紅き戦鋼のTSガール's   作:上殻 点景

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99 ゴンスさんと酔っぱらいと鎧

【ギルド総本山/中腹/露店通り [現地時刻 昼すぎ]】

 

露店をめぐっていた、娘娘猫と巨人族にしては小柄なゴンスさん。

 

「ゴンスニャ~、ゴンスニャ~がいれば、どんな敵でもたおせるニャ♪」

 

そんな声が聞こえてたのは束の間、ゴンスさんは、娘娘猫さんを見失ってしまいます。

 

「ど、勝手に行っちゃったでごんす」

「おーい、そこの小巨人、ちょっといいカ」

 

「えっと、なんでごんすか?」

「ここら辺にデカい工房をしらねーか」

 

絡んできたのはお酒臭い、女性。

 

頭に古さを感じさせる角を生やした女性────つまるところ、龍姉です。

 

「実は、妹の為にプレゼントを作りたくてな」

「それなら、向かいにあった工房が大きくて、なんでもありそうでごんす」

「向かい……あのなぁ、向かいって言われても、向かいには建物が沢山あるだろぉ」

 

龍姉は、妙なことにブチぎれています。

 

聞いたのは自分なんですから、おとなしくありがとうを言って探せよ、と思ってしまうのが一般人。

 

それもそうかと思って、案内するのがゴンスさんです。

 

「なら、近くまで案内するでごんす」

「おっ、なかなカに話が分かる巨人だな」

 

路地裏から、表通りへ、龍姉とゴンスさんは歩き始めます。

 

足取りは“やや重たく”。順調とはいえない進みをする、ゴンスさん。

 

「どうした、巨人。なんか思う事デもあるのか?」

「龍の方、分かるでごんすか」

 

「分かるもなにも、そんな足取り、そんな顔をしてりゃあ、誰だってきになる」

「それは申し訳ないでごんす」

 

「ばかが、謝る男がどこにいんだ。こういうときは嘘でも虚勢を張るってのが、男ってモンだ」

「もうしわけないでごんす「また謝っテるぞ」……ゴンスは黄金の騎士みたいに強く生きれないでごんす」

 

龍姉の足が止まります。

 

何かを思い出すように、空を見上げ、ゴンスさんの方を向きます。

 

「黄金の騎士……また、懐かしい名前をだしてくる奴だな」

「知っているでごんすか?」

 

「当然だろ。このお龍をだれだと思ってるんだ」

「なら────彼の鎧のありかを知らないでごんすか」

 

「鎧? なんでそんな事を、私に聞いてくる?」

「黄金騎士の鎧。無敵の力を得るそれがあれば、彼女はきっと勝てるでごんす」

 

龍姉は頭をかいて、困った表情を浮かべます。

 

困った表情というのは、場所は知っているが、ゴンスさんが思ったような結果にはならないという表情です。

 

ですが、それを言ってしまうと彼の浪漫を傷つけてしまうことは、デリカシーのない龍姉でも分かる事なので、言葉を濁します。

 

「鎧があっても勝てねーよ、アレはそういうモンだ」

「……そうなので、ごんすか?」

 

「例えばな、すっごい硬い鎧があったとしても、使い手が一流じゃないと、活かしきれないだろ」

「使い手は一流でごんす」

 

眼には疑いようのない本気を宿した、ゴンスさん。

 

「別に、ほら、そこら辺ノ高そうな武器でもなんとかなったりするだろ」

「なんとかならなかったから、探しているでごんす」

 

「あのなぁ、一体何と戦うつもりだァ? ここには大抵の化物を殺せるモンが売ってるだろ」

「全力を、いや全力を越えても倒せなかった化け物がいるでごんす」

 

準決勝を思い出し、彼女たちの奮戦を思い出し、それを見る事しかできなかった自分を恥じる、ゴンスさん。

 

彼にとって、天上天下大会は所詮憧れに近く、参加できるだけでも満足がいくものでした。

 

ですが、今では、それだけでは、物足りない体になっていました。

 

「龍の方、ぜひ鎧のありかを教えて欲しいでごんす」

「なら、テメーにとって、いい知らせと悪い知らせ、どっちが聞きたい」

 

「なら悪い知らせからでごんす」

「黄金騎士の鎧は溶けて、別のモノになっている」

 

「なっ、じゃあ、鎧は存在しないでごんすかッ!!」

「馬鹿ガ、いっただろ、いい知らせもあると」

 

龍姉は、盛大にニヤリと笑い、

 

「────その鎧を作っタ、鍛冶師が目の前にいるってことだ」

 

楽しそうに“そう”いうのでした。




ここまでよんでいただきありがとうございます。

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