エイジ736 惑星ベジータ
-古いサイヤ人-と、ある世代からの同族の子供達から呼ばれ始めている戦士達は、ここずっと、物凄く苛立っている。
フリーザ軍のいないところでは殺気だっているものもいる始末。
原因は・・・・・フリーザ軍が自分達を低く見ているだの侮蔑されているのにはもう慣れた。
戦力的に負けているのは明白であり、何よりも現状に苛立ちながらも未だに-蜂起-する素振りを見せないベジータ王を見ていると反抗する気が失せる。
・・・・ベジータ王が立てば話は別だが今のところその芽はない。
自分達を侮り、軽く扱うガキどもにも慣れた。
あいつ等はもう-フリーザ軍-であり、これから生まれてくるガキどもを今度こそ取られないようにしようという大枠が出来たので、フリーザ軍のガキどもが生きようが死のうが知った事ではない。
ただ戦闘が出来て殺し合いが出来て好き勝手に出来る環境を手放す程の決定的な何かがまだない中で、では何が古いサイヤ人達を苛立たせているかというと
「う~ん・・・・フリーザ様、コンソールまたお借りしても良いでしょうか?」
「おや、また何かを見つけたのですかラディッツ?」
「はい・・・・武器業者と結託してる阿呆がいそうなんです。
直接武器を買い付けている筈なのに、問屋を数件挟んだ値段と同じというのは真っ黒では?」
「おやおや、私の管轄の中におバカさんがいるのですね~・・・・その件ナナバを経由せずにラディッツ、貴方が処理しなさい。」
「い!!??・・・・・権限が・・・」
「ふむ・・・・いい加減文官内の出世を受け入れて昇進しなさい。いちいちおバカさんを見つけては潰すのに他を経由しなければならないのも手間でしょう貴方も。」
「や・・・・・成人してからお願いします・・・」
今日も今日とてラディッツはフリーザの傍らで仕事をしている。
別にそれは問題ない。
ラディッツは最早文官だと誰もが認識しており、遠征組の物資の手配も近頃はしているのでサイヤ人の大人達も大量に食料を消費しても過不足なく持たされているので複雑ではあるが、食料絡みだけは評判は悪くない。
では何がサイヤ人の大人達を苛立たせているのか?
ラディッツは-フリーザの傍ら-で仕事をしている・・・・机を並びあってではなく、文字通り-フリーザの移動型小型の乗り物-のふちに座って器用に自前のパソコンで本日は軍の帳簿管理を実践しながら勉強している・・・・・訳分らんが本当だ。
遡った数ヶ月前、サイヤ人のほぼ皆殺しを計画していたフリーザの思考にストップをかけ、計画変更をさせた逸材を直接見たところから話は始まる。
謂わずと知れたラディッツだ
大人のサイヤ人と子供のサイヤ人の間に起きている分断の起爆剤はラディッツを使ったフリーザ達の策謀ではあるが、面白いように思惑は当たり、今では八割弱のサイヤ人の子供達の心はフリーザ軍に傾いている。
そこまで成功している理由は偏にラディッツが何かにつけてフリーザ軍の花形である特戦隊を褒めちぎり、当然悪い気がしない特戦隊のメンバー達も自分達を無条件に慕ってくれる子供達にはそれなりの態度を取り、そして益々子供達は特戦隊ひいてはフリーザ軍は強くて素敵な軍であるという憧れが強まるという、フリーザと軍にとっては何とも素敵なループの出来上がり。
そしてそれが面白くないサイヤ人の大人達は、どうにか子供達に自分達を尊敬させようとするが、フリーザ軍の面々の様に飴と鞭の使い分けなぞ出来ようはずもなく、ただ単に己の力を見せつければ、強くて凄いと言われるだろうというのがせいぜい。
結果は火を見るよりも明らか、力を見せつけられるためにボコられ死にかけた子供達の心は完全に離れた。
其の方法が不味いと何と無しに悟った時には時すでに遅く、ラディッツを囲んで談笑しながら、通り過ぎるフリーザ軍の者達にはなつっこい笑顔を見せ、遠巻きであっても自分達を見れば頭を下げてふいと顔をそらされる・・・・最早修復は不可能だと大人達は-忌々しいラディッツ世代-は捨て、次代に期待をかけたのだが・・・サイヤ人の大人達からすれば亀裂を入れたラディッツを憎み、反してフリーザからすれば無意識に功績を上げた小童が気になり直接会ってみる事にした。
しかし只呼びつけるだけでは面白くない。
フリーザはサプライズやその類で他者が心底驚く表情や慌てふためく様を見るのが大好きないい性格をしている。
よって只漫然と呼びつけ緊張するだろうと予測できる範囲内の顔見世なぞつまらない事この上ない。
どうせならば同族の王族に-何故かは分からないが父親共々呼びつけられた-という状況がどうなってどうなるのかがさっぱりと予想がつかない中で、同族の王よりも遥かに高みにいる自分がいるのを知らずに出会った時、どのような反応をするのかを見物したいが為にベジータ王の住まう王城にラディッツとバーダックを呼び出し、そしてフリーザは面白い者が見れたどころか-面白いペット-を見つけることが出来てご満悦となった。
父親バーダックは、普段は肝が太すぎ図々しいを通り越したフリーザ軍のであろうが同族のであろうが上司に対しても鉄面皮で皮肉気で跳ねっかえりと言わしめられているバーダックの表情が警戒とそして幽かな怯えが見れた事にとても満足をした。
それは常に自分の傍らにいるザーボンとドドリアもいいものが見れたと愉快気であった。
廊下ですれ違っても道を譲る事なぞ終ぞせず、無礼を咎めれば広い廊下を俺が譲らんと通り抜けられないのかねと、暗に横に広いドドリアの体系を揶揄するは、そのお綺麗な髪が俺にあたって痛むのか、それは大変だと、常日頃から美容に気を使っているザーボンを見てくれだけの軟弱男と小馬鹿にする男が、主の圧倒的な力を前にすればそこらのサルども同様に手も足も出まいと思えば溜飲が下がる。
そして傍らにいる小童の反応は、ベジータ王がいても、直属の上司よりも身分が高い自分達を見つけても、それすらも忘れ果てる程の憧憬に満ちた瞳を主・フリーザに向ける様が堪らなく愉快であった。
まるで恋を知ったような熱に浮かされたように頬を赤らめ唇を無意識に開き、ひたすらに主だけを見ている。
それは同族の王なぞ眼中にないと宣言したも同然であり、当然ベジータ王はラディッツの深層心理を正しく理解し、その場でラディッツを八つ裂きにしても飽き足らぬほどに煮えくり返った。
近頃事あるごとに聞こえるラディッツの内容は、全て自分が治めるサイヤ人の不利益に直結する事ばかりであり、実際に会えばあったで自分という存在なぞ端から埒外にしている無礼な小僧を、普段であれば間違いなく殺している。
しかしラディッツを呼びつけたのは名目上自分とされているがフリーザ本人であり、ラディッツが見つめ続ける先にいるフリーザを見れば、ラディッツを気に入ったのは間違いなく、自分がラディッツを殺そうとすれば側近達が二人がかりで止めに来るのは明白である。
今から数年前、星を征服ではなく売り物にする地上げ屋をする為にビジネスの相手として手を組んだはずが、戦力差を前に部下の如く実効支配されつつある中でのこれはベジータ王のフリーザ憎しが決定的になった瞬間である。
そんな事はつゆ知らずに、呆けたまま瞬きもせずに愚直なまでに自分を見つめ続けるサイヤ人の小童に、フリーザは一言尋ねた。
「貴方から見た私はどのように映っているのですか?」
それは戯れの一言
いつまでも飽きる事無く自分を見続けている子供の目には、自分がどのように映っているのか興味があった、ただそれだけのつもりであったが
「怖ろしいです。」
ラディッツからの返答は意外性に満ちていた。
憧憬の眼差しを向けている筈なのに怖ろしいと感じるとはどういう事かと、フリーザが小首を傾げればラディッツは応える。
強く美しく優美でだが毒を含んでいるお方・・・・なのに目を惹きつけてやまない何かを兼ね備えた美がある・・・・
「ハッハッハッハッハ!!!!」
ラディッツの答えを聞いたフリーザは、常日頃のホホホ笑いではなく、真に愉快になった時の英気を兼ね備えた強者の嗤いを玉座の間に響かせる。
その声には無意識のうちに気が練り込まれており、戦士であるバーダックはビリビリと声と共に押し寄せる気を発するフリーザに怖れを抱きかけ、そんな自分を瞬間的に悟り怯えをふざけるなと気力で殺しつくして元凶を睨みつける一方、圧倒的な戦力の差にベジータ王の心はへし折られる中、その嗤いを誘発した童子は陶然としていた。
強大な力が心地良く、凶悪で暴虐的な気に怖ろしさよりも寧ろ包まれている至福を感じたその時
「決めました、貴方は今日からわが軍の文官兼私の小姓とします。いいですねベジータ王?」
ラディッツの立ち位置は明確化された。
「・・・・・・は?」
呆けた声を上げたのは誰であったか・・・・以来フリーザは片時もラディッツを手放さない・・・・文字通り器用に自分の尻尾でラディッツを小型移動機のふちに固定して座るようにし、そこで仕事をさせて数ヶ月が経つ。
移動機にはどの部署とも繋がる統括ツールが入ったコンソールがあるので仕事環境としてはラディッツにとっては最高であった。
ものによっては閲覧許可申請がいるので、ノータイムで見られるのは有り難く、仕事が捗ると文官長を筆頭に一同いい事ずくめである・・・いいのかそれで?
移動する時も当然そのままであり、当初それは本気で様々な意味で恥ずかしくて死ねると羞恥心に悶えていたラディッツも、遠目から見かけてぎょっとしていた同僚や友人たちも慣れとは恐ろしいものであり、一月続ければ最早当たり前になっていて誰も疑問にも思わなくなった。
フリーザ軍の関係者一同とラディッツの友人達の中では・・・・
ダン!!!
「あのサイヤ人の恥さらし小僧が!!!!フリーザの尻尾に捕まれているのを恥とも思わずにすり寄る屑が!!!」
「・・・・・あの小僧のせいで他のガキどもが・・・・絶対にあいつがフリーザの命令でガキどもを俺達から引き離しやがる事をしたんだ!!!」
「へ!!そのうち御小姓様は-色小姓-様になるんだろうよ!筋肉もつかずになよっとした体と腰振ってよ!!!」
「ちげぇねええ!!そんで飽きられて捨てられて惨めに死にやがればいいんだ!!」
惑星ベジータにも酒場はある。
それもフリーザ軍経営ではなく、少しは商才のあるサイヤ人達の手による酒場で近頃は-サイヤ人の恥さらし-の悪口雑言が渦巻いている。
頑丈な机をいいことに、ジョッキを乱暴に置いて管もまく。
全員がとは言わないが、それでも多かれ少なかれ軍内で破格の出世を果たしたぽっと出の小僧ラディッツに対し、出世した事への嫉妬や羨望、子供達に嫌われたことの原因を全てラディッツのせいだと憎悪する者など様々だが、根は一緒である。
フリーザに大切に扱われているように見えるラディッツを見るにつけ、サイヤ人の大人達は胸中をどす黒いもので満たしていく半面、矢張り子供達はサイヤ人の子供大兵の様なラディッツが大切に扱われているのを見る事で、いつか自分もフリーザ様に直接認められたいと憧憬を抱く。
それがフリーザの目論見であり、フリーザの中では分断の最後の策は成就した。
後は-暴発-する其の時を待てばよく、熟れた果実が転がり落ちるのを待つ心境である。
元来サイヤ人とは気が短く、少なくとも五年以内に自分に対して暴発するだろうと予見してはいたが、当初の計画よりも実入りの多い収穫となった事に望外の喜びを、珍しくフリーザは感じている。
-絶滅-ではなく、従順な手駒が一民族ごと手に入るのだから。
自分がサイヤ人を消滅させる理由も、優遇して飼い殺しにし、穏やかな支配をすれば起こる見込みは低く、万が一が起きかければ特戦隊も含めた軍総力を挙げて今度こそ根絶やしにすればいいと考えているのも知らず、憤懣やるかたない男達の尽きる事のない醜い言葉と感情に、一人のサイヤ人の男は黙って席を立ち誰に気づかれる事なく夜の闇に溶け込みながら帰路に就いた。
男はラディッツの父親バーダックであった。
バーダックとて、酒場にいるサイヤ人の男ども同様・・・・否!それ以上にフリーザを滅茶苦茶に殴りつけて嬲り殺しにしてやりたい思いを腹の底に溜めて居る。
指図される事に嫌気がさしたわけでも、侮蔑に耐えかねたでもなく、ましてバーダックは他のサイヤ人の大人と違い、ラディッツの父親として慕われている。
では何が理由でフリーザに憎悪を抱くのか
理由は実にバーダックらしくない
文官でございと言いながらも、親父と同じくらいに強くなるという馬鹿なガキを、他の同族だろうが敵にだろうが殺されてもどうでもいいと思うには、バーダックは情が生まれすぎていた。
結婚したギネにはその情は甘ったるい病気だと言い続けてきた筈なのに、いつの間にか甘ったるい病気がうつった・・・・うつってしまった・・・・・その感情の名前を知っている者がいれば、バーダックは家族を愛し始めているというだろう。
甘ったるい感情の名を知らないバーダックは、ギネと馬鹿なガキラディッツを見ると言い知れない胸の疼きを抱えながら、嫌ではないくすぐったさを戦闘の日々共々に楽しんでいたのを、フリーザが邪魔をした。
まるで己の所有物の様にラディッツを扱うフリーザが憎い
そして嫌な予感が近頃はする。
自分とラディッツの関係を見ている者達を、まるで何か推し量るように観察している眼をしているのにバーダックは気が付いたのはここ最近であり、それは何か良くない、それも飛び切り悪い方向に転がされるような予感に胸がチリ付き、家に帰る前に酒でも飲んで憂さを晴らそうとすれば、酒場でたむろって吠え上げる駄犬どもを殺しそうになったので出てきた。
別に殺しても良かった
自分のガキを好き勝手述べるゴミどもなぞ消しても何も痛まないが、金払いの良い先様は軍律という堅苦しいものが大好きであり、私闘で下級とは言え武官達を減らせば相応のペナルティーが科せられ貰う物が減るのが嫌だっただけ、ただそれだけの事
「帰ったぞ~。」
昔は言わなかった事を口にしながらバーダックは家に入る。
家族のいる家に帰ったんだからただいまくらい言おうよという小うるさい奴の影響で。
言ってみれば存外悪くはなかった。
絶対的に安心する場所なんてあるかと嘯いていた自分が、甘くなったなと思いつつ家に入ればそこには・・・
「親父おかえり!!!!あのさ!あのさ!!!早くはいってよ!!!」
特戦隊の連中に毒され-私服-とやらの白い半袖シャツと黒いズボンをはいたラディッツが、自分の腕を引っ張って広くもない家の居間に連れて行こうとするのをバーダックは何だと面喰い・・・・居間に行けばもっと面食らう光景が広がっていた。
祝!家族が増えます!!
とか横に書かれた幕が居間の天井に垂れ下がり、大量の御馳走とそして・・・
「おい!!!これ給料十年分もする酒じゃねぇか!!!どっからかっぱらって来た!!!!」
大量の御馳走の横に鎮座しているのは、バーダックの給料十年は飛ぶという-宇宙養老の滝-産の大吟醸酒!!
「御帰りバーダック!!」
自分の驚いた声に台所から出てきたギネは柔らかく・・・・どこか照れたような笑みを浮かべている様に、バーダックは何が何だか訳が分からなくなった。
くさくさとした心持で家に帰ってきてみれば、自分を糞親父と思っているクソガキが嬉しそうに自分の腕を引き、入ってみればとんでもない代物の酒が御馳走と共に並んでおり、妻の様子も常とは違う・・・・摩訶不思議な状況は
「あんた・・・・私達にまた子供が出来たんだよ・・・・」
不思議そうにして突っ立っているバーダックの手を取り告げたギネの答えにバーダックは今度こそ全てが固まった。
「母さん!!!それ本当か!!??」
「あんたね・・・・こんな事で母さんが嘘言うと思うの?」
遡ったバーダック家でラディッツは一家の慶事を父よりも早く知った。
母が妊娠三か月であると医師から告げられた事を、ギネは休日で家にいる息子に真っ先に報せた。
どのサイヤ人よりも、ひょっとしたら自分以上に身内を大切にすると見込んでいる息子に報せれば、予想以上に大喜びしはしゃぎそして
「母さん家にいて!!沢山食糧買ってくるからね!家から出ないでね!!!!」
まるで、深窓の令嬢かお姫様の様に自分を扱いだし、あっという間にどこかに飛んで行ってしまった。
ラディッツは戦闘の才はそこそこではあるが、飛ぶことに関しては一級品である。
飛ぶ時どれ程の強者であろうとも、気を放出してから飛ぶか助走を付けて飛ぶのであり、如何に飛ぶまでのラグを少なくできるかというのがあるが、ラディッツには溜めて飛ぶというラグが一切なく、本当に跳んだ瞬間に零コンマというのも無いという、戦闘特化した特戦隊をしてどうなっているんだという訳の分からない事を平然としている。
何度か軍でも解明して戦士達にフィードバック出来ないかと研究に協力をさせたのだが・・・解明できなかったというトホホが付くがそれは兎も角、あっという間に見えなくなった息子の後ろ姿が頼もしく感じるギネであった。
その逞しいと評価を母から受けてた息子は・・・・フリーザ軍の食糧物品室に突撃かましてた・・・・・阿保である、阿呆の子である、軍内の敷地内爆走して一部署に突撃掛けたらアウトだろうという常識置き去りにした子ザルは
「ドウブさん!!!これで買える最高級品の酒と!こっちで買えるありったけの食糧ください!!!」
「・・・・・何やってんだラディッツ?」
「いいから二つのクレジット残高確認してくれよ!!!」
「お前って酒飲むっけ?その前に後ろの保安局員に言い訳しておけよ?」
「はぇ?・・・・・・あ・・・・っはっはっはっは・・・・・・あ~・・」
「「「「「お前な~・・・・」」」」
余りのスピードに突破された門番から、武装した内部保全の保安警備達が一様に子ザルに呆れた・・・・・・普段のバリバリお仕事する文官様が一体何しちゃってくれてるの?
「・・・・・・ごめんなさい・・・」
呆れた大人達にきちんと謝れるラディッツは偉かった・・・阿呆ではあるが
無罪放免とはいかずに説教と軍内を一時的とはいえ騒がせたことは後日お達しを受ける事で冷静さを取り戻したラディッツは、頭を抱えたくなった。
マイ天使の妹の記憶がいまだに薄れないラディッツは、弟妹が生まれる事に脳内で大暴走し、ついで行動でも大暴走するという傍迷惑な事をした事に自分を埋めたくなったが、保安部から放出されたラディッツは、今度は迷惑かけないようにしながらまたドウブのいるところに戻り、給料で貯めて居たクレジットと、フリーザと軍に不利益被らせるおバカさん達を潰すたびに出る褒賞のクレジットを分けており、母にお小遣いで貰っている方を食料に、褒賞金全てを入れてあるのをお酒にあてがう。
何で酒がいるんだと聞かれても、ラディッツはその答えを言う相手はもう決まっているのでにやっと笑って袋を抱えて去っていく様は、頭の中身は兎も角、あいつやっぱりバーダックの息子だと多くの戦士達を見続けたドウブに思わせる笑いであった。
買い物を終えたラディッツは、料理だけを母に頼んで横断幕という程でもないが其れなりの飾りをして帰って来た父バーダックを直ぐに家の中に引きずり込んだのがこれであった。
自分に子供が出来る・・・・・それは、何も初めての事ではない・・・・・ラディッツがいる・・・・だが・・・・あの時ギネにガキが出来たと言われた時は、戦闘力が高いのが生まれればいいと思っただけで・・・その予想を上回るが気が生まれたが
自分の弟妹を喜ぶラディッツ
二人目が出来たと喜ぶ妻・・・・・そして・・家族が増える事を喜ぶ飾りつけ・・
「痛い!!ちょっとあんた本当に痛いよ!!」
「親父!!痛いって!!!」
「・・・・うるせぇ・・・・」
「!!??・・・親父・・・・泣いてんのか?」
「バーダック?」
「うるせぇ・・・・・」
何かがバーダックの中で弾けて溢れ、それを見られまいとバーダックは腕の中に妻と息子を閉じ込める。
だが、うるさく言う二人を黙らせる声が震えて、勘の良すぎるクソガキにばれるがそれすらもどうでもいい
どうして・・・・目から何かの水が出る?何故止めようとしているのにとまらない?
涙が流れる理由は分からず、不可解ながらも涙はバーダックの中に、いつの間にか植えられた種に水をやるが如く一つの想いを発芽させた
守りたい・・・・・
ずっと敵と戦い愉しむだけに、時には食う為だけに戦っていた
そんな男に、守りたいという思いを生じさせるその理由達を、バーダックは腕の中に抱きしめる。
甘ったるい想いを溢れさせる妻と息子と、そしてまだ姿も定まっていない妻の腹の中にいる子供を守りたいと・・・・最高級品の酒なぞどうでもいい・・・・ギネの食事と安酒をこの腕の中にいる者達と共に摂れれば、それができればきっと・・・この思いが何であるのか分かる筈だと確信を抱いて
其の為にも、いつかフリーザを殺して軍をぶっ潰し、息子を自分達だけのものにするのだと・・・・