エイジ750 宇宙
ハァハァ・・・・
「どうしたガキども?片手の俺を全員で追いかけまわしても捕まえる事すらできないなんて、少し情けなさ過ぎやしないか?」
「ど・・・・どうしておじさん捕まらないのよ・・・・」
「追いついたと思ったら溜めなく俺達以上の高エネルギー弾撃つとか何ですかそれ・・・」
「おまけに俺達の挑発にラディッツ使うとか外道過ぎねぇんじゃねえの?」
「・・・カッとなるから捕まえられないのか?」
「結局この特訓の目的って何なんだよ、バーダックおじさん?」
惑星ポンジャまで十日はかかるだろうから、その間にこいつら鍛えられるようにフリーザに進言して来いという、腐れ縁のバーダックから頼み事という名の押し付けを食らったトンミは、苦笑しながらゲンイン達が死なない確率上がりますよの名目で、トレーニングルームを巨大アスレチックに変貌させた。
中には木が覆い茂り、障害物や岩あり池あり・・・・隠れ潜むところ満載の場所で、スカウター無しで自分を捕まえてみろというバーダックの言葉に、スカウターがあるのが当たり前になっているゲンイン達は物凄く戸惑った。
これがあるから通信し放題で連携が取れるのであり、敵を見失っても容易に探し出せるが、
「広い宇宙にはな、手前の気を自在に操れる奴等がいるんだよ。」
バーダックは数多の戦場を経験している分、スカウターに依存する事の危険性を知っている。
あくまでスカウターは補助であり、殺気・怒気等の気配を常に探って自分が死なないようにしかつ敵をいち早く見つけてぶっ殺す事こそが、バーダックにとっての戦場である。
それを聞いた五人は確かにそうかもしれないと納得をして、スカウターを戦闘服ズボンのポケットに入れているのに、バーダック発案の-鬼ごっこ-をして一時間も経つのに、巨大アスレチックの中でバーダックを一度も捕まえられない・・・・
捕まえたと思ったら、横から同じように飛び込んできたマトマとぶつかったゲンインを諸共に軽いエネルギー弾で包んで死亡判定を出して脱落
草の葉が擦れた音がしてそこだと思って飛び込んだスーナは、バーダックの仕掛けた罠に足をとられてすっころんだところをバーダックにエネルギー弾を撃たれる真似をされて一回死んだなのアウト判定を貰って脱落
リーキュは上空に飛んでアスレチックを全部燃やしてしまえばいいかと目論んだところまでは良かったが、それをしていいのかと迷ったところをエネルギー弾を真下からこれでもかと撃ち込まれて防戦したところ、背後をバーダックに取られてアウト
最後まで残ったのはガジャであり、ガジャはエネルギー弾を撃つのよりも、エネルギーを縄の様にする方法を開発してそれを気に入り、今では鞭使いのガジャと・・・ちょっとアレな二つ名ではあるが其れなりに軍の内部で通るほどの腕前であり、バーダックのエネルギー弾も全て鞭で弾き、肉弾戦を仕掛けてこようとされれば反対にエネルギー鞭で捕まえる気満々であったのだが、
「ラディッツ世代といわれて持て囃されているのに、たいした事無いなお前達は!!」
うちのクソガキも弱かったが!クソガキの名を冠されたお前達も同じようにゴミ屑のようなもんかというバーダックの煽りに、ガジャは気が付けばバーダックに突進し、馬鹿正直に真正面から来たガジャの顎を蹴り上げ宙に浮いて無防備になった腹に手刀をとんとついてアウトになった・・・・バケモンであるこいつは
互いの動線を読んで自滅させ、相手の特徴を掴んで罠を張り、一瞬の葛藤をついて煽って・・・・
もう全員のプライドズタズタである・・・・栄えあるフリーザ軍の、それもフリーザの名を冠した親衛隊と言われていい気になっていた自分達は、所詮は古強者のバーダックから見たらひよこもいいところだと思い知らされる。
「いいか、お前達はうちのクソガキから集団戦闘教わっているのが強みだが、ばらけた時がとにかく弱い。
通信なんてジャミングされたら使えない上に、偽情報掴ませられる間抜けな可能性もあるんだ。」
自分の目で見て肢体を確認し、そして敵全てを殺しつくすまで気を抜くなとバーダックからしっかりと教わる。
これから行く戦場に行けば、今みたいなことがいかにお遊びに過ぎないのか思い知る事になるというバーダックの言葉に、リーキュ達はゾッとする。
その言葉を言った時のバーダックの顔は、本物の殺し合いの中を生き延びてきた悪鬼羅刹の如き戦士の顔をしていたからだ・・・・自分達の戦場が、如何に楽であったのかを知る事になるのだろうという予感をさせるに十分な顔であった。
最初の五日間、兎に角バーダック五人の感覚を研ぎ澄まさせた。
力なんぞもうとっくにあるのだから、後はそれをいかに生かして敵を察知しぶっ殺せるかが課題であると、数多の新兵達を見続けてきたバーダックならではの教え方を徹底的にたたき込んだ。
叢なんて燃やしてしまえ、障害物があればぶっ壊せ、住民が盾にされても決して躊躇う事無く敵を殺せと教える。
きっと五人の事だから、ラディッツが米欲しさにその惑星を気に入り、惑星ベジータが消えるまでの三か月間は、ポンジャは公然とラディッツの領地にされていた事を知っているだろうから住民達も助けるとか考えているだろうから釘を刺しておく。
フリーザの戯れで、領地経営も覚えてごらんなさいという言葉に、ラディッツは苦笑しながらポンジャを自分のポケットマネーで購入したのだ。
ポンジャは滋養豊かな土地なので主産業が農業であり、主産物はラディッツの言うところのもち米であった。
しかし宇宙には-モチ-という概念は全くなく、何かもっちりとした感触の米くらいの位置づけにされて人気はいまいちであり、赤字になっているのをラディッツは六年間溜め続けていた給料で買い取り、モチの作り方を教えて、お赤飯・善哉・汁粉やモチピザなど、ラディッツの知る限りの美味しいモチ米とモチの食べ方レシピを教えて秘匿させた。
美味しいもち米ともち料理食べたかったらポンジャに来いとばかりに
宇宙は結構な数の生命体はいるが、意外に娯楽やグルメが発達していない・・・超意外だが本当であり、そんな中でラディッツが企画したもち料理グルメは人気を博し、ラディッツがいなくなっても惑星ポンジャの領主は未だにラディッツであり、内政をして維持しているのはあくまでも-代理領主-に過ぎない。
お金が増えればその星は当然発展し、農業惑星を売りにした体験会や、畑のオーナーになってもらって収穫したモチ米やその他の野菜を送るなどのほっこり系の企画も満載で、惑星ポンジャは都会化する事無くほっこり系農業惑星として、フリーザの管轄内では物凄く珍しい発展の仕方を遂げたのだ。
ポンジャの住民は・・・・ラディッツ的には-ドワーフ-っぽいのである。
成人しても身長は百四十あるかないかで、肌の色は朱色で瞳の色は金や銀が多く、稀に翡翠色をしている者もおり、髪の色は全員が黄金である。
そこに住む者達は誰もが穏やかで平和で、住人達は日が昇れば汗をかいて働き、日没と共に夕食を食べてのんびりとし、家々の中やちょっとした居酒屋で宴を開き、ボードやカードのゲームに興じて一日を終える・・・・ラディッツにとっての理想の星がそこにはあった。
かつてウルトラマンの世界にも、そんな星があった。
誰もが平和を愛する飛び切り素敵な星、惑星アーブ・・・・残念ながら怪獣に食い尽くされに滅ぼされたのを、ラディッツは前世の子供心に悲しんだのを覚えていた。
そんな星に似た惑星を、お金と権力で囲ってでも守りたいと、ラディッツが初めて同族とフリーザ軍以外に心を砕いた。
ゲンイン達は命を懸けてでも守ろうとするだろう、ラディッツの思いを守ろうとして
だが、殺し合いの最中にそんなことが出来る者は一握りで、残念ながらゲンイン達はその一握りの中には入っていない・・・住民達を盾に取られれば躊躇して殺されるのがおちである
「クソガキだってお前達が死ぬのは望んでねぇ。
兎に角お前達は生き残れ。」
ラディッツの名を幾度も出して五人に教え込む
どんな方法をとってでも生き残れと、狡い大人の考えを-子供達-に覚え込ませる一方で、王子様達の事は気にも留めていない。
ゲンインの守りたい最低ラインがスーナ達とバーッダクとギネであるように、バーダックにとっての最低ラインは同じなのだから・・・守れる範囲には必ず限界があり、それを超えればすべて喪う事を、身をもって思い知った二人だから・・・・
そして十日後、五人とバーダックが割り当てられた場所に降り立ったポンジャの地は、時折り送られてくる映像とはかけ離れた、見るも無残な地獄絵図が広がっていた
今の時期であれば、実り豊かな金色の稲穂を垂れた美しい田園風景が広がり、大人も子供も一緒に収穫をして女の人やお年寄りがお腹を空かせた人達の為に沢山の食事を用意するだろう場所が・・・・大地はエネルギー弾かミサイル攻撃ともつかない方法でえぐり取られ焦土と化して、稲穂の代わりに・・・
「なんで・・・・どうして・・・」
「あ・・・う・・・」
「こんな事・・・・する必要どこにあるってんだよ!!!」
幾人かの住民達の遺骸が吊るされていた
そこかしこにこれ見よがしに積み上げられ或いは散乱された遺骸には、-まともな遺骸-が一つも無かった。
蹂躙された傷は当然のようにつけられ・・・・言うも悍ましい形跡に・・・そんな悲惨なものを初めて見せつけられたスーナ達の心を竦ませた。
彼等にとって戦場とはエネルギー弾が飛び交い、或いは肉弾戦で命は一瞬で消え去るものか、或いは侵略時も上空からのエネルギー弾の一斉照射で弱者の死にゆく様を見たことが無く、初めての戦場の悲惨さを見せつけられた。
だが、そんな光景に驚いたのはスーナとマトマとガジャだけであり、リーキュとゲンインは溜息をついただけでとどまり、ショックを受けた三人に、何と声をかけるべきかと思うだけであったが、
「これが戦場だガキども。」
「・・・・おじさん・・・・だって!この人達はもう死んでるのよ!!死んだ人達にこんな事してなんになるってのよ!!!」
「知らん。」
スーナとガジャの疑問に、バーダックはぶった切るように答えた。
相手の嗜好だの倒錯的な考えなどどうでもよく、何故だのどうしてだのを考えるのは、敵の攻撃や行動を考えるときだけでいい
この-気色の悪いオブジェ-だって、敵からの精神攻撃の一種でしかなく、バーダックは無言でエネルギー弾をぶっ放して塵に変えた。
遺骸を悼む?死者に尊厳を?
そんな甘い事をこいつ等に教えたのは十中八九、うちのクソガキだ・・・
「良いか覚えておけ!
戦場に綺麗も汚ぇもないんだよガキども!!」
そんな幻想を、バーッダクの吠える声が掻き消しそして・・・
「見ろ、俺が消した遺骸のあった地面を・・・・」
ボコ・・・・ボコボコ!!
「てんめぇ人の心ってやつがねぇのかよ!!!!」
「知るかボケどもが!!!!」
バーダックの言葉を合図にしたように、遺骸の下の地面から次々に反乱兵達が飛び出して来たのを、バーダックは察知していたようにゲンイン達よりも早く動いて迎撃する。
普通の神経持っている奴なら、遺骸をスカウターで図ろうとは思わんだろうと考えた者達の作戦は、戦場初心者には効果抜群であっただろうが、同等かそれ以上に狡猾さで戦場を生き延びてきたバーッダクや、-他の者達-に通じる筈も無く、共同戦線を張る為にポンジャの地に降りた機甲戦隊三人は下らんとばかりに地面ごと敵を消滅させ、他も似たり寄ったりの手段で潜んでいた者達を炙り出して殺している。
敵が出てきた事で、スーナとマトマ、ガジャに戦いの心が沸き起こり-その他の事-がそぎ落とされたのを見たリーキュは、
「全員あいつ等を瞬殺しろ。」
バーダックさんよりも早くというリーキュの言葉に、マトマの体が吹っ飛ぶように動いてバーッダクを追い抜き、敵に会敵をしてねじ切り踏みつぶし蹂躙し
「全員・・・・死んじゃえ!!!!!!」
「結殺!!!!」
スーナがエネルギー弾で敵の手足を吹き飛ばし、手足のもがれた者達をガジャのエネルギーの鞭を細く出して縊り殺す・・・・許すものか・・・・全部殺してやる!!
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「ボージャック、あんたの目論見通り、コルドのガキが食いついたよ。」
「本当に宣戦布告通りに来るとは恐れ入る・・・・あいつの子にしては愚かだな。」
一族の出来損ないかと、ザンギャの報告を聞いたボージャックのフリーザに対する評価は酷評であった。
数百年前に、コルド大王の軍を八割・・・ほぼ壊滅させたが、引き換えに自分達もズタボロになり逃げ延びた先で-得体の知れない四人-によって暗いどこかに封じられ眠りについていたのを、何時かは覚えていないが自分達の様な悪の気配の増大を感じて目覚めた時、ボージャック達は力づくで-外-に出た。
出られたのは良いが、其の時の余波でいまだに力は半減し、コルドに復讐しようにも付け狙うだけの体力がいつ戻るとも知れない・・・・だが、やられっぱなしは性に合わない、やられたら必ずそれ以上の非道をもって返すのが自分達の流儀
ボージャック達はついていた
封印されていたのがなんとポンジャの遺跡であった事
平和な陽の気で封印の力を増させようとした四人の界王達の目論見が、平和な星にとって仇になった。
ラディッツが姿を消した五年間で、悪の気に満ちたフリーザの怒りと怨嗟の気が増大し、宇宙に陰の気を一時増大させたのが要因であったが、今更言ってもどうにもならない
ボージャック達はその地の住人達の気の良さに付けこんで宇宙からの遭難者だと騙して入り込み、情報収集をしてこの星がコルド大王の息子の一人フリーザというものが治めていることを突き止め直ぐに政庁を抑え、反抗的な者は消して心の弱い者や欲望が強い者を引き入れ手下にして、この星は何事も無いようによそわせる傍らで同じような者達を引き入れそして、蜂起させた。
ラディッツという小僧のお気に入りの星に手を出せば、フリーザという-ガキ-は理性を失うらしい・・・コルド大王は無理でも、ガキで鬱憤を晴らして力を蓄えて復讐するのがボージャックの計画・・・・しかしあの戦略に優れた男の息子が、こうもあっさりと食い付くのは拍子抜けであったがまぁいい・・・・
戦場では死んだ者がすべて悪いのだから