俺ラディッツは弟を絶対に守り抜く   作:ドゥナシオン

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原因・・・・

異形の気配を辿って空を飛びながら、ラディッツは目につく異形どもを片端から風切羽で消滅させていく。

 

野山にも谷にも森の中にもいる者どもを、消しても消しても後から湧いてくる様には異常さが際立つ・・・・まるで長い事侵攻を準備していたような整然とした組織体系でもあるように・・・・おかしい・・・

 

お師匠様・鶴仙人の話では、ピッコロ大魔王というのは手下も強かったが、暴れたいだけ暴れた暴君を絵にかいたような凶悪な敵であり、目的は人間の地を奪う事でありところかまわずに暴れまわっていたというのに、今重点的に襲われているのは西の都と中の都、つまり一番陥落を阻止しなければならず、其の為に鶴仙流の弟子達の内でも高弟達と師兄とお師匠様が自ら入り、西の都には武天老師様が駆け付けたと情報が入った事に、ラディッツは一安心というよりも、誰かに意図的に強者が一つ所に集められている気がして苛立ちが増した・・・・誰か、数百年前のピッコロ大魔王がしなかった事を推し進めている、この一件の絵をかいている人物がいる気がしてならない・・・

 

 

そんな事をちらりと思った時、

 

ピピ、ピピピ

 

 

個人用の通信機器が鳴り出した。

 

幸いあたりに異形の影はなく、通信機器に手を伸ばす

 

この回線を知るものはみなラディッツが命を懸けて守りたい対象達だけであり、余程でない限りでないという選択肢はない

 

出てみれば、

 

「爺様!!・・・何かありましたか?」

 

山村に在中しているサイヤンℱの警備員からは、恐慌をきたしている世界の中で、ポツンと取り残されたような妙な静けさの中にいるという報告は受けている。

 

そんな山村の祖父からの知らせに、ラディッツの修羅の形相は無表情になった

 

内容は、マイとシュウからの告白であった・・・・もしかしたら三か月前に逃げ出したピラフ様が、ピッコロ大魔王を蘇らせてしまったのかもしれないと・・・

 

 

▲▲▲

 

 

「・・・・・ピッコロ大魔王ですか?」

「あのお伽噺に出てくる世界を破滅させかけたという魔族の大王?」

 

ドラゴンボールを集めて世界征服をする前に、ピラフは仲間になったマイとシュウにドラゴンボールで世界征服の願いが叶わなかった時の次善策を話していた。

 

お伽噺にされるほどの遠い昔に封印された悪の化身

 

だが、文献を読み漁ってドラゴンボールを突き止めたピラフは同様にピッコロ大魔王の事が記された文献も読み漁り、封印の場所も凡そ突き止めてはいた。

 

だが、それはあくまでも最後の手段であった

 

大魔王を蘇らせるにはリスクが高く-余程の事-がない限りは手を出さないと決めていたという・・・

 

「ピラフ様・・・・もしかしたら魔族大魔王を蘇らせてしまったかもしれないんです・・」

 

世界中の大混乱をテレビやラジオで知ったマイはピンときた・・・・魔物はきっと、昔ピラフ様が話していたピッコロ大魔王の眷属だと・・・泣きながら悟飯に告白をした・・・・ピラフ様を止めて欲しくて・・・・

 

前はあんな凶暴な者どもを使うような人ではなかった・・・・・なのに孫悟空達につかまり、孫悟雲に出会ってからは自分達とも口をきかずに鬼気迫るような顔をして何事かをずっと考えている姿が怖かった・・・・だがそれを誰かに言う事も出来なかった!

 

そんな事をすれば、折角減刑にして貰えてある程度の自由を許されている自分達はきっと孫悟雲が許すまい・・・これ以上ピラフ様の自尊心が傷つかない事を、マイとシュウは祈るような思いであったのに・・・・・姿を消した時はもしやと思ったが・・・嫌な予感なぞ!外れてくれればよかったのにとマイは泣き崩れたという

 

 

消しておけばよかった・・・・

 

通信を受け全てを聞き終えたラディッツの想いは其れのみとなった・・・・

 

 

ピラフが首謀者であるのならば、山村に異形の者が現れない事に説明がつく

 

おそらくピッコロ大魔王を封印から出した時何らかの取引をして山村、正確にはシュウとマイには手出しをさせない約束でも取り付けたのだろうか・・・

 

分らない・・・あんなに素敵な山村で、其れなりに人々に好かれてすっかりと受け入れられて何が不満があったのか・・・ラディッツは幸せを無下にしたどころか、世界の安寧を崩したピラフに憎悪が湧いた・・・・今まで一度として抱いた事の無い憎しみを・・・

 

自分のお師匠様の行為を無下にした、自分の愛している故郷の人々の好意を無に帰した、自分の大好きな祖父が気にかけていたのを台無しにした・・・・温かい幸せの中にいながら、何の不満があったのだ・・・・

 

それが、ピラフにとって傲慢不遜であったのだ・・・・・

 

 

▲▲▲

 

「お前の言う通り、孫悟雲とやらの目を掻い潜る為に大勢の-脳無し-どもを大量に生み出し、隙をついてドラゴンボールとやらを集めさせているが・・・こんなもので本当に儂の体を最盛期に戻せるのか?」

 

全身緑色のしわだらけの巨体に、-魔-の文字の入った服を着た人物は爪先で三星球をつまみながら疑わしい声で-ピラフ-に問いかければ

 

「はい、肉体を毒で犯されたとかで成長できなかった奴が、望みの通り一月かけて成長する様を私自身が見ました。」

 

きっと大魔王様の肉体も若返りますよと、ピラフはニンマリと嗤う

 

如何に強いとは言われても、孫悟雲も所詮は人間・・・尻尾があるのは珍しいが、だからと言ってピッコロ大魔王が最盛期の肉体を有する事が出来ればあいつを殺せる・・・死んでしまうがいいと、ピラフは世界征服よりも孫悟雲の死を願った。

 

山村でシュウとマイが幸せになっていくのを見ても、ピラフの孫悟雲への憎悪が消える事は無かった・・・・ドクターゲロと同じように・・・・

 

自分達の事を本当の意味で見ようともせず、分ったから相手してやろうというおざなりな態度に、ドクターゲロもピラフも、孫悟雲ことラディッツの態度の端々に出てくる傲慢不遜が彼等の憎悪に火をくべた

 

近頃ラディッツは弱かった頃の自分や、何も出来なかった頃の悔しさなどを思い出す事が無くなり、弱い者が強者の態度一つで心から傷つくという事も忘れ果て始めている。

 

そんなつもりがなくとも、ラディッツの溜息一つで、目線一つに周りが気を使い始めている事すらあるのを自覚していない・・・・ある意味フリーザ軍・文官長補佐官として部下達を使う事に躊躇いが無くなっていたあの頃に戻ったともいう

 

権力の中にいるのが当たり前で、それは実績を積んだ果てに周りも認めていたから成立していた事だが、この地球の人々にとってに二十代前半のラディッツのそんな態度に戸惑い、ある者はラディッツの真の実力を知るが故に強者の若者にありがちな事と分かるが、大半は自信の表れ、今を時めく者のオーラなど好意的に受け止められるが、ピラフのように己を馬鹿にするのかと憎悪を燃やすものとていてもおかしくは無く、

 

その結果がこれであった

 

あの何もかもを分かりきったようにおさまりかえった孫悟雲の態度をひっくり返しつつ、山村とその周辺地域の十キロ圏内を自分の領土にしてもらう事が、今のピラフの望みであった。

 

あの高慢な男は、征服の大変さをとくとくとしたり顔で言っていたが、自分の下で生かされる事になる人間達は、喜んで自分に従うだろう。

 

なにせ自分が貰う十キロ範囲を超えれば後は魔族の世界になる予定なのだから。

 

安全はここしかないと縛り上げ、文官だの行政だのの面倒な事は死にたくない有能な誰かに任せて自分は其の上に立ち崇めさせる・・・・ピッコロ大魔王に殺されるあの男の首を蹴り飛ばしながら、お前の言った事は全て戯言だったなと高笑いしてやるのだ!!

 

待っていろシュウとマイ!!!

私は小さいながらも領地と人間達を支配し、お前達に贅沢をさせてやるぞ!!!

 

其の為に目星を付けていた海域近くの潜水艦を盗んで潜って直ぐに封印されていた-電子ジャー-を見つけた。

 

ピラフは・・・・魔族の子孫故に直感でそれを見た時に分かった

 

生を受け、両親から自分達の種族を知らされ、人間が来ない場所に移動しようとした時にはぐれた、はぐれ魔族がピラフの正体であった。

そしてピラフの魔族の性が告げた

 

この中に途轍もない邪悪が閉じ込められていると・・・・理屈ではない、勘が、自分の血が告げ引き上げて開けてみれば・・・・自分の望むお方が顕現された・・・・

 

笑った!嗤った!!哂った!!!!

 

これであいつを殺せると思うとおかしくて嬉しくて脳が揺さぶれるほどに嗤う自分を、目覚めたばかりの大魔王がじっと見て問うてきた

 

「お前の望みはなんだ?」

 

そんな問いには簡単に答えられた

 

「孫悟雲という男の死と、幾ばくかの領地を・・・」

 

世界の大半なぞもういい・・・・あれが死んでシュウとマイと三人で贅沢が出来れば、世界なぞ知らんのだから

 

練っていた計画を提言した

 

孫悟雲がいかに強くとも、孫悟雲は一人しかいない

 

故にドラゴンボールが石から戻るまでの間に、魔族の軍隊を作れないかと提案をすれば、知性ある眷属を生むには体力の消耗が激しいが、暴れるだけの-脳無し-どもであればある程度の卵を産めて、孵化の時期もこちらでコントロールできるという大魔王の言葉に、ピラフはさっそく各都から遠く、それでいて一直線で行ける洞穴を見つけては大魔王を案内して卵を産み付けてもらい、そして大岩で閉ざした。

 

計画が始まるその日まで誰にも見つからないように

 

計画の当日に、衛星を打ち落とす為に開発したミサイルを大魔王の眷属達に、大魔王の念話の合図で一斉に撃たせて地上を混乱させる。

 

ミサイルは、計画当日に各地の軍の武器倉庫を襲う算段を付け、そして成功した。

 

ピラフの読み通り、ミサイルを奪われた情報は、あっという間に撃ち落とされた衛星情報でかき消された。

 

軍のミサイルであっても、衛星に届かせるには推進剤が足りないのを、翼のある脳無しに持たせて高度を稼ぎ、一斉に手動で起爆させたのだ

 

その傍らでミサイルと同じく違法産業廃棄物の山から使えそうな機器を探してドラゴンレーダを作り出した。

 

人間とは面白い、まだ使えるのに型が古くなったからと言って電子機器を捨てるのだから・・・重要なソナー部分は、ドクターゲロが改良した電子機器のセンサーを取り換えた時、廃棄する振りをして大事にしまっておいた・・・・あれが無ければ大事なレーダの核が手に入らずドラゴンボール探しは夢と消え、そもそもがそれでは大魔王を蘇らせる事なぞ無かった。

 

なにせドラゴンボールという至宝の宝を差し出す事で、ピッコロ大魔王に取り入る算段だったのだから・・・・忌々しい孫悟雲が自分達の人相を警備会社や警察、果ては王国軍に回したものだから、自分達は山村を逃げ出せばすぐに手配されこんな重要部品は手に入らなかったが、ドラゴンレーダーの馬鹿げた改造に感謝せねばと思う傍らで、自分の不遇の原因、孫悟雲に益々殺意が深まり、ピッコロ大魔王と話している今この時にも思いは浮かぶ

 

 

お前が守りたがっていたお綺麗な世界は!お前のせいで破滅するのだ!!!お前のせいでだ!!!!!!

 

狂気に支配されたようにクツクツと嗤うピラフを、大魔王が観察するように見ているのを知らずに・・・・

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