憑依した美少女が体から出してくれない   作:甘朔八夏

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「憑依解除!」

 

【アナスタシア=アウロラに申請を拒否されました】

 

「憑依解除ぉ!」

 

【アナスタシア=アウロラに申請を拒否されました】

 

「なんでだよ!!」

 

おかしい。これはどう考えたっておかしい。意味が分からない。

 

<今の叫び声、あの変態貴族の私兵にも聞こえたようですね>

 

「はぁ!?」

 

一度黙って耳を澄ませると、下町の喧騒に明らかに不釣り合いな統率された足音が、こちらに近づいていることに気づく。

 

アナスタシアの言い分だと、あいつらに捕まった時点でゲームオーバー。俺の華々しい異世界生活は開始数十分で性奴隷落ちだ。

 

(ふざけんな!!!)

 

有り得ない。転生チートを貰ったのにそんな結末など。創作物の悪人にもなれないそんな小物みたいな人生など。

 

別に、物語の主人公のような存在になって賞賛されたい訳では無い。俺は憑依した女の子たちの絶望した反応が見たいだけなのだ。

こんな全てを諦めたような女の身代わりになって終わるなんて、自分で自分を許せない。

 

<そんなに嫌なんですか?>

 

(どう考えたって嫌に決まっているだろ!?)

 

<…分かりました。じゃあいいですよ。出ていってください。でもあいつの元へは帰りません。ここで自爆魔法を使います。貴族の私兵と一緒に数百の肉塊になってこの地面に赤い染みを作ってやりますよ>

 

(え″。……ごめん、俺グロいの苦手で…その話やめてくれるか?)

 

<いいや駄目です。貴方はこれから邪な事をしようとして、結局見捨ててぐちゃぐちゃの肉塊になった私のことをずっと記憶の片隅に置いたまま残りの人生を生きてもらいます>

 

アナスタシアの懇切丁寧な説明に、つい想像してしまった。

この場所は実は「幽体化」を使用した場所からさほど離れていない。さらにこの能力には「幽体化」を解除して生身の体になると必ず、「幽体化」を開始した場所と同じ所へ戻るという性質がある。

 

つまり、彼女を見捨てて自分の体に帰った瞬間、少し遠くから生々しい爆発音が聞こえてしまう可能性がある。

 

俺が見殺しにした少女の断末魔が。

 

(……あー!やるよ!やってやるよ!こちとら転生チート持ちだぞ!舐めんなよ!)

 

無理だ。俺は人の死を背負って生きていけるほど強くは無い。非常に、非常に不服だが、女神様(ソレイユ)に宣言した通りにこの能力を協力に使ってやろうじゃないか。

 

計画通り、と言いたげに笑みを浮かべるアナスタシアにイラッとするが今は無視。

 

(アナスタシア!今から何が起こっても混乱するなよ!俺の言うことを聞け!)

 

<はぁ…何をするつもりか分かりませんが、考えがあるのですね。大丈夫です、たとえ泥舟であっても泳げない私からすれば救いです>

 

いちいち(かん)に障る言葉を吐く女だ。しかし、急くような何人もの足音がすぐそばまで迫っている。苦言を申している暇などあるはずが無い。

 

深く息を吐く。できるか分からない。ぶっつけ本番だ。しかしできなければ一生奴隷(バッドエンド)

 

なんとなく感覚はわかる。これは憑依ではない。「アナスタシア」が今の俺の身体だ。できる。己を信じろ。さっきと同じ要領で…!

 

(「幽体化」!)

 

俺を現実に繋ぎ止めていた生身(くさり)が千切れていく。重力を感じなくなったかのように体が軽くなっていく。

 

<え!?わわ、何がどうなって…!?>

 

アナスタシアの身体が力を失って倒れていく。それが地面に激突する瞬間、身体は煙のように揺らいで消えた。

 

「いたぞ!ここだ!……は?」

 

間一髪。

アナスタシアが隠れていた木箱の裏は、既にもぬけの殻である。

確かに(ナーシャ)の叫び声を聞いた私兵は首を傾げて周囲を見て回り、最終的に舌打ちをして路地から出ていった。

 

深いため息が漏れた。成功だ。「幽体化」は「憑依」とは異なり、拠点(リスポーン地)となる身体が必要だ。つまりアナスタシアの身体から抜け出しても、俺の帰る身体は彼女のものになる。

 

これなら同意も関係ない。

 

<え!?私の身体が消えた…?って言うか、なんですかこれは!?私今浮いてます!?>

 

…さて。彼女の方へ向き直る。もしかしたら、と思っていたがまさか本当に一緒に幽体化されるとは。

 

(いいか、この状態になったとき俺たちは不可視になっている。つまりこの状態なら誰にも見つからないんだ)

 

幽体についての詳しい説明は無視。面倒くさい。今必要なことだけをかいつまんで話す。

 

それを聞いたアナスタシアは顔をぱっと明るくした。

 

<! それじゃあ、このまま逃げたら——>

 

(駄目だ。この姿でどれだけ移動しても生身の身体がここにある事実は変わらない。今は消えているが、実体に戻ると再びここに戻らされるんだ)

 

<そう…ですか。やっぱり逃げるのは無理ですよね…>

 

一転、肩を下げて顔を俯かせるアナスタシア。そんな彼女に歩み寄り、肩を軽く叩いた。

俺を見上げる彼女に笑みを浮かべてみせる。

 

(さっき言ったろ?チート持ち舐めんなよ、ってな)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<…なんて大口叩いた割には地味ですね>

 

おいそこ。うるさいぞ。

「チート」が何か分からなかった彼女は俺の宣言にきょとんとしていたが、とりあえず自信ありげなことだけは伝わったらしい。

 

現在俺たちは再び王都上空を飛び回って、私兵の位置や数を正確に把握しようとしている。その地道な作業にアナスタシアは苦言をこぼしたのである。

 

まるでわかっていない。こういう地道な作業が生死を分けるのだ。

 

大通りに6人、6人、5人の3グループ。各路地ごとには2人組が固まって探索しており、スラムの方では4人が手分けしている。

 

ざっと見ただけでこれである。しかも彼らは秘密裏に捜索しているつもりのようだ。探し方が必死すぎて周りに少し怪しまれていることにすら気づいていない。

 

(…お前、何者なんだ?)

 

その理由は確実に彼女の素性にあるだろう。

 

<あら?人にものを聞きたい時はまずは自分から、ではなかったんですか?>

 

ぐっ… 先ほどの俺のセリフをそっくりそのまま返してきやがった。追われている+体を乗っ取られた+幽体化を初めて体験した、という異常よくばりセットな状況で軽口を叩ける胆力。

 

確実に只者ではない。

 

(…やっぱり何者でもいいわ)

 

悔しかったので聞くのは諦める。完全にしてやったりの顔をしている彼女をすごくチョップしたくなった。

 

しかし口論で手を出したら負けである。俺は歯噛みしながらも沈黙で対抗した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…よし」

 

私兵がこの場所から離れた瞬間を見計らってアナスタシアの身体に戻り、手を閉じたり開いたりする。元の「汐海 宙」の身体とは背丈も体型も違うのに、不思議と全く違和感は無い。これもチートの力なのだろうか。

 

<どうしても無理なら、自爆魔法使ってもいいですよ>

 

(いやテンション下がること言うなよ。…ってか、さっきはスルーしたけど自爆魔法って何だよ。怖いんだが)

 

<国家機密を扱う一定以上の地位を持つ者の必須魔法ですよ?>

 

本当に恐ろしいことを言わないで欲しい。俺はスプラッタだけは本当に無理なのだ。…ん?魔法?

 

(他に何か魔法を使えるか?)

 

<中級までの光魔法と、初級の火魔法が使えます>

 

(どんなことができるんだ?)

 

<光魔法はそこそこの広範囲を好きな明るさで照らせます。火魔法は指先に火を灯すことができます>

 

…使えない。せめて攻撃手段が欲しかった。

 

露骨に落胆した様子の俺にアナスタシアは少し怒ったのか、少し早口で説明する。

 

<これでも私、かなりすごい方なんですからね?まず魔力を感知できるってだけですごく珍しいんですから…>

 

「ん?魔力ってこれか?」

 

先ほどから体の中をぎゅんぎゅんと循環している温かい何かを指先に集める。

 

体の熱が僅かに抜けていく感覚と共に、指先にガスバーナーのような青い火がついた。おぉ、思ったより強い。

 

<!?…え?なんで!?いや、だって私、魔力感知の訓練に半年はかかって…!>

 

(お前の身体だからじゃないか?)

 

恐らく「憑依」には奪った体のスペックを自在に使うことができるのだろう。やはり転生特典。素晴らしい性能をしている。…………憑依解除に同意が必要というクソ機能さえなければ。

 

いずれにせよこれは好都合だ。作戦は大幅に変更。不安はあるが、窮地を脱する可能性が1%でも上がるなら何でも利用してやろう。

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 

「!!!」

 

勢いよく大通りに飛び出した俺に、数十メートル先にいた私兵が目を見開く。もとよりわざと見つかるつもりだったが、それでも想定よりも遥かに早い。なんでこの人混みの中でそんなにすぐ見つけられるんだよ!

 

<私の髪、よく目立つんですよね>

 

…あっ。外套のフードを被るのを忘れていた。やらかした!!言ってくれよ!!

気休めにもならないが今更ながらにフードを被り、小さな体を生かして人混みをするすると抜けていく。

 

そんなに捕まえたいのなら「いたぞ!捕まえろ!」なんて叫べば楽だと思うのだが、あまり大事(おおごと)にしたくないのか、無言で俺を追ってくる。

しかしこの人の多さの中で俺のように器用に人と人との隙間を抜けていくことは彼らには不可能だろう。

 

後ろを振り返って私兵との距離が先ほどよりも離れていることに安堵する。

すると何を思ったのか、彼らは懐からトランシーバーのような物を取り出して口元に当てた。どう考えても仲間に連絡をとっているようにしか見えない。

 

(ハァ!?それはオーバーテクノロジーだろ!)

 

<あれは魔法ではなく魔術です。魔法陣を組むことで複雑な事も可能なんですよ>

 

アナスタシアの口ぶりからして、あれも貴族の必須技能なんだろうか。明らかに高そうな器具のことを当然のように知っているこいつは、本当に何者なんだろうか。

 

余計なことを考えていると前方からプレッシャー。不味い。囲まれた。…ん?

 

おかしい。先ほどの上空探索でこちらに私兵がいないことは確認済み。隣の道からこちらへ来るためには狭い路地を通らなくてはならないはずで、こんなに早く回り込むなんて不可能だ。

 

(あいつ瞬間移動でもしてきた?)

 

<何言ってるんですか、ただの「身体強化」ですよ>

 

(そんなのあるのかよ!!)

 

<……え?もしかして、ご存知ない?……って、ナーシャ、左!>

 

どうやらこっちは一般常識だったようだ——あっ、やばい。

アナスタシアの声に反応してそちらを向くと、路地裏から飛びかかってくる男の姿。

 

この距離では「ナーシャ」は逃げきれない。こんな緊迫した状況では魔力も練れない。頼れるのは女神様から貰った憑依(チート)だけ。

 

「幽体化!」

 

<へ?…うわわっ!?>

 

体から重さが消えて、本質だけが抜けていく。これで生身の身体は消滅する。しかしこれだけでは駄目だ。私兵は俺が目の前で消えたならばその場所に秘密があると考えるだろう。もしここで待機されたら詰みだ。

 

だから、()()()()

 

私兵のすぐ横にいた青年に飛び込む。激しい抵抗感が俺を襲った。でも今は、そんなこと関係ない!

 

(「憑依」ッ!!)

 

視界が揺れる。他者に憑依した状態で別の人間に憑依する。明らかにまともな能力の使い方ではないだろう。

でも、一瞬で構わない。

 

青年の体を借りた俺はそのまま私兵の目の前に突っ込んだ。

 

「っ!?」

 

(——()ッッ!!!)

 

激突。

青年(おれ)の頭と飛び込んできた私兵の頭が激しくぶつかった。

視界が真っ白になるほどの痛みに、咄嗟に「憑依」解除を行おうとする。

 

(……あれ?)

 

できた。なぜだ?…まぁ今はそれは重要じゃない。

 

見知らぬ青年に心の中で謝罪し、すぐさま「ナーシャ」に戻って走り出す。

もう前方に私兵はいない。しかし後ろで俺を追っていた私兵はすぐ後ろまで迫っている。行儀良く一列に並んで。

この距離で、この体だと、あっという間に捕えられてしまうことは請け合いだ。でも、この場所は。

 

頭の中に、先ほど見たこの辺りの鳥瞰図を思い浮かべる。

 

…いける。

 

イレギュラーな出来事はいくつか起きたが、このまま行けば計画通りの場所へ追手を誘導できる。

 

精一杯に力を振り絞って、街路を颯爽と走り抜ける。真後ろから迫る手を、姿勢を低くしてギリギリで避けると同時に、俺は薄汚く狭い路地へと飛び込んだ。

 

その先は、行き止まり。

 

 

背後から男たちのほくそ笑む声が聞こえた。ゆっくりと振り向く。そこには、余計な手間をかけさせた怒りを、やっと仕置きができる喜びを昏い瞳に宿らせた男たちが、隙間なく俺を取り囲んでいる。

 

先ほど空から確認した私兵どものほぼ全員が、ここに集合していた。

 

 

「これは罰が必要だなあ?」

 

とても貴族お抱えの兵とは思えない下品な喋り方で、嬲るようにゆっくりとこちらへと歩み寄る男たち。

 

(…アナスタシア。さっき言ってた光魔法、最大光量で使ったことはあるか?)

 

<えぇ、一度だけ。空に向けて放つと、まるで辺り一帯が昼になったのかと錯覚しました>

 

素晴らしい。

 

じりじりと距離を詰めてくる私兵どもに対して、むしろこちらから近づいてやる。突然の行動に怪訝な顔をした彼らに向かって、両掌を突き出した。

 

局所的に昼を生み出す光球。これを、この光の逃げ場がない狭い路地で、人に照準を合わせて放ったらどうなるんだろうね?

 

「罰を与えられるのは、お前らだ」

 

身体中を流れる魔力を一気に手の中で解放する。

 

「ざまあみろ」

 

高密度の光の爆弾が炸裂した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぅ…目が、目がぁ…」

 

<…馬鹿なんですか、貴女。あんな近距離で放ったら自分も被害を被ることくらいわかるでしょうに>

 

思ったより上手くいってテンションが上がっちゃったんだよ!

 

<何のための作戦なんですか…きゃっ!?>

 

一旦「幽体化」をする。やはり幽体だと普通に見えるな。…というか、アナスタシアがいつまで経っても「幽体化」の瞬間の感覚に慣れない。胸を抑えて息を吐いている彼女に呆れた目線を送りながら道を確認して「ナーシャ」へと戻る。

 

「…あれ?見える?」

 

どうやら一度体を消してから再構築すると不調が治るようだ。これだけでも地味にチートだ。本当に、憑依のデメリットさえなければ最高の能力だったのに…

 

辺りをざっと見回す。範囲を絞ったつもりだったが、さすが中級魔法と言ったところか。路地に集めた私兵だけでなく、偶然近くの通りを歩いていた民間人にも被害が及び、目を抑えてうずくまっている人がそこそこ居た。

 

周囲の人々は数分でまた見えるようになるだろうが、光を直視してしまった私兵たちは目に障害が残ったかもしれない。

 

(…思ったよりもすごいな、この魔法)

 

<でしょう?>

 

そう言う彼女は少し自慢げだ。先ほど地味だと言ったのを根に持っていたのかもしれない。

 

安心したら体の力が抜けた。ひとまずの窮地は脱した、か。その場にへたり込もうとした寸前。

 

「なんだこれは!?」

 

後ろから聞こえたのは貴族の私兵ではない、普通に治安維持の仕事をしている騎士の声。

 

やばい。

 

身を屈めていたおかげで奇跡的に他の倒れている人と同列に扱われているが、このまま倒れていたらここまでの努力が台無しだ。

 

何とか隙をついてその場を脱する。正直私兵から逃げるのよりも神経を使った。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

「出れた…のか?」

 

王都を囲む城壁の外。無限に広がっている、と錯覚するほどに広い草原を呆然と眺める。

もうずっと前から膝が笑っていて、今まで気力だけで立っていた。安心が押し寄せてきたのか、足は完全に自重を支える力を失い、その場にへたり込む。

 

ちなみに王都を出るのは、アナスタシアが事前に作っていたという冒険者証でなんとかなった。金属の板に名前が刻印されているだけのシンプルなカード。彼女曰く、お金を支払えば誰でも得られるらしい。

 

そんなもので王都に入れるのか…国の中枢都市がそんなゆるゆるで大丈夫なのだろうか。

 

<ナーシャ、ありがとうございます。まさか本当に逃げられるなんて思ってませんでした>

 

(男に二言はないからな)

 

<今は女の子ですけどね>

 

(……お前がそれ言う?)

 

お前の身体なんだが。………「憑依」解除。

 

【アナスタシア=アウロラに申請を拒否されました】

 

(……もういいんじゃないか?)

 

<ごめんなさい、まだ心細くて。…というのもありますけど、————貴女私の体から出ていったら何をする気なんですか?>

 

「ひゅっ」

 

突然厳しくなった彼女の言葉に乾いた息が漏れる。…しまった。そういえば、彼女には俺の野望(せいへき)を話してしまっていた。

 

<…やっぱり他の女性を乗っ取って邪なことしようと思ってたんですね>

 

完全に図星を突かれる。

 

「ま、待ってくれ!今までの話から想像するに、アナスタシアは高位の貴族、かつ争いに負けて奴隷になった、ってことで合ってるよな?」

 

<…否定はしません>

 

この話題は非常に分が悪い。万が一にでもアナスタシアが自分の身を挺して俺をこの身体に閉じ込め続けるのなら。

 

俺の夢が、この能力(チート)を選んだ意味が消滅してしまう。

 

「俺が、お前を復興させてやるよ。そうなったら体を返す。いいだろう?」

 

<む。…しかし、それでは結局貴女は私の体から出た後に邪なことをすると言うことでは?>

 

「ぐっ…」

 

手強い。

 

「…いいのかなー。もし復興に成功した直に俺が暴虐の限りをつくしても」

 

<ぐっ…未来の資産や民まで人質に取りますか……仕方ありません。その代わり、せめて先に相手の女性から金銭を用いてでも許可を取ってくださいね!>

 

「わーってるって」

 

ぐはは…するわけが無かろう。俺は動揺する姿が見たいのだから。口約束で済ませたこと、あとで後悔するが良い。

 

とりあえず交渉は成立した。今日から俺とアナスタシアはビジネスパートナーだ。

ぶっちゃけ政治のことなど何も分からない。それは彼女に丸投げして、俺は俺のやり方で目的を成してやる。

 

勢いよく立ち上がって胸に親指を当てる。

 

「期待しとけよ、お嬢サマ」

 

<よろしくお願いしますね、ナーシャ>

 

「…あの、さっきから言おうと思ってたが。ナーシャって呼ぶのやめてくれないか?」

 

<へ?何を言ってるんですか?それが貴女の名前じゃないですか>

 

自分の愛称に愛着が微塵もない。なんでそこまで覚悟が決まってるんだ。

 

…それはそれとしてやっぱりムカつくので、復興が成功したらこの体で全裸で街を闊歩してから返そう。

 




いつか連載したいなーと思ってます。多分。恐らく。
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