俺ラディッツは弟を絶対に守り抜く   作:ドゥナシオン

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文官って大変だ・・・それきっと違うぞ

一触即発

 

ギニュー隊長とナナバの間に挟まれ頭の上で視線バチバチに火花散りそうにされているラディッツの感想はこうであるが、実際は二人共いつもの挨拶してるに過ぎない。

 

ギニューはフリーザ軍の中のトップ集団・ギニュー特戦隊を率いている押しも押されもせぬ武官のトップであり、片やナナバは何を隠そうフリーザの幼少期からの学問の師をしており、文官の中でもそしてフリーザからの個人的な信頼の中でもランキング堂々一位である。

 

そんな二人が本気でバチった日には、下手したらギニューの方がフリーザから本気の怒りを買ってどんな折檻が待っているか知れたものではない程ナナバのフリーザ軍内での立ち位置は高い。

しかしナナバも報告書の件さえなければギニューとその配下の腕は信頼しているので、彼等を失うには惜しいと本気で思っているのでこれ以上の事には発展しない。

 

そんな事ラディッツには知ったこっちゃねぇで、グスッと本気で泣き入りかけて鼻をすすってしまった。

 

みっともない!無茶苦茶だが、戦士として尊敬している(本人には死んでも言うもんか!)バーダックの子が泣いたら恥だと慌てて鼻と涙を腕でこすって現状をしっかりと把握しようと頭上げれば・・・

 

「あ・・・・小僧すまん・・・・些か大人気の無い物を見せたな。」

「すまんなラディッツ、こいつ等とのこの遣り取りは日常茶飯事なもんなんじゃ。」

「・・・・え~・・・」

 

何気にきちんとした大人である(なら報告書を部下にまともに書かせろと言ってはいけない)ギニュー隊長は、年端のいかない小僧を泣かせてしまったと反省する。(なお老若男女を皆殺ししてるやつがとも言ってはいけない・・)

 

そしてこれからひっどい報告書を翻訳してくれるラディッツと、今後とも気持ちよく共に働いてほしいナナバの謝意を受けたラディッツであるが、微妙な気持ちになった。

 

あんなに目をいからせてメンチ切りしてるのが日常挨拶と言われて誰が納得するんだと言いたいが、この字が汚く報告書を滅茶苦茶に書いてくれる集団のお陰で雇ってもらえそうなのでラディッツはそれ以上言うのは止して無言を貫く。

 

何か下手な事を言って巻き込まれても困る、冷静なラディッツなのだが

 

「よし!小僧を怯えさせた詫びだ!!ジース!バータ!リクーム!グルド!」

「ハッ!」

「ハイ!」

「ヘイ!」

「ハハッ!!」

「小僧に俺達の-特別-を見せるぞ!!!机を書類乗せたまま一分で隅に置いて中央に-舞台-を作れ!!」

「んな!!!!」

 

処世術で黙っているラディッツを、まだ怯えているのだと勘違いをしたギニューは、四人の部下に命じて机を動かすのを、ナナバは顔を青褪めさせる。

 

まさか・・・よもや!!

 

「よせお前達!!!あれは・・・あんなものは!!!」

 

おじじの血管ブチギレないだろうかとはたで見ているラディッツが心配になる程ナナバは狼狽えながら、五人の行動を阻止しようとしたが時すでに遅し!

 

ダッダダダダン ダンダン ダッダダダダンとかの効果音が聞こえそうな雰囲気で、ギニューを中心として男達が横並びになり

 

「リックーム!!!!」

「ケッケケ!バータ!!!」

「ジース!!!!」

「グルド!!!」

 

男達は次々と名乗りながら、自分達が美しいと思っているポーズを力強く名乗りそして

 

「ギニュー!!!!」

 

最期にギニューが名乗り

 

「我等ギニュー特戦隊!!!!」

 

最期に決める。

 

これぞギニュー特戦隊の証であるファイティングポーズである!

 

これを見た敵は威風堂々とした自分達に見惚れ怖気づき、味方は力強い自分達を見て士気は跳ねあがり、それを見たフリーザ様はご満悦になる代物である!!!・・・と、特戦隊の面々は本気で思い込んでいるが実際には・・・・

 

「・・・・・馬鹿者どもが・・・」

 

ナナバの表情と台詞が全てを物語っている。

 

見せつけられたナナバの顔は、物凄い馬鹿を見せられたような疲れ切った表情でポツリと漏らした台詞で察してほしいところである。

こんなものを見せつけられる敵も味方も気の毒でしかない。

 

どうして強くて戦いに関する事は戦略的にも戦術的にもいけているのに、他の事になると頭の中身がおバカになるのは何故なのか教えて欲しいとナナバを始めとした文官・武官の大半はその理由をぜひ教えて欲しいものだと本気で思っている。

戦いの手腕は信頼されて羨望の的であるのにだ・・・・

 

尚直属の上司のフリーザも、彼等のおバカなところを治してくれる方法を見つけた者には莫大な財産上げてもいいと八割・・・・それ以上に本気で考えている。

毎回会ってファイティングポーズを見せつけられて、恥ずかしいと心のダメージが辛いのだ

 

そんな代物を初見せされたラディッツを、ナナバは本気で案じた。

これ見てこんな変な輩がいる職場で働くの嫌ですとか言われたら儂本気で死にたくなる!辞めないでくれと泣いて懇願する覚悟を決めたナナバが見たラディッツは、俯いて震えている!

 

不味い!!やはり辞めると・・・

 

「か・・・・かっこいい!!!!!!!」

 

・・・・・・はい!?

 

「なんすか今の!ここって強くてチーム組んでいる人達は皆決めのポーズを持ってるんですか!?」

 

・・・・んな訳あるか!!!!!

 

震えていたからすぐさま馬鹿な者見せて済まんと慰めかけたナナバだったが、阿呆なファイティングポーズとやら以上に、馬鹿言い出しラディッツに心の中で凄まじい突っ込みを入れたがそんなの関係ねぇである。

 

「おじさん達のポーズかっこいい!!あ・・・でも左右対称の方がカッコいいかな?

其れとも自分達の身体的特徴を生かしたバラバラの中でも調和を図ったのもいいのかな。

リクームさんとバータさんの長い手足生かしてジースさんとグルドさんもしなやかに動いて最後にギニューさんが隊長として中央で締めてたの良かったし・・」

 

ギニュー特戦隊のファイティングポーズを見せられたことで、ラディッツの中の前世特撮好きの血が騒ぐ!!!・・・・戦闘民族サイヤ人の血が泣くぜ・・・

 

ラディッツはウルトラマンは一位だが、ゴレンジャーを初代とした戦隊モノもばっちりであった。

 

彼等の変身後の名乗りとポーズはもう定番中の定番であり、戦隊を名乗る者からは外せない御約束のものである。

ストーリーもさることながら、前世ラディッツは新作が出来るたびに新しい決めポーズは何だとわくわくしたものであり、まさかリアル特戦隊がいてしかもポーズまで見せてもらったのだ!!

もうワックワクであり、お目目キラキラで、周りを見まわして白紙の紙とペンを見つけ

 

「すみません!!!これにサインください!!!」

 

何て言いだしちゃう始末。

 

ナナバは無論の事、傍若無人で我が道を行ってるギニュー特戦隊の面々をして唖然とさせたラディッツのメンタルは矢張り最強であり

 

「ふ・・・・ワッはッハッハ!!!!俺達の真の良さを知るとは小僧!貴様は人を見る目があるぞ!!!」

 

・・・・いや目が腐ってんでないかと思ったナナバはきっと悪くないが、ラディッツの奇行にいち早く立ち直ったギニューは呵呵大笑と笑いあげて機嫌よくラディッツの差し出して来た紙とペンを受け取りサインしてやり

 

「ほらお前達も!俺達のファンにサービスしてやれ!!」

「うっす!隊長の隣でいいか小僧?」

「お願いしますジースさん。」

「さっきの左右対称って言うポーズ何か案あるのか坊主?」

「えっと・・・具体的にはないですが、リクームさんとバータさんの巨体で逞しいポーズを左右においてはと。」

「ふむ、後で話して見ろ、サインはここでいいか?」

「あ、ありがとうございます!」

「なんでサイヤ人の小僧なんかに・・」

「すみません・・・・俺みたいな下っ端にもなってない小僧に書いてくれて。ありがとうございますグルドさん。」

「ふん!・・・・精々そうやって分を弁えておけよ小僧。」

 

ギニューの命令でラディッツにサインを書きながら、ファイティングポーズを本気で誉めながらも何やら目の前の坊主の中でもポーズの案があるようで、ギニュー特戦隊の面々はラディッツに興味が湧いた。

 

少し微妙なエスパー能力で馬鹿にされがちで、見た目もチンチクリンで特戦隊のメンバー以外からは侮られがちなグルドに対しても、きちんと敬意を払うラディッツにグルドは少しばかり心を開くという快挙までラディッツは成し遂げているのにナナバは様々な意味で絶句した。

 

このあくが強くて扱い辛く、フリーザ様以外は塵芥と同義に見ている特戦隊の興味を惹いたラディッツに・・・・・決してファイティングポーズを褒めちぎり、同じような妙ちくりんな趣味を持っている事だけに愕然としたわけでは断じてない!!・・・・多分

 

だがこの瞬間、ラディッツのフリーザ軍での立ち位置はナナバの中で固まった。

 

ギニュー特戦隊専属何でも係

 

報告書の翻訳は全てラディッツに直行させる、これだけで数少ない文官達の負担は軽減されて他の内政作業の効率化アップして!フリーザ様から手腕を褒められること間違いなく、ファイティングポーズを見るのもラディッツの担当にすれば味方の精神ダメージ無くなり感謝されるであろうと・・・

 

 

「このラディッツは(ギニュー特戦隊対策で)我が軍で重要な位置に入れる事は決定ではあるが、ご両親に異存はあるかな?」

 

ギニュー特戦隊対策としてフリーザ軍に必須になろうラディッツの価値はたった数時間で爆上がりし、絶対に逃がすかというナナバの言葉と形相に悲壮感を感じた上に、権力山ほどある男の言葉に否やを言えるほどバーダックは命知らずでもなく、なにより

 

「おいおっさん。」

「うむ?」

「こいつはもう-他所の星-に飛ばされる事はないのか?」

「ふんむ・・・・儂の側から放さんぞ?」

 

これさえ分かればいいとばかりに、バーダックは一つ頷いた。

 

少なくとも戦闘力の事でゴミカス扱いされない我が子の未来がそこには見えた。

 

「親父!!??」

「こいつの事を頼む。」

 

戦闘民族サイヤ人として誇り高く、フリーザ軍には上辺でしか礼儀を示さず、戦闘力が低ければ侮蔑を隠さないあのバーダックが、ラディッツが心底驚くほどに、椅子から立ち上がり本気で頭を下げた。

 

その真剣な声に態度に、ギネも驚きながらも共に立ち上がって頭を下げる姿に

 

「俺・・・・俺!一生懸命頑張ります!!ナナバさん!よろしくお願いします!!!」

 

浮かれていたラディッツも立ち上がって精一杯ナナバに頭を下げる。

 

俺!文官としてやっていきながらも、俺もっと強くなって母さんと親父も将来守って食わせていくのだと覚悟を決めて

 

▲▲▲

 

△月○日

俺が奇妙な縁でフリーザ軍の文官もどきになって半月、初給料出すには日数足りないから現物支給で何が欲しいと聞かれたので、一年分のノートとペンを貰った。

愉しい毎日をこれで日記に記しておかないと勿体ないもんな!

 

半月の間でも楽しい日々だった。

これからも持って楽しい毎日が続くと思うと本当にワクワクする!

 

△月○日

五日ぶりにギニュー特戦隊の皆さんが仕事から帰ってきて報告書を持ってきてくれた。

相変わらずの字だけれども、ジースさんがカッコいい報告書の書き方のマニュアルをナナバさんから渡されたので俺も一緒に覚える事になった。

ファイティングポーズをあんなにかっこよく決められる特戦隊の皆さんの報告書も完璧になったらいいな~。

もっと俺も文官仕事とファイティングポーズを勉強しよう!

 

△月○日

ナナバさん以外の文官さんと時折会うと、何故か皆さんがお菓子をくれる。

頭を撫でられる事もあるのが不思議だ・・・・俺に頑張れって期待してくれてんのかな?

母さんも親父も文官全うしろって応援してくれてるし!俺頑張る!!!

 

 

▲▲▲

 

・・・・あの小僧欲しい物が紙のノートだのペンだのでいいのだろうかと、強請られたナナバは割と本気で悩んだ。

 

ラディッツを雇った時期が月半ばの下あたりで、給料ももう組まれたので個人的に出すにしてもナナバの給与を組みなおさないといけないのが手間なので、一般サイヤ人達が手に入らないような高級食材だの父親のバーダックが喜びそうな高級酒だのを提案するよりもやっすい物を請われて何か罪悪感がナナバには生じたのを知らないラディッツはご満悦そうなのでまぁ良いかとナナバは納得する。

 

ファイティングポーズを褒められたギニュー特戦隊はウッキウキで機嫌がよくて軍内部で問題を起こす事が減っていく。

新しいポーズも考え付けばいつもならばフリーザ様に真っ先に見せに行っていたのがラディッツにお披露目して意見を求める始末。

 

「ん・・・頭に両手を置くのは可愛くなって武威を示すには向かないかと・・・其れよりも鶴のあの形をあえてジースさんではなくリクームさんとバータさんがしてみるのも・・」

「俺はどうだ?」

「グルドさんの蟷螂の構えをジースさんと一緒にギニュー隊長の左右でやるの良いかと俺は思います。」

 

ラディッツと真剣に討議して満足をした特戦隊達は、戦場の本番でフリーザ様にお見せしようと矢鱈滅多らに軍内部でポーズを見せつける事が格段に減った事に、文官は精神攻撃が無くなった事にラディッツに感謝しているとはラディッツ当人だけが知らない。

 

そしてこの軍トップの人に心の平穏が訪れたと本気で感謝をされて名前を覚えられて様々な騒動の渦中に放り込まれる事もだ

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