幸福な日々:亀仙人の弟子の場合
エイジ750 地球
「悟空!!今日こそ俺の方がカリン様の下に辿り着くぞ!!!」
「おらだって負けねえぞクリリン!!!」
悟空とクリリンが、ラディッツの許可のもと一年の修行の旅に出て四か月が経とうとしていた。
その間に二人はもう本当にありとあらゆる不思議やトラブルに出会い、その度に二人で知恵を出し合い、力を合わせて難局を乗り切るたびに強くなっていた。
魔界に行った、沖で地震があったのか二人が寝ていた海岸に大津波が押し寄せた時、クリリンが少しは使えるようになったかめはめ波を、悟空と合わせる事で沿岸に来る前に消し去り、寄った街でチンピラに絡まれたので・・・まぁこれは軽くあしらって警察いきにした。
とは言えそんな殺伐とした者ばかりの旅ではなかった。
朝焼けが綺麗だった、満月の日は早めに寝たが、それ以外の日は二人でお喋りをしながら星と月を見て、いつか大好きな兄ちゃんの様にあの空に飛んでいくんだと語り合いながら眠りについた・・・二人はもう兄弟だった。
知恵が必要な時はクリリンが、力が必要であれば悟空とクリリンがいればそれで足りた。
チチと牛魔王のいるフライパン山にも行った。
なんでも、兄が温泉を見つけたとか・・・・
「悟空さ、クリリンさ、温泉どうだっただ?」
「物凄く体が軽くなったぞ!チチはいっつも温泉に入ってんのか?」
「んだ!寝る前と起きた後に入ってるだよ。」
「いいなぁ・・・修行の後に入ったら、疲れが直ぐにとれてうんと修行がはかどりそうだ。」
「そうだな!それにチチが作ってくれたこの飯毎日食ったら絶対に強くなれっぞ!!」
二人は温泉に入り、そしてチチが作ったという料理を旅籠屋でいただいている。
あちこち旅をしているが、基本野宿かカプセルハウスなので旅籠屋を見た時驚いた二人を見て、すっかり温泉宿の主人と化した牛魔王が旅籠屋に泊まってみるかと誘われたのでお言葉に甘えた。
ちなみにチチは、青紫色の可愛い中華服を着ていて、少し恥ずかしさかにするのを、悟空はチチ可愛いと、大変どストレートに言ってチチを危うく失神させかけた、天然め!
温泉から出た二人は大盛りのご飯におかずを乗せて、美味しい美味しいと言いながらあっという間に平らげ、そしてすぐにお代わりしながら嬉しい事を言ってくれる二人を、チチは笑ってお代わりを差し出す。
「ふふ、悟空さもクリリンさも強くなりてえのけ?」
二人で武天老師様に弟子入りして、天下一武道会というところでいい所までいったのに、十二歳で修行の旅に出るほど強くなりたいのかと言うチチの言葉に、
「おら兄ちゃんよりも強くなりてえんだ。」
「そっか・・・兄様よりもか・・・」
悟空の返答に、チチは少し悲しくなる。
ドラゴンボールという神秘的な願いを叶えてくれる球がら出てきた、神龍という龍の力をもってしても本当の意味で成長できなかった兄を思うと、優しいチチの胸はチクリと痛む。
悟空はきっと、戦士の体になれない兄の夢を叶えてあげたいのかもしれない。
自分もそんな悟空を応援した・・・・つ・・・妻として・・・こっぱずかしい・・
クリリンの返答も単純であった
「俺も悟雲兄さんみたいに強くなって、悟空達といつまでも楽しく暮らしたいな。」
この世界・・・とかく物騒な事多すぎやしないかと思う程に色々と見てきたクリリンの答えであった。
最初は悟空と世界を見て回るのを主目的に置いていたが、段々と強くなって自分と仲間と兄弟達と・・・・モンブランとナーリキンさんを守れる男になりたいに変わっていた。
無論世界を見て沢山の事を悟空と見て喜び合いたい。
そしていつか・・・その旅をモンブランと一緒にゆっくりと回れる日が来たら、きっと幸せだ・・・・
悟空とクリリンはここに来るまでの間の冒険の話をうんとチチにして、チチはハラハラしたり心配したりと大忙しで、夜が更けて布団を引いても横になって沢山の事をお喋りして、夢の中に落ちていった。
「気を付けていってけれよ二人共。」
「うん!沢山のおにぎりありがとなチチ。」
「一日ですがお世話になりました。」
「なに、若いうちは沢山の人に世話になって、大きくなったら今度は自分達が同じようにしていけばいいだ・・・・おらはそんな大切な事を途中で忘れちまって酷いことしちまったけんど・・・もう忘れねぇ。」
お前ぇ達なら大丈夫だろうがなと笑いながら、また一つ大切な事を教えてくれた大人の牛魔王に、悟空とクリリンは頭を下げてチチと牛魔王に行ってきますと元気よく挨拶をしながら再びカリン塔を目指した。
走っていく途中で多林寺が見えたクリリンが、走る速度を落とした事に悟空はどうしたと聞いた。
疲れている訳ではなさそうだ。
旅の四日目から十キロのバンドと五キロの靴を履いて走り、旅に出て三か月目の今は二十キロのバンドと十五キロの靴を履いている。
これを身につけ走っていても、クリリンは音を上げたことが無いのに・・・
「あの寺になんかあんのか?」
お寺を切なそうな目で見ているクリリンが心配になったのだ。
「・・・・あそこが多林寺なんだ・・」
「・・・・クリリンが嫌な目に遭ったちう寺か?」
「それだけじゃなかったんだ・・・・」
確かに嫌な兄弟子は山ほどいたが、優しい大和尚様や和尚様がいて、どんくさい自分を助けてくれた人達も確かにいたのだ・・・
「参詣しても良いか?」
「クリリンが行きてえんなら、おら月にだって連れてってやるぞ!」
修業とは全く関係ない場所に言ってもいいかという自分の問いに、そう答えてくれる悟空に、月は無理だろがと笑いながらもクリリンは内心で泣きたくなる・・・・どうしてこいつは、こんなに優しのだろう・・・・多少おバカな事を言っても、俺が助けてやればいいんだとクリリンは誓う・・・・月には行けないんだぞと悟空の優しい言葉にちょっと苦笑しながら
そして山に登って山門を通って参詣をすれば、
「クリリン!クリリンではないか!!」
「和尚様!!??・・・あ・・・お久しゅうございます・・・・なんの挨拶もせずに出て行った事・・」
「良い・・・良いのじゃ・・・お前が出て行ったのは何となく察しはついていた。
しかし多林寺の仕事に忙殺されて、お前達下の者達を守ってやれなんだ儂等の不徳よ・・」
「お・・・和尚様!!!」
不義理をした自分に、反対に悪かったという和尚様の優しさに、クリリンは堪らずに駆け出しそして・・・
「駄目だぞクリリン!!」
・・・悟空に抱き留められた・・・なんで邪魔をするんだよと言おうとして悟空の顔を見れば、悟空の顔は真剣そのものであった。
「ど・・どした悟空?」
「クリリンは今、おら達の力の強さ忘れてんだろ!今の勢いで行ったらあの和尚様をクリリンがぺしゃんこにしちまうぞ!」
「あ!!・・・・・あぁ・・・・止めてくれてありがと・・・」
・・・・感動の再会が、最悪の後悔引き起こすところだった・・・ナイスフォローだ悟空・・・
「なるほどの、お主と悟空君はそんなに強いのか・・・・確かにあの勢いのまま来られたら儂は今頃お空の星かのう~。」
これまでの話を、招かれた部屋で和尚様にゆっくりと話せば、っほっほと笑う和尚様。
己の間抜けさに、久しぶりに茹でタコのようになったクリリンである・・・・穴掘って入りたい・・・
強くなった事よりも、良き人達に沢山であえて何よりだと笑って悟空と自分の頭を優しく撫でてくれる和尚様に、悟空もまた会いに来て良いかと約束するほどに懐いているのを横目に、そういえばとクリリンは昔教わった魔族の大侵攻と、数か月前にあった魔族との差異の疑問を和尚様に聞いてみる事にした。
それを問われた和尚様も、再びクリリンと初めて聞く悟空に語った。
数百年前から多林寺に伝わる魔族・ピッコロ大魔王と数多の手下達の手によって多くの無辜の者が死に、当時人間の中で最強であった武泰斗様という方のお陰で今日がある事を
「ひょっとしたら、魔族も一概にピッコロ大魔王と同じという訳でもないのであろうかの。」
一口に人間と言っても多種多様や民族がいる様に、魔族もそうなのかもしれないという和尚様の言葉に、モンブランを攫った奴も、確かに寂しさから攫ったと言っていたのを二人は思い出した。
もしかしたら、陰と陽の場所が人間達が行かないような土地にあるのを見つけて上げれることが出来たら、外で生きていくことが出来て寂しくなくなるかもしれないと、悟空とクリリンはシュラ達の事を思う。
旅はまだまだ続くし、長い人生の中で探してあげるのもありかも知れないと
そして二人は山門を駆けだしまたカリン塔を目指し、旅に出て三か月目にしてようやく聖地カリンのカリン塔に辿り着いた。
塔の下には塔を代々守っているという一族のボラと、子供のウパがいた。
二人はきちんと二人に挨拶をして、修行の旅をしてここまで来た事、カリン塔に上る許可をボラに求めた。
「お前達は礼儀正しく優しそうな少年だ。きっとカリン様もお前達を歓迎してくださるだろう。」
自分も若いころ試したが、半分までしか登れなかったというボラの助言に、クリリンは重りは今回は置いて行こうと悟空に提案をした。
「一度登って何度か繰り返しさせてもらって、慣れたら重りを軽いのから徐々に増やしていけばいいと思う。」
「そっか!そうだな・・・・クリリンは沢山の事考えてくれるからおらはいっつもクリリンに頼っちまう・・・」頭脳労働しているのはいつもクリリンだけだと項垂れる悟空に、クリリンは胸をドンと叩いて二カリと笑う。
「クリリン様にまっかせなさい!お前は今のまんまで強くなっていけばいいんだよ。」
「・・・んん・・そんなんでいいのか?」
「悟空らしくないな・・・お前がくよくよ悩まなくていい様に俺がして、お前が走っているのを俺も隣で全力で一緒に走るのが好きだからいいんだよ。」
「そっか・・・そしたら悪くて強い奴をおらがぶっ飛ばして、クリリンが走りやすくしてやっぞ!」
「ははは!そいつは頼もしいや。」
楽させてもらうぞ悟空と笑うクリリンに、ボラと初めて父以外を見るウパは、なんだか素敵な人達だなと顔を煌めかせる。
二人を気に入ったボラは、今日はもう日が暮れる、夕飯をご馳走するから泊まって明日の朝に上ればいいという言葉に、牛魔王の助言を覚えている二人はお言葉に甘えてボラとウパのテントに泊めて貰った。
悟空が近くの川で魚を捕り、クリリンが木の実を沢山とってきて、ボラとウパ一家は反対に馳走に預かった方になった。
二人はチチや和尚様にしたように、旅であった冒険や素敵な事、外の世界の良いところや怖さを余さずに話し、まだ聖地カリンの森も出た事の無いウパの目を輝かせた。
「空を飛ぶ・・・筋斗雲ではなくか・・」
「ボラさんは筋斗雲を知ってんのけ?」
「昔は沢山の人が乗っていたと私が子供の頃長老が教えてくれた。」
今は筋斗雲を見る事は無く、聖地カリンの番人も自分の代かウパの代で終わるかもしれないと寂しそうに言っている姿に、戦士としてここを守る事を誇りにしている悟空とクリリンは力士ドスコイやジャンキー・チュン、そしてお師匠様の亀仙人の姿が思い浮かんだ。
自分が守るべきものが何であるのかを明確に持ち、其の為に鍛え上げ生きてきた者だけが、こんな風にかっこよくなるのかという憧れと、時折その人達が見せた一抹の寂しさに、自分達は何かしてあげられないのかと思ってしまう。
ドスコイの時は、相撲の名前を覚えてもらう手助けが出来たが、ボラの悩みには何も出来ない・・・・悟空とクリリンは、沢山の幸せと沢山の悩みや想いを幾つも見てきた、そんな旅をしてきのだ。
ウパも、父の悩みを助けてあげられないのかなと俯くのを、ボラが気付いて優しくウパの頭を撫でる。
「ウパ、我等は代々ここを守って来た。しかし、それは私がそうしたかったからだ。」
お前もきちんと考え、そして何が何でも個々を守りたいと思ったら守り人をすればいいという言葉に、ウパは力強く頷く。
翌朝二人はカリン塔に上った。
途中で何度も滑りそうになったが、互いに助け合い励まし合い、夕日が見える頃にようやくてっぺんが見えた!!・・・あそこにカリン様という方がいるのかと二人は期待を膨らませて、真下から中に入れる穴を見つけてそこから入れば
「随分と仲良しの子供達が来たもんじゃの~。」
・・・・・猫族・・・・なのかな?
二人の思念を読んだ猫はカラカラと笑う
「ほっほ!儂は猫ではない、仙猫という。」
「仙・・・あもしかして!失礼しました!!僕は武天老師の弟子でクリリンと言います。」
「おら・・・じゃなくて・・・おれ・・・えっと・・」
「ほっほ、普段通りで良いから挨拶してみい。」
「本当け!おらもクリリンと同じく亀仙人のじっちゃんの弟子で孫悟空って言います。」
「元気で良い子達じゃのう。久しぶりにこの塔を昇り切ったものがお主等のようなもので嬉しい限りじゃ。
もう分かっておるとは思うが儂がカリンじゃ。」
よく来たのうといういう仙猫・カリン様の誉め言葉に、照る事が多いクリリンも、普段は照れる事の無い悟空も少しほほを赤らめる。
そんな朴訥な二人に、カリンは益々良い子達じゃとお茶を出してやる。
「あ奴の弟子なら、ここでの儂の修行方法は聞いておるか?」
「いえ、僕達はカリン塔に上ればカリン様に会って、きっと修行を付けてもらえるはずだとしか言われていません。」
「なるほどの、なまじ話を聞くより儂にきちんと話を聞けとは・・・あ奴も師として大成しおったか・・」
まぁ時折ずるしようとしたが、三年の月日を諦めなかった見込みのある若者じゃったなと、在りし日を思い出す。
そしてあの若者の弟子が、夜になる前に登りきるとは驚きであった。
二人の事は、昨日の内から気配を捉えていたのでずっと水鏡で見ていた。
ボラ家にご馳走を反対にしていた事を、そして二人の旅路の軌跡の話を。
二人はもしかしたら、若い頃の亀仙人よりもうんと早く登ってこられるかもしれないとは思っていたが・・・本当にあっというまに登ってきおったわい・・・
「二人共、儂からこの水差しを奪って飲めればうんと強くなる。」
カリンは二人の実力の高さを見て遊ぶことはせずにカランと杖に超聖水と書かれた水差しを絡めた。
「悟空かクリリンのどちらか一人ずつ儂を捉えるかどうにかしてこの水差しをとれ。」
それが修行だという言葉に、クリリンも悟空も俄然やる気が起きた。
二人は近頃互いの組み手やイメージトレーニングで行き詰っていた。
どうしても自分達しか相手がおらず、自然と互いの手が読めてしまうので引き分ける事が多くなってしまう。
そこにきてこの修行は嬉しい事であった。
先ずは悟空が、カリン様の動きの速さを知る為に態と全力で突っ込んだ。
バンドも靴も無く軽いので、吹っ飛ぶような速さにカリンは驚いたが避けられた。
追撃するが、変幻自在のカリンの動きに悟空は捕まえられそうでいてするりと逃げられる。
その様子を、クリリンはじっと観察した。
だが、悟空のお腹がなって・・・・・
「これを食え。」
渡された豆一粒・・・・腹膨れねぇぞという悟空は思ったが・・・滅茶苦茶膨れて体力まで取り戻した!!!・・・・そしてあら不思議・・・・其れから三時間後にカリン様を尻尾で絡めとって転ばせて超聖水を捕った・・・・・体力おばけにカリンが負けたのだ。
そして今日はもう休みだと、寝て次の日からクリリンの番になった。
「はぁ!!!」
クリリンも初手から全力を出した。
ヤムチャの狼牙風風拳のように足に気を込め、突進し、避けたカリン様を今度はジグザグ双方でどこから行くのか軌道を読まさないようにし、或いはまた突進し、変幻自在のカリンの動きをまねてカリンの下を巻かせた。
だが、一日目ではクリリンはとれなかった。
しかしクリリンは其の事に気にした風にはせず、悟空もクリリンを労うだけで笑っている。
本当に仲の良い子等じゃと目を細めるカリンを、クリリンは三日目で攻略した。
「やった!とれたぞ悟空!!」
「やったなクリリン!!カリン!早く超聖水を飲ませてくれよ!!」
「本当に対した奴等じゃのう・・・飲むがいい。」
「「いただきます!!!」」
どんな強さになるのかとワクワクしながら二人は飲んだが・・・・
「クリリン・・・これなんだか水みてえだぞ?」
「俺もそう思う・・・カリン様?」
「ほっほっほ!それは確かにただの水じゃ。」
儂との追いかけっこが修行なのじゃ等カリンの言葉に、確かに二人は沢山の動きを模索しながら、瞬時に最適解を導く思考が出来るようになった事に気が付き、良い修行でしたとカリンにラディッツから教わった包拳礼の構えで一礼をし、ここで暫く修行させてほしいと願い出た。
無論構わんというカリン様の快諾を得て、二人はドラゴンボールが復活する九月まで修行する事にして・・・・荒行も真っ青な修練を積んだのであった・・・
八月の終わりには、バンド左右あわせて四十キロ、靴も併せて六十キロになる重さで登ろうとするって無茶ではなかろうかと・・・・カリン様も真っ青になったとか
「お前達無茶はするな・・・」
ボラなんて本気で心配したが、俺達強くなりたいんですを笑って言われては止められないのであった。
無論二人は修行だけではなくきちんと休んだ
亀仙人の教えを守り、川で遊び、魚を捕り、引っ付いて昼寝をする楽しい日々を・・・真夏の太陽の下で幸せそうに眠ったのだ・・・・・