【ギルド総本山/中腹/露店通り [現地時刻 昼すぎ]】
露店をめぐっていた、娘娘猫と巨人族にしては小柄なゴンスさん。
「ゴンスニャ~、ゴンスニャ~がいれば、どんな敵でもたおせるニャ♪」
そんな声が聞こえてたのは束の間、ゴンスさんは、娘娘猫さんを見失ってしまいます。
「ど、勝手に行っちゃったでごんす」
「おーい、そこの小巨人、ちょっといいカ」
「えっと、なんでごんすか?」
「ここら辺にデカい工房をしらねーか」
絡んできたのはお酒臭い、女性。
頭に古さを感じさせる角を生やした女性────つまるところ、龍姉です。
「実は、妹の為にプレゼントを作りたくてな」
「それなら、向かいにあった工房が大きくて、なんでもありそうでごんす」
「向かい……あのなぁ、向かいって言われても、向かいには建物が沢山あるだろぉ」
龍姉は、妙なことにブチぎれています。
聞いたのは自分なんですから、おとなしくありがとうを言って探せよ、と思ってしまうのが一般人。
それもそうかと思って、案内するのがゴンスさんです。
「なら、近くまで案内するでごんす」
「おっ、なかなカに話が分かる巨人だな」
路地裏から、表通りへ、龍姉とゴンスさんは歩き始めます。
足取りは“やや重たく”。順調とはいえない進みをする、ゴンスさん。
「どうした、巨人。なんか思う事デもあるのか?」
「龍の方、分かるでごんすか」
「分かるもなにも、そんな足取り、そんな顔をしてりゃあ、誰だってきになる」
「それは申し訳ないでごんす」
「ばかが、謝る男がどこにいんだ。こういうときは嘘でも虚勢を張るってのが、男ってモンだ」
「もうしわけないでごんす「また謝っテるぞ」……ゴンスは黄金の騎士みたいに強く生きれないでごんす」
龍姉の足が止まります。
何かを思い出すように、空を見上げ、ゴンスさんの方を向きます。
「黄金の騎士……また、懐かしい名前をだしてくる奴だな」
「知っているでごんすか?」
「当然だろ。このお龍をだれだと思ってるんだ」
「なら────彼の鎧のありかを知らないでごんすか」
「鎧? なんでそんな事を、私に聞いてくる?」
「黄金騎士の鎧。無敵の力を得るそれがあれば、彼女はきっと勝てるでごんす」
龍姉は頭をかいて、困った表情を浮かべます。
困った表情というのは、場所は知っているが、ゴンスさんが思ったような結果にはならないという表情です。
ですが、それを言ってしまうと彼の浪漫を傷つけてしまうことは、デリカシーのない龍姉でも分かる事なので、言葉を濁します。
「鎧があっても勝てねーよ、アレはそういうモンだ」
「……そうなので、ごんすか?」
「例えばな、すっごい硬い鎧があったとしても、使い手が一流じゃないと、活かしきれないだろ」
「使い手は一流でごんす」
眼には疑いようのない本気を宿した、ゴンスさん。
「別に、ほら、そこら辺ノ高そうな武器でもなんとかなったりするだろ」
「なんとかならなかったから、探しているでごんす」
「あのなぁ、一体何と戦うつもりだァ? ここには大抵の化物を殺せるモンが売ってるだろ」
「全力を、いや全力を越えても倒せなかった化け物がいるでごんす」
準決勝を思い出し、彼女たちの奮戦を思い出し、それを見る事しかできなかった自分を恥じる、ゴンスさん。
彼にとって、天上天下大会は所詮憧れに近く、参加できるだけでも満足がいくものでした。
ですが、今では、それだけでは、物足りない体になっていました。
「龍の方、ぜひ鎧のありかを教えて欲しいでごんす」
「なら、テメーにとって、いい知らせと悪い知らせ、どっちが聞きたい」
「なら悪い知らせからでごんす」
「黄金騎士の鎧は溶けて、別のモノになっている」
「なっ、じゃあ、鎧は存在しないでごんすかッ!!」
「馬鹿ガ、いっただろ、いい知らせもあると」
龍姉は、盛大にニヤリと笑い、
「────その鎧を作っタ、鍛冶師が目の前にいるってことだ」
楽しそうに“そう”いうのでした。
ここまでよんでいただきありがとうございます。
誤字脱字報告があると作者が喜びます。