俺ラディッツは弟を絶対に守り抜く   作:ドゥナシオン

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ユニバースウォー:我らの誇り・・・中編

惑星ポンジャ特有の薄いオレンジ色の空に、雲霞の如く反乱兵士達に群がられるベジータと率いられている六人の若手サイヤ人達はうんざりとしていた。

 

「王子!!まだ地表諸共に殲滅する許可が出ないんですか!!!」

「これしきの数相手にもう泣きごとか、キューカンバ?」

「私が言いたい事を分かっててからわないでください王子!!!」

 

雲霞の如くとは言えども、所詮は自分達の半分の戦闘力にも満たない相手に苦戦こそしないが、常ならば周りの味方を巻き込まなければ上下左右どこにでもエネルギー弾をぶち込んで道を作り、空いた穴から侵入して中を荒らす事を得意としているこのチームにとって!地表が抉れるほどのエネルギー弾を撃つのは許可が出た時だとか!全く持って訳の分からない命令にキューカンバを始めとした五人が苛立ちを覚える!!

 

しかもスカウターからは、あのフリーザのお気に入りの五人がどうやら一番に手柄になりそうな今回の本命と会敵した事を知って早く到着して手柄の横取りしてやりたいキューカンバ達は、怒鳴りながらも刃向かい或いは逃げる輩を次々と殺す中、オープンチャンネル状態のスカウターから、あり得ない声が飛び込んできた・・・

 

 

 

「ハァハァ・・・・腹の立つ・・・・まさか兄と私でようやく互角とは・・・」

「・・・絶対に殺してやる・・・」

 

フリーザとクウラは双方の部隊を展開した後、さっさとボージャックにぶち当たられた・・・なんのこっちゃいであろうが、二人の周りにいつもいるドドリアとザーボンも部隊を率いていなくなったところに、いきなり最高戦闘力テンションでボージャックがぶち当たりの来たのだ!

 

「殺してやるぞコルド大王の愚息共!!!!」

 

その言葉に二人は瞬時にブチギレを起こした

 

自分達を見ずに父の息子だから相手してやると言う言葉に、ある意味サイヤ人よりも高いプライドをものすごっく刺激された二人、それもフリーザは通常形態から第二・第三をすっ飛ばして、兄と同じ第四形態になるほどのブチギレようであった・・・なにせ出掛ける寸前(出征寸前・・)まで繰り言を言うような父にも劣ると言われたようで腹ただしい事この上なく、意外にロイヤルファミリーブラザーズは煽り耐性が低いのだ!・・・・なにせ二人を煽るような命知らずなど早々おらんのだから耐性つくつかない以前の話であるが、二人は戦闘力を増大させながらも冷静さを剥がされたのが痛かった・・・文字通り・・・・

 

ボージャックの言葉に、ブラフに、誘いに、不味いと分かっていても一度剥がれた冷静さは壮絶な戦闘の最中にあっては立て直す時間も無く、次第に防戦に押されつつあるフリーザと今回特別に互いに通信しあえるスカウターを付けていたクウラの耳にも、ベジータ達同様の音声が流れてきた!

 

バーダックに預けていた子等がボージャック一味に会敵した事とそして・・・

 

「やめてくれ!!それだけは壊さないでくれ!!!」

 

それはフリーザ親衛隊の切り込み隊長・ガジャの叫びであった。

 

ガジャはマトマやスーナの様に戦闘特化ではなく、ゲンイン・リーキュの様な指揮官タイプではないが、どんな場面においても冷静に場を見極め四人の力が及ばないところを常にフォローして戦闘を無難にこなす有能で将来性のある戦士が、子供の様に泣き叫んで敵に何かを懇願したのだ!!

 

▲▲▲

 

上空のゴクアが二人の人のサイヤ人という種族の若手達を追いつめ、ザンギャが片腕のサイヤ人を嘲笑しながら足止めしているのをビドーは見飽きた。

 

圧倒的に強い自分達に、向かってくるには何もかもが足らずに、もしかしたら片腕のサイヤ人の戦士のような奴等だったらまた話は違ってたのだろうなと、ビドーはこの状況に飽きていたのだ。

 

歯ごたえが無い

 

女戦士も髪の毛を跳ね散らかして後ろ毛が少し長い男の方も、住民を逃がす為にあっさりと捕まった馬鹿どもとしか言いようがない、戦士とも言えないような甘い奴等を捕まえてもなんの自慢にもならないと、ちらりと捉えた獲物を見つめる。

 

スーナという女戦士は反抗的な目で睨みつけてくるが、力を入れれば瞬時に頭を潰される事を理解しているのか、目で威嚇するがそれ以上の事はしてこない。

 

当然だ、こんな戦士にもなっていない甘ちゃん共がエネルギーを解放したところで自分を瞬時に吹き飛ばせるとも思えないのだからと、ビドーは内心でせせら笑いながら、ガジャと呼ばれた小僧の方を見れば、スーナという女戦士と同じように自分を見ているが、一つだけ違う点があった。

 

何やら腰のポーチを右手で撫でている・・・・ひょっとして武器の類があるかとビドーは念のために確認する為に、ガジャの頭の上に置いていた左手を左足に替え腰のポーチに触れれば、それだけでガジャじゃ抵抗を示すが、

 

「動くなよ?隣のお嬢ちゃんの頭をぐしゃりとしてもいいんなら別だがな?」

 

片方を人質にしてやれば、ガジャは大人しくなり気をよくしたビドーはガジャほポーチに手を入れ見つけたのは・・・

 

「何だこれは・・・フォトメモリー?

はっ!半人前以下の戦士の癖に!お前恋人とのフォトを持ってきたのか?」

 

こいつはお笑い草だとビドーが揶揄えば、ガジャの顔は文字通り血の気が引いた!

 

だって!それは・・・

 

「やめてくれ!!それだけは壊さないでくれ!!!」

 

スーナと共に捕まっても、悲鳴も命乞いの声も上げなかった青年の悲痛な叫びに、ザンギャの加虐心が疼いた。

 

一体あの中には何が入っているのか・・・見られて困るほどの恥ずかしい物か、いずれにしろ誇り高いと言われている者達を堕とす時の悦楽を好むボージャック一味にとって、ガジャの悲鳴はご馳走になっただけであり、

 

「何が入っているのか見定めてやりなビドー!!」

「や・・・それ開けんじゃないわよ!!!」

 

ガジャが取られてしまったものが何かわかったスーナも、それを開けるなと喚いたがそれはビドー達を煽っただけで寧ろ悦ばせただけである。

 

「さて・・・・開けて・・・これか?」

 

そのフォトメモリーは酷く単純な作りをしていた。

開ければボタンが一つだけであり、どうやら再生専門のようで、数百年という長い年月封印されていたビドーでも分かる代物であり、再生されるものは、この青年戦士の恋人か家族か・・・それとも男が悦ぶ趣味性のものか、ガジャを始めとしたこれから殺す者達を更に貶めることが出来る代物だろうとビドーが嗤いながらボタンを押せば

 

 

ヨーホー!!ヨーホー!!!!

 

 

・・・それは子供の声が流れ出た・・・・

 

 

 

 

・・・・この声は・・・・

 

声に聞き覚えしかないベジータは動きを止めないまでも目を見開き、上空で危機に陥っているリーキュとスーナも、少し意識を取り戻し始めたマトマも、ザンギャを射殺しそうになっているバーダックをして目を見開きそして・・・・フリーザなどは動きが止まり、ボージャックの蹴りをもろに受けたが、精神はそれどころではなく直ぐに体勢を立て直したがボージャックの方に目を向ける事無く、スカウターの音量をマックスにした!!

 

その奇行に、なんだとボージャックの動きが止まるほどにフリーザの目は見開き気配も尋常ではない程に張り詰めたからだ!

 

一体何が・・・・・その疑問は-子供の歌声-で吹き飛ばされた!!

 

 

ヨーホーヨーホー!俺達はフリーザ軍!!

 星々を攻めて宝を奪い!沢山の財宝を積み上げる!

 ヨーホーヨーホー俺達は戦士だ!!

 仲間と共に星々を暴れまわり!制圧してからみんなで星に帰る!

 ヨーホーヨーホー俺達はサイヤ人だ!!

 力を振って星を攻めても、大切な仲間を守る為力を振おう!

 たとえこの手が血にまみれようとも、仲間と同胞(はらから)の下へ帰ろう!

 地獄の底でも俺達は笑い合おう!!

 きっとここに帰ってみんなで酒を飲みあおう~~~それ!乾杯!!!!

 

 

それは・・・・なんとも形容しがたい歌であった・・・なんだこれは・・・・フリーザ軍というのは・・・

 

 

「おい・・・」

「・・・・なんだ?」

「・・・・・お前は部下に、自分の軍の讃美歌作らせているのか?」

「・・・・・」

 

余りのあまりな内容に、問いただしたくなったボージャックの問いかけに、フリーザは何とも言えない顔をしていた・・・・・口はへの字口になって頬を赤らめて左目をすがめて恥じらっている様は、腕を組んで威厳出そうとも無駄だぞ?

 

フリーザが眼をピクリと動かして何事かを反論しようとしたした時、

 

「何なんだよその馬鹿臭い歌は!!」

「あぁ!!酷いぞリーキュ!!これは俺が一生懸命考えて作った歌なんだぞ!!」

「・・・・今年の予算案の下地作りはそんなに大変だったんだなラディッツ・・」

「ひどくないかゲンイン!!!」

「アッハッハッハ!ラディッツはフリーザ様の事大好きだもんな!!」

「だからってこんな歌作るか普通?」

「こらマトマとガジャ!!ちゃんと歌聞いてたのかよ!!」

 

フォトメモリーには続きがあった。

 

映っているのはリーキュとマトマとゲンインとガジャと、そして・・・子供のままのラディッツがいて・・・・ラディッツは歌ったのはフリーザ様の事だけじゃないだろうと四人に猛抗議をしていた。

 

「いつかさ!俺達が酒を飲めるようになったらさ!!大好きな人達全員に集まってもらってこの歌うたってみんなで一緒に乾杯したいんだよ!!!」

「げ!!てことはこれ俺達も歌うのかよ!!」

「?・・・駄目かリーキュ?」

「俺は嫌だぞ!!ファイティングポーズはかっこいいからいいけど!この歌はハズイ!!」

「えぇ!!!・・・マトマは?」

「俺は面白そうだからやってもいいぞ!!」

「俺は・・・ご免ラディ・・・この歌はちょっと・・」

「マトマはよくてゲンイン駄目か・・・ガジャはどう?」

 

近頃自分達の背に抜かれている小柄なラディッツの上目遣いの言葉に、ガジャは絆されそうになりながらも耐え、素朴な疑問を口にした。

 

「ラディッツ、なんでこんな歌作ったんだ?」

 

初酒飲みの乾杯したいってんなら、感謝の言葉を送った方が文官らしくないかというガジャの言葉に、映像のラディッツは二カリと笑って答えた。

 

「俺はフリーザ様大好きだけど!同じくらいにリーキュやマトマ、ゲンインにガジャにスーナも大好きなんだぞ!!!」

 

そんで親父も母さんもトーマさん達も、ギニュー達長達もザーボンさんとドドリアさんも、軍の皆さんも大好きだで、この歌にはそれが全部詰まっているんだと・・・・ドーンと両手を腰に当てて胸を張り、何の迷いも衒いも無く言い切るラディッツ・・・・

 

フリーザ軍として戦う戦士だが、惑星ベジータに帰ってくるサイヤ人だ!

 

「どんな事があっても、敵をどんな方法で倒しても生き延びて皆にはここに帰ってきてほしい。」

「ラディッツ・・・・」

「俺はさ、戦闘力が五千から上がらない雑魚だけど、文官として武官の皆が帰ってこられるように全力サポートする。」

 

昔言っただろう、仲間を助け合って難局を潜り抜けて一緒に酒を飲む大人になろうって・・・

 

「俺はもう戦場に行くには向かないって判定喰らってるからそれは出来ない・・・

その代り、リーキュ達が戦場でどんな事をしてでも生き延びて帰ってきたくなる場所を俺が作るから・・・・」

 

ご飯も酒も自分が用意して、遠征から帰って来るのを待っいる

 

「だからこの歌を歌う。

フリーザ様の下で戦って、戦士として誰を手にかけたとしても、どんな辛い事があっても必ず帰ってきてほしいんだ・・・」

 

そして帰ってくる度に乾杯をしよう・・・・

 

 

 

・・・・それは、あまりにも綺麗事な夢の話であった・・・現実を知らない子供の戯言だと、ラディッツを知らないものならば一笑に付す話であり、現にボージャック一味と特選部隊の若手サイヤ人達は白けていたが、あの当時のラディッツを知る者達にとって、映像のラディッツが言った言葉の重みに特にフリーザとバーダックは驚愕した。

 

ラディッツは知っていたのだ

 

フリーザがまだ幼いと断じたラディッツに隠そうとしていたフリーザ軍の本質を

 

ラディッツはまだ子供だから知らないと思っていた自分達の本当の所業とフリーザ達の非情さを

 

部下達に冷酷非道な戦場働きをさせていた事を、それを知ってもなお自分達を大好きだという事を、いつか幼馴染達の手が無辜の民の血で汚れても、それでも愛しているのだと、齢十二の子供が・・・・

 

「ラディッツ・・・・・あなたは・・・・」

 

ここにいないラディッツに、それでもフリーザは問うた

 

・・・それはバーダックも内心で同様に

 

何故、自分達の非道を知ってもそれでも自分達を好きだと言ったのか・・・・フリーザとバーダックには分らない思いであった

 

それは、愛しているからの一言でラディッツの中では完結していることを

 

 

ガジャは十四歳の時に改めてこの歌と共にその後記録しておいた会話を聞いて涙が溢れた・・・ラディッツの自分達への愛情に溢れた送り歌であった事を知って。

 

其の時のガジャ達は、初めて凶悪犯以外の、無辜の人達が住む星を制圧した。

 

話で聞いて、知識もあり、これも仕事でフリーザ様の為だと、頭では理解していたがガジャの心に来るものがあった・・・・遠くからエネルギー弾で燃やし尽くす中、家族を庇っている家族と目が合ってしまったのが、ガジャにとっては運が悪かった・・

 

重い気持ちに気分が沈み、振り払う為にも明るいラディッツの声が聴きたい・・・・そして開いてランダムで出された記録がこれであり、ガジャは歌とラディッツの言葉の意味を知った・・・・自分達は綺麗なだけの戦士でいられない事を、ラディッツは知っていて、それでも自分達を大好きだと伝えようとしてくれていた事を知り、閉まっておこうと決意した想いと涙を溢れさせた。

 

「ラディッツ!!ラディッツ!!!・・・俺辛い・・・けど・・・・戦場にはリーキュ達も出るんだ・・・・逃げたくない・・・・俺は・・・頑張ってみんで生き延びる・・・お前を絶対に見つける為にも・・・」

 

サイヤ人達は、通常こんな悩みを持たない・・・戦闘は当たり前で人の命なぞゴミ屑の値打ちも無いので悩むという以前の事を、ラディッツ世代と言われるほどに、優しいラディッツに感化され、一番顕著に出てしまったのがガジャであった。

 

ゲンインはラディッツよりも早くフリーザと軍の本質に気が付いていたので割り切りが早く、マトマもスーナも戦って殺す相手は誰であっても同じだろうと悩まず、リーキュはそもそもが人殺しに差異はないと考え、ガジャは幼馴染達に心の苦しさを相談できなかった・・・・それを救ってくれたのがこの記録であり、以来ガジャはこの記録だけを入れたフォトメモリーをポーチに入れて持ち歩くようになった。

 

きっと、あの優しさでできているラディッツならば自分がどんな事をして生き延びたかを話しても、帰ってきてくれて嬉しいと、自分達の心を守るように抱きしめてくれる気がして・・・

 

 

フォトメモリーには、ラディッツ世代が一番幸福であった時の記録が詰まっていた

 

何の憂いも無くフリーザ様に従い、バーダックとギネとカカロットのいる家に入り浸り、軍の人達と楽しいおしゃべりをしていた陽だまりの日々が・・・・・

 

 

「ふん!くだらないね・・・・・」

 

 

ザンギャという女戦士のエネルギー弾の一撃で破壊された・・・微笑むラディッツの映像諸共に・・・・・

 

幼い子供のままのラディッツが・・・映像であっても消された・・・・

 

 

その瞬間、その場にいたサイヤ人全員の理性が焼ききれ、ボージャック達にとっての災厄の幕が開いた

 

凄まじい暴風を伴った、赤黒いエネルギーをまき散らしたスーナとガジャにビドーは弾き飛ばされ、上空のゴクアも同じようにゲンインとリーキュのエネルギーに弾かれ、ザンギャは目の前の男の気配が一変したと警戒した瞬間、バーダックの蹴りで地表に叩きつけられた。

 

 

許さない・・・・殺してやる!!

 

まだ優しさのリミットがかけられていた事でゲンイン達の奥底に眠っていたサイヤ人の原始の本能がかま首をもたげた

 

敵は全員皆殺し、命乞いをしたとても踏み躙り泣き叫ばせて蹂躙し尽くしてやれと、バーダックを始めとした、-子供達-もまた殺意の衝動に飲み込まれ瞳を赤黒く染め上げ本能の赴くままに-限界を突破-して暴れ始めようとしたさらに気を高めんとしたその時、子供達全員の胸にかけているペンダントの石が黄金に輝きゲンイン達を包み込みながら、辺り一帯を黄金一色に染め上げた・・・・・

 

 

怒りに呑まれないでくれと、強く願われる声を響かせながら・・・・

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