紅き戦鋼のTSガール's   作:上殻 点景

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㉔ リミットと動作確認と予想外

【城壁基地/地下・廃棄場 [現地時間7:00]】

 

金髪少女(わたし)は操縦席で、戦鋼の動作確認をおこないます。 

 

[こっちwは、d大丈夫だよー]

 

外にいる、ナット少女の声が通信機から聞こえます。

 

正直、叫んでもらうと聞こえる距離ですが、コレも確認の為です。

 

「ナットナット、手伝ってもらえるのは有難いんですが」

[く、訓ひひ、練は昼からだし、上官たちhは見回りに、i行ってるよー]

「そうですか」

 

通信機は、飛びや雑音がかなり見られますね。

 

今更直す余裕もないので、回線をそのままで、次のテストを行います。

 

[そそれより、戦鋼hは大丈夫なのー?]

「大丈夫です。絶対は言い切れませんが」

 

操縦棒のボタンを押します。

 

いびつな金属音。画面には、外の風景がゆっくり映し出されます。

  

(頭部のカメラは、及第点ですね)

 

追従性が遅いとか、画像が荒いとか、思うことはありますが、今更です。

 

[ここれはどkこに付ければいいのー]

 

ナット少女が触るは、廃材で作ったロケット弾発射装置です。

 

「それっ、気を付けて触れてください」

 

廃材を再利用して作った武器なので、安全性が保障できません。

 

最も起動してもキチンと飛ぶかすら怪しいですが。

 

「あいあい「ピッ」────へッ」

 

音とともに飛び出すは飛翔体(ミサイル)

 

噴煙を破り────▷壁に突き刺さり、爆発(Dooon!!)

 

土煙は操縦席まで入り込んできます。

 

「だ、大丈夫ですか」

[な、何tとかだよー]

 

(起動装置の接着でも甘かったでしょうか)

 

とりあえず、六角少女が無事でよかったです。

 

[あれー、崩れた先nにa穴ー?]

「空洞ですか? 暗くてよくわかりませんが」

 

戦鋼の画面を拡大しても、暗闇。

 

確かによく見れば洞窟のような輪郭も見えます。

 

『大方、鳥カス(ハーピィ)どもが作ったんだろ』

 

脳内の幻聴(ナビィ)から補足が入ります。

 

「城につづく、隠し通路ってことですか」

『逆だ、城から逃げるための地下通路だろうな』

 

「そんなにハッキリとわかります?」

『鳥カス共は、妙なプライドを持っていてな────傲慢にも、他生物を見下したような精神だ』

 

「それがどうつながるんですか」

『だからこそ、()()()()()()()()()()()()()()()が、地下を使って逃げるなんて誰も考えない訳だ』

 

幻聴《ナビィ》は、満足そうに頷きます。

 

『これを考えた鳥カスはキレ者だな』

「そんなもんですか」

「ああ、ハーピィと認めてもいいレベルだ」

 

幻聴の談義をながし聞き半分に、相槌を打っておきます。

 

(確か、敵の根城を改築したとか言ってましたっけ)

 

それなら、抜け道の一つや二つはあるのも納得────気配?

 

「ナビィ……何か、いませんか」

『冗談はよせ。放棄されて────いや気を付けろ』

 

暗闇に浮かぶ、赤点。

 

しかも、単体ではなく多数。

 

「ナットナット後ろに下がってっ、初級-強化魔法」

 

正面装甲を落とし、ペダルを踏みこみます。

 

おもいっきり、ペダルを踏んだのですが────

 

「ナビィ、戦鋼が動きません」

『コッチが準備もしてないのに、動かせるかッ、馬鹿者』

 

「何やってるんですか、幻聴(ナビィ)っ」

『偶には知識を見せびらかしたいときもあるだろッ』

 

多数の赤点は、徐々に大きく、こちらに確実に近づいていることが分かります。

 

「ナビィっ、後、何秒要りますかっ────」『────90いや、45秒だ』

 

暗闇を抜けたのか赤点の正体はあらわになります。

 

画面に映るは、人型。ですが。

 

肌は青色。顔は魚。

 

(見かけだけなら“魚人”と言ったところでしょうか)

 

「本当に何でもいますね、異世界はっ」

 

戦鋼の通信機が鳴ります。

 

[ライrライちゃん、d大丈夫ー?]

「大丈夫なので、逃げておいてください」

 

[ライライちゃんは……]

「戦鋼をこんなところで失う訳にはいかないので」

 

[仕方ないなー、ライライちゃんは……]

「な、ナットナットっッ」

 

ナット少女は飛び出していきます。

 

方向は後ろではなく、敵にです。

 

 ◇◆◇

【城壁基地/地下・廃棄場 [現地時間7:30]】

 

ナット少女こと、六角ナット(わたし)は手を握りしめる。

 

ナットの付いた黒髪をなびかせ、前に動き出す。

 

工具(スパナ)を拾い────走る。

 

(無理なのは、自分が一番分かっている) 

 

攻撃魔法は知らないし。

 

まともに戦闘したのは、学校での訓練が最後だ。

 

(あーあー、彼女を見捨てて逃げるのが賢いんだろうなぁ)

 

ライライちゃんと居たのは────たった数日。

 

彼女のことはちっとも知らない。

 

同期なのに私に全く頼ってこないし。

食堂に行かず、レーション食べてるし。

部屋に帰っても来ず、地下で戦鋼いじってるし。

 

ちょっとおバカで、呆れるほど真っすぐなほど意志を持っている、女の子ぐらいしか。

 

「まったく、これは見捨てられないよねー」

 

これから知るためにも、

 

私と友達になってもらうためにも────走る。 

 

初級(Anfänger)-強化魔法(Stärkende Magie)

 

工具を淡く光らせ、魚人に接近。

 

これでもかと飛び込んで、大きく工具を振り下ろす。

 

「oYKKQXmBQj⁉」

「悪いけどッ、もらったよー」

 

洞窟内で幾重にも反響する金属音。

 

音は、攻撃が当たったという証拠でもあり、

 

────弾かれたということでもある。

 

鱗には傷一つもない。魚人の青い鱗は、驚いた表情の私を映す。

 

「ちょっとは効いて欲しかったなー」

 

とっさに、後ろに跳んだのは、賢かったかもしれないと思う、ナット少女。

 

まあ、それより早く囲まれたら意味はないんだけど、とも思うナット少女。

 

「JheftVaKI!」

「jPyTyCYuSN⁉」

「xAhBMeFJe!」

 

逃げてれば、生きてただろうなぁ。

 

ごめんね、皆。

 

ごめんね、ライライちゃん。

 

「はは、もうちょっと優しくても───ガハッ───……」

 

壁に打ち付けられ、私の視界は黒く染まるのだった。




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