知らない間にGI7個獲ったことにされてた馬 作:タケノコランバス
苦手なこと:初期不良
この小説が1周年らしいのでもう1話ドン。
──チェンジオブエイジのデビューまで、一週間を切ったある日。
「だああああっっ!!」
貸し切っている練習コースにて、スパートを見せる彼女の脚は以前よりキレを増していた。
「そこまで! いいタイムだ!」
ストップウォッチのボタンを押すや否や、そう告げるとエイジはニヒルな笑みを浮かべる。
「色々うまく働いているようで何より!」
「ええ、ご配慮のおかげで、モチベーション高くやれてますとも!」
トレーニングやそれ以外の部分でも追求してきた自分たちのスタイルは、今のところ十全に稼働してくれている。
それは意気高らかなエイジの口ぶりからも現れていた。
間もなくフィードバックに移り、その後は速やかに解散、というルーティーンを毎日繰り返しているうちに、メイクデビューの日はすぐに訪れた。
「……ふぅ。さーて、あそこが私のたった一度の初戦を拝める場所ですか?」
最寄りの駅へ降りるや否や、遠くに見えるレース場へ向けてそう言い放ったエイジ。
「自信満々だな」
口ぶりからは、出走前ながらすでに勝っているつもりのようにも見える。そう思い声をかけると、彼女は何でもないように笑っていた。
「怖くない訳じゃありませんがね。それ以上にワクワクしているだけのことです」
俺もだ、と賛意を示しながら、エイジとともにレース場へ足を踏み入れた。
やがて教え子を送り出した自分は、パドックにて彼女含めた出走者の登場を待っていた。
「順調のようで何よりです」
突如聞こえた声の方へ振り向くと、そこには見覚えがないウマ娘が佇んでいた。
「……おや? ああ、失礼。そもそも名乗ってすらいませんでしたね」
こちらの動揺を見透かしたのだろうか、そう彼女は自己紹介を切り出してきた。
「私は……ジェニュインと申します」
そうして聞かされた名を受け、脳裏にプロファイルしていた情報がよぎった。
ジェニュイン──彼女は、フジキセキと並んでクラシック路線の有力候補と称されるウマ娘だ。
「もしかして、あの子と知り合いなのか?」
そう訊いたのは、わざわざ自分に声をかけてきたという事実から、エイジとの間柄をそう推察したためだ。
「ええ。痺れる日々を送る仲です」
にこやかに返されたのは短い答えだったが、関係の愉快ぶりを表すには十分な言葉だった。
用件でも尋ねてみようか、と思慮したところで、彼女はひとりでにこう続けてくれた。
「今日は嫌な風が吹いていないようでしたので、様子を見に来ました」
その独特な言い回しには、呆気にとられながらも、なぜだか気を許してしまう。そんな魅力を意味する雰囲気があった。
「勝てるだろうか、あの子は」
「私には何とも。ですが──」
半ば無意識に放たれた問いは、どこか無機質にかわされる。しかし、ジェニュインの中には、確かな確信があるようだった。
「──新しい時代の片鱗は、確かに見える。そんな気配がします」
短すぎるとあなたは言う!
ジェニュインのキャラ付けは適当です。諸々が明らかになったら口調修正します。