水の都のクラーケン   作:ミトコンドリアン

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戦闘描写は久しぶりなので稚拙です。アドバイスある方はください()

今回、後書きに主人公のプロフィールを載せております。よければそちらもどうぞ。


公開スパーwith公爵

 

 

 メロピデ要塞。

 前水神エゲリア様が贖罪を望む罪人たちと共に築き上げた、水中の砦。今では水中刑務所としての側面が強いその場所には、()()()()()と呼ぶに相応しい人物がいる。

 

 その人の名は『リオセスリ』様。黒と灰色の混じった頭髪に、切れ味の鋭く整った、何処か狼のような野生的な雰囲気を感じさせるハンサムな顔立ちと恵まれた体格。フォンテーヌの法の及ばぬ、自治区めいたメロピデ要塞の立ち位置の中、それを優れた手腕で、時に手腕(物理)で統治する…フォンテーヌの行政府より「公爵」の地位を与えられるに相応しい人物である。

 

 なぜいきなりリオセスリ様のことを褒めちぎったのか。その理由は、今僕が置かれた状況確認のためである。

 

「…ほらどうした。安心しろ、初心者に怪我はさせない。全力でかかってきな」

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()に、背中から未だ触腕を生やしている僕。

 

「ほ、本当に大丈夫なのかい?オクタヴィアが怪我でもしたら」

「安心しろフリーナ殿。彼はその辺りの手加減はしっかりとできる人だ…まあ、検査結果が出るまでのいい暇つぶしだろう。」

 

 なにやら少し揉めている外野二人。

 

 今、僕とリオセスリ様は拳闘場のリングに上がっている。

 

 …どうして。(某猫並感)

 

ーーーーー

 

 時は少し遡って、背中から生えた触腕の検査をしていた時のこと。シグウィン様に触腕を針で突かれたり、ゴムの槌のようなもので軽く叩かれたり…どうやら神経は通っているのがわかった。その後は変な機械で身体を撮ったり、触診で骨の有無を確認した。

 

 次に自分の意思で動かせるか試したところ、まるで元から生えていた器官かのように、手足を扱うのと同感覚で動かすことができた。そしてついでに、どれくらい馬力があるのかも調査した。

 

「はい、まずはこれ、リンゴ」「はいはい…ぬんっ(グチャ!)」

 

「じゃあ次…辞書」「おお…ふぬっ(ビリビリビリッ!)」

 

「鉄パイプ」「おりゃっ(蝶々結び)」

 

「鋼の延べ棒!」「ぬ゛ゔぅ゛ん゛!!!!(雑巾絞り)」

 

 結果、この触腕はとんでもない怪力を持つことがわかった。ちなみに潰れたリンゴは看護師をしていた一般メリュジーヌさんがジュースとして頂いていた。よかったね。

 

 「ふむ…その分だと、どうやら戦闘能力もありそうだな。遂に君も望んでいた力を手に入れたわけだが、その方面での検査をどうするか」

 

 ヌヴィレットがそう言うと、フリーナ様が続ける。

 

 「僕は水神だから強すぎるし…ヌヴィレットは法器を使うから物理的に相性が悪そうだし…クロリンデは休暇中だ。かと言って他の一般の決闘代理人に見せると混乱を生みそうだし。ほら、なまじ見た目がモンスターじゃないか、今のオクタヴィア」

 

 そう。今は病室にいるし、人払いがされているから関係者以外は僕のこの姿を見ていないが、実際今の僕の姿は歌劇に出てくる蛸の異形である。フリーナ様の補佐官がこんな化け物だと知れたら、不信感を持つ者も出てくるだろう。

 

 フリーナ様がうんうんと考えていると、シグウィン様が挙手する。

 

「…ウチのリオセスリなんか丁度いいんじゃないかしら」

 

ーーーーー

 

 というわけで、ここはメロピデ要塞は鉄拳闘技場、リングの上にはプレッシャーを放つリオセスリ様とガクブル震える僕。背中の触腕はリオセスリ様から提供された金属装甲で覆われ、ぱっと見は機械でできたマニピュレーターのようだ。

 

「かかってこないのか…じゃあ、こっちから行かせてもらうぜ!」

 

 その言葉と同時に、リオセスリ様が一瞬で僕の目の前に接近し、素早いボディブロウを放ってくる。

 

 まずい!と考えた途端、背中の触腕が反射的に僕を守るように動き、リオセスリの拳を受け止める。うっ、衝撃が…!

 

「ほう、これは防ぐと。ならもっと行くぞ!」

 

 彼は受け止められたことに感心した後、連続でジャブ、ストレート、スイッチからのアッパーと流れるようなパンチを放ち、僕はそれをなんとか触腕で捌く。

 

 すごい、今のところはぜんぶ捌けている。まるで勝手に考えて動いているかのように触腕が攻撃を逸らし続けてくれている!これはなんとか凌ぎ切れるか…!

 

「どうした!やる気があるなら一発でも打ってこい!」

 

 リオセスリ様はそう言うと、バックステップで距離を取った後両手を構え防御体制を取る。…これは、ここに打てばいいのかな?

 

「で、では…せいっ!」

 

 僕は蛸足をしならせ、彼の上半身を狙う。彼はそれを受け止めると同時に身体を半身ほどずらした。

 

「…ほう、これは予想以上だ」

「なにより!ではもう何発か!」

 

 僕は一歩前に踏み出し、触腕を二本ずつ絡み合わせ、一対の太い腕と化したそれで先ほどの動きを真似る。ジャブ、ストレート、スイッチからアッパー…ガードが崩れた、ここでランス!!

 

「ぐっ!!」

 

 リオセスリ様はそれを上手くガードし続けたが、最後のパンチがボディを捉える。リオセスリ様は一瞬よろめき後退りをした。

 

「あっ…ご、ごめんなさい…」

 

 僕は咄嗟に謝るが、リオセスリ様は自分の腹をしばらく見つめた後、こちらを見てニヤリと不敵な笑みをこぼす。…え、なんだか嫌な予感…。

 

「随分と遠慮がちだな…でも、どうやらもう少し強めでも良さそうだな」

 

 彼はファイティングポーズを取り直し、上半身を傾け…()()()()()()()()()()。は?

 

「オラァ!!!!」

 

 咄嗟に反応できた。氷元素を纏ったリオセスリ様の拳をなんとか受け止める。つ、冷たい…!

 

「ちょ、神の目は無しですって!僕元素力使えないんですけど!?」

「あぁそうだな。だがあんたは歯応えがありそうだ。ちょっとくらいなら…いいよなあっ!!」

 

 そう言うと彼はアッパーカットの後、空中から拳を振り下ろす。一撃目を腕で防ぐが、二撃目までは無理だ…!

 咄嗟に半身ずらしてかわすと、彼はますます笑みを深め、攻撃の手を強めてくる。

 

「想像以上に動けているぞ、野性の勘とやらか!そりゃあいいなァ!」

「ヒッ…あっ、この、こなくそ…!!!」

 

 リオセスリ様が氷元素を纏い始めてから、捌く触腕の反応が鈍くなっていっているのを感じる。氷元素で冷え固まってきてしまったのか…!そのうち捌ききれない拳が肩を、胴体を、時に顔を撃ち抜き冷やしていく。その度に身体の動きは鈍くなり、体力はどんどんと削られていった。

 

 だがここで負けるのも癪だ。()()()()()()()()()()()

 僕は踏み込んできたリオセスリ様の右ストレートを…触腕で迎え撃つ!バチン!という音と共に拳は弾かれ、リオセスリ様は体勢を崩し上半身ががら空きになる。僕は右の触腕を思い切り背後に引き…

 

「…無駄ァ!!!!!」「ガッ…!!」

 

 顔面に向かって振り抜く!!!!!!!

 

「うっ、ぐぅ…ほほう、効いたぜ今のは」

 

 リオセスリ様は一瞬ふらつくが、こちらにギラついた笑みを向け体勢を立て直した。まだやるのかこの人は…!

 

「それじゃあ…喜べ、最後は本気(マジ)で相手してやる…!!!」

 

 彼はそう言うと、()()()()()()()()()()()…あ、これまずい。

 

「寒いから…」

 

 僕は逃げ場がないことを察し、触腕を前に構えて防御体勢を取る。が、これじゃ防げる気がしない…だが、もろに食らうよりはましだ!!!

 

「気をつけろよッ!!!!!!!!」

 

 リオセスリ様が拳を振り抜き、僕の目の前を氷元素の奔流が包み込んだ。視界が真っ白に染まる…。

 

ーーーーー

 

『…感覚器官より入力、極低温を感知。元素合成を開始します。』

 

ーーーーー

 

 ああ、寒い。真っ白な視界でその感覚だけが鮮明に感じられる。僕は彼の元素爆発で氷漬けになってしまったのだろう。指一本たりとも動かせない…。

 

 …本当にこんなものでいいのだろうか。スパーリングとはいえ、こんな所で負けてしまってもいいのだろうか。せっかく力を手に入れたのに、これじゃ宝の持ち腐れじゃないか。フリーナ様を守る為なら、どんなことだってしてきたはずだ…!!!

 

「僕が…やらなきゃならないんだ…!!!!!」

 

 触腕にめいっぱい力を込めれば…氷が()()する。視界が晴れた先に見えたのは、目を大きくして驚くリオセスリ様と…

 

 

 

僕の触腕から立ち昇る、蒼い炎がゆらめく光だった。

 

 

 

「蒼い…炎?」

 

 リングの外からフリーナ様の声が聞こえてきた。フリーナ様、見ていてください。今から貴方の補佐官、オクタヴィアは…リオセスリ様を殴ります!!!!!

 

 触腕につけられた防具の隙間から、青い炎が勢いよく吹き出す。それが僕周りの空気を温め、火の粉をはらはらと撒き散らす。

 

「それでは…今度はこっちの番です!!」

 

 僕は触腕を身体の前に構え、勢いよく床を蹴り突貫する。笑みを深めて僕を迎え撃つリオセスリ様の右ストレートを…触腕を開いてそのまま弾き飛ばす!よろめいた彼はすぐさまバックステップで体制を立て直し、こちらに構えなおす。

 

「蒼い炎元素か…不思議だな、でも、面白いじゃないか…!」

 

 冷気を纏い踏み込んだ彼はリペルブローを見舞ってくる。これを受け止め反撃として触腕を振るうも、彼はすぐさま防御する。濃密な氷元素と炎元素がぶつかり合い、溶解反応が何度も起こり互いに体力が削れていく。彼のガントレットと僕の触腕の装甲はそれに耐えられずどんどんと劣化していった。

 

「このままじゃ互いにキリがつかないな…じゃあ、最後に一発で決めるってのはどうだ!」

「…ええ、そうしましょうか。これで最後に…!!!」

 

 僕とリオセスリ様はそう言うと、互いに元素力を集中し始める。リオセスリ様は右の拳に、僕は…左の二本の触腕を束ねて。

 

「行って…らっしゃい!!!!!!

 

 リオセスリ様の氷元素の爆発が右ストレートと共に向かってくる。僕はそれと交差するように触腕を振るう。

 

「刺し穿ち…殴り抜くっ!!!!!!!

 

 蒼い炎元素の奔流が濃密な氷元素と交差し、辺りが白い蒸気に包まれた。

 

ーーーーー

 

 気がつくと、僕はベッドの上にいた。本日二度目の寝起きに困惑しながら起き上がると、目の前でリオセスリ様が()()()()()()()()()。彼の目の前ではシグウィン様が腰に手を当て、ぷりぷりと起こった様子で説教をしていた。

 

「だいたいなんで初心者に元素力なんて使ったわけ!?手加減ってものがあるでしょ!」「考えていたより反撃してくるからちょっと楽しくなってな…」「だからって最後のあれは何よ!ウチには炎元素を使える人はあまりいないんだから、あれで氷漬けになってたらどう溶かせって言うの!?」「い、いや結果的に炎元素に目覚めたからいいんじゃあないk「そう言う問題じゃないのっ!!!!!」

 

 どうやら長いこと続いているようで、珍しくリオセスリ様はタジタジだ。しばらく眺めていると、シグウィン様がこちらに気づく。

 

「あ、起きたのね。ちょっと待ってて、今フリーナ様達を呼んでくるから…」

 

 彼女はリオセスリ様に「反省しなさい!」と言ってから、とてとてと駆けていく。その様子を確認して、リオセスリ様はハアとため息をついた。

 

「いやはや、俺の看護婦長様は説教が長くて困る。まあ、こんなに怒られたのも久しぶりのことだがな」

 

 リオセスリ様は膝をパンパンとはたいて埃を落とすと立ち上がり!僕の近くに歩いてくる。何かと待っていれば、彼は僕に向かって右手を差し出してきた。僕はその手を数秒見つめ、ゆっくりと手を取った。引っ張られ、僕はベッドから立つ。

 

「ありがとうございます、リオセスリ様」

「お安い御用さ。…すまなかった。つい熱くなっちまってな…謝る」

「いえ、いいんです。あれのおかげで僕はまた力を…」

 

彼の謝罪にそう返し、僕は背中に手を回して触腕に触れ…触れ…あれ?

 

「…な、なくなってる…???」

 

 背中の触腕が忽然と消えていた。虚しく手は空を切る。え、あれってなくなるものなの?乱暴に使いすぎた?どうしよどうしよ…。

 

「ああ、背中のならあんたがダウンした後、背中に引っ込んでったぞ。どう言う原理かは知らないが…力んだらまた出せたりするんじゃないか?」

「そ、そうだったんですか…やってみます」

 

 彼の言葉を聞き、僕は背中に力を込める。すると、ずるりという音と共に触腕が顔を出した。黒い表皮に吸盤のついた蛸足はやはり禍々しい。

 

「ほう…裸だとこうなってるのか。まさに蛸のおばけだな」

 

 出てきた触手をむにむにと触りながらリオセスリ様が言う。少しこそばゆさを感じながら、僕は彼と会話する。

 

「しかし、あんたはいつの間に神の目を手に入れたんだ?持っているとして、それをどこにつけている。先ほどは見当たらなかったが」

「神の目は持ってないですけど…もしかして、この触腕がそういう力を持っているのかもしれません」

「神の目なしで炎元素を…しかも蒼色のを、か。これは…とんでもないな」

 

 ぺちぺちと触腕を触りながらリオセスリ様と歓談していると、遠くからフリーナ様がやってきているのが見えた。どうやらシグウィン様が呼んできてくれたようだ。

 

「…ありがとうございますリオセスリ様。スパーリングで僕の力を引き出してくれて」

「礼には及ばないさ」

 

 リオセスリ様はフリーナ様達の方へ身体を向け…少し見やった後、顔をこちらに向ける。

 

「それと、様付けはもういい。あれだけ対等に打ち合ったんだ。もう友達ってことでいいだろう?」

 

 

 

 

「…わかりました、リオセスリ!」

 

ーーーーー

 

 その後、フリーナ様達と一緒に、検査結果をシグウィン様から聞いた。その際に渡された白と黒の写真には、何やら骨のようなものが写っている。

 

「それは最近試験運用されている身体を透かす特殊な光であなたの骨を写した写真よ。これが肋骨で…この影のところを見て」

 

 シグウィン様が指を差した所、ちょうど僕の左胸あたりを刺す。

 

「これはいわゆる心臓なのだけれど…ここと、ここにも同じような影があるわ」

 

 そこまで聞くと、何かを察したのか、フリーナ様が口を開く。

 

「それじゃあ…心臓が三つあるってことかい?」

「ええ、そう言うことよフリーナ様。おそらく増えた触腕のぶん、血液を送る力が必要になったんでしょうね」

 

 触腕が生えてきて、炎元素が出て、しかも心臓が三つに増えた…?????

 

「…蛸のようだな。八の字の瞳孔に触腕もだが、心臓が三つあるというのは蛸の特徴と一致する」

 

 ヌヴィレットが顎に手を当てながらそう言う。

 

「そうね。そして相当な長生きで、炎元素を神の目なしに使えたということは、彼の種族は…」

「そうだな。…暫定的に、『蛸の魔神』ということにしておこう」

 

 シグウィン様がヌヴィレット様と話し合っているのを尻目に、フリーナ様は僕の手をとり話し始める。

 

「きみも、僕と同じ魔神…!ということは、もっとずっと僕と一緒にいられるって事かい?」

「ええ。たぶんそう言う事なのでしょう。ご安心を、僕はこの力で貴方様をいつまでも守る覚悟です」

「…別に、君が怪我をするのは嫌だから、今までのままでもいいのだけれどね」

 

 フリーナ様がガーゼの貼られた僕の頬をそっと撫でた。

 

「どうか、終わりが来る日まで、僕のそばにいておくれ」

 

 フリーナ様はそう言って、とても不安そうな表情で視線を落とした。

 

「…はい。オクタヴィアはいつまでも、貴方様のおそばにおりますよ」

 

【To Be Continued…】

 




【名前:オクタヴィア】
CV:ショタボ
誕生日:8月8日
所属:フォンテーヌ邸
神の目:???
命ノ星座:自称.冥蛸座?
装備可能武器:法器
アルケー:プネウマ
オリジナル料理:プル・ラ・フリーナ(ムール貝のパスタ)

【ひとこと紹介】
彼はいつまでも、仕えた相手の隣に控え続け、手助けをし続ける存在……たとえ主人が神でなくとも、彼は元よりそうしていたであろう。

もっと詳しい情報は今度まとめて書く…かも?

いいな、と思った方は感想評価よろしくお願いしまァす

水の都のクラーケンif〜夜の深境螺旋〜 見たい?

  • 稚拙でもいいから見たいでござる。
  • 稚拙なら書かなくてもいいぞ。
  • エッチなのはダメ!岩喰いの刑!!!
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