中華まんの皮を作りながら、チャーハンと中華まんの具材をみじん切りにしながら卵のかきたま汁を作りつつ煮豚の鍋の面倒を見ているラディッツは・・・・残像拳でも使っているが如く台所で何人ものラディッツいてご飯を作っているように見える。
今日の夕食は全部俺が作るから、爺様はジュニアとお茶でも飲んでいてください
そう言って台所はラディッツに取られた
男を見ていきなり蹴り飛ばしたところから唖然としていた悟飯は、何が何だかわからないままにジュニアとお茶を飲んでいる。
ジュニアは飲料の類で水よりも多少味濃いのであれば大丈夫らしく、ラディッツは常に新しい飲み物をジュニアの為にこさえている。
そのジュニアも、ラディッツ同様に険しい顔をして悟空とそっくりな男を警戒して見ている・・・一体、同族かも知れないあの御仁の何が気に食わないのだろうか?
「・・・・なあ二人共・・・・あの文官長補佐官様は、いっつもあんな感じで飯を作ってくれんのか?」
その警戒されている男・ターレスは、なんだあの力の無駄遣いはと唖然としている。
動きも何もかもが凄すぎて・・・・飯作ってないで自分ぶっ殺しにくればいいんじゃねぇかとほとほと呆れて、仕掛ける気すらが失せてしまう・・・あいつ馬鹿だろう・・
「ん・・・・あんな兄ちゃん見た事ねぇ・・」
「悟雲兄さんはいつも俺達と一緒に作ったり、悟飯お爺さんと一緒にお話ししながら兎に角ゆっくりと作るんです。」
成る程、自分という敵がいるから警戒心マックスでいそいで飯の支度をしてるってわけか、可愛いじゃないか。
「文官長補佐官様よ~。」
「・・・・・・・・・・・」
「同族の俺に会えて嬉しくないのかい?」
惑星ベジータが無くなって、サイヤ人は絶滅寸前かも知れないのによ~というターレスの言葉に、意外にもラディッツは動揺しなかった。
身内と幼馴染達をこよなく愛する彼らしくないなと、からかいの言葉を発したターレスの言葉に、反応したのは人質ではなくラディッツを弄る為に腕の中に閉じ込めているカカロットの方がピクリと反応する・・・・面白れぇ
「気になるのかい?」
問えばおずおずと何か聞きたそうにし、ならお話の一つでもと口を開こうとした瞬間
ヒュ
音と共に腕の中にいるはずの二人が、ジュニアと呼ばれた男の腕の中にいた。
「・・・・いつ動いたんだんよ文官長補佐官様よ?」
誰かが動いた気配が無いが、絶対にあいつしかいねぇだろうとターレスが聞けば
「中華まんを蒸籠に入れて火を入れた足で返してもらった。」
相変わらず食事の支度をしながら、とんでもない事しやがる・・・何の気配もなく自分の腕の中からとるなんて芸当出来る奴ではなかったはずだが・・・情報も随分カビが生えてやがるなと、ターレスはラディッツが弱いという認識を捨て去り
「弟君に、一族の現状教えなくていいのかい?」
「・・・・絶滅なんぞありえんから安心しろカカロット。」
自分の幼馴染達は、自分の様に文官長補佐官同様の偉い地位にいるものばかりで、自分よりも早く結婚して今頃は幾人か子沢山がいるはず。
それが無くとも惑星ベジータの外にいたサイヤ人は結構おり、中には大人もいたのだから、どこかで散り散りになっても生きていけるのが自分達一族だと、ラディッツは兎に角ターレスから何かしらの情報を得るのを阻止していく傍らで
「あんたそんなに強かったか?」
「・・・・お前達の様な無頼漢が来てもいいように日夜鍛えているんでな・・」
「ほぅ?その割には子役とか役者をしていたのかい?」
「・・・・・・もぅ引退して今は民間警備会社のオーナーだ。」
「へぇ?どこに行ってもあんたはお偉いさんになるんだな。」
「資金提供と後はネームバリューだ・・・・出来たぞ!!」
ターレスには聞かれた事を全て答える
こいつは・・・・
ラディッツとのやり取りで、ターレスはラディッツの頭脳が衰えていない事に舌を巻く。
自分が何気なく話そうとしている内容は情報料が取れるものばかりで、もしもカカロットが聞きたい事を自分が教えれば、その支払いをラディッツカカロットかもしくは祖父とやらに支払わせる目論見があった
クラッシャーターレス軍団のリーダーの自分の性分を、よほどラディッツは知っている事になる。
カカロットと祖父がそんな事は知らなかったと言おうが知った事ではない、情報をただで貰おうという方が甘いのだが、自分は今、ラディッツの新鮮な情報をただで貰っている・・・・気に食わない
相手がくれているだけの事だろうという奴がいるかもしれないが、まるで情報を恵んでやると言わんばかりのラディッツの様子が気に食わないが・・・・ターレスは弱いのだ、同族に・・・・クラッシャーターレス軍団の荒くれどもとどんな残虐非道な仕事をしてきても、同族をそんな仕事にかけた事は・・・・・未遂というかちょっと違う事をしたがそれは兎も角として、決定的な何かがない限りは遊び殺す事をしようとは思わず、できれば自分を受け入れて欲しいと思っている・・・・ろくでなし野郎なのだ・・
その同族の中でも、こと現銀河の中でも一番注目されているラディッツがつんけんして自分を蚊帳の外に追い出そうとしているのがモヤモヤ~とするのだが、自分の悪名をきっとフリーザやザーボンやらドドリアやらが吹き込んだに違いないと、逆恨みの様に心中をキリキリとさせれば
「・・・・・・遺憾ではあるが貴様の分も少しはあるぞ・・・」
・・・・・文官長補佐官様?遺憾の使い方間違ってませんか?
その日の夕食は・・・お通夜の如くであった・・・それも当然でターレスが何かを言えばすぐにラディッツがその話の先を口にしてそこまでにするので会話になりようも無かった。
もしかして自分達は本当に不味い者を家に招き入れてしまったのではないかと悟空とクリリンも食欲はなくもしょもしょと食べ、結局作った夕食は半分残り、翌日に回せばいいとカプセルの中に保存され、ラディッツはいやいやながらもターレスの分までお茶を出し、夕餉の仕舞にした。
「なぁ・・・・兄ちゃん・・・・このターレスって人、兄ちゃんに何かしたんけ?」
核心をつく悟空の言葉に、ラディッツは再び弟二人をジュニアの腕の中に入れて悟飯もジュニアの隣に座らせた。
そろそろ埒を開けないと話が進まんとラディッツは意を決して
「こいつがさっき俺の昔働いていた場所の話をしていたのは覚えているな?」
「う・・・うん・・・・フリーザ軍ってところで偉い文官様だって・・」
「その俺の働き先から指名手配をされたのがこいつとその一味だ。」
「・・・・へ・・・え・・・・」
ええええええええ!!!????
「酷いな文官長補佐官様よ~、俺はそこまでお宅らに酷い事してなかっただろう?」
寧ろたくさんの情報を渡して軍のために働いたっていう言葉を、様々な意味で驚愕した悟空達の言葉の後にヘラっと笑っていうターレスをラディッツは射殺しそうな目で見つめる。
なにせこいつがした事は・・・
「俺の幼馴染達が-初遠征-で宇宙に出る時、その宇宙ポッドの推進部品の重要パーツを盗んでおいて酷い事をしなかったと?」
・・・・・がっつりと酷い事してやがったのだ
▲▲▲
ラディッツが特戦隊の対応係も兼ねて文官になって二年目の時、幼馴染達が初遠征に行く事になった。
それまでは行って帰ってくるので一日くらいの場所で魔獣討伐や宙域海賊の討伐であったが、其の時は宇宙ポッドで三日かかる場所に、大規模な奴隷商人の惑星ごとの討伐依頼であった。
そこがフリーザ達と契約を結んでいる商人と商売がぶつかる相手なので潰してほしいという依頼であったが、それを知らされていない当時のラディッツと幼馴染達は、奴隷商人潰しで張り切っていた・・・・まだ本当に何も知らない時であった。
「三日の距離か・・・何もなく帰ってきてね?」
「おいおい、フリーザ軍の宇宙ポッドの徹底管理は文官のお前の方が俺達以上に詳しいだろう?」
「けど・・・・」
「ラディッツは本当に心配性ね、大丈夫よ!今回の初遠征にはおじさん達のチームがついてくれるんだから!!」
「トーマさん達の戦い方を勉強させてもらいに行くだけだと思えよ。」
「俺達みたいに集団戦してくれんのかな?」
「お前達・・・フリーザ様からの仕事をなんだと思ってるんだ?」
遊びに行くんじゃないぞという真面目なリーキュの言葉にゲンイン達はシュンとし
「ラディッツ、お前は心配し過ぎだ。」
親父さん達と行って帰ってくるだけだとラディッツには優しいリーキュであった。
そんなクソガキと幼馴染達を見ているバーダックは、そろそろ時間だからさっさと来いとリーキュ達を促す。
本来ならば他のチームがラディッツ世代の初遠征のエスコートをする予定だったのを、ガキたちの初遠征を聞きつけたバーダックがこれまでの実績使ってねじ込んだのだ・・・・嫌々やっている振りが、トーマ達を爆笑させているのをうっせえとはたきながら発着場に向かいポッドに乗り込もうとした時・・
「・・・・・クソガキ・・」
「ん?・・・何事ですか下級戦士バーダック?」
「ち!・・・・このポッドの再整備を今申請させてもらうぞ?」
・・・・・・・はい?
宇宙ポッドの発着場は仮にも仕事場であり、親子であろうとも自分の方が仕事上の身分は上で公私のけじめをつけるラディッツの言葉に、バーダックもきちんと仕事の依頼をして、見送りに来たラディッツと周りの整備員達の脳内を疑問符だらけにした
何故なら
「このポッドは先程燃料を入れながら各動作チェックは済んでいますが?」
「それは分かってる・・・だが、それでも隅々まで調べて欲しい。」
「・・・・理由を伺っても?」
今回の遠征はそこまで差し迫った仕事ではないが、それでも隅々まで調べるとなるとかなりの時間と労力がかかり、余程の理由がない限りは先程整備員が言った通り動作チェックとエンジン回りと生命維持装置を点検して終わりなるのが通例であり、其れで済む程ポッドの管理は厳重さを自負している整備員達の鬼の形相を他所に
勘だ
・・・・・その一言を言ったバーダックにスパナやレンチ・・・土管まで投げつけられそうになったが
「分かりました。」
まだ文官長補佐官ではないが其れなりの地位にいるラディッツが許可を下した
「もしも何もなくとも私が責任の一切をとります、この事を今スカウターで録音しましたので皆さんは安心してポッドの緊急点検をお願いします。」
それこそ螺子の緩み一本までという文官の言葉に、最初は不満げだった整備員達を尻目にナナバ文官長補佐に、幼馴染達の遠征時刻を宇宙ポッドの緊急整備で遅らせていますと報告をしている時
「何だこれは!!!!???」
整備員達の絶叫が聞こえ、スカウター越しに聞いたナナバがすぐさま発着場にいる整備班の班長に連絡を取って何事かを問いただせば
「・・・・報告いたします、今朝方整備したポッドの・・・エンジンの推進部品の重要パーツだけが巧妙に抜き取られていました!」
直ぐに全てのポッドを緊急点検をしますという言葉に、軍内部は騒然としてフリーザすらをも動かした。
「この件を至急調べさせなさい。
監視モニターチェックはもとより、わが軍の推進部品パーツを持ち込んだ馬鹿がいないかを表と裏の商人と盗品のバイヤー全てを!」
・・・・・普段ならば戦士達のポッドがどうなろうがフリーザには知った事ではないく、後日この件の報告をしなさいで済ませているのだが、お気に入りの子ザル達が絡んだのが盗んだ奴の運の尽き
おかげで未明の発着場の監視モニターも徹底解析をされて、映っていた最初の映像がフェイクである事が本気を出した科学班にばれ、解析の結果盗んだ複数の下級戦士達の映像が映り、当然すぐさま尋問されてゲロった・・・ターレスがお小遣い稼ぎしないかと・・・・
ターレスだってまさか盗んだポッドに誰が乗るかだなんてそこまで調べる筈も無く、それが同族の、それもフリーザのお気に入りの子ザル様達が乗る予定で、しかも生き残る事に関しては野生もびっくりの勘を持っている戦士様が引率するなんて知りようもなく、すぐさま露見して指名手配がされたのだ。
ちなみに後日フリーザから、貴方はどうしてバーダックの意見を聞き入れたのですかと問われたラディッツは
「親父・・・・すみません、下級戦士バーダックの戦場での勘は外れたことが無いと聞きました。」
発着場からもう戦場だと口癖の彼が、勘だと言ったのであればそれは外れた事の無い
戦場の勘の事だろうと自分は信じたのだと
▲▲▲
「そんな事もしたっけかな~。」
それを懐かしむ様にへらりと嗤うターレスに、どうしてこの人の笑みに違和感があるのかともやっとしていたクリリンは分かってしまった・・・・この人・・・こいつは今まで自分達が出会った事の無い本物の悪党で!自分達を騙そうといい人そうな笑いをしていたからだと!!
良い人が笑う顔をたくさん見てきたクリリンだからこそ気が付けた事だが、それを知るにはもう遅く、悪党を家に、悟雲兄さんに出会わせてしまった!
悟空も悪い奴を助けてしまったと後悔をしてクリリン同様にジュニアの腕の中でカタカタと震えるのを、ようやく気が付いたかとターレスは楽しそうに笑いながら雑談を続ける。
「推進部品のあれは、普通盗まれたのなんて気が付かない細工の施し方を教えたつもりなんだがねぇ~。」
器用な奴等を選んだはずなのだがとわざとらしくぼやくターレスに
「・・・・親父が勘で気が付いた・・」
「へぇ!あのバーダックがか。」
あいつらしいと笑いながら
「時に文官長補佐官様よ?」
「・・・・・なんだ・・・」
「俺達の手配書の内容考えたのはナナバ文官長補佐官様と-あのお方-とどっちなんだい?」
手配書の内容で気になっていた事をラディッツに尋ねた。
確かに今の話の内容を聞いていれば、十四年前に突如として自分達がフリーザ軍から有無を言わされる事無くあんな厳しい指名手配を広域宙域にかけられたのかの訳は分かった。
図らずもフリーザのお気に入りに手を出してしまったからだが、あんな厳しい内容はどちらが決めたのか・・・それともサイヤ人で慇懃無礼だと自分を嫌い抜いていたザーボンかドドリアかと思って聞いてみれば
「俺が進言したんだ。」
「・・・・・なに?」
お茶を飲みながらしれっと答えたラディッツに、ターレスは何を言われたのか理解できなかった・・・・だって・・
「あの当時、俺はまだ八歳だったが地位はそこそこあってな、刑罰の資料は一通り目を通していてな、その中でもできうる限りの一番罰則を持ち出したんだよ。」
呑み終えた湯飲みを置きながら、何という事も無い事を話すようにラディッツはターレスに教えてやった。
「お前達クラッシャーターレス軍団の一味全員を調べ上げて映像を手に入れて、
デットorアライブの上にトゥーハンダーイヤーチェイスをかけてくださいと・・・・」
「手前か!!!!?????」
ラディッツが全てを言い切る前に、ブチギレたターレスがテーブルの上に乗ってラディッツの顔面に拳を入れようとしたのを、見越したラディッツがテーブルをひっくり返して蹴りをぶち込み、天井を破壊しながらターレスとテーブルを外に追い出した。
「親父!!」
「ラディッツ!!」
「すまない!絶対に後で話すから!!!」
外に追い出した後も飛びながら言葉を残して更にターレスを遠くに連れ出す。
どんな事になろうとも、この男は危険であり戦わざるをえないと判断していたラディッツは機を伺っており、怒らせて向かってくることに成功した。
あの当時の真実を聞けばブチギレを起こしたターレスならば追って来るだろうとそこそこの速度で飛べば案の定・・・
「手前みたいなガキに!!当時の俺達は惨めにも宇宙の果てまで逃げる羽目になったってか!!??ふざけんじゃねえぞ!!!」
プライドをズタズタにされたターレスは怒り狂ってここに来た目的すらも忘れ果ててラディッツを本気で殺しにかかった。
あれが悪の帝王フリーザや、その最側近のナナバ文官長やザーボン・ドドリアであったなれば怒りは湧くが、当時たった八歳のガキに何もかもをしてやられたなんて!!クラッシャーターレス軍団としての面目丸つぶれではないか!!ふざけんじゃねえ!!
気功弾の嵐を、ひらりひらりと白い袍をはためかせながら踊るようにあっさりと避ける様すら憎く映り、どこかの山の頂上に着いた時、スカウターが戦闘力三百という数字をしたから感知しターレスは止まって腕で飛んで来た気功弾を弾けば
「あのガキ・・・・調子に乗りやがって・・・」
兄を心配してきたのか、追って来たカカロットが気功弾を撃ってきた・・・
「お仕置きが必要だな・・・」
ニヤッと笑いながら自分の中では弱い気功弾を放てば
「カカロット!!!!」
シールドという言葉と共に、案の定ラディッツが付いてきてしまった弟達を庇った。
「バ・・・・ッ・・ジュニア!爺様とカカロットたちとここにいろ!!!」
ラディッツは来てしまった者達に対しての言葉を呑み込み気の密度を空間に固定できるほどに固めて弟達をシールド内に入れた。
自分が死ねば消えてしまうシールドだが、無いよりはましだと張りながらも上空のターレスから目をそらさなかった。
あれは危険人物だと、フリーザ様とそして珍しく親父のバーダックもあいつだけの事に関したら俺もフリーザ達と同意見だと言っていた輩
そんな危険人物は案の定
「くたばれ。」
高密度の気功弾を自分諸共にしようと放ちそうになり
「こっちだターレス!!!」
弟たちに撃たせるかと上空に飛んだラディッツに、ターレスは嗤った
「知ってるよ、お前が来るなんて・・・・」
まるで・・・恋人が此処に来るのだと言わんばかりの甘く冷たい声がラディッツの耳朶をうち
「兄ちゃん!!!!」
ラディッツの細い肩と腹の二か所に至近距離から気功弾を撃ち込まれた。
弟達を撃つ素振りをすれば、すぐさま上空にラディッツが上がって来る事を読んでいたターレスの罠に、ラディッツが嵌り血を流す兄の姿に悟空が絶叫する中、戦いのゴングが鳴らされた
しなやかに美しい獣の喰らいあいが