俺ラディッツは弟を絶対に守り抜く   作:ドゥナシオン

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悟空とクリリンの天下一武道会②

「悟空!その技危険だぞ!!もうやめろ!!」

「ぐぉぉおおお!!」

「悟空!!!」

「逃げてクリリン!!それ悟空の技じゃない!!悟空は・・・悟空は満月を見ると大猿に変身してしまうの・・・今日が満月だったなんて・・・ジャッキーさんも逃げて!」

 

天下一武道会の最終決戦、満月を見て突如として夕月を見て大猿化した悟空に、逃げれば場外となってしまうジャッキー・チュンこと亀仙人は逃げる訳にもいかず、ブルマが話した言葉に活路を見出す。

 

・・・・危険な賭けをせねばなるまいて・・・・

 

迫りくる大猿となった悟空、この期に及んでも実況として逃げ出さない審判、言葉で何とか悟空を止めようとするクリリンとヤムチャとブルマ達・・・数時間前のお祭りの様な天下一武道会会場とは思えない程の状況に、亀仙人は自分の持ちうる限りのパワーを使い切る覚悟で構える・・・・本当に、先程の戦いが児戯であったようだと思いながら

 

 

▲▲▲

 

昼食が終わり、天下一武道会の本選は幕を開けた。

 

一回戦のクリリンの相手であるバクテリアという男は臭いだけの力自慢であり、鼻がないからお前臭わないだろうという悟空の助言でクリリンは普通の蹴りで勝ちを進める。

 

二回戦目はヤムチャ対ジャッキー・チュンこと亀仙人であったが・・・あっさりと終わらされた・・・・亀仙人にとって、クリリンと悟空の必死の修行によるすさまじい進歩を見た後では、出会った時とあまり変わらないと感じたヤムチャに見るべきものがないからだ。

 

少しばかり失望し、ヤムチャの我流の狼牙風風拳の弱点を教えて直ぐに風圧の場外アウトで終わらせてしまった・・・時間にして数分あるかないかの試合とも言えないような一方的な終わり方に、ヤムチャ自身が呆然としてしまう程であり、観客席から失笑が起こるのを、ウーロンやプーアルの前にブルマが切れた!

 

「あんた達!!特に笑った人達の中に!!あの舞台で戦う度胸がある人いるの!!??

いるってんなら私が相手になってやろうじゃないのよ!!!!」

 

家族や友人・仲間をけなされる事がブルマにとっては一番許せる事ではなく、結果は兎も角あの舞台に上がる為に必死に努力してきたヤムチャを笑いものにされる事が我慢ならなかったのだ・・・・それが男の自尊心を傷つけているとは知らずに・・・

 

「ブルマ、俺は大丈夫だよ・・・」

 

少し落ち着いたヤムチャは、悟空達の側を通った時、何か言いたそうな二人の頭を優しく撫でて、

 

「頑張れよ二人共。」

「うん!!」

「はい!!!」

 

二人を応援する・・・

 

三回戦目はランファンという女性武闘家の色仕掛けに、初心なナムは目を瞑って攻撃をして勝ちを拾った。

 

四回戦目の悟空とギランという大柄の・・・筋肉で固太りしたプテラノドンみたいな者との試合は、ギランのぐるぐるガムという超強力極太の透明な体液で全身を絡められそうになったが悟空は、迫りくるぐるぐるガムを受けに行くように足に全神経を集中してダッシュし、ガムが体に巻き付く前にガムの下を掻い潜り、そのままギランの腹に頭突きをして・・・・辛うじてギランは気絶でとどまった・・・担架で運ばれたけど大丈夫だろう・・・うん多分・・

 

 

「勝ちました!!小さな体に似合わずに凄まじいパワーです!!

第一回戦のクリリン選手もそうですが、同じ亀のマークのユニフォームを着たこの強さは一体何なのでしょうか!!

ここでちょっとインタヴューをしてみたいと思います。

クリリン選手もご登場ください。」

「ほへ?」

 

・・・・・まさか天下一武道会の晴れ舞台の本選上がるだけではなくてインタヴュー付きなんて聞いてないクリリンであった・・・

 

天下一武道会の実況から司会・進行なんでもござれのこのお兄さん的には、絶対に二人の少年武道家の突撃インタヴューした方が面白かろうと、武道会を盛り上げる為ならたとえ火の中水の中!!実況のプロである!!!!

 

「さて、クリリン選手も登場したところで、孫悟空選手からお話を伺いたいと思いますが、いいかな?」

「うん?おらとクリリンになんか聞きてえのか?」

「はい!君達の強さに、私も会場の人達も驚かされていますが、強さの秘密はずばりなんですか?」

 

実況のお兄さんからマイクを向けられた悟空は、首を傾げて一言

 

「おら偉い人でもねぇのにどうしてマイクを向けられているんだ?」

 

悟空にとって、マイクを向けられる相手はニュースで時折見かける国王陛下や大臣達とかの偉い人であり、マイクを向けられるイコール偉い人の図式が出来ているので困惑するのを、まだまだ子供で可愛いと微笑ましい笑いが広がる中、クリリンがアホと悟空の耳にこしょこしょと教えてやる。

 

「いいか悟空、これは単に声を拡大して大勢の人達に聞こえるようにするだけの物だから、別に偉い人だけが使うもんじゃないんだよ。」

「そうなんけ?大きい声なら村のおっちゃん達はすんごい声出すけどマイク使ってる人見た事ねぇぞ?」

「・・・・そういえばお前の声も出したら百メートル先でも聞こえてたな・・・マイク要らんか・・」

 

 

ドゥツ!!!

 

「あの子達可愛い!!!」

「いいぞ坊主達!!!」

 

強さとは裏腹の子供らしさに、ギャップ萌えという奴か二人の内緒話であるつもりの会話はマイクがバッチリと拾ってしまっているので観客全員大爆笑して、悟空らしいとブルマは呆れ、ヤムチャとウーロン達は悟空とクリリンの天然具合に腹の皮がよじれそうになるほど大笑いしてしまった・・・・長閑やねぇ・・・

 

一頻り笑いが起こり、収まったのを見計らったプロ実況者(以降この名前・・)は、二人には同じ師がいるのかと尋ねれば

 

「はい!僕達は武天老師様の弟子です。」

「半年間亀仙人のじっちゃんの下で修業してきたんだ!!!」

 

元気いっぱいな言葉よりも、その内容に会場中は驚き、プロ実況者が一番驚いたかもしれない。

 

「なんと!!あの今名高い鶴仙人様と同じく、武の神様と言われている武天老師様の・・・道理で君達が強い筈だ・・・二人は優勝を狙っているのですか?」

 

プロ実況者としては当然の質問であるが、二人は顔を見合わせた。

 

師からは優勝なんか無理だろうから思いっきり暴れて来いと言われている。

 

しかしだ・・ジャッキー・チュンという老武道家をクリリンが倒せれば・・・・

 

「僕は・・・・」

 

今まで弱いと馬鹿にされ委縮していた自分を褒めてくれた悟空・悟飯・そして武天老師の顔を思い浮かべながらクリリンは意を決した!!

 

「ジャッキー・チュンさんに勝って!!悟空と決勝戦をしたいです!!!!」

 

最高の初陣だ!晴れ舞台だ!!!

 

ヤムチャをいとも簡単に倒したジャッキー・チュンに勝てないかもしれない、口だけになるかもしれない!!それでも!!!

 

「俺はお前と思いっきり戦いたいんだ悟空!!!」

 

ライバルであり、半年間で・・・いや、たったの一日で幼馴染のようになった悟空にこの言葉を言いたかったのだ。

 

「うん!!おらもナムって人に勝って、おめぇと戦いたいぞクリリン!!!」

 

その言葉を、悟空はあのにっぱり笑顔で受け止める姿に、観客からはやんやの喝さいと、じいさん大人としての意地見せろよというジャッキー・チュンに対する応援の言葉も飛び交う。

 

「君達は大変仲が良いね。同郷で同じ時に弟子入りしたのかな?」

 

悟空とクリリンの仲の良さから、そうではないかと辺りを付けたプロ実況者の言葉に、クリリンは違いますが同じ日に弟子入りした事を話し、悟空の方は

 

「おらはクリリンの事本当の兄弟みたいに思ってるぞ?」

 

・・・・大変ドストレートな想いの言葉に、クリリンの顔が茹でタコ其の三になってしまい・・・

 

「ばか!!!!そういう事は人がいない時に言えよ!!!」

「へ?だっておらおめぇの事好きだぞ?クリリンは違うのけ?」

「あぁぁ!!違わないけどデリカシーを学べお前は!!!」

「??だって好きな人の事はきちんと好きだって伝える事が良い事だって、じいちゃんと兄ちゃん言ってんぞ?」

「・・・悟飯さんとお前のお兄さんどんな人だか分かんなくなってきた・・・」

 

半年前に一度会ったきりだが、確かに悟飯さんは自分の長所をてらいも無く褒めてくれたが・・・デリカシーを悟空に教えておいてくださいと悶絶するクリリンに、笑いの渦が起こるのは・・・まあ当然だろうな・・・怒ってる風でいて顔を赤くしながらも嬉しそうな雰囲気全開で悟空に引っ付くクリリン可愛いもん・・・・二人共めんこいな~・・・

 

その後のジャッキー・チュンな亀仙人は・・・実にやりづらいインタヴューになってしまった・・・・少し場を沸かそうかとマイク奪って一曲歌うマイクパフォーマンスしようと思っていたのに・・・・・こんな純粋な弟子達の後にんな真似できんわいなである・・・

 

「え・・・・コホン、クリリンとやら。」

「あ!!はい!!」

「そう緊張せんでもいいが、儂は負けてやるつもりは毛頭ないぞ。」

 

マイクに声を乗せながら、クリリン自身にプレッシャーを叩きつける。

 

自分を倒して悟空と戦うという、対戦者を頭越しにした発言は無礼だったとばかりに。

 

だがそのプレッシャーを、クリリンは耐えた!

 

無論クリリンだって初めての気の圧に怯えかけたがそれでも!!

 

パンパン!!!!

 

クリリンは両手で自分の顔を叩き、気合を入れて

 

「僕だって負けるつもりはありません!!」

 

勝って、決勝に行くのだという意気込みを露わにし、悟空は選手観戦場所に戻りそのまま準決勝が行われた。

 

果敢に打ち込むクリリンの蹴りと拳の風圧に、亀仙人は本気で驚きヒヤリとする!

 

こ奴どれ程の腕を上げたのか・・・これをよけられるか!!

 

亀仙人の本気の拳の突きは、初見のクリリンは見えずに鼻に当たって吹き飛ばされ血を流す。

 

見えない程の拳をクリリンは驚く事はあっても怯まずに一、度受けた後はじっと目を凝らし、動きながらジャッキー・チュンに勝つ方策を練り出し、破られてもなお考えを張り巡らして奮戦をした。

 

一秒にも満たない攻防の中にも数合以上の技の応酬と駆け引きが行われるが、それでも力量と何よりも、実戦経験の差が物を言った。

 

クリリンがパンチに見せかけジャッキー・チュンの少し長い黒い袖をつかんで空中に放り投げて、場外勝ちだと思った瞬間!!

 

「かめはめ波!!!」

「えぇ!!!あれって・・・武天老師様と悟空の!!」

「隙有りじゃ!!!!!」

 

師と悟空の必殺技を使ったチュンに驚いたクリリンの隙を、亀仙人は見逃さずにそのままクリリンの首に手刀をうちすえ、クリリンがダウンではなく気絶した事で幕を閉じた。

 

まさかかめはめ波まで出さざるを得なかった事に、ナムという選手か悟空が来るかは分からないが、次の対戦を見据えて体力温存の為に短期決戦を仕掛けたのだ。

 

「あてて・・・」

 

気絶したクリリンは担架に運ばれる前に目を覚まし、負けたなと落ち込むのを観客席からは大絶賛の嵐で、悟空に肩を貸してもらって立ち上がる姿に万雷の拍手が鳴り、

 

「お主と戦えてよかったぞクリリンよ。」

「あ・・・はい!!僕もですジャッキー・チュンさん!!!」

 

立ち上ったクリリンとジャッキー・チュンが互いを褒めたたえ合い握手する姿に、二人が待機室に戻った後も暫く鳴りやまなかった。

 

 

そしてもう一つの準決勝も、どれ程の激闘になるかと観客もプロ実況者も固唾を呑む中、ナムが手を上げ

 

「審判、そして皆さま、申し訳ないが私は棄権します。」

「な!!なんと!!!ナム選手棄権と言いましたが本当によろしいのでしょうか!!」

「はい、私の目的は果たせそうになく、なによりも・・・」

 

棄権を宣言した事に驚くプロ実況者を見ず、ナムは悟空をじっと見つめ

 

「いえ・・・兎に角、私の闘う理由がなくなりましたのでこれにて失礼します。」

 

ナムは礼儀正しく対戦相手になる筈であった悟空に一礼するが・・・

 

「あのさ・・・・棄権ってなんだ?」

 

だあ!!!

 

・・・・・悟空が棄権の意味わかってなかった・・・・

 

 

「悟空!!お前良いこと以外にもっと世の中の常識教えてもらえ!!!」

 

こいつはもうとばかりに、棄権宣言をクリリンが待機場の塀の上から懇切丁寧に悟空に説明してやる。

 

「棄権って言うのは、物事の権利を放棄する・・・つまりナム選手は準決勝でお前と戦う事をしないで、自分から負け宣言をしたんだ!」

「へ!!!なんでだ!!おら達まだ何にもしてねぇのに!!??」

 

もっともな理由に、プロ実況者もきちんとした理由が無ければ次回の大会の出場権も剝奪する事を視野に入れなければならないので理由をナムに問うた。

 

時折りプロ格闘家が売名行為で本選で適当なところで棄権する事があったので、運営に支障をきたす行為として本選で戦う前からの棄権行為には相応の理由が必要になっているのだが、ナムとしては次回出る気がないので言うかどうか迷ったが、相手の悟空が納得をしていないようなので仕方がないと話す事にした。

 

「君の苗字は孫だね。」

「うん!おら孫 悟空だ!!」

「そうか・・・・悟空君、ちょっと耳を貸してくれ。」

「へ?」

 

ナムに呼ばれて近くに寄った悟空の耳に、ナムは背をかがめて小声で話しかける。

 

「君のお兄さんは孫悟雲さんではないかね?」

「へ!!兄ちゃんのこと知って・・・」

「しぃ!!」

 

問われた事に驚いて大声を出しそうになった悟空に、ナムは静かにと人差し指を悟空の口に当てかがんでいた背を伸ばしてプロ実況者に向き直る。

 

「私と私の村はこの悟空君の兄君に恩がある。

私がこの大会に出場したのは賞金の五十万ゼニーを悟空君の兄君に渡すつもりであったのだが、実力は遠く及ばず、まして大恩ある方の弟御に向けられる拳を私は持ち合わせていない。

すまない悟空君、武道家として失格であろうが、そのような訳で私は君とは戦えない。」

「えっと・・・兄ちゃんに助けられたんけ?」

「あぁ、私の村は雨が降りづらく、聞きつけた君のお兄さんとお仲間の方達が深い井戸を五つも掘ってくれたのだよ。

報酬も穴を掘ったのは自分達であっても、仕上げの井戸を作ったのは私達だからと、安い値段で分割払いでいいと言ってくれたんだよ。」

 

悟雲のサイヤンℱの支部があちこちにでき始めてナムのいる村の近くにも出来た時、降水量が少ない事を懸念した支部からの報告で、周りの村も難儀しているだろうと悟雲たちが仕事と称して半ばボランティアで仕事をしたのだ。

 

この世界NPO無いしな~という実に悟雲らしい理由で、武術の鍛錬になるとかなんとか言って、気功弾撃てる高弟達に素手と気功弾のみで掘らせたという逸話付きで・・

 

そんな凄い理由があってはプロ実況者も周りも悟空自身も納得して、ナムは舞台を去り、実にお兄ちゃんらしいことをするとブルマはにっこにこであった。

 

そうして、気力体力を十全に残したままの悟空と、およそ十分であっても休んだ事で万全になった亀仙人の激突の決勝戦が幕を開けたのだ。

 

それは、それまでの試合が、それこそジャッキー・チュンとクリリンの戦いもかすむ程の激突となった。

 

互いに相手に走り合い、会敵と同時に打ち合う猛烈な打ち込みの連打の音は凄まじく、少しでも手を緩めたほうが吹き飛ばされると、素人目からも分かるほどの攻防を、先に制したのは矢張りジャッキー・チュンの方であった。

 

悟空のジャンケン・グー・チョキ・パーは悟飯の得意技であり、見慣れている亀仙人は容易く破り、最期のパーを出した悟空を膝蹴りで吹っ飛ばしたのを、悟空は痛いよりも驚いた。

 

初見で見破られたことが無いだけに自信があったのだが、通じないとなればさてどうするか・・・そうだ!!

 

「ジャンケンパー!!」

「その技は・・・ぐは!!!」

「ひひ・・・グーだもんね!!!」

 

言葉と技をバラバラにした攻撃に、こいつやりおるわいとなってからは互いに酔拳だの猿拳だの犬拳だのを出し合い、かめはめ波の打ち合いでもけりが付かずに業を煮やした亀仙人は、良い子には絶対に効く!よいこ珉珉拳を繰り出したが・・・

 

「・・・・おっちゃん何してんだ?」

「いぃぃ!!お主眠くならんのか!!???」

 

良い子で根が単純な悟空になら絶対に聞くと思って出した催眠術の一種が通じない事に、亀仙人は本気でビックらこいたが・・・

 

「だって・・・おっちゃんの声と歌、兄ちゃんよりも下手なんだもん。」

 

兄の子守唄をずっと聞いて育って聞いて来た悟空にとって、自分を寝かしつけるのはあの歌だと、魂にまで沁みつきある意味ブラコン兄はこの場にいなくとも弟のピンチの一つを救ったのだ!!・・・・ブラコンのおかげで・・・

 

・・・・悟雲め!!!あやつのブラコンは度が過ぎとるぞい!!!

 

技が効かなかったとと、よいこ珉珉拳で終わらせるつもりで勝ち宣言をした亀仙人は、悟空に全く通じずに仕方がないと、袖を巻くり再び宣言をする。

 

「悟空よ、お前の負けじゃ。」

「へ?さっきも言ってなかったか?」

「これから放つ技は危険な技で、出来れば出したくはなかった。

この技を出すのはお前の祖父、孫悟飯以来じゃ。」

「え!!おっちゃんどうしておらのじっちゃんの名前を・・」

 

互いに話し合う中、亀仙人はかめはめ波よりも凶悪な技を発動させた!!

 

「萬國驚天掌(ばんこくびっくりしょう)!!!!」

「ふぎゃぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

それは亀仙人が編み出した技の中で対人相手で最も効果を発揮する技であった。

人の中にある微量の電流を互いに合わせた手のひらに集中させ、対戦相手に腕を突き出すと同時に放射する技であり、喰らった相手は当然感電する!!

 

それも逃げ場のない空中に浮かせられて

 

「参ったと言え!!この技を食らってはどうにもならんぞ!!!」

「い・・・・やだ!!!おら・・・・おらいわねぇ!!!!」

「強情な奴め・・・」

 

仕方がないと、亀仙人は心を鬼にして電流の圧を上げる。

 

悟空に意地と勝敗の見極めを勘違いさせない為にも、負けてもいいのだ、命を永らえることが出来れば!!

意地で死んでしまっては意味が無いのだと知ってほしくて・・・たとえいつか命をかけて戦う時があったとしても、見極めてほしくて・・・

 

「ぎやぁぁぁぁぁぁああああああ!!!!」

 

悟空の苦しむ声に、聴いている者達の心を慄かせる!!

 

「坊主!!お前死んじまうぞ!!」

「悟空!もういい!降参しろ!!!」

「お前死んじまったらみんな嫌だぞ!!!」

「悟空さんもうやめてください!!!」

 

観客が、仲間達が言っても

 

「悟空!!あんたに何かあったらお兄ちゃんに私なんて言えばいいのよ!!もう降参してよ悟空!!!」

 

姉が言っても、悟空は折れたくなかった・・・だって自分は・・・クリリンを倒したジャッキー・チュンに・・・朦朧としながらも折れない悟空の耳に、声が届いた。

 

「悟空!!ここで負けても俺はお前の事絶対に馬鹿になんてしねぇぞ!!!頼むから参ったって言ってくれよ!!!」

 

お前が死んじまったら俺も一緒に死んでやるぞという泣きながら叫ばれる無茶苦茶なクリリンの言葉に、

 

「おら・・・おら・・・クリリン・・・おらぁ・・」

「ああそうだ!!俺が頼んでんだ!!!言ってくれよ参ったって!!!」

 

クリリンの言葉に幽かに首を縦に振る悟空に、亀仙人は内心で安堵する。

 

「良い子じゃ、よくぞ耐えたぞ悟空。

あの孫悟飯とてもここまで意地を張りとおすことは出来なかったぞ。」

 

惜しみない称賛を贈る。

 

誰もが悟空の降参で終わる、そう思ったが、

 

ドックン・・・ドックン!!!

 

 

「あ・・あぁぁ・・・・や!!!嫌・・・・嫌だ!!!!」

 

突如として悟空は喚き始めた!!

何かを嫌がるように・・・降参を嫌がっているのとは違う、怯えを含んだ声に亀仙人が何事かと力を緩めた時、

 

ドックン・・・ドックン!!!

 

悟空の体に異変が起きた!!

 

嫌だ、駄目だという悟空の言葉とは裏腹に、悟空の体が大きくなりそして!!

 

「ぐおおおおおお!!!!」

 

悟空が大ざると化したのだ!!

 

悟空が降参する為に体の力を抜いて夕方に差し掛かる空を見た時、-満月-があったのだ!!

 

 

いいかカカロット、俺達が満月を見てしまうと大猿になるんだ。

大猿に?

あぁ、そして俺は一度なりかけた時理性が無くなって暴れかけた・・・・もしも大猿になって村の人達や爺様に何かあったらと思うと俺は怖い。

おらも・・・・おらもう満月見たいって言わない!約束する!!

 

そう・・・・兄ちゃんと約束したのに・・・満月を見てしまった・・・・心が暴れたいと喚いてる・・・・怖いよ!!怖いよ兄ちゃん!!!

 

 

 

「悟空!その技危険だぞ!!もうやめろ!!」

 

萬國驚天掌が敗れたのだから、術を解けとクリリンは至極真っ当な事を言うが、

 

「ぐぉぉおおお!!」

 

暴れ続ける悟空にクリリンは驚く。

屋根を壊し、遠くに投げつけ、暴れる悟空を止めようと声を嗄らす程に叫び上げる。

 

「悟空!!!」

「逃げてクリリン!!それ悟空の技じゃないの!!悟空は・・・悟空は満月を見ると大猿に変身してしまうのよ!!!・・・今日が満月だったなんて・・・ジャッキーさんも逃げて!」

 

 

兄から教えてもらった二人の秘密のうちの一つが、現実化した事にブルマは慄くが踏ん張って周りに逃げるように声を掛け続ける。

 

満月を見て突如として夕月を見て大猿化した悟空に、逃げれば場外となってしまうジャッキー・チュンこと亀仙人は逃げる訳にもいかず、ブルマが話した言葉に活路を見出す。

 

・・・・危険な賭けをせねばなるまいて・・・・

 

迫りくる大猿となった悟空、この期に及んでも実況として逃げ出さない審判、言葉で何とか悟空を止めようとするクリリンとヤムチャとブルマ達・・・数時間前のお祭りの様な天下一武道会会場とは思えない程の状況に、亀仙人は自分の持ちうる限りのパワーを使い切る覚悟で構えるのを見たブルマが、

 

「やめて!!!悟空の尻尾を切ればいいの!!!そうすれば元に戻るってお兄ちゃんが言ってたの!!!!

悟空を撃たないで!!!」

「それ本当かブルマ!!・・・プーアル!!お前挟みになって悟空の尻尾を!!」

「全員避けろ!!!」

 

どうにか悟空を攻撃しそうなジャッキー・チュンを止めようと、ヤムチャがプーアルに指示を出したが、悟空はその声に反応して手を伸ばして来た!!

 

自分達を掴まえるつもりであるのだろうか悟空は・・・

 

暴れて手を伸ばされてはプーアルも動きが読めずに下手したらあの尻尾に叩きつけられたら死んでしまう!

 

「少しでいい!!時間を稼いでくれい!!儂は悟空ではない!!!あの月を吹き飛ばす!!!!」

「なに!!・・・分かった・・・悟空!!!!お前の相手はこっちだ!!!」

 

意図を知ったヤムチャは、狼牙風風拳の応用で足に力を込めて悟空の足の間を通り後ろに回り、常に悟空の死角に入るのに務め悟空を翻弄するのを、クリリンも気合を入れてヤムチャと同じ動きをして時間を稼ぐ!!

 

今じゃ!!

 

「か・・・・め・・・は・・・め!!!」

 

悟空の気がそれたのを捉えた亀仙人は、人生最大の気を練り上げるが・・

 

「避けてジャッキーさん!!!」

 

気に勘付いた悟空がヤムチャとクリリンを無視して亀仙人に手を伸ばす!

 

・・・たすけ・・・じっちゃ・・・・

 

大猿になる事を厭うた悟空の意識が、知っている気を感じて浮上し助けを求めたのだが・・・大猿の手は大きく、気を練っているとはいえそれ以外は無防備の亀仙人はもう駄目だと覚悟し、せめて月を消してやるだけでもと腹を括り、悟空を止めようと周りが声を振り絞る中・・・・止まらずに、もう駄目だと観念した・・・まさにその時!!

 

 

カカロット!!!!

 

 

その大勢の声も、大猿とかした悟空の声すらも圧倒的に上回る大音声と空気の全てを震わせる裂帛の気合に、悟空は自分の真後ろ、月のある方向に頭を向けた!

 

ここじゃ!!!!

 

「波!!!!!!」

 

悟空の気がそれた事で、亀仙人はかめはめ波をマックスにして月に向かって撃ち放つ。

 

声の主なれば、射線に居ようとも避けるだろうと判断を・・・したのだが!!

 

声の主は避けるどころかかめはめ波に自ら近づくではないか!!

 

「いかん!!避けよ!!!」

 

亀仙人の声に、飛来してきた者は手に持っている五つの装置をかめはめ波に突っ込み吸い込ませ、速度を上げ衆人観衆どころか亀仙人の目にも映らない速さで五つの装置を五方向にに飛ばしながら舞台中央に着地し、両手を合わせて六個目の装置に自分の気を流し込み、

 

「発動!!!!」

 

フォオン!!!!!

 

何かの機会の作動音が響き、会場の五方向から光の壁が立ち昇り、会場全体がドーム状に覆われていく中、

 

「・・・そうだ・・・・落ち着け悟空・・・じきに戻れる・・・この壁が月の力を弱めてくれるんだ・・・・そう・・・大丈夫だ・・」

 

一瞬の出来事の後、穏やかな青年の声に誰もが我に返ったように舞台中央を見れば、大猿の悟空と掌を合わせ怯える子供を宥めるように優しく話しかけている青年がいた。

 

その青年は、姿だけを見れば女人ではないかと見まがうほどの細い体であり、穏やかで優しい笑みを大猿に向けている。

 

背は高くそれ故に脆そうな肩と細い腰に目が行きそうになるが、それ以上に地面までつきそうな艶のある黒髪は美しく、それがなお一層白い袍を際立たせている。

 

白い袍に身を包み、左胸に丸に鶴の黒の刺繍を指している人はこの世界ではたった一人

 

「お兄ちゃん!!!!」

 

悟空とブルマの大好きな兄、ラディッツ唯一人であった。

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