エイジ750
「・・・・本当にあの子の貸出し無しで、西の銀河の強者リストだけでいいんですか兄さん?」
「くどい・・・何もしていないのに、乞食のように恵まれても嬉しくもなんともないわ・・・」
今回の戦争で、クウラも機甲戦隊も良いところなしだ
ボージャック一味の大半はフリーザの子飼いが殺し、ビドーという死にかけを殺したのはベジータ王子率いる特選部隊であり、クウラ自身はボージャックに迫れたがとどめを刺したのは弟である・・・鍛錬と強者と戦う経験値が圧倒的に足りない!
ゆくゆくは内政だのの面倒ごとは弟か、隙を見て奪う予定の子ザルにさせる腹積もりのクウラとしては、西に行って暴れれば今回はそれでいい・・・・子ザルは弟に見つけさせた後に攫う予定なのだから・・・
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ボージャック一味との戦争に一応の決着をつけて直ぐに、クウラは不機嫌そうにフリーザに今回の報酬の半分はいらんと言われて面食らったが、理由を察して何とも兄らしいと呆れた。
強くなる事に余念がなく、何事にも徹底している兄は意固地で自意識が高くて・・・まるで自分が嫌っているサイヤ人のようではないか・・・融通性がなくて直ぐに力づくをして優雅さが無いのがフリーザは嫌っている・・・・だが、其の潔さは認めてもいいと思っているなどと・・・・ほんの一ミリでも思った事を知らせてなぞやるものか
クウラと機甲戦隊が去ってすぐ、惑星ポンジャの後始末はギニュー特戦隊と一般兵士達に任せ、フリーザ達は一度母船に戻り、論功行賞をする為
ちなみにバーダックはギニュー監視の下で、ポンジャの住民を保護する方に回された・・・・お互いにとっては其れが一番であろう・・・うん・・・
今回の論功行賞は自分の親衛隊とボージャック一味の一人にとどめを刺したサイヤ人の特選部隊だけなのでチャッチャッと終わらせたいフリーザ様の本音がもんの凄く透けて見えるだけに、貰えるものは後での通達でいいからフリーザ様休んでくださいのスーナ達と、俺達の事なんだと思ってるんだと不満を渦巻かせながら無表情を貫いているサイヤ人の特選部隊の間に、ベジータとしては双方の温度差にため息つきたくなるのを堪える・・・サイヤ人も大事、フリーザ軍にべったりのスーナ達も大事だと考えているベジータは、案外苦労人なのだ・・・・中間管理職の悲哀に近いかもしれんがそれは兎も角、ボーナスと特別休暇が十日も貰えたので有難く礼を言った後は、フリーザは直ぐに解散にしてくれる。
くどくどしく恩に着せてこないところが、フリーザが部下に慕われている理由の一つである・・・・後の理由は逆らったら死ぬしかないのは言わずもがなだが・・・
「この後すぐに自由に過ごしなさい、ゲンインだけは文官としての仕事があるので、明日からの休暇です。」
では自由時間ですという言葉の直後に、
「フリーザ様!!!!!」
「・・・・スーナ?」
「フゥゥゥゥゥ・・・」
「スーナ・・・」
スーナはフリーザのポットの中に入って抱き着くという暴挙を犯し、あまつフリーザの胸に顔を埋めて泣き崩れた・・・・限界だったのだ・・・
ラディッツが生きていると分かっている、だからそれがなんだというのだ
生きているのに目の前にいないのは死んでいるのと同義語であり、フォトメモリーで見るラディッツはいつまでたっても子供のままなのは当たり前で・・・触れる事も出来ず、近頃では慰めにもならなくなってきている時に、ラディッツが大切にしていた場所を荒らされ・・・あまつラディッツが消されたのだ!映像であっても!!
苦しくてもどかしてく、いっそ狂った様に暴れまわれたら!どれ程心が楽になったか知れないのに!!止められたのだ!ここにいるはずの無いラディッツの声に・・・
心が痛くて死にそうで、それでもスーナ達はそれを表現する術を誰にも教わっていないゆえに発散の仕方も知らない・・・ラディッツは幸福と愛して好きだという素敵な事を沢山教えてくれたが、寂しいという感情と言葉と寂しい時どうすればいいのかというのを教える事無く姿を消した・・・・愛や好きという言葉はもとより、寂しいなどという感傷的な言葉を、生粋のサイヤ人達は知る筈も無く興味も無く、戦いの中で死んでいく事に悦びさえ覚える戦闘民族において、異質の子供達をこさえて姿を消したラディッツは、ある意味において罪が深いと言えるのかもしれないと、スーナを抱き留めながらフリーザもまたベジータ同様に溜息を呑み込む。
その感情の言葉と意味を知りながらも、無縁である自分になんの慰めを期待しているのだと呆れる反面、自分にどうしようもなく依存するこの憐れな子供達から向けられる感情は心地良い。
スーナ程でなくとも、あのゲンインとリーキュすらが自分に助けを求める様な感情を幽かに乗せている瞳が、ポットに手を置いて俯いているガジャとマトマの姿が、フリーザの顔を自然と綻ばせる。
「ベジータさん達はもうここには用はないでしょう?」
行っていいですよという優し気な言葉を送られるが、言外にさっさと出ていけと思惑を受け取ったベジータ、は内心の苦しみを隠しながら、一礼して部下達を引き連れ出ていった。
「・・・・なんですかねあいつ等って・・・戦闘力あるくせしてまるで軟弱者の様でだらしのない。」
「何であいつらそれでいて強いんだ?」
「きっとフリーザ様に特別なトレーニングルームか強化用の薬でも貰ってんじゃないのか?」
部下達の軽口に、ベジータは黙れと言ったきり不機嫌で自身が黙り込む
スーナが苦しんでいる理由を知っているだけに、その苦しみを如何にかして欲しいと縋る相手が自分でない事に、ベジータは苛立つ・・・強くなりたい・・・・同族と自分の縄張りをしっかり持ち、愛した女を手に入れ独占出来る強さが・・・・何物にも従わなくて済む圧倒的な強さを、ベジータはいつだって渇望している・・・フリーザは気が付いただろうか?
五人とバーダックの戦闘力が一瞬であっても一千万を超えた事を・・・・あの力を自分が手に入れ自在に使える様になり、圧倒的な強さがあれば、望みのものがすべて手に入るのだろうか?
今のフリーザの様に・・・・
思い悩むベジータに、申し訳ありませんとベジータ王子の側近の筆頭をしはじめているキューカンバが頭を下げ、同僚の軽口を止める・・・・恋敵が選りにもよってあのフリーザ様とは・・・・王子はついていないと内心で同情しながら・・・・
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スゥスゥ・・・・
「フリーザ様ただいま戻りまし・・・・おやこれはこれは・・・」
「ありゃ・・・珍しくスーナだけじゃなくて真面目一辺倒のゲンインとリーキュまでもが珍しいですな。」
外の仕事を終えたドドリアとザーボンがフリーザの下に戻って来た時、フリーザは物凄く珍しく大き目のソファーに腰を掛け、スーナを胸に抱え、子供達四人もフリーザの膝に靠れかかり、或いは尻尾につかまり、フリーザに取り縋って寝息を立てている。
ペットへの戯れ
時にこうして心行くまで甘えさせ、撫でてやる。
その一方で
「ザーボンさん達のスカウターで観測できましたか?」
主語無くフリーザから言われた言葉に、ザーボンは即座に理解し報告をした。
「バーダックと子供達全員が、瞬時とは言え戦闘力二千万に届きました。」
ベジータ達のスカウター以上の感度を持つザーボンとドドリアのスカウターに出た数値は、二千万であった。
その直後、まるでラディッツが目の前にいるような言動を五人が取った後は、戦闘力八十万まで一気に下がったが、瞬間とは言え二千万という戦闘力に六人が届く事が判明して事は由々しき事であった。
別に二千万位であったれば、第四形態になった自分の脅威にはならないが、何がトリガーとなって瞬時にあそこまでの力を手に入れるか分らないかは、フリーザにとっては都合が悪い事この上ない。
死にかける度に強くなるサイヤ人・・・・リーキュ達を最前線に置かないのは、可愛さもあるにはあるが、強く成られては不都合だから、強くなって自分の手元を離れていつかあの愚王のように噛みついてきたら・・・殺すしかないから・・・・
「明日・・・・いえ、今日からこの子達の食事に戦闘力向上を抑える薬を入れる様にトンミに手配させなさい。」
無論バーダックさんの方にもというフリーザの言葉に、二人の側近は御意にと答える
弱らせず、さりとてこれ以上強くなる事の無い様に・・・・・だがもしも薬が効かずに強さが増して、そして自分に刃向かって来たら?
決まっている、全員自分の手で殺す
スーナの柔らかく細い首を握りつぶし、マトマの惚れ惚れとする体躯に手刀を差し込み、ゲンインの首を堕としてリーキュの広い背中を踏みつぶし、筋肉がまだ薄くしかついていないガジャの腹を踏み破る・・・・考えただけでフリーザはゾクゾクとする
可愛いだけに、殺すのも他人に渡さない、自分だけの可愛い可愛い子ザル達・・・・早く戻ってきなさいラディッツ・・・・貴方が始まりなのですから・・・
うっとりと嗤い、眠る子等を順繰りに撫でるフリーザは、どこまでいっても悪でしかないのだ・・・・
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・・・・・フリーザ様に縋って泣いて寝落ちるとか、最悪であると宇宙に戻って親衛隊全員でフリーザ様の私室で夕食を振舞われ、ついで休暇を言い渡されたゲンインはもう穴があったら入りたいと、私室のベッドに座り込んで落ち込む。
スーナの事を言えなくなってしまったゲンイン達は、目が覚めた瞬時にフリーザ様からおはようございますを言われて死にたくなった・・・・そしてお前達も疲れたのだろうと!理解しているという暖かい目をザーボン様とドドリア様に向けられた時には殺せと叫びたくなった・・・・流石のスーナも赤くなって涙目になってごめんなさいとフリーザ様に大絶叫していたのを、愉快気に笑えるフリーザ様って凄い・・・ふつうこんないい大人(ゲンイン的にはです・・)に縋りつかれても平然と受け止めてくれる方はフリーザ様しかいないだろう・・・・胸にぽっかりと開いてしまった穴・・これが何であるのか分からず、どうすればいいのかもわからず、ひたすらにラディッツ探しと仕事に逃げて・・・残った幼馴染達と寄り添っても、フリーザ様の与えてくれる毒の優しさに溺れて安らぐ・・・・ネズミを差し出そう
カカロットの事を引きあいに出されて企みに乗らないかという言葉に揺れたが、今日確信した。
自分もまたラディッツの様に、フリーザ様の下に居たいという事を・・・サイヤ人らしくない従属感を得て覚える安らぎを手放せない事を・・・・
ネズミを差し出した功績で、カカロットの生命も保証してもらえないかと交渉してみるのも手であろう・・・・
「・・・・さて、どう差し出そうか?」
急にネズミを差し出したとしても、フリーザ様に何故すぐに知らせなかったのかを問われて罰を受ける可能性がある・・・・・ネズミを泳がせ-軍のどこまで-を味方につけているのかを取りまとめることが出来れば・・・・
「お前達だけ安泰ですってか?」
ゲンインだけに与えられた広い私室に、ゲンイン以外の声がした。
その声は低く、皮肉気でそして自分を揶揄う様に愉し気で・・・・
誰だと誰何しようとしたその瞬間、首筋に痛みが走り、意識が朦朧して座っているベッドから落ちそうになるゲンインを、皮肉を言った者は言葉とは裏腹に優しく柔らかく受け止める。
「まだまだガキの体だな・・・可哀そうに、お前達はあいつが生きている限りもう強くはなれないんだぞ?」
情報を逐一聞いていた中で、ゲンイン達が食べた夕飯から戦闘力向上を阻害しる薬入り・・・・フリーザ達が用意したものを、さぞやおいしく食べただろう憐れなガキども・・・
「自由を愛し、誇りのままに生きるサイヤ人をここまで狂わせたのは、フリーザ様なのかラディッツ様なのか、どっちなんだろうな~ゲンイン文官長様。」
目を閉じたゲンインを優しくベッドに横たわらせながら、侵入者は愉快気に意識を堕とし、あどけない顔で眠るゲンインの顔を優しく撫で上げそして、そっと口を開かせる
「今お前の言ったネズミが見つかったら困るんでね、あいつの掛けた保険を使わせてもらうぞ。」
懐に入れていたポーチから赤い錠剤を取り出し、ゲンインの口をそっと開けて含ませ、持ってきたボトルを取り出し、そしてゲンインを少し抱え起こして口に含ませ呑み込まさせる。
ゴクリと、嚥下したのを見届けた侵入者は、ゲンインの意識下に刷り込まれた言葉を、そっと耳に囁く
「ラディッツを誠に愛するなれば、永久に忘れ去り口を噤め蝙蝠よ。」
言っていて侵入者自身が、ネズミが保険にかけた言葉の何と気障ったらし言葉だと辟易とする。
ネズミはゲンインに誘いを数度かける時、必ずお茶で持て成しそして、ゲンインの気が付かない内に意識の中に言葉を含ませた。
それはゲンインが自分の誘いを断り自分を売ろうとした時に、ネズミとの接触の一切を忘れさせる催眠の一種
どっちつかずだと、ゲンインはネズミに思われていた・・・・こちらに靡けば儲けものだという位の、その程度の誘いに、ゲンインは数年もの間悩まされていたと知れば、ゲンインはどう思うだろうか?
本当にあわれなやつだと、侵入者は慈しみを込めて再び優しく横たわらせる
「さて・・・仕事も終わったし、そろそろ行くか・・・・・」
遠目からちらりと何度か見かけたフリーザ様の飛び切りのお気に入りを、近くで見るのも悪くないと唇を歪める様に嗤って、侵入者は次の目的地を決めた。
あちこちフラフラしながら-地球-という星に遊びに行くのも悪くはない。
フリーザ様達はこの後数年間はこの宙域に足止めになると、-ネズミ-が教えてくれた。
ゲンイン達には後十年すればラディッツは確実に見つかると言っていたようだが、とんでもない
ボージャック一味のことが無ければ後、二年でラディッツは見つけられていたのだ。
北の果ても近くなると、生命体がいる星はさらに少なく、探しやすい宙域ばかりなのを、サプライズと相手の驚愕する反応が大好きなフリーザ様の良い性格で出た言葉が、図らずもその通りになってしまったのだ。
惑星ポンジャの救援は、ゲンイン達が思う程ラディッツが大切にしていたからだけではない。
その理由の大半は、ポンジャがフリーザの支配する従属惑星として模範的だからだ。
貢物を絶やさず、時に季節の時候の挨拶の為に贈り物を自発的にして常にフリーザ軍に敬意を払う惑星を、見捨てたとあっては他の惑星がポンジャを見捨てるフリーザ軍が自分達を助けてくれる筈も無いと思われては制御しにくくなる。
支配するのに面倒になる事を知っているフリーザは、決して内政を疎かにはしない
圧倒的な強さを誇りながらも、帝王としても面子もある故に
暴君だと、力だけの愚王だと思われる事はフリーザのプライドが許さないから
揺るぎない支配の中、自分を怖れ敬わせる事に悦びを見出すフリーザらしい理由で、当面は自分の遊びに行く地球の危機が去ったとは、地球とラディッツはボージャック一味に感謝すべきだと侵入者は嘯きながら、ゲンインの部屋を後にする
幼く眠るゲンインを置き去りにして、彼等が最も愛する者に会いに行く為に
そして遥か高次元では、ガジャのフォトメモリーでラディッツを知った界王達は頭を悩ませている。
愛を謳うサイヤ人を・・・どう捉えればいいのか・・・・ラディッツというサイヤ人らしくないサイヤ人を見つけて・・・・フリーザ達の現状を話して危機感を持たせて鍛えたとして何になるのか分からない・・・それでも・・・
「儂は探してみようと思う・・・」
「ぶつけるのか?」
フリーザ達にという西の界王の言葉に、分らんと北の界王は頭を振りながら、それでも歯止めになってくれるかもしれないと一縷の望みをかけて・・・・
宇宙が、とんでもない事になる前に・・・彼の者を探し出さなければいけない予感に、北の界王は襲われる・・・・見つけたとしてもどうすればよいのか分からないままに
悪の帝王を悪のままいさせながら、支配地域を真っ当にさせるのって難しいけど楽しい、、