エイジ750 地球・魔界
「かえして!!おうちに返して!!!」
「分からん娘だな・・・この黄泉は、薄暗いが人の世界と違って病魔がおらん。
よってお前が病で苦しむ事無く、安穏と暮らせるのだぞ?」
見てくれは少し・・・人間的なビジュアルで行けば少しおどろおどろしい者が多いが、気さくであり宴が大好きで、
「ほれ、今もお前を歓待する為に貴重な木の実や肉を用意しているんだぞ?」
何が不服なのだと、モンブランを攫った男は首を傾げる。
夜な夜なカラスに化けてこの辺りをフラフラと飛んで外の世界を満喫していた男は、バルコニーに出て月や星を眺めて泣く童女に気がいった。
人間の子供特有の甘い匂いに誘われて、そっとバルコニーの手すりに舞い降りれば、カラスさんは良いわねと、そっと呟かれた。
人間は素敵な地上で繁栄してこの世の春を謳歌し、美味いものを食って人生楽しむ者だろうと首を傾げる化けガラスに、童女・モンブランはカラスが首を傾げるのがおかしかったのかクスクスと笑い、小さな頭を手すりに預けて呟きを続けた。
「貴方はどこにでも飛んでいける翼があって羨ましいの・・・私はこの家とお医者さんの所に行くだけしかないのに・・・」
世界中を飛べて羨ましいと・・・・弱い子共であったかと、千年の時を生きてい現在魔界の一部を力で統べている魔族・シュラは、人間にもそこそこ詳しい。
自分達魔界の住人よりも弱く、この地上の病魔に負ける者が結構いる事を
-とある理由-で、数百年前から魔界に住まい、その門が閻魔大王によって閉ざされ、扉を通る時も通行許可制になっているので、魔族全員で外に出るという許可が取れないので退屈をしていたシュラは、九つのモンブランに興味を惹かれて一年通いつめてみた。
はたして子供は時折来るカラスを覚えているか、それとも戯れなどすぐに忘れて普通の子のように夜烏を気味悪いと追い払う者になるのかを。
その子供は奇特な方であった
自分の名前を夜烏などに教えて、行けばいつでも歓迎してくれる。
時折熱を出して外にいる自分に気が付けば、次に行った時には申し訳なさそうな顔をしてこの間はごめんねと謝ってくれる良い子であった・・・・欲しいと、素直に思った。
何だこの者は、どうして苦しい思いをしているのに綺麗でいられるのだ・・・・無聊をかこつ身となった自分は、時折ドロドロとしたものがこみ上げ無性に何かを破壊したくなっては宴だの閉ざされた魔界内での力比べなどをして発散してようやく己を保っているというのに、慰めなどほとんどない病弱な童女はどうして夜烏などに笑みを向ける優しさを損なわないのか・・・・病気に勝ちたいというのなら、手段は違うが目的を達成させてやれば喜ぶだろうか?
病魔がいない世界に生き、二度と病気にならない体を手に入れれば・・・・そうシュラは本気で考えたのだが・・・ここに来る道中で、自分は夜に来ていた烏だと打ち明け望みをかなえると言っても、宴の準備を見せても泣き止んでくれない・・・これはどうするべきか・・・・
「「モンブラン!!ちゃん!!!!」」
・・・・今日は余興が沢山あるらしいと、シュラは楽しげに笑う。
先程手下達に任せて追い払った小僧どもが、もう追いついたらしい。
それも自分のする事に良い顔をしない魔界の門番で、魔族の女性で一番強いメラと、大柄な青魔族ゴラを伴って。
「クリリン君!!悟空君!!!」
泣いてばかりいたモンブランが、二人の姿を認めて笑みを浮かべているのに、シュラは本気でイラっとした。
・・・あの小僧どもをしばいて手下にしてここに留めておけば、モンブランは自分に笑いかけるかとか・・・・少し大人げない事を思いながら・・・・千年生きとる魔界の成人男性が、齢十歳の童女に惚れた時点でアウトだろう・・・案件だろう・・
「モンブランちゃんを返せ!!!」
「ナーリキンのおじさんとモンブラン泣かして!!おら達本気で怒ったぞ!!」
威勢のいい子供達だ・・・・
▲▲▲
「悟空!!後ろ何か来るぞ!!!」
「クリリン!前からも来てる!!!!」
モンブランを攫った人間とは思えない容姿の男・シュラを筋斗雲で追跡している二人に、森の中であらゆる方向から狼や蝙蝠、果ては蛇までもが木の上から降り注いできて二人は雲から落ちてしまった。
落ちたが直ぐに体勢を立て直して向かって来た者達をやっつけようと構えたのだが、二人が雲から落ちた途端に忽然と姿を消してしまっていた。
二人が見た者は魔界の住人でシュラの手下であり、二人が見た者は手下達が使った幻影であり、倒す目的は追跡者達を倒すのではなく時間稼ぎ。
夜の森を灯りも何もなしに、足も速く気配を消す事に長けているシュラ様をこれで追えまい。
・・・・普通はそうなのだろうが・・・・クンクン・・・
「クリリン!!モンブランの匂いあっちからするぞ!!」
「お前・・・本当に鼻が良いな・・・・犬か?」
悟空の鼻は麻薬探知犬並みなのだ!!エッヘン
モンブランの匂いを覚えている悟空の鼻を頼りに、森の奥に進めば剣が刺さっている洞窟の入口が見えてきた。
その洞窟は奥が深そうであったが、二人は顔を見合わせて襲撃者たちを警戒して進めば
「こっから先は入るな!!!お前等人間の子供が来ていい場所じゃねぇ!!」
入口の横に刺さっているよりも大きな剣を持った青い男の言葉に、悟空とクリリンの怒りが爆発した!
ふざけるな!!!
人間の女の子を攫っておいて!!勝手な事を言うなというクリリンの言葉に、青い男がたじろいだ時、
「ゴラ!何をしている!!」
「メラ・・・いや・・・人間の子供二人来たから追い返そうとしたら・・」
「ふむ・・・」
メラと呼ばれた女性の出現に、悟空とクリリンは少し後ろに下がって構える。
ゴラと呼ばれた男よりも隙が無く、警戒するのを、メラはじっと見つめて二人に問いかけてきた。
「ここは人間の世界とは違う魔界の世界の一部、ここを人間と魔界の住人・魔族達が勝手に行き来できないように見張っているんだが、お前達は何をしに来たのだ。」
まさか迷子では無かろうという言葉に、怒りマックスのクリリンの言葉が飛んだ!
「何が勝手に行き来できないように見張っているだ!!
お前達みたいに耳のとがって額に赤い模様がある男が人間の女の子を攫ってここに入ったのは分かっているんだぞ!!」
「・・・・なに?」
「おら達はそいつを追ってここに来たんだ!!!モンブラン返せよ!!!」
「・・・・成程・・・・私の名前はメラ、こっちの青いのはゴラという。
お前達の名前を聞いても良いか?」
小僧風の少年の言った言葉に、とっても覚えがあるメラは内心キレ散らかした
シュラ様!!!外に出るのに飽き足らず!!!何て事してくれたんですか!!!
「俺は・・・クリリンだ・・」
「おら悟空だ!」
「そうか・・・クリリンと悟空、お前達の言うモンブランという子供を攫ったのはこの魔界で一番強いシュラという魔族だが、それでも助けに行くか?」
人間の子供にしては強そうだが、それでも魔物と同じ括りにされている魔族、それも一番強いと聞かされれば怖がって逃げるだろうかとメラは見たのだが
「「そいつぶっ飛ばしてモンブラン・ちゃんを連れ帰る!!!」」
・・・息ぴったりの頼もしい言葉に、メラはニヤリと笑ってついておいでと二人を促した。
「・・・・あんたシュラってやつの仲間じゃないのか?」
魔界の中を案内するというメラに、クリリンが胡散臭げに聞けば
「何も私も親切でしてるんじゃない。本来この魔界と人間界を行き来できるのは神か閻魔大王か閻魔大王の許可を受けて鍵を持った死神しか行き来できない場所なんだよ。」
「ふぇぇぇ・・・じいちゃんや亀仙人のじっちゃんは、よく悪さすると閻魔大王様に舌抜かれるって言うけど、閻魔大王って本当にいるんけ?」
「あぁおられるとも、ここはあの世とこの世を繋ぐ黄泉の世界でね、魔族やその眷属・・・・坊や達には仲間と言った方が分かりやすいだろうが魔族とは違う魔物がすむにはちょうどいい場所なんだよ。」
陽の気だけでは生きていけず、とはいえ陰の気だけでも死んでしまう種族がすむ場所が黄泉であり、世界には数か所に多様な場所があり、ここはその一つだというメラとゴラの説明に、世の中不思議な場所があるんだなと油断はしないが感心する二人にメラが止まるように指示してきた。
もう少しすればシュラ様のいる場所になる、油断するなよと・・・・そして
二人は泣いているモンブランの声を耳にしてメラの制止を振り切ってシュラの前に立ったのだ。
「ほほう、人間の世界で言うところの白馬の騎士様か王子様といったところか?」
近頃はとんと娯楽に縁がないシュラはこの状況さえ面白がるが、二人の少年と攫われた少女からすれば面白くもなんともない!!
「モンブランちゃんをどうする気だ!!」
「花嫁にする、そう言ったらどうする?」
「・・・・なんだと・・・・」
どこか余裕の声で話すシュラの言葉に、クリリンの声はすっかりと低くなるがシュラはクスクスと笑ってモンブランをそっと抱き上げる。
「古来より、異種族の婚儀は珍しくはなかろう?」
「やだ!!!離して!!!」
「やめろ!!モンブランは嫌だって言ってんだろう!!!」
「小僧ども!ここは病魔がおらんぞ?」
「・・・・なに?・・・・そうか・・・・陰陽の気が混然として、逆に病魔が入り込めないのか・・・」
「ほぅ?少しは心得がある小僧か・・・・今時珍しい・・・ならば我等魔族の事をいくらか知っているか?」
寺で陰陽五行を齧った事のあるクリリンの教養に、シュラはモンブランの時のように興味を惹かれてクリリンに試しに聞いてみた。
今の世では-魔族-の定義はどうなっているのだろうか?
自分の知る限りでは神と真逆の存在であるが、敵対もしておらず、神通力が高く稀に人を助けもした変わった種族だという存在と語られていたのだが
「・・・・数百年前に沢山の魔物を従えてこの世界の人間を全滅させようとして-武泰斗様-という偉大な人物に首魁が封じられて散り散りになったって俺は教わった。」
それが魔族だと、多林寺では教わったのクリリンにとって、自分で話せば話す程に-魔族-に対して違和感が増していく。
話に聞いていた魔族は残虐で人をん見ればすぐに殺す悪鬼の類だと教わった筈なのに、物語の妖の様に、可愛い子を娶ろうとする魔族と、自分が教わった魔族の落差が激しすぎ、何よりも・・
「ちぃ!あの-外来種-のせいで我等陰陽を取り込みし魔族は減らされ、こんな場所に住まわなければならなくなったというに・・・外でそんな思い違いがされているのか・・」
自分が話した魔族の事を、目の前のシュラという魔族は嫌悪している・・・
「なぁクリリン・・・」
「・・・どうした悟空?」
「今クリリンが話した奴と、目の前のシュラってやつ一緒だとおらには思えねぇんだけど・・・」
魔族という一族の事を初めて知った悟空をしても、話と目の前にいるシュラとそしてメラとゴラという魔族が違いすぎる事に戸惑うのを、シュラが訂正してきた。
「クリリンと言ったな、お前は武泰斗という武人を知っていたな。」
「・・・多林寺で教わった。」
「ふむ、多林寺とは知らんなだが、武泰斗とという男は知っている。
あいつに当時暴れていた悪の気しか持ち合わせていない方の魔族の首魁-大魔王-を封印したのは俺も知っている。
だが奴らとは異なる俺達陰の気を取り込む魔族は平和な世で生きるには数を減らしすぎてな、陰と陽の気がある土地を人間達と争うには少なすぎ、閻魔大王の計らいで俺達はここにいる。」
「ん?てことはお前ぇ達も元はおら達と同じ所に住んでたのけ?」
「そうだ、谷の底や沼地の近く、山奥にいたがいずれも人間が来て追い立てられていたが、それでも数が多かった時は人間も怖れて手を引いていたが、ここにいる魔族は俺とメラとゴラだけで後は魔物しかおらん。」
だが、無暗に魔界と人間界を出入しては陰陽の気が乱れてあの世とこの世が滅茶苦茶になる恐れがあり、だからこそ出入には許可制か特別なものしか通れない。
しかし、時折であれば寂しさを慰めるものを見に行ってもいいではないかと、シュラは扉に剣を刺して扉を開けっぱなしにしたのだ。
その剣は、今のところは自分にしか抜けないほど深く刺して好き勝手に出入りしている。
そんな中、心惹かれたモンブランと一時でも楽しく暮らしたいとシュラは言う。
人間の寿命は百年と短く、長くとも数百年しかいないが、花を愛でるよりも大事にするという言葉に、優しい悟空は迷ってしまった。
シュラの話が本当ならば、シュラは寂しいから魔界にモンブランを連れてきただけで、悪意は無いのだろうかと、
だが
「お前達の事を気の毒だとは思う。」
「ほぅ?同情してくれるのか小僧?」
「あぁ・・・だがな!」
それでもモンブランを連れて帰るとクリリンは目に力を込めて構えた。
「モンブランちゃんは帰りたいと泣いてるだろう!!モンブランちゃんのお父さんもモンブランちゃんの帰りを待ってる!!」
戦えないのに追おうとしたナーリキンの姿を、帰りたいと泣いているモンブランの姿を思い浮かべたクリリンの決意は同情には傾かなった。
「悟空!確かにこの人達は気の毒かもしれない!!だけどやって良い事と悪い事はある筈だ!!!」
寂しいからと、仲のいい親子を引き離していい事は無いというクリリンの言葉に、悟空もモンブランを追うのだと泣いて二階から飛び降りようとしたナーリキンの姿を思い出す。
そうだ・・・可哀そうだからって・・・
「シュラ!!モンブランを返してくれ!!モンブランの父ちゃんが!モンブランの帰りを待ってんだ!!!」
いけない事はいけないのだと、悟空は迷いを晴らしてクリリンと同じ構えをとった!
「ふっふ!はっはっはっは!!元気のいい小僧どもだ!!だがな、私もモンブランをいたく気に入ってな!!!悪いがはいそうですかとは返さんぞ!!!」
「なら・・・」
「悪いがぶっ飛ばしてでも返してもらうぞ!!!」
「ほぅ?ならば・・・・やってみるがいい!!ゴラ!!メラ!手を出すなよ!!!」
悟空達の威勢のよさにシュラの武闘家として血が疼き、モンブランをそっと降ろして二人に迫った!
「受けれるか小僧ども!!!」
「悟空!!!」
「クリリン!!!」
シュラの動きは早く、拳の嵐に二人がかかりきりなった時、蹴りが飛んできて二人は同時に吹っ飛ばされたが痛みを堪えて着地し、
「悟空!俺に両手で掴まれ!!」
「分かった!!!」
クリリンの指示で両手を掴みあい、クリリンは手をつないだ悟空を回し、悟空は察した!
「でやあああ!!」
「な・・・・ぐおう!!!!」
悟空を二度まわす事で遠心力を生み、悟空はまわされている間に丹田の気を足に流し込み、通常の三倍ほどの蹴りの力に、悟空同様クリリンのする事に察したシュラは防御するがクロスした腕ごと悟空の蹴りが腹にめり込み、蹲るのを見たクリリンはモンブランの下へと走ってそして、
「悟空!モンブランちゃん確保したぞ!全力で入口に戻ろう!!!」
「こ・・・ぞう・・・ども!!逃がさん!!!」
「げ!!壁ぶっ壊す悟空の蹴りを倍増した力食らっても立てるのかよ・・・」
「なら!!か・・め・・・・は・・・・め・・・・波!!!」
ガラガラガラガラガラ!!!
「わぁ!天井崩すなら言えよ悟空!!!」
「わりい!!!・・・・筋斗雲!!!!」
ドヒュー!!!
「クリリン!!!」
「悟空!!」
何時でも悟空の声に応じてくれる筋斗雲に、クリリンは素直ないい子のモンブランなら乗れると確信して悟空の前に座らせ、自分は悟空の背中にしがみつく。
天井といっても悟空のかめはめ波ではまだ少ししか壊せず、シュラだけを足止めする為であり、逃がさんというシュラの命令を受けた魔物達から逃げる為に筋斗雲で逃げ切る。
その逃げっぷりの良さに、メラとゴラは笑って見送り
「悟空!クリリン!!剣を抜いておくれよ!!!」
頼みごとをして追撃する魔物達の前に立ちはだかり、二人を外に無事に出してやり、二人もメラの頼みを聞いて、渾身の力を合わせて深々と刺さった剣を抜いて扉を閉めた時、丁度朝日が顔を出した。
「・・・・クリリン・・・・モンブラン・・・・おら眠い・・・」
「・・・お前が寝たら筋斗雲誰が運転すんだよ・・・」
「私も・・・眠い・・・」
今にも寝そうな子供三人を乗せた筋斗雲は、頑張って早く飛んでナーリキンの待つ家に無事に辿り着き、ナーリキンの前で三人は仲良く寝入ってしまい、悟空とクリリンはもう一泊お世話になる事になったのであった。
▲▲▲
「まったく・・・楽しそうな者達を逃がしおって・・・・メラの石頭め・・」
「ふふふ、その割には楽しそうですねシュラ様。」
「・・・五月蠅いぞゴラ・・・・・しかし、俺の剣とはいえども洞窟の扉がああも簡単に閉まらなくなるとは・・・・この星か-宇宙全体-が陰の気に蝕まれ始めたか?」
今回の騒動は中々に楽しめたと笑うシュラであったが、たった一年とは言えども、閻魔大王の力が注がれた封印の扉が自分の力で開けられた事に、シュラは嫌な予感を覚えて一人心地る。
陽の気が多い時には-封印術の類-が強まり、陰の気が多い時はその反対に弱まり最悪は自然に解けてしまう・・・世界が混とんとする原因の一つだ・・・
「ゴラ、メラに伝えろ。もしかしたら数年以内にあの大魔王の封印が弱まり札がはがれて復活するかもしれんとな。」
「いい!!!そ・・・・そうなったら・・」
「・・・・あの時は人間どもも-御業-を持っていたが、それでも武泰斗とという偉大な武闘家の命と引き換えに封印した。
だが此度は分からん・・・人間もだいぶ小粒になっていたからな。」
人間界を一年見てきたシュラの目には、大魔王が蘇れば数百年前の悪夢の再来か下手をしたら人間は絶滅するかもしれないと見た。
そうならば・・・
「もし大魔王が復活した時は俺が外に出られる許可をメラに取らせるか・・・・」
自分の無聊を慰めてくれた娘と小僧達への礼として、モンブランという娘とその周辺くらい守る許可ならあの閻魔大王ならば降ろすだろうとシュラは算段を付ける。
地獄とて、本物の悪鬼羅刹の魔族に魂が成仏できずにあの世とこの世を彷徨ってしまい、輪廻の輪が乱れることは望まぬ筈
自分達は魔界に住む種族の魔族だが、世には魔性の者の魔族が存在する。
その悪意の塊に殺された者の魂は、殺したものの悪意に食い殺されるのかそれとも悪意の力い粉々にされるのかは分からないが、魂は成仏できずに転生する事は一切ないという。
そうなればこの星の生命の輪廻の輪が乱れてどんな混沌が出現してしまうのか誰にも分からない、悪夢の始まりとなってしまう。
そしてあの大魔王は魔性の魔族なのだから、もしも大魔王の封印が解けてしまった時は、閻魔大王とあの世にとっては少しでも戦力が欲しいだろうから・・・
しかし、そんな悪夢はシュラとても望むところではない。
成仏できない魂は永遠にこの世で苦しんでいなければならないのだから・・・自分達の同胞の魂も未だにもだえ苦しんでいるのかと思うだけで胸がキリキリとする・・そんな悲劇はもうご免である・・・
悲劇が起きるくらいならば、自分が無聊をかこつ方が遥かにマシであり、何が-この世の封印を弱める陰の気-が発生しているのかと頭を痛める
陰の気を大量に発生させる事象を、サッサと神々で対処しくれというシュラの願いは残念ながら叶わず、遠い宇宙で閻魔大王以上の力で封印された者達が解き放たれ、沢山の生命が貪られているのだから・・・・