅ・・・えべべ・・」
発声練習を頑張るのを、飽きずに俺の下に集ってくれる子達は聞いてくれて小さな・・まぁリンゴや柿をくれるのを一緒に食べて、俺も肉や果物を持ってきて食べてもらっている間に大猿化するのだが、今度は大猿化しても皆に触れたいと思ったが・・こんな巨体では押しつぶしてしまうと気が付いたのは三度目の変身した時。
よし!皆を撫でても大丈夫なくらいに縮もうと決心した!!
ウルトラマンだってあの巨体サイズから体内に入れるミクロサイズになれるのだ!!
これはあれだ、自分のメタモルフォーゼなのだから、大猿の膨大な気を・・・・苦手だが全体的に密度を練れば縮まるのではなかろうかと思ったのだが・・・五度して無理だと諦めた・・・だって俺!気を練るのど下手なんだもん!!!
しかしこの姿でも皆に触れたいと諦めずに考え出したのが、練るのではなく大猿の気を自分の丹田の中に戻せないかという方法を試してみた。
まだ縮まる気配はないけど、大猿の気の出し入れは出来て自在に操れるようにはなれた。
そっとティラの頭を撫でててあげられる。
「ティラ・・・・」
「グルルルル・・・」
頭を撫でて上げれば喜んでくれている・・・早く他の子達も撫でてあげたいなぁ・・
気を大量に収納できるように丹田を鍛えたおかげか、体感だが気の量は十倍は増えて、気の運行や使い方が一段と上達してる。
そして様々な気を感じ取れる気がする。
それは人や動物達の気だけではなく、木々や植物、調子のよい時には大気を巡る自然の気が感じられる・・・というのはきっと大袈裟だろうが、もしかしたら自分で探ればあの時神龍の気も感じたのだろうか・・・・今自分を探して怒っている気配がするお師匠様の気配を、三十キロ以上離れた場所でも分かるように・・・
「地面からも温かい気配がするんだよな・・・・」
寝転べば下からも気配がする。
前世で惑星も生きていると聞いた気がどこかでする・・・掌を地面につけて、気が切れた弟妹弟子達に気を与える時のように地面に気を流せば、温かいものを返してくれている気がするのはロマンチック過ぎるだろうか?
だが、一か月後には俺も普通に大きな大人になれる・・・・まぁいいか!
それはそれ!これはこれで極めてみよう!!
大猿がどこまで縮められるのかも気の運行の修行になっているのだから!!
カカロット、兄ちゃんも色々と頑張るからお前も頑張るんだぞ
ドラゴンボール探しの旅編終了!
次回は悟空の修行と天下一武道会編です