「それでお兄ちゃんにお友達というか・・・・案内人みたいな人が出来たってわけ?」
「まぁ・・・地球の一般的社会への入口への案内人と言えなくも無いけど・・・何か言い方が嫌だな。」
「そりゃそうじゃな、その小僧はあまり物を知らなさそうなお前を親身になってくれとる訳だからな。」
「兄ちゃんに友達が出来たんだろう・・・んぐんぐ」
「悟空・・・食べながら話すなよ、行儀悪いぞ。」
「しかし父に友人が出来るのは良い事だ。俺の方は物静かにしていたら学級委員というものが何か困りごとあれば言ってくれと心配されたぞ。」
「ジュニアの場合は悟雲師兄と違った意味で大人びてるから、そういう委員長とかの心証よさそうだな。」
六時間目も終わってクラブ活動は流石にお断りをして四人はバラバラに鶴仙流の本部に戻り、夕食の席でその日あった一日の出来事を話している。
ラディッツの方はすっかりとマークとミゲルに世話に・・・というか、色々と教えられたのだ
給食の後は昼休みなのはラディッツも覚えている。
さて何をすればいいのか・・・・
「ミゲルさん。」
「あら、ミゲルでいいわよ。私もあなたの事敬称なしで呼んでいい?」
「あぁ、構わない。そしたらミゲル、この学校に図書室はあるかな?」
「あるけど・・・・今日天気がいいから外で遊ばないの?」
「あぁ・・・・学校の図書室って初めてで何があるか読んでみたいんだ。」
「そう、なら案内してあげる。」
「なんだよサン、外でドッチボールしようぜ?」
「また今度させてもらうよ。」
・・・ドッチボールしてもいいように、ちょっと天津飯と特訓しよう・・・主に手加減の方を・・・
何て考えがながらミゲルと・・・何故だかついてくるマークの横でラディッツは-普通-に遊べるようにしようと心で誓いながら、図書室の中の野草本に目が行った。
「お前こういうの好きなのか?」
アウトドアではなくインドア派かと問われたラディッツは、時折外で見かける花や草の名前が何であるのか興味があると答えている時、隣の席に同じクラスの眼鏡をかけた男の子が座った。
「あれ?マークが図書室に来るって珍しくない?」
「トニーか。サン、こいつお前の二列横のトニーだ。お前と同じく本と花とか草の研究するのが大好きな変わった奴だ。」
「変わってる?」
「草とか花を調べてなんになるんだよ?」
「ちょっとマーク!!」
マークの何気ない言葉に、金髪をおかっぱにしたようなトニーがしょげるのを、ミゲルが注意するがマークは悪気はないのでしれっとしている。
「変かな?」
すこしピリッとした空気の中、ラディッツは首を傾げる
「マークも俺も、まぁ・・・薬の世話になってるんだよな。(仙豆も薬だ!)」
「俺はもう昔だけどそうだな・・・」
「だろう?薬は今でこそ様々な化学薬品を使って作られているけれども、元は自然界にあった草花が使われていたんだ。」
無論大昔の人達が今の様にどの草や花にどんな成分があってどんな効能があるのかなんて科学的に調べられる筈も無い
だが、人の英知とたゆまぬ誰かの努力で風邪薬や熱さまし、切り傷火傷に果ては手術に不可欠な麻酔を自然界の草花から見つけることが出来て今日の医療があるといえる。
「だから、もしかしたら見つかっていない草花やその中から誰かを助けられるかもしれない効能や、素敵な香水が出来るかもしれないと俺は思う。」
「そっか・・・・俺の体が丈夫になれたのって、何千年前のトニーみたいな奴のお陰なのかもしれないのか・・・」
「え?・・・・いや・・・」
「おっし!お前外でフィールドワークってやつしたいときは俺を呼べ!俺は格闘技始めて強いんだ!!」
ひょろっこいお前の事守ってやるから凄い発見して俺も発見者に加えてくれよと・・ガキ大将なマークにミゲルは呆れたが、トニーは顔を真っ赤にしてもごもごと言いう内に昼休みは終わり
「次は理科の授業か・・・」
教室に戻ったマーク達は、理科の教科書とノートをもって外に行くのを、移動教室だと察したラディッツは付いて行こうと外に出ようとした時
「サン、お前理科室どこか知ってんのか?」
マークに声をかけられ皆の後をついていくと言えば
「お前さ、俺に理科室どこって聞けないのか?」
「え?だって・・・付いて行けば・・・」
「あのな!もしも俺がさぼる奴だったらどうするんだよ!そもそも知らない事は直ぐに誰かにきちんと聞くのをお前教わって無いのか?」
「えっと・・・」
「わからない事があるのは仕方ないけど!わからない事を聞かないで見様見真似で知った気になるのが一番駄目だって、俺の父さんは言ってたぞ。」
マークの父は格闘家で、近頃父から格闘を教わるようになったマークが散々父に言われているので耳にタコができ始めている。
わからなければすぐに聞け、何か大惨事起こす前に相手に聞く事は恥ではないとも
「・・・うん・・・わかった・・・・」
マークの言葉に、ラディッツは顔を赤らめて今度からきちんと聞くとマークに約束をした。
どうも自分は、コミュニケーション能力が酷くなっている気がする・・・誰かを好きだとかの愛情表現や、仕事の指示出しやなんかは大丈夫だとは思うが・・・自分からの発信の一方通行になっているような気がしてきた。
もっと相互理解できるようになりたいと、ラディッツのリハビリは始まった瞬間でもあり、夕食での話はその報告になって、周り全員をほっこりとさせたのだ。
そこからは本当にマークとミゲルとトニー達とつるんで沢山の事を学んだ。
「・・・・サンて僕以上に世間の事に疎いんだね・・・僕ゲーム機も知らない子初めて見た・・」
「あっはっは・・・・外で遊んでたからね・・」
ラディッツことサンの設定は西の都からここに転校してきた設定なので、都会っ子がゲーム機知らない発言にトニーにすら呆れられた・・・・・ラディッツだとて修行や子役仕事の合間に都を見回ってゲーム機の一つも手に入れられる時間があったのを自分で不意にしているので何とも言えず、
「ブルマ・・・明日帰ってきたら一緒にゲーム機買うのについてきて欲しい・・・」
今ラディッツはガジェットを外さずに子供のままでいる。
折角だから子供のままでいてみればという悟空の言葉に、まぁそれでもいいかというラディッツの姿では、保護者同伴が必須である。
その点カプセルコーポレーションのお嬢さんと一緒に行って、ゲーム機をブルマが買う態でいけば何の問題も無く
「おらはいらないけど買い物一緒に行きてえ!!」
「俺は・・・ちょっとやってみたい、通信対戦て言うの面白そうだし。」
「俺はいらんが、父が何か悪事を見つけて直ぐに飛び出さないか心配だから一緒に行く。」
「小妹、僕もちょっと興味あるから兄様に付いて行く!」
悟空は自分と同じ元気いっぱいで外で遊ぶこと達と仲良くなっているのでゲーム機はいらず、クリリンとジュニアはイン・アウト派が半々でゲームの話も結構出ている中、クリリンも買う事になりジュニアは駄目父が子供らしからぬ事しないように見張りに付いて行くと申し出て、餃子もゲームというのに興味があるので乗っかって、次の日の学校帰りに買って・・・・ラディッツは初めて買い食いをした。
歩きながらフライドポテトをみんなで食べて、あちこちの店のウィンドウを冷やかして・・・・・轢き逃げだという叫びに飛び出しそうになったのをジュニアにつかまれている内に餃子が対処して直ぐに警官が駆け付けて・・・・新鮮だった。
夕暮れ時の楽しさも、自分がなにもしなくとも自分と同じかそれ以上に対処する人達にも・・・・・自分はもっと本当に周りと沢山楽しんでいいのかもしれないと・・
子供としての一日が楽しくて仕方がないある日
「サン!今度デパートでエンセンジャーっていうヒーローショーやるの一緒に見に行かねぇか!!??」
「ふっふ!インドア派の僕も毎週欠かさずに見ているんです!僕も行くのでサンもどうですか?」
なんとヒーローショウへのお誘いを頂いたが
「・・・・・俺パス。」
「ええ!なんでだよ!!!」
「・・・・だって・・・エンセンジャーって八年前のヒーローとさして変わらないヒーローものじゃん!!」
新鮮味も何もないヒーローに興味は無いとぶった切ってお断りした。
ラディッツは前世も今世も地球の特撮大好き人間で、まさかこの地球にも何とか戦隊何とかジャーがあるとは思わず、それだけは録画して見ていたのだが・・・マンネリなのである・・・・ひねりがない、子供向け過ぎる・・・まぁ子供向けだからしょうがないのかもしれないが仕掛けもしょぼい!・・・・あれならサイヤンℱの警備活動公報の一環としてサイヤマンとか作った方が・・・・いや!!作ろうとラディッツは決心した!!
・・・・ちなみに中身はいいから友人達と外で遊んで来いとの鶴のお師匠様の鶴の一声で遊びに行った。
休日は悟空はチチと牛魔王とじっちゃんに会いに筋斗雲であちこちに行き、クリリンはモンブランとナーリキンの下に走って夕方に戻るという修行も兼ねた過ごし方をしている。
近頃の二人は重力装置の三にまで耐えて中で修行の一通りが出来るくらいに成長しているのを、師兄が遊びながら鍛えてるので・・・・戦闘力三百になっても驚かんとラディッツは心に誓っていたりする・・・本当は潜在的には五百いっとるのをしらずに
ちなみに、ジュニアは千あるのだがそれは兎も角として
楽しい中であっという間に三ヶ月が経って、ラディッツは何か名残惜しいと本部の中庭で黄昏ていれば
「あら!悟雲君、何か悩み事?」
「あ、ランチさん・・・」
弟達と息子は重力装置の中で修行しているので一人になっている時、久しぶりに青い髪のランチさんに会った。
近頃は金の髪のランチが、天津飯に猛烈にアタックする為にくしゃみをしないよう頑張っていたのだが、とうとう変わったらしい・・・
「悟雲さん、もう一人の私が此処にいたいと言っていたのですか?」
「まぁ・・・そうですね。」
実は亀仙人が、蒼い髪のランチにランチの中にいるもうひとりの人格の事をきちんと話したのだ。
いつまでも自分が何故見知らないところに居たり覚えのないものを持っていたりするのかを知らないのは、それは他人には分らない恐怖が付きまとい不憫だと。
近頃の金の髪のランチはトレジャーハンターになっているので堂々と話せる事もあり説明すれば、元来優しさと純粋の塊でできているランチは、そう、もう一人の私は強いんですねと笑って受け入れたとか・・・菩薩かこの人・・・・
そんな菩薩ランチに聞かれれば、ラディッツは仕事の事もあるから年内で学校をやめる事は仕方がないがマーク達を騙したまま別れるのが少しと、ランチに素直に胸の内を明かした。
その言葉に、
「だったらきちんと教えてさよならすればいいんじゃないのかしら。」
友達に嘘ついたままは嫌よねという、素直な助言にラディッツは頷いていた。
そして、十二月の学期末にサンのお別れ会が開かれ、結構な人達に泣かれた。
中には互いにいけ好かないと口論したままの者もいたが、最期には達者でなとぼそりと言われてお前もなと返すことが出来た。
少し前ならそのままでいいやと捨て置いた事を、相互努力という自分も相手に歩み寄らなければと少しでも頑張った界はあっただろうかとジンとする。
そして今日は途中まで一緒に帰ろうとマークとミゲルとトニーに誘われた。
「冬休みにはもうこの町にはいないの?」
「うん・・・・あのさ・・・ちょっといいかな!!??」
ミゲルにせめて町にいる間は遊びに行っても良いかという問いに、ラディッツは三人をちょっと広い路地に連れて行った。
ここは滅多に人がこない・・・・・ここならと、ラディッツはどぎまぎしながら腕につけているガジェットに手をかけながら
「あのさ・・・・俺さ・・・」
「・・・どうしたかサン?」
「あ!!まさか・・・」
「え!!ミゲルはサンがなんで慌ててるか分かったの!!??」
「うん!もしかしたらお父さんお母さんが借金こさえて逃げ回ってるからあちこち行ってる事を言おうとしてるんじゃないの!!??」
だあ!!!・・・・・
「「ミゲル!!!」」
「ごめん・・・お金には困ってない・・・・」
そんな訳があるかとマークとトニーからダメ出しをされ、サンからも呆れられたミゲルは、だったら何か言いたい事あるならサッサと言いなさいという言葉に、背中を押されたラディッツは意を決した。
「俺の名前サンじゃないんだ。」
「「「はぃ?」」」
「俺はな・・・・」
カシャン
ガジェットを外した時、何かが割れる音がして
「俺の名前は孫悟雲、役者名はラディッツ・・・・これが本当の俺の姿なんだ・・」
そこには、大人の姿をした今を時めく武術家・孫悟雲の姿があった。
ガジェットを外せば自動で鶴仙流の白い袍を纏い、ポカンとしてしまった三人が元に戻るのを膝をついて待った。
待てば・・・・バチンと頬を叩かれた・・・・
「お前・・・・友達の俺達にずっと嘘ついてたのかよ!!!」
最低だとマークに頬をうたれ、ミゲルからもトニーからも泣かれながら一度ずつ本気で頬を叩かれるのを、ラディッツは真剣に受け止める。
常ならば攻撃は体が勝手に避けてくれるが、これは受けなければいけない大切な事だと反対に体をおしとどめそしてきちんと受け止める。
「すまない・・・だが、話を聞いてほしいんだ・・・」
受け身や気を巡らせずに受けた張り手に顔を赤くしながらも真剣な表情のうそつきの大人に、聞くだけ聞いてやるとマーク達は怒りの顔を崩さずに話す事を許した。
何がどうなって子供の自分達の中に入り、友達だとまで言って来たのか・・・遊びだと言われたらもう一度・・・今度は殴るとマークは拳まで固めたが
「俺は年齢以外は何も偽っていなかったんだ。」
「「「は?」」」
「給食当番もした事無いし、ゲーム機も持っていなかったし、遊園地にも行ったことが無ければ今の子供の遊びを一つも知らなかったんだ・・・」
もっと言えば、知らない事を人に尋ねるという基本的な事も最近の疎かにしていた・・・つまり・・・・サンとして言動は偽りではなく全部本当で・・・それが近頃の自分を駄目にしているのを、
「きちんと子供の頃に学ぶことを学びなおせって言われたって・・・・あんた・・・世間じゃ凄いヒーロー扱いされてても中身駄目な奴なのか?」
「う・・・・そう・・・だな・・・・」
「・・・・確かに、サンはコミュニケーション能力在りそうなのに、頼るとか聞くとかてんで駄目だったわね・・」
「こうしてほしいとか、ああしたいとか自分出すの下手だったよね・・」
「・・・・・面目ない・・・」
子供三人は、サンという子を本当の友達だと思っていただけ大人の遊びで揶揄われていたのかと怒っていたのだが、あのサンの駄目駄目さが本当だとしたら・・・
確かにあれは大人として駄目じゃないと言われてがっくりとする悟雲の様子に三人はおかしくなって笑ってしまった。
大人だって、ヒーローに見えるこの人だって完璧じゃなさそうだ・・・・
「悟雲さんは・・」
「あ・・・・なんか、敬称付けて呼ばれるのは嫌だな・・」
「あんた良い大人・・まぁいいや、そしたら悟雲でいいのか?」
「そう、してくれるか?」
短い間でも、確かに友人になれたマーク達に敬称を付けて敬語で話されたら落ち込むという可笑しな大人の言い分を、優しい子供三人はまた笑って受け入れ
「悟雲はヒーローしすぎて忙しくて遊べないのか?」
「まぁ・・・そうだな・・」
近頃は民間警備会社の表舞台で握手会やらインタヴューやサイン会もあって子役の頃と同じくらいになって、其の上地球の危険シグナルも入って来て忙しく、この間なぞ授業中に大規模噴火の予兆を掴んで
「先生!!ごめんなさい!お手洗いいいですか!!??」
恥を忍んでお手洗いの言い訳をしてトイレの中で、噴火しそうな山の近くのサイヤンℱ支部に通達を出した事もあるほどに、忙しいのだと伝えれば・・
「・・・・まるで秘密戦隊みたいだな・・・・」
「悪の組織のいない戦隊ね。」
「・・・・悟雲・・・君過労死しないでね?」
物凄く心配されて・・・
「よし!!!そしたら俺が悟雲よりも強くなって!!世間様のヒーロー役を俺がしてやる!!!!」
マークが物凄いこと宣言してきた!!
「俺はきっと地球の危機の予知なんてできないだろうけどさ、プロレスだかキックボクシングだかで強くなってマスコミの注目度を俺にも向けるようにする!!」
全部は無理でも半分も生き受ければ悟雲の負担減るだろうと・・・両手を腰に当てて宣言するマークは、ラディッツにとって本当にヒーローに見えた。
自分の素性を知るものは大抵は自分を助けると言ってくれるが、代わりになるとまでは・・・それは子供の無邪気さかそれとも本当に懐が広い人の壮大な夢かも知れないが、ラディッツの心に確かにマークはヒーローに映って
「まったく・・・君達みたいな無茶しそうな人の傷を治す人になれる様な医者か薬学の専門家にでもなるかな。」
「ふっふっふ!!私は戦う人達を癒す歌姫になってやるわよ!!!」
トニーも、ミゲルもカッコよくて
「悟雲、私達本当の貴方とずっと友達でいていいのかしら?」
「あん!悟雲はもう友達だろう?」
「マーク・・・でも・・・」
それでいいですかというトニーの言葉に、ラディッツはきちんとこちらから頼みたいくらいだと、友達でいる事になった。
「他のクラスにいる孫悟雲とクリリンは弟で、ジュニアはあの子は俺の・・・まぁ養子だが息子なんだ。」
三月まで学校にいるから俺の代わりに様子を見てやってほしいという言葉に、三人は引き受け、悟空達も学校を卒業する前とした後も、マーク達の交流は続く事になる。
馬鹿馬鹿しいようでいて本当に貴重で大切な体験をできた事は、ラディッツとそして周りの人達の心と絆を強くしていった出来事であった・・・・