「スリープ中将は元々は普通の海兵でした
悪魔の実能力をいつ手に入れたかはわかりませんが彼は任務に忠実な…
しかし、彼を変える事件が起きました
海賊に家族を、故郷の村を…」
コビーはスリープの過去を聞き、スリープが海賊を憎む理由を理解した
「それで、あれ程に…」
その言葉にたしぎは捕捉する
「彼には兄がいたんです」
「お兄さん?
その人は?」
コビーは疑問を口にする
「海賊です…
正確には海賊でしたと言う言葉が正しいですね」
コビーはたしぎの言葉を待つ
「スリープ中将の兄は海賊となり、
大物とまではいかないまでも懸賞金がかかる海賊になり、その後何を思ったのか自らの故郷を襲いました
その時にスリープ中将は歯が立たず、故郷が襲われるのを止める事が出来なかったようです
その後彼は海軍に入り、自分でその兄を捕まえたんです」
「そのお兄さんが報復の為に村を?」
「いえ、そのお兄さんがいた海賊の仲間達です
スリープ中将のお兄さんがいた海賊が、スリープ中将への報復として村を襲ったんです」
コビーは顔を引きつらせる
「その事件からです…
スリープ中将は海賊との戦いにおいてやり過ぎる程になったのは…
無抵抗の海賊であろうと斬りかかり、白旗を掲げた海賊船に砲弾を打ち込み
これが正義だと、海賊を滅ぼす事が海軍の正義だと
その行動から、海軍内部でも危険視され彼は左遷されました」
やり過ぎだとは思う、しかし家族や故郷を奪われたスリープの気持ちもわからなくもない
コビーは拳に力が入っていた
握られた拳に視線が行き、コビーの感情を読み取ったたしぎだが、時間もない為話を進めた
「その後は、聞いた通りサカズキ元帥の元、捕縛に特化した部隊を立ち上げ、捕らえた海賊を拷問にかけ情報を集めたり、囮として使い海賊を殲滅するようになりました
リームさんがいつ囚われたのかまでは不明ですが、スリープ中将の能力の為に軟禁状態で手伝わされていたのでしょう」
話を聞いたコビーはなおさら許せない気持ちになった
スリープの気持ちは分からなくもない、しかしリームを巻き込む事は許す事ができない
家族を奪われたのであれば、家族から離されるリームの気持ちも考えればと
コビーは直ぐに仮面を付け直す
そしてたしぎに礼を言い"剃"で戦場へ戻った
たしぎはコビーに話をした後、少し考える
アラバスタでの事、正義を貫こうと思う時に手が届かない、その為に力をつけた2年間…
しかし、パンクハザードでも自分の部下を犠牲にしたうえ、結果として"麦わらの一味"に助けられてしまった事
自分の正義を疑うつもりは無い
しかし、貫く為の力がいつも足りないと感じるたしぎは、自らの力を疑ってしまう
真っ直ぐに自分の正義を信じる事ができるコビーが羨ましい
自分と同じ大佐なのに、ましてや自分よりも後に海軍に入ったのに、とても遠くに感じてしまう
そんな考えを巡らせているといつのまにか涙が流れていた
頬をつたい、床にポトリと落ちた
それに気が付いたのはいつのまにか頭を下に向けていたせいだった
「…泣いてる場合じゃ無い
その為に私は………」
持っていた刀を鞘から抜き、柄を握る手に力が入る
刀に映る自分の顔を見てたしぎは顔を上げた
「届くとか届かないとかじゃ無い!
私は…
………私の正義を!」