知らない間にGI7個獲ったことにされてた馬 作:タケノコランバス
キャッチコピー:先進主義の変革者。常に時代の先端へ
誕生日:6月24日
身長:157cm
体重:先進的
スリーサイズ:B81・W57・H85
(──私の父は、あらゆる勝負に勝ってきた)
背広を纏い、社会という戦場へ飛び込んでいく最愛のヒーローの姿を脳裏へ浮かべながら、彼女は詮無き回想を行う。
(……私だって、この世界を変えてみたい。小さい頃から、そう焦がれてやまなかった)
そう願ったきっかけは、とても単純なものだ。
時代の先をゆくアイデアと、それを形にするためのバイタリティを以て、身を置く業界を牽引してきたあの姿に憧れたからだろう。
叶える理由を問われるならば、その先に見える、他の誰でもない自分が切り開いた景色を映す感覚を味わいたいからに他ならない。
(そんな私に飛び込んできたのは、トレセン学園という場所でのチャンスだった)
そしてウマ娘の身に生まれた彼女が夢の足掛かりとしてレースを選んだことは、ごく自然なことであった。
(……誰も見たことがない功績を挙げて、この世界を変える。私の体は今、そのためにある)
決意を新たにしたウマ娘・チェンジオブエイジの胸には、その欲望がギラギラと燃えていた。
──いよいよ本格的に、チェンジオブエイジとトゥインクル・シリーズへの挑戦が始まる。
(……置いていかれないようにしないとな)
担当するのは、並のウマ娘を遥かに凌ぐ先進性を持ち合わせる求道者。
そんな彼女を支えるにあたって、自らも並ならぬスピードで研鑽していかなければならない、と気持ちを新たにしていたひとりの新人トレーナーである自分は、初めてのトレーニングとその先のプラン作りのために奔走していた。
「ぐぎぎ……」
おおよそ人間ひとりの手には余る量の書籍を抱え、図書室を闊歩していた自分。しかしその重量に、流石に気合いが入りすぎたかと無鉄砲さを悔いたそのときだった。
「……あっ!」
一番上に乗せていた小さい本が滑り落ちる音が聞こえ、洩らす。
両手を塞がれている身では受けることもままならず、万事休すかと床へ向かう本を目で追いかける自分の前に、救世主が現れる。
「──っと。危ない危ない……」
ぱしっ、と小気味よい音に、本が床へ叩きつけられる前に誰かの手へ収まったことを悟り、胸に安堵が広がっていく。
「こういうものは手間を惜しむといいことがありませんよ?」
「いやはや……」
わかりやすい皮肉に、面目ないと詫びようとして目を合わせてみると、そこには見知った顔があった。
「……ってエイジ!?」
「おや、トレーナーではありませんか」
驚いて呼んだ彼女の名に、相手もこちらの正体を悟ったらしく声を上げる。
「何か読みに来たのか?」
場所故にすぐさま動揺を静めてそう問いかけると、エイジは少し困った様子で口を開いた。
「ええ、まあ。それよりも、この本をなんとかしましょう」
そう言うと自分の抱えていた本を半分ほど取り去った彼女は、席への案内を促すのだった。
「40年ほど前のダービーウマ娘の自伝に、こっちは今年のスポーツ医科学本……? 随分新旧の差が激しいもので……」
やがて同じテーブルにつくと、自分が持っていた書籍をいくつか手に取ってそう呟いたエイジ。
「まあ、今と昔とで見比べていく意味もあったからな」
そう言うと解らない顔をした彼女へ向け、意図を努めて丁寧に説明した。
今先端を行く技術を学んでいくとともに、過去の誰かの体験から、学んだものを応用できる場所をしっかり認識していくことが狙いだったのだ、と伝えた。
「最先端があるのは、あくまで過去の積み重ねありきだ」
歴史を軽視して最先端の追究は成し得ない、そんな思いが根底にある故の言葉だったが、これは彼女に押し付けるために放ったものではなかった。
「けど、その積み重ねを引き受けるのは俺に任せて欲しい」
ぴく、と眉を跳ねさせた彼女へ向け、今持っているたったひとつの願いを伝える。
「君は、好きに時代を追いかけていてくれ」
これは自分の直感だが、センスに任せて自由に突っ走らせた方が、チェンジオブエイジというウマ娘にとってはプラスに働くはずだ。
先へ、先へと足を急いで、一秒でも最先端の世界を見たい。その気持ちは彼女にとって間違いなく欠かせないものだろう。
だが、いつも全力で走っていれば大事なものを見落とすかもしれない。飛びついたものがガラクタであるかもしれない。
だとすれば収まるべきポジションは、彼女のやりたいこと、選んだものをできるだけ尊重して、細かい部分の調整に徹する半放任主義の役回りだろう。
そう考えを伝えると、エイジは愉快そうに笑った。
「……ふふふ、やはり私の目に狂いはなかったようで」
その反応から選択が間違いでなかったことを悟った自分は、意気揚々と本をひとつ手に取る。
すると、エイジの目的をまだ知らないことに気づき、訊いてみることにした。
「そういえば、エイジは図書室に何を読みにきたんだ?」
ああ、と思い出したように洩らした彼女は、手持ちの本をこちらに示してきた。
「多読図書の棚に、これがあったもので」
そう言われて題名を見やれば、外国語で記されていた故に判別しづらかったものの、なんらかのトレーニング概論であることは察せられた。
「つい最近、よその国で出てきてまんま輸入されたばかりで、和訳が追いついていないものだったんですけどね」
間もなくスマートフォンを取り出すと翻訳のアプリを開いてみせた彼女は、いい時代になったものだと笑っていた。
「いい試みだと思う」
翻訳技術ありきとはいえ、最新鋭の追究のためなら言語の壁を越えることも厭わない姿勢に、飾ることなく賞賛を行うと、穏やかな表情に変わったエイジはある提案を持ちかけてくる。
「──折角です、今日はこのまま意見交換会とでも行きましょう」
勿論、と頷くのはすぐのことだった。
──こうして、変革に挑むウマ娘・チェンジオブエイジとの最初の3年間が始まった!
こっから先を育成ストーリーのフォーマットに則って進められるか思案中。
簡単に言うとまた月単位で投稿感覚が空くかもしれないということです。